- 英
- sialic acid, sialate, SA
- 同
- シアリン酸
- 関
- シアル酸付加、N-アセチルノイラミン酸
- 図:FB.139
- 単糖の誘導体
- 糖タンパクや糖脂質の重要成分
- ノイラミン酸のアミノ基やヒドロキシ基が置換された物質の総称
- N-アセチルノイラミン酸とその誘導体を指す (FB.140)
ファミリー
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/01/11 08:28:22」(JST)
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シアル酸 |
|
分子式 |
C11H19NO9 |
分子量 |
309.273 |
CAS登録番号 |
[131-48-6] |
形状 |
白色の粉末状結晶 |
沸点 |
186 °C分解点 |
シアル酸 (sialic acid) とはノイラミン酸 (neuraminic acid) のアミノ基やヒドロキシ基が置換された物質を総称するファミリー名である。通常糖鎖の非還元末端に存在し、細胞の認識など重要な機能を担っている。ノイラミン酸は分子内にカルボキシル基とアミノ基を持つ特殊な9炭糖でガングリオシドなどの糖鎖の一部として存在していることが多い。カルボキシル基の炭素を1位として骨格に番号をつけている。天然には5位がアセチル化されたN-アセチルノイラミン酸 (Neu5Ac) が多く存在し、グリコール酸で修飾されたN-グライコリルノイラミン酸 (Neu5Gc) が次に多く存在する。
シアル酸を多く含む糖タンパク質であるセレクチンはヒトとその他の生物の結合を制御している。また、転移するガン細胞は多くのシアル酸リッチな糖タンパク質を発現しており、これらのガン細胞が血流に入るのを助けている。
細胞表面に存在するシアル酸リッチな複合糖質は細胞表面の水分を保っている。シアル酸リッチな部位は細胞表面を負に帯電させる作用があり、水は極性分子なので正に帯電した部分が細胞の表面に引き付けられる。
N-グライコリルノイラミン酸
CMP-Neu5Acのアセトアミド基に酸素原子を一つ付加する酵素であるCMP-Neu5Ac hydroxylase(CMAH)が作用することでCMP-Neu5Gcが合成される。 ヒトの糖鎖にはNeu5Gcは遺伝子レベルで存在しないことがわかっている。250~300万年前にCMAHの遺伝子のエキソンが消え、フレームシフトしているためである。 これはヒト以外の生物ではNeu5Gcが病原体の感染に関わっていることが多く、様々な哺乳類を家畜化する際に家畜と同じ病原体には感染しにくくなるためという説が支持されている。 免疫にも関わっており、ブタなどの生物から臓器を移植した場合はNeu5Gcが含まれる糖鎖に対し抗体を生産し、攻撃を始める。これが異種間臓器移植の最大の障壁になるとも言われている。Neu5Gc自体は毒ではなく大量に経口摂取した場合はほとんどが吸収されずに体外に排出される。
関連事項
- インフルエンザ … ノイラミニダーゼ阻害薬が治療薬として用いられている。
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Japanese Journal
- 李 章鎬,妹尾 学
- 生産研究 42(11), 617-621, 2011-03-17
- … 小特集 バイオテクノロジー最近その生理作用から注員されているシアル酸の工業的利用の目的で、これまでに行われているシアル酸の化学変換による誘導体について概観し、我々が行っているシアリルリン脂質の合成について述べる。 … シアリルリン脂質はホスファチジルコリンのリポソームに組み込まれ、シアル酸残基を表面にもつリポソームが合成された …
- NAID 120002906992
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★リンクテーブル★
[★]
- 英
- neur-aminidase, NA
- 同
- シアリダーゼ
- 関
- インフルエンザウイルス
- 複合糖質糖鎖を切断し、シアル酸(ノイラミン酸のアシル誘導体の総称)を遊離させる酵素。
- インフルエンザウイルスの出芽から遊離にかけて、宿主の複合糖鎖とインフルエンザウイルスのHAとの接着を切り離すために、ノイラミニダーゼが作用し複合糖鎖のシアル酸の部分を切断する。
- sialic acidと隣接するオリゴ糖間の結合, α(2,6)-ケトシド結合, α(2-3)-ケトシド結合を切断する
- ヘマグルチニンが結合している受容体のシアル酸と隣接糖類との結合を切断し、ウイルスを宿主細胞から遊離させる
- 遊離後のウイルスの自己凝縮を阻害する
- 気道内に分泌された粘液のシアル酸関連部位を切断し、ウイルス核酸を促進する
- ヘマグルチニンの糖鎖を直接分解・修飾し、ウイルスの病原性に影響を及ぼす
- 潜在型TGF-βの糖鎖部分を分解し、宿主細胞に細胞死を引き起こす活性化TGF-βに転換する。
- α(2,6)結合:ニワトリ、カモ
- α(2-3)結合:人の呼吸器上皮細胞
[★]
- 同
- 糖鎖抗原19-9 carbohydrate antigen 19-9, CA-19-9
- 関
- ルイス式血液型
概念
- 各種の消化器癌や膵癌、胆肝癌の患者に高頻度かつ高濃度に検出される抗原である。
- ヒト大腸癌細胞株SW1116に対して作成された単クローン抗体の認識する糖鎖抗原であり、腫瘍マーカー検査に用いられる。
- 抗原は Gal1-3GlcNAc の繰り返し構造(I型糖鎖)を基本骨格とするルイスA(Lea)の血液型糖鎖にシアル酸が結合したシアリルルイスAである
基準値
分布
- 膵管、胆嚢、胆管、胃、気管支、唾液腺、前立腺、結腸、直腸などの上皮細胞上に分布
意義
婦人科
-
- 癌の血行性転移を促進するらしい
- 正常の胆管膵管上皮、唾液腺でも発現
注意
- 血液型Lea陰性者(日本人の5-10%)では陰性を示す
[★]
- 英
- sphingolipid
- 関
- 経表皮水分喪失
- セラミドの誘導体(その元はスフィンゴシン)であり、主要な膜成分として機能。
分類
臨床関連
[★]
- 英
- ganglioside
- 同
- シアロ糖脂質、sialoglycolipid
- 関
- 糖脂質、スフィンゴ脂質
- 脳(とくに灰白質)に多い糖脂質で、脳神経系における神経伝達に関与
- シアル酸を含むスフィンゴ糖脂質の総称。少なくとも1個シアル酸残基を含むオリゴ糖が付いたセラミド(FB.156)
- 分子内にシアル酸を含有するため,ガングリオシドは陰性荷電をもち,水に溶解してミセルを形成しやすい
- 糖鎖部分はCa2+と特に強く結合する
- 細胞表面の膜の主成分で脳脂質の相当量(6%)を占める(FB.156)
種類
- ガングリオシドGM1
- ガングリオシドGM2
- ガングリオシドGM3
臨床関連
[★]
- 英
- hemagglutinin, HA
- 関
- 赤血球凝集素
- 16種類存在する
- 人にはH1N1,H2N2,H3N2の流行が認められているが、散発的にH5N1,H7N7,H9N2の肝炎も報告されている。
- インフルエンザウイルスのHAは最初HA0で産生される。
- 気道粘膜上皮にあるクララ細胞から分泌されるトリプターゼ・クララによってHA1とHA2に切断される。これによりHA1が宿主細胞のシアル酸に結合できる。
[★]
- 英
- sialuria
- 関
- シアル酸蓄積症、シアリドーシス4型
[★]
- 英
- sialyltransferase
- 関
- シアリルトランスフェラーゼ
[★]
- 英
- sialic acid storage disease
- 関
- シアル酸尿症
[★]
- 英
- infantile sialic acid storage disease, ISSD
[★]
- 英
- acid
- 関
- 塩基
ブランステッド-ローリーの定義
ルイスの定義