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解体(かいたい)とは、ばらばらにすること。この言葉の使い方によってさまざまな意味を持つ。
建築分野における解体とは、しばしば建設という言葉と対にされ、建築物を壊すことを意味する。建築物の老朽化のためや建替え、災害等で著しく損傷し修理が困難な場合、何らかの理由で建物の使用目的が全くなくなった場合、あるいはその建物などが道路拡張などの行政による命令などで解体される。また重要建造物を移設する場合など、復元することを前提に一旦バラバラにする行程を指すこともある。
解体の方法はいくつかあり、内装材を除去した後、パワーショベル(重機)にアタッチメント(油圧破砕機など)を装着し、上部から少しずつ取壊していく方法(圧砕工法)が一般的である。パワーショベルが搬入できないような狭い場所にある構造物を壊す場合は、エアーブレーカーといった空圧工具または電動工具などの手持ち式機械を用いて、人力により上部から取壊す方法もある。発生材は、建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律により分別が求められるため、コンクリート片は油圧小割機などを用いて破砕し、コンクリート片と鉄筋に分別する。またスケルトンバケット(網状のバケット)やスクリーニングバケット(バケット型回転ふるい機)などを使用し、木くずや砂利、コンクリート片等、混合物の選別作業を実施する。
構造物の下部を鉄球などを使用して少しずつ取壊し転倒させる工法は、煙突の解体などでよく見られたが、現在は騒音や振動などの近隣住民への影響や、転倒時の衝撃により飛散するコンクリート片などに衝突するなど安全面にも不安が残るため、現在ではあまり使用されていない。
爆薬を使い一瞬で解体する爆破解体は日本国内では規制が厳しいために行われることは少ないが、アメリカ合衆国などではビルなどの大型建築物を解体する際によく使われる方法である。
解体工事業を営むには、建設業法の「土木工事業」・「建築工事業」・「とび・土工工事業」の許可を受けている場合を除き、建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律に基づき都道府県知事より「解体工事業」の登録を受ける必要がある。
輸送機器の場合、以下のような理由で輸送機器本来の役割を果たせなくなった場合、解体ということになる。
鉄道車両・自動車については、所定の廃車手続きを行い、監督官庁に受理されてから解体作業を行う。
航空機の耐久年数は20年程度とされているが、旅客機は、途上国などで飛び続ける老朽機を除きほとんどが10年程度で陳腐化し売却される。
軍用機や旅客機の墓場と呼ばれる場所が、アメリカ合衆国のアリゾナ州やニューメキシコ州の砂漠にある。こうした砂漠は空気が乾燥しており、機体を長期保存(モスボール)するのに最適な気候とされる。アリゾナ州ツーソン郊外のディヴィス・モンサン (Davis Monthan) 空軍基地は爆撃機や戦闘機の墓場、カリフォルニア州のモハーヴェ砂漠にあるモハーヴェ空港は旅客機の墓場として知られ、滑走路沿いの広大な荒野に世界中から集まった無数の軍用機や旅客機がたたずんでいる。それぞれの機体は一時保管の名目であり、まだ使える機体は途上国などに売却、部品は取り外されて航空機メーカーや航空会社などのメンテナンス用に売却されており、残った機体は最終的にはスクラップにされる運命にある。
ただし、アリゾナ州ツーソン郊外にある核搭載可能な爆撃機については、長期保存や譲渡のために置かれているのではなく、軍事衛星から観測可能な状態で解体処分を待つための留置である。詳しくは第一次戦略兵器削減条約 (START I) を参照されたい。
鉄道車両の場合、廃車手続がなされた車両は、その鉄道事業者の工場や車庫に回送の上、専用の解体線に移されて重機やガスバーナーで解体される(例えばJR等では幾つかの工場に解体線がある。また東武鉄道では館林市内の北館林荷扱所に専門の解体場がある)。古い鉄道車両では石綿が使用されているものがあり、環境上の問題などから、最近は大手私鉄であっても自社に解体設備はもたず、専門の解体業者に陸送の上で解体される場合も多い。
解体する際、一部の部品を取り外し、他の車両に転用したり、車庫や工場の一般開放イベントで販売したりすることもある。また、運転台等の車体の一部をそのまま他の車両に取り付けることも、しばしば行われる。そのほかの部材は廃材・くず鉄として再利用、もしくは廃棄物としての処分がなされる。
自動車の場合、抹消登録と呼ばれる廃車手続きを行ったあとでの解体となる。自動車は鉄道車両と異なり輸送が比較的容易であるため、解体業者が所有する専用施設に運び込まれた上で解体処理される。金属部分やエンジンなどの有価物は中古(リビルド)部品として流通したり、くず鉄などの形で再利用されたりする。他の部分は廃棄物としての処分がなされる。
船舶解体はスクラップアンドビルドの規制により20世紀の終わりまでは先進国、とりわけ日本の造船所などで行われていた。内航船については現在も国内において解体されている。国内には100m以上のの船を解体できる業者は6社ある。自衛隊の潜水艦・海上保安庁の大型船も国内の解体業者により解体される。その殆どが瀬戸内地方に集中している。大型船(GT1,000以上)は使用価値のある状態で海外へ使用する船として売却される場合が多く、国内において解体されることは稀である。GT20,000以上の超大型船はインド及びバングラデシュ(チッタゴンなど)の、遠浅で干満差の大きな砂浜において無数の未熟練労働者によって解体されている。船主は、解体に伴うコストを軽減・忌避するためバングラデシュなどに船を輸出し、現地の解体業者は解体した船の残骸をスクラップとして各国に売却している。これら危険作業や有害物質の途上国への輸出には批判も多く、船舶は2004年11月のバーゼル条約で有毒廃棄物と規定された。
人間集団における解体は、集団としての性質を失うこと。解散という言葉とよく似ているが、解散は自発的に行われることが多く、解体は第三者の手によるものが多い。組織解体。
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諜報機関・テロリスト・ゲリラ・カルト団体などに洗脳を施された人間に対し、元の状態に戻すために施される行為。「逆洗脳」とも言われる。
生物における解体は、生物の体を切断し、各部分に分けること。「捌く(さばく)」とも言う。食用を目的とした大型の動物を市場に流通させる際、原型のままでの輸送が難しい場合に包丁などを使用し輸送しやすい大きさに解体される。
また解体の方法は魚・動物など種類によって多岐に及び、特に魚の解体に関して日本は他国にない特有の技術を持つ。
家畜の場合は屠殺やと畜場の項などを参照されたし。
生物学・医学方面では同様の行為を解剖という。日本初の解剖学書である解体新書はこの語を使っているが、その後は使われない。
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