- 英
- mature cystic teratoma
- 同
- 皮様嚢胞腫
- 関
- 卵巣腫瘍、未熟奇形腫
概念
- 良性の胚細胞腫瘍である。
- 妊娠時に合併する卵巣腫瘍の中で最も多い
- 大きくなっても可動性は保たれており、頚捻転を来しうる。。
- チョコレート嚢胞との鑑別が必要になることがある。
疫学
検査
- NGY.99
- 超音波検査:様々な像を認める(皮脂、毛髪、歯などが混在するため。
- MRI:脂肪はT1で高信号、T2で中等度の高信号を呈する
- T1:高信号
- T2:中等度の信号
- 脂肪抑制画像:低信号 ⇔ チョコレート嚢胞では抑制されて低信号にならないので鑑別に有用(T1,T2では信号強度の振る舞いは同じ)
[show details]
合併症
- 卵巣茎捻転(卵巣嚢腫茎捻転):急性腹症の原因。卵巣腫瘍の中で成熟嚢胞性奇形腫や線維腫(最も重い)は重く周囲の癒着がないために茎捻転を起こしやすい。卵巣茎捻転でみられる最多の原因が成熟嚢胞性奇形腫である。(G9M.177)
治療
- 治療方針:病理組織的に確定診断を行うため、また卵巣頚捻転、破裂、あるいは悪性転化のリスクを下げるために手術による摘出を行う。
- 卵巣嚢胞摘出術
- 卵管卵巣摘出術:妊容性温存が必要ない場合
予後
- 35歳以上で約1%の確率で悪性転化する。ほとんどが扁平上皮癌である。(G9M.176)
- 0.2-2%の例で悪性転化(malignant transformation)する。悪性転化した奇形腫は全悪性胚細胞腫の2.9%を占める。(参考1)
参考
- 1. [charged] Ovarian germ cell tumors: Pathology, clinical manifestations, and diagnosis - uptodate [1]
国試
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 症例 MRIにて脂肪抑制を示さないfat balls様所見を認めた成熟嚢胞性奇形腫の1例
- 発見から46年間経過を追えた前縦隔奇形腫の1手術例
- 坂巻 靖,城戸 哲夫,塩野 裕之
- 日本呼吸器外科学会雑誌 = The journal of the Japanese Association for Chest Surgery 24(7), 1050-1054, 2010-11-15
- … する所見とともに,上葉の浸潤影と気管支拡張像,中葉の著明な虚脱を認めた.患者は喀血と癌合併の可能性を理由に最終的に手術を承諾した.手術で右肺上中葉を合併切除し腫瘍を摘出した.腫瘍は成熟嚢胞性奇形腫と診断された.術後経過は良好で血清CEA値は正常化し,喀血も消失した.前縦隔奇形腫は発見後比較的早期に摘出されるのが一般的で,本症例のように小児期から半世紀近くにわたって経過を追えた報 …
- NAID 10026963681
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★リンクテーブル★
[★]
- 56歳の女性。下腹部の違和感と膨満感とを主訴に来院した。 50歳で閉経するまでは月経痛が強く、月経時以外でも腰痛と排便痛とがみられた。身長156cm、体重60kg、体温36.8℃。脈拍84/分、整。血圧132/84mmHg。下腹部は膨隆し、恥骨上から臍下にかけて約8cmの柔らかい腫瘍を触知する。血液生化学所見に異常を認めない。免疫学所見 CEA 1.3ng/ml(基準5以下)、CA19-9 25U/m/(基準37以下)、CA125 88U/ml(基準35以下)。術前の骨盤部MRIのT2強調矢状断像(別冊No.2A)と造影T1強調失状断像(別冊No.2B)とを別に示す。手術が施行され、卵巣腫瘍と診断された。摘出された腫瘍の病理組織H-E染色標本(別冊No.2C、D)を別に示す。
- 考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [105D019]←[国試_105]→[105D021]
[★]
- 51歳の女性。下腹部の違和感と腹満感とを主訴に来院した。48歳で閉経。閉経まで月経痛が強く、子宮内膜症と診断されたことがある。身長 161cm、体重 58kg。体温 36.5℃。脈拍 76/分、整。血圧 124/84mmHg。下腹部に恥骨上8cmに達する可動性のない腫瘤を触知し、軽度の圧痛を認める。血液生化学所見:CEA 1.6ng/mL(基準 5以下)、CA19-9 34U/mL(基準 37以下)、CA125 116U/mL(基準 35以下)。CRP 0.7mg/dL。開腹手術を施行した。術前の骨盤部MRIのT2強調水平断像(別冊No. 20A)、矢状断像(別冊No. 20B)及び手術で摘出した組織の充実部分のH-E染色標本(別冊No. 20C)を別に示す。
- 最終的な診断はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [111I066]←[国試_111]→[111I068]
[★]
- 21歳の女性。突然の左下腹部の激痛を主訴に来院した。子宮は後傾後屈正常大で可動性は良好、左卵巣に超驚卵大の腰痛を触知し、強い圧痛を認める。腹部エックス線単純写真で左側小骨盤腔に歯状の石灰化を認める。直ちに腹腔鏡下手術を行った。摘出腫瘤のH-E染色標本を以下に示す。
- 正しいのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [102D058]←[国試_102]→[102D060]
[★]
- 月経28日型、整。月経痛はない。内診で下腹部に新生児頭大の可動性のある腫瘤を触知する。
- CA125 24単位(基準35以下)、CA19-9 98U/l(基準37以下)、SCC1.2ng/ml (基準1.5以下)。骨盤部単純MRIのT1強調像と脂肪抑制T1強調像とを以下に示す。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [096D039]←[国試_096]→[096D041]
[★]
- 28歳の女性。突然の下腹部痛を主訴に来院した。月経周期28日型、整。月経痛はない。内診で骨盤内に新生児頭大の可動性のある腫瘤を触知する。免疫学所見:CA125 24 IU/ml(基準35以下)、CA19-9 98 IU/ml(基準37以下)、SCC 1.2 ng/ml(基準1.5以下)。骨盤部単純MRIのT1強調像とを以下に示す。
- 診断はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [103A037]←[国試_103]→[103A039]
[★]
- 60歳の女性。子宮癌検診で骨盤内の腫瘤を指摘され来院した。内診では付属器に可動性良好な新生児頭大の腫瘤を触知する。腫瘍マーカーはCA19-9 650U/ml(基準37以下)、CA125 45U/ml(基準35以下)、SCC 8.6ng/ml(基準1.5以下)。経膣超音波検査では最大径12cmの嚢胞性腫瘍で、一部に充実部分と毛髪塊とを認める。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [101G040]←[国試_101]→[101G042]
[★]
- 卵巣腫瘍で表層上皮性・間質性腫瘍はどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [103I032]←[国試_103]→[103I034]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [099E046]←[国試_099]→[099E048]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [098H050]←[国試_098]→[098H052]
[★]
- 英
- ovarian tumor
- 関
- 産婦人科学、腫瘍、卵巣奇形腫、卵巣腫瘍の腫瘍マーカー、卵巣癌
概念
- 卵巣に発生する腫瘍であり、80%が良性といわれる。良性のものは嚢胞性腫瘍が多く、悪性の腫瘍は充実性のものが大半である。
分類
疫学
- 悪性の卵巣腫瘍は漿液性腫瘍、類内膜癌、粘液性腫瘍が多い。
- 若いころの卵巣腫瘍は奇形腫、腺腫が多い
- 50-69歳の女性で多発
- 顆粒膜細胞腫は卵巣腫瘍中4.6%でホルモン産生腫瘍のなかで最多(QB.Q-302)
好発年齢
卵巣腫瘍の組織分類
- 1)表層上皮性・間質性腫瘍 Surface epithelial-stromal tumors
- 2)性索間質性腫瘍 Sex cord/stromal tumors
- 未分化幹細胞腫瘍
- 卵黄嚢腫瘍
- 胎芽性癌
- 絨毛癌
- 奇形腫(成熟型、未熟型)
|
良性腫瘍
|
境界悪性腫瘍
|
悪性腫瘍
|
表層上皮性 ・ 間質性腫瘍
|
漿液性嚢胞腺腫
|
漿液性嚢胞性腫瘍,境界悪性[低悪性度腫瘍]
|
漿液性腺癌[漿液性嚢胞腺癌]
|
粘液性嚢胞腺腫
|
粘液性嚢胞性腫瘍(同上)
|
粘液性腺癌[粘液性嚢胞腺癌]
|
明細胞腺腫
|
類内膜腫瘍(同上)
|
類内膜腺癌
|
類内膜腺腫
|
明細胞腫瘍(同上)
|
明細胞腺癌
|
腺線維腫(上記の各型)
|
腺線維腫(上記の各型)
|
腺癌線維腫(上記の各型)
|
表在性乳頭腫
|
表在性乳頭状腫瘍,境界悪性[低悪性度腫瘍]
|
腺肉腫
|
|
|
中胚芽性混合腫瘍 [Muller管混合腫瘍] [癌肉腫]
|
Brenner腫瘍
|
Brenner腫瘍,境界悪性[増殖性]
|
悪性Brenner腫瘍
|
|
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移行上皮癌
|
未分化癌
|
性索間質性腫瘍
|
莢膜細胞腫
|
顆粒膜細胞腫
|
線維肉腫
|
線維腫
|
Sertoli-間質細胞腫瘍(中分化型)
|
Sertoli-間質細胞腫瘍(低分化型)
|
硬化性間質性腫瘍
|
ステロイド[脂質]細胞腫瘍(分類不能型)
|
|
Sertoli-間質細胞腫瘍(高分化型)
|
ギナンドロブラス卜ーマ
|
Leydig細胞腫 [門細胞腫]
|
|
輪状細管を伴う性索腫瘍
|
胚細胞腫瘍
|
成熟嚢胞性奇形腫(皮様嚢胞腫)
|
未熟奇形腫(G1,G2)
|
未分化胚細胞腫
|
成熟充実性奇形腫
|
力ルチノイド
|
卵黄嚢腫瘍(内胚葉洞腫瘍)
|
卵巣甲状腺腫
|
甲状腺腫性力ルチノイド
|
胎芽性癌(胎児性癌)
|
|
|
多胎芽腫
|
悪性転化を伴う成熟嚢胞性奇形腫
|
未熟奇形腫(G3)
|
その他
|
非特異的軟部腫瘍
|
性腺芽腫(純粋型)
|
癌腫
|
腺腫様腫瘍
|
|
肉腫
|
|
悪性リンパ腫(原発性)
|
二次性[転移性]腫瘍
|
(日本産科婦人科学会・日本病理学会編‥卵巣腫瘍取扱い規約.全原出版,1990より)
|
妊娠に合併した卵巣腫瘍
- G10M.154
- 発生率:全妊娠中の0.5%
- 病理組織:悪性腫瘍は5%未満で成熟嚢胞性奇形腫が最も多い。
- 管理:
- 妊娠10-12週までは胎児の器官形成期であるため手術を施行しない
- 妊娠14週まで経過観察し消退するようであれば、ルテイン嚢胞であり手術の必要はない。
- 妊娠14週以降には卵巣を摘出を行う。
- 以下の場合には、週数によらず手術の適応となる:茎捻転、腫瘍破裂。悪性が疑われる場合。
参考
- 1. C.産婦人科検査法 9.婦人科疾患のMRI 診断 - 日産婦誌59巻5号
- http://www.jsog.or.jp/PDF/59/5905-113.pdf
- 2. E.婦人科疾患の診断・治療・管理 8.腫瘍と類腫瘍 - 日産婦誌61巻5号
- http://www.jsog.or.jp/PDF/61/6105-165.pdf
[★]
- 同
- 糖鎖抗原19-9 carbohydrate antigen 19-9, CA-19-9
- 関
- ルイス式血液型
概念
- 各種の消化器癌や膵癌、胆肝癌の患者に高頻度かつ高濃度に検出される抗原である。
- ヒト大腸癌細胞株SW1116に対して作成された単クローン抗体の認識する糖鎖抗原であり、腫瘍マーカー検査に用いられる。
- 抗原は Gal1-3GlcNAc の繰り返し構造(I型糖鎖)を基本骨格とするルイスA(Lea)の血液型糖鎖にシアル酸が結合したシアリルルイスAである
基準値
分布
- 膵管、胆嚢、胆管、胃、気管支、唾液腺、前立腺、結腸、直腸などの上皮細胞上に分布
意義
婦人科
-
- 癌の血行性転移を促進するらしい
- 正常の胆管膵管上皮、唾液腺でも発現
注意
- 血液型Lea陰性者(日本人の5-10%)では陰性を示す
[★]
- 関
- 成熟嚢胞性奇形腫、MRI
- 図:NGY.100
- MRI上の所見であって、脂肪成分と水成分が接する境界面では位置のずれを生じ、影がついたようにみえるもの
- 例えば成熟嚢胞性奇形腫のMRI T2強調画像においては水(高信号)と脂肪(中等度の信号)の境界に低信号が見える。
参考
- 1. クリニカルカンファレンス(腫瘍領域);2.画像による腫瘤性疾患の悪性病変鑑別のポイント 2)付属器腫瘤のMRI 診断 - 日産婦誌59巻9号
- http://www.jsog.or.jp/PDF/59/5909-317.pdf
[★]
- 英
ovarian cyst?, ovarian cystoma
- ラ
- cystoma ovarii
概念
- 卵巣に発生する嚢胞性の良性腫瘍の総称。腫瘍であり、卵巣嚢胞とは異なる(はず)。
卵巣嚢腫
臨床関連
[★]
- 英
- immature teratoma
- 関
- 卵巣腫瘍、成熟嚢胞性奇形腫
[★]
- 英
- cyst
- 関
概念
- 内腔に液体や泥状物を含む袋状の構造物をいう。
- 上皮細胞に囲まれた体内にできた異常な腔で、水や泥状の物を含む
種類
総胆管嚢胞、胆管嚢胞、内膜症性嚢胞、出血嚢胞、前立腺小室嚢胞、単純腎嚢胞、卵巣内膜症性嚢胞、卵巣嚢胞性腺腫、卵巣嚢胞腺腫、卵巣機能性嚢胞、外傷後嚢胞、多嚢胞症、多発嚢胞性腎、多発性嚢胞、射精管嚢胞、汎発性嚢胞状線維性骨炎、深在嚢胞性大腸炎、肝嚢胞腺癌、腸管気腫性嚢胞症、膵嚢胞性病変、虫垂粘液嚢胞腹膜、軟骨下嚢胞、先天性肺嚢胞症、単独嚢胞腎、Nabothian嚢胞、ミュラー管嚢胞、膵嚢胞性腺癌、先天性総胆管嚢胞、寄生虫性嚢胞、巨大嚢胞、嚢胞体、血液嚢胞、嚢胞性膵疾患、多発性肝嚢胞、漿液性嚢胞腫瘍、多嚢胞化萎縮腎、後天性嚢胞性腎疾患、成人型多発性嚢胞腎、胸膜下肺胞性肺嚢胞、腎嚢胞性疾患の鑑別、線維嚢胞性変化、乳頭状嚢胞腺腫、孤立性腎嚢胞、肺嚢胞、鰓原性嚢胞、膵嚢胞症、ナボット嚢胞、甲状舌管嚢胞、単純性腎嚢胞
産婦人科
[★]
- 英
- teratoma
- 関
概念
- 内胚葉、中胚葉、外胚葉に由来する成分が混合してみられる腫瘍。
病理
検査
- (参考1)悪性の奇形腫ではhCG, AFPが上昇することがある。
参考
- 1. Value of Blood AFP and HCG Levels in the Diagnosis of Intracranial Germ Cell Tumors
- http://www.journalarchive.jst.go.jp/english/jnlabstract_en.php?cdjournal=nmc1959&cdvol=20&noissue=12&startpage=1197
[★]
- 英
- malformation (L), anomaly, deformity, teratism
- 関
- 先天異常、先天奇形
[★]
- 関
- がん、腫瘍、腫瘤、良性新生物
[★]
- 英
- cystic
- 関
- 真性嚢胞、偽性嚢胞