- 同
- 食道内圧モニター、食道内圧検査 measurement of esophageal intraluminal pressure、食道内圧測定検査
- 関
- 食道内圧
Fig 286-3
- 食道には二箇所の内圧が高い部位がある(UES/LES)。
- 強皮症:中部~下部食道における食道の収縮力が低下。蠕動が中部~下部食道で非常に減弱。LES圧も低下 ← 平滑筋の減少
- アカラシア:中部~下部食道における食道の収縮力が低下。LES圧は上昇。 ← 弛緩を伝達する神経情報が到達しない。
- びまん性食道痙攣:中部~下部食道で、嚥下に伴う長時間の収縮がみられる。
- 喉頭麻痺:喉頭(の蠕動運動が減弱)~UES(が弛緩したまま)~上部食道(の蠕動運動あ減弱)
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 難治性NERDと鑑別すべき病態の評価としての食道内圧測定の有用性 (特集 難治性GERDの治療戦略)
- 輪状咽頭アカラシア(cricopharyngeal achalasia)の1小児例
- 大割 貢,小角 卓也,大植 孝治,太田 善夫,米倉 竹夫,福澤 正洋
- 日本小児外科学会雑誌 46(4), 765-769, 2010-06-20
- … 例を経験したので報告する.患児は2歳男児.1歳4か月頃より徐々に経口摂取量低下,体重増加減少及び唾液の流涎を認め,経腸栄養剤を少量摂取するのみとなった.上部消化管造影では造影剤は咽頭部に貯留し,食道内圧測定では上部食道括約筋(UES)圧が約300mmHgと極めて高値を示した.食道pHモニターは正常であった.輪状咽頭アカラシアと診断し,肥厚した輪状咽頭筋の部分切除術を施行した.その際8mmの内視鏡を挿入することによ …
- NAID 110007657528
- ボツリヌス毒素局所注入にて良好な経過が得られた食道アカラシアの2例
- 冨永 直之,岩切 龍一,鶴岡 ななえ,中山 昌之,有馬 誠一郎,萬年 孝太郎,坂田 資尚,下田 良,綱田 誠司,坂田 祐之,藤本 一眞
- 日本消化器病學會雜誌 = The Japanese journal of gastro-enterology 107(4), 598-604, 2010-04-05
- … 症例は64歳男性および57歳女性.両者とも胸のつかえ感あり,上部消化管造影検査,上部消化管内視鏡検査,食道内圧測定にて食道アカラシアと診断された.保存的治療としてボツリヌス毒素局所注入療法にて嚥下障害が改善し,良好な経過が得られた.ボツリヌス毒素局所注入療法は,低侵襲で合併症もほとんどなく安全に施行でき,食道アカラシアに対する治療法として有用と考えられる. …
- NAID 10026417117
Related Links
- 上部消化管造影では造影剤は咽頭部に貯留し,食道内圧測定では上部食道括約筋( UES)圧が約300mmHgと極めて高値を示した.食道pHモニターは正常であった.輪状 咽頭アカラシアと診断し,肥厚した輪状咽頭筋の部分切除術を施行した.その際8mmの 内視 ...
- 2003年7月5日 ... 食道裂孔ヘルニア12症例の術後 (Nissen法)の 食道 ・胃接合部内圧頂値は,術 前25,0 ±2.56cmH2. 0か ら31.4±5.33cmH20に 上昇した。術中内圧測定は,術後成績を予測 するのに有用であると思われ. ブ【=. 食道アカラシア11症ffllの ...
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★リンクテーブル★
[★]
- 英
- achalasia
- 同
- (国試)食道アカラシア esophageal achalasia, 噴門無弛緩症
- 関
- ヒルシュスプルング病 Hirschsprung's disease
[show details]
- first aid step1 2006 p.273
概念
- 食道平滑筋層内アウエルバッハ神経叢細胞の変性・消失によって、下部食道括約筋の弛緩不全や食道蠕動が消失することによる食物の通過障害や、食道の異常拡張を呈する機能的疾患
- 食道下端1-4cm辺りの狭窄(機能的開大欠如)とその口側食道の異常拡大を来す。
- 食道の拡大幅は3-4cmが多く、著しいものは6-10cmに達する
疫学
- 発症は稀で。10万人に1-2人
- 男女ほぼ同頻度,
- 年齢は20-50歳代(20-40歳ともいわれる(IMD.841))
- 新生児期から症状が出ることもあり、また症状は7-8歳ごろから出現することが多い(QB.O-171)。
病型 HIM chapter 286
- 特発性アカラシア:多くのアカラシアが特発性に分類される
- 二次性アカラシア:胃癌の食道への浸潤、リンパ腫、シャーガス病、ある種のウイルス感染、好酸球性胃腸炎、神経変性疾患
分類
形状
拡張度
- I度 :最大横径3.5cm
- II度 :3.5~6.0cm
- III度:6.0cm以上
内圧測定(IMD)
- A型:嚥下による食道の陽性波が認められるもの。
- B型:嚥下による食道の陽性波が認められないもの。
病理
- 食道固有筋層内のアウエルバッハ神経叢の神経節細胞の減少・消失
- 下部食道括約筋(LES)は外見的に正常。筋層の肥厚などは認められない。 → 器質性疾患は否定的
病因
- 環境の変化、精神的ストレスが誘因となって比較的急激に発症し慢性に経過し、軽快~増悪を反復、感情の乱れの強いときに増悪傾向
- 冷たい飲食物の摂取、急いで摂食する場合でも誘発される
病態
- 食道括約筋の弛緩不全や食道蠕動の消失は次の様に説明される。
- 1. 下部食道括約筋(噴門部括約筋)におけるアウエルバッハ神経叢の神経節細胞の減少・消失による蠕動の伝達とそれによる食道下端部開大が起こらない
- 2. VIPや一酸化窒素合成酵素を含む抑制性ニューロンの消失。進行期にはコリン作動性ニューロンも影響を受ける。(HIM chapter 286)
比較
アカラシア
|
下部食道括約筋(噴門部括約筋)のアウエルバッハ神経叢の神経節細胞が減少
|
ヒルシュスプルング病
|
腸管内神経節細胞(肛門側腸管の壁内神経節細胞(アウエルバッハ神経叢、マイスナー神経叢))の欠如
|
症状
- 自覚症状が生じる段階ではすでに食道は異常拡張を呈している(IMD)
- 嚥下障害(食道内に食物の停滞・逆流)、悪心・嘔吐、前胸部痛、体重減少、誤嚥
-
- 固形物・流動物の両方で嚥下障害が生じる ← 固形物のみだったら、器質的な変性による閉塞が考えられる。
- 胸腔内圧を上昇させる手技(ex. Valsalva maneuver)は食道の食物を胃に通過させるのに有効な手技である
- 体位変換や就寝時に起こりやすい
- 嘔吐 → 嘔吐物の気道への吸引 → 咳嗽、呼吸困難、喘鳴 → 誤嚥性肺炎
- 3. 胸部不快感・胸痛:胸骨下に疼痛、圧迫感、狭窄感など ← 食道炎の合併は10%
- 4. 体重減少:十分な摂食ができないため。慢性期におこりうる。
検査
X線造影
- 1. 胸部X線写真:食道陰影の出現、胃泡の消失
- 2. 食道X線造影(上部消化管造影):
- 下部食道の辺縁平滑な狭窄(鳥のくちばし様) (barium swallow:bird beak)、食道内腔の拡張像(椎体より大)。
- 造影剤は食道内に停留(健常者では数秒間、食道アカラシアの患者では1時間程度)
- 食道の逆蠕動、攣縮、胃内流出の遅延などが認められる(IMD)
- (1) 嚥下時に陽性波消失(遠位食道の蠕動波の消失) ← 食塊の移動させるように上部から下部に向かって食道内圧の上昇が移動していく。
- (2) 噴門陰性波消失(下部食道括約筋弛緩(LES弛緩)の欠如)
- (3) LES圧の上昇
- (1) 内視鏡スコープの噴門部通過には問題はない → 器質的疾患ではないから
- (2) 食物残渣の存在、食道内腔の拡張、慢性例では食道炎、食道癌の合併
- コリン作動性薬物を投与すると食道壁の痙攣や異常蠕動運動が生じ、食道内圧が上昇
- 試験施行の結果、胸痛を来しうるため、食道内圧検査を行うのが一般的(IMD)
- CCKは括約筋の圧力を低下させるが、アカラシアではCCKは神経伝達抑制作用が失われる(HIM chapter 286)
診察
鑑別疾患
IMD
- 2. 二次的な、あるいは他の食道蠕動運動障害を示す疾患
DIF改変
治療
精神的ケア
薬物療法
- 抗コリン薬
- 亜硝酸薬:ニトログリセリン、硝酸イソソルビド。 副作用あり
- カルシウム拮抗薬:ニフェジピン。 副作用有り
- sildenafil:cGMPを増加させ症状の軽減をもたらす → cGMPの増加はLES圧を減少させ、嚥下に伴うLESの弛緩を増強する
- ボツリヌス毒素:コリン作動性ニューロンの神経終末からのコリン放出を抑制する。6ヶ月で60%の患者の症状を緩和できる。老人の一時的な症状緩和や高リスク患者に有用である。ただし、反復利用により食道の線維化を来しうる。
下部食道括約筋拡張術バルーン
- 標準的治療
- バルーン拡張術:有効率70%前後。繰り返して行う。合併症は出血や穿孔である。
ヘラー法(Heller method, 粘膜外筋切開法)
- 腹腔鏡下でHeller筋層切開術+噴門形成術(Dor手術)を施行
-
- A surgical procedure for achalasia performed by dividing the circular muscles of the oesophagogastric junction. Using an abdominal approach a longitudinal incision is made through the lower oesophageal and upper gastric muscle wall exposing the mucosa. The procedure may be combined with a Nissen to prevent the complication of post-procedure reflux.
- http://www.surgeryrevision.co.uk/10.htm
ウェンデル法(Wendel method, 下部食道・噴門部全層切開縫合法)
ジラール変法(Girard method, 噴門形成法)
下部食道筋層切除+胃底部縫着術
フォロー
- 粘膜病変の発生(食道炎、食道癌)の有無を上部消化管造影・内視鏡などで定期的に経過観察(1年ごと)
国試
[★]
- 関
- 食道内圧、食道内圧測定
- →下部食道括約筋#LES圧
[★]
- 英
- esophagus (Z)
- 関
- 消化器系
解剖
- 正中面付近を下行してくるが、横隔膜近傍で左側に寄り、背面で胸大動脈と交叉する。
- L10椎体の高さで、食道裂孔を食道神経叢と共に通過して腹腔に入る
部位区分
- SSUR.456
生理的狭窄部 (KL.283, KH. 139)
- 第1狭窄部位:輪状軟骨狭窄部:cricopharyngeal constriction
- 切歯から15cm
- 食道の上端で、咽頭に連なる部位
- 下咽頭収縮筋が食道を囲み、輪状軟骨に付き、この筋の緊張によると考えられる
- 第2狭窄部位:大動脈狭窄部:bronchoaortic constriction
- 切歯から25cm
- 食道の中部で、大動脈弓と左気管支が交叉し、それによって圧される。つまり大動脈弓の
- 第3狭窄部位:横隔膜狭窄部:diaphragmatic constriction
運動 (SP.720)
組織
- 食道腺は粘膜筋板の下に存在する。 ← 粘膜下組織に腺があるのは食道の固有食道腺と十二指腸のブルンネル腺だけ
- 食道は横隔膜より上位では漿膜がなく、癌が周囲に浸潤しやすい
食道の上皮と上皮下の組織
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層構造
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1
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2
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3
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4
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5
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6
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器官
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単層扁平上皮
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単層立方上皮
|
単層円柱上皮
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角化重層扁平上皮
|
非角化重層扁平上皮
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上皮表層の構成細胞
|
粘膜固有層
|
腺の構成細胞
|
粘膜筋板
|
粘膜下組織 (大抵、粗結合組織)
|
筋層
|
漿膜(結合組織+単層扁平上皮) 外膜(結合組織のみ)
|
|
|
|
食道
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|
|
|
|
○
|
|
食道噴門腺 (咽頭付近と胃付近に局在)、粘液腺
|
粘液細胞 (スムーズに食べ物を流す)
|
縱層 (縦走筋のみ)
|
固有食道腺(粘液腺、管状胞状、ペプシノーゲン、リゾチーム)
|
内輪筋層 外縱筋層 (食道上1/3:骨格筋、食道中1/3:骨格筋、平滑筋、食道下1/3:平滑筋)
|
外膜(横隔膜まで) 漿膜
|
臨床関連
- 食事の通過障害は生理的狭窄部でおこりやすい。特に第1狭窄部で異物が見られる (KH.141)
- 生理的狭窄部は癌の好発部位であり、第2,第3狭窄部位に多い (KH.141)
[★]
- 英
- esophageal pressure, esophageal intraluminal pressure
- 関
- 胸腔内圧、LES圧、食道内圧測定
- 食道内圧↑:蛋白食、ガストリン、メコリール、コーヒー、ストレスなど
- 食道内圧↓:脂肪食、加齢、Ca拮抗薬、β受容体作動薬、ニトログリセリン、アトロピン、セクレチン、ニコチン、テオフィリン、アドレナリン、Heller手術後、グルカゴン
[★]
- 英
- measurement、measure、determine、estimate、(水深を)fathom
- 関
- 基準、計測、決定、処置、推定、程度、定量、判定、評価、見込み、見積、見積もる、予算、特定、測定値、尺度、確定、尋、ファゾム
[★]
- 英
- manometry
- 関
- 検圧、検圧法