- 英
- pyramidal tract
- ラ
- tractus pyramidalis
- 関
- 錐体外路、下行性伝導路、錐体路徴候
- 皮質脊髄路、corticospinal tract、皮質核路 tractus corticonuclearis
- 大脳の運動野にあるBetzの巨大錐体細胞などから起こり、内包の膝と後脚の前半部を通過し、大脳脚の中央1/3を通り、胸腹側部を経て脊髄腹側に錐体として出現。さらに下降する際は大部分の線維は錐体交叉で対側に写り脊髄側索の背側半を外側皮質脊髄路となって下降していく。
皮質核路
皮質脊髄路
- 錐体交叉→側索 (外側皮質脊髄路) 対側
- →→→→→前索 (前皮質脊髄路) 同側
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/08/19 22:51:30」(JST)
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脳: 皮質脊髄路 |
大脳から脳幹にかけての深部側面像。「錐体路」は赤で示す。下端が錐体交叉。
脊髄の主要な伝導路。下行路は赤、上行路は青で示す。
|
名称 |
日本語 |
皮質脊髄路 |
英語 |
Corticospinal tract |
関連情報 |
NeuroNames |
ancil- |
MeSH |
Pyramidal+Tracts |
グレイの解剖学 |
書籍中の説明(英語) |
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皮質脊髄路(ひしつせきずいろ、英: corticospinal tract)は、大脳皮質から脊髄にかけて走行する軸索(神経線維)の大きな束(伝導路)のこと。錐体路(英:pyramidal tract)ともいう。
目次
- 1 概説
- 2 運動路
- 2.1 上位運動ニューロン
- 2.1.1 交叉とシナプス
- 2.1.2 大脳から出た運動ニューロンの走行
- 2.2 下位運動ニューロン
- 3 皮質脊髄路の障害
- 4 錐体外路
- 5 感覚伝導路
- 6 関連項目
- 7 追加画像
- 8 脚注
- 9 参考文献
- 10 外部リンク
概説[編集]
皮質脊髄路を構成するのはほとんどが運動ニューロンの軸索である。延髄までは一本の束になっているが、脊髄では外側皮質脊髄路と前皮質脊髄路の二本に分かれている。この伝導路の走行を知ることで、なぜ基本的に体の右半身が左脳に、また左半身が右脳に支配されているのかが理解できる。
大脳皮質から延髄までの伝導路である皮質延髄路も、後述のように錐体を通らないが「錐体路」のひとつと考えられている。皮質延髄路は脊髄ではなく脳幹にある脳神経の運動神経核(運動ニューロンの細胞体が集合する神経核)に大脳からの信号を伝達しており、機能は皮質脊髄路と同じだからである[1]。
皮質脊髄路(錐体路)を構成するニューロン(神経細胞)は大脳皮質にある錐体細胞である。しかし錐体路の名称はこの細胞に由来するのではない。錐体細胞は大脳皮質と海馬に普遍的に存在し、その軸索は皮質脊髄路以外を走行するものの方がほとんどである。錐体路の名称は、延髄下部を通る際に皮質脊髄路の軸索が形成する構造がピラミッド状であることに由来している[2]。
運動路[編集]
皮質脊髄路は、主に皮質運動野の第V層にある錐体細胞に起始する。
上位運動ニューロン[編集]
皮質脊髄路の運動ニューロンの細胞体は、上述のように皮質運動野に存在する。このニューロンの軸索が脳幹を通って脊髄まで走行しており、この全体は上位運動ニューロンと呼ばれる。
交叉とシナプス[編集]
皮質運動野にある錐体細胞の細胞体から伸びた長い軸索の一部は、主に反対側の中脳(皮質中脳路)、橋(皮質橋路)、延髄(皮質延髄路)へも向かっている。しかし大部分の神経線維(軸索)はそのまま脊髄まで伸びている(皮質脊髄路)。そのうち、
- 大部分(約80%)の皮質脊髄路線維は延髄で反対側に乗り換える(錐体交叉)。この線維束は脊髄側索の外側皮質脊髄路を通る(脊髄視床路の後内側、固有束の外側)。
- 10%の線維束は(交叉せずに)同側の外側皮質脊髄路を通る。
- 残りの10%の線維束は交叉せずに脊髄前索の前皮質脊髄路を通る。
どの経路を通った軸索も、前角で次のニューロンとシナプスを形成し交代する。この前角ニューロンは皮質脊髄路の2次ニューロンとみなされるが、通常皮質脊髄路とはいわない。
大脳から出た運動ニューロンの走行[編集]
皮質脊髄路の運動ニューロンは中心前回の一次運動野だけでなく、運動前野および一次感覚野などからも起始し[3]、放線冠を形成しながら徐々に集合して、内包後脚を形成し大脳基底核を貫通する(淡蒼球と視床の間を通る)。
そこから脳幹へと入り、中脳では大脳脚を形成する。延髄では下部腹側表面に柱状の隆起となって見える(延髄の錐体)。この錐体を形成することから、錐体路という別名がついているのである。
錐体交叉の後、神経線維は主として脊髄の外側皮質脊髄路を下行する。延髄で交叉しなかった線維は前皮質脊髄路を下行し、そのほとんどが脊髄で下位運動ニューロンと連絡する直前に対側へと交叉する。
下位運動ニューロン[編集]
脊髄の前角で、上位運動ニューロンの軸索は下位運動ニューロンに接続する。ほとんどの場合介在ニューロンを介しているが、直接下位運動ニューロンとシナプスを形成するものもある。
脳幹では、下位運動ニューロンの細胞体は脳神経の運動核に存在し(動眼神経核、滑車神経核、三叉神経運動核、外転神経核、顔面神経運動核、副神経核、舌下神経核)、その軸索は脳神経の一部として脳幹から末梢へと出ている。脊髄の場合は前角にあるレクセドの第IX層に細胞体があり、そこから脊髄前根を通って末梢へと出て行く。これらの軸索は随意筋の運動を支配している(運動神経)。
皮質脊髄路の障害[編集]
詳細は「錐体路障害」を参照
皮質脊髄路の障害(すなわち上位運動ニューロンの障害)は錐体路徴候と呼ばれる独特の症候を示す。錐体路障害は脳卒中後遺症などでごく一般的に見られる障害であり、また筋萎縮性側索硬化症などの神経変性疾患でも現れる。
錐体外路[編集]
皮質脊髄路とは別に、不随意的な運動コントロールを行う伝導路が存在する。この伝導路の機能は、随意運動を支持し、姿勢制御や筋緊張などを補っている。
感覚伝導路[編集]
個々の感覚伝導路については、以下の項目を参照。
- 脊髄視床路
- 脊髄小脳路
- 視覚伝導路
- 嗅覚系
- 後索・内側毛帯路
関連項目[編集]
追加画像[編集]
脚注[編集]
- ^ Chapter 9 of "Principles of Physiology" (3rd edition) by Robert M. Berne and Mathew N. Levy. Published by Mosby, Inc. (2000) ISBN 0-323-00813-5.
- ^ The Brain From Top To Bottom
- ^ Parent, André (1996) P.383
参考文献[編集]
- Parent, André, Carpenter's human neuroanatomy, 9th ed. Media: Williams & Wilkins, 1996, pp.383-389. ISBN 0683067524
外部リンク[編集]
- GPノートブックの皮質脊髄路の項(英文)
- 錐体-皮質脊髄路(英文)ウィスコンシン大学マディソン校のサイト(皮質脊髄路の3D画像などが見られる)
- McGill(英文)皮質脊髄路の立体的な走行が見られる。
神経解剖学: 脊髄 |
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脊髄神経 |
背側(後根、神経節、後枝) - 腹側(前根、前枝) - 交感神経幹 - 交通枝(灰白交通枝、白交通枝)
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|
灰白質/レクセドの層 |
後角(背核、ローランドの膠様質、固有核) - 側角 - 前角 - 中心管/中心膠様質
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|
白質 |
体性感覚/上行 |
後索/後索・内側毛帯路: 触覚・固有覚: 薄束 - 楔状束
側索: 固有覚: 脊髄小脳路(背側脊髄小脳路、腹側脊髄小脳路) - 温痛覚: 脊髄視床路(外側脊髄視床路、前脊髄視床路) - 後外側路 - 脊髄視蓋路
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|
運動/下行 |
側索: 皮質脊髄路(外側) - 錐体外路系(赤核脊髄路、オリーブ脊髄路)
前索: 皮質脊髄路(前皮質脊髄路) - 錐体外路系(前庭脊髄路、網様体脊髄路、視蓋脊髄路)
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周囲 |
硬膜外腔 - 硬膜 - 硬膜下腔 - クモ膜 - クモ膜下腔 - 軟膜
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その他 |
歯状靱帯 - 脊髄円錐 - 馬尾 - 終糸 - 頸膨大 - 腰膨大 - 前正中裂
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UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 術中MRIの現在と未来(<特集>21世紀のOperation Suite)
- 藤井 正純,前澤 聡,林 雄一郎,中原 紀元,森 健策,吉田 純,若林 俊彦
- 脳神経外科ジャーナル 20(4), 259-269, 2011-04-20
- … われわれは2006年に2つの術中MRI手術室を導入し,現在まで500例を超える症例を経験した.56例の初発グリオブラストーマの検討では,全生存期間の有意な延長が観察されている.高磁場術中diffusion tensor imagingによる錐体路の位置と,白質刺激運動誘発電位の所見に良好な正の相関関係が得られた.現在までの成果の他に,近未来技術として変形フュージョンを用いた手術支援の可能性など,画像誘導手術の今後の課題と方向性につい …
- NAID 110008593911
- 拡散テンソル画像を用いた錐体路神経線維束の描出と機能温存手術への応用
- ヒトの上肢運動に関連した脊髄固有ニューロンの機能解析
- 佐野 秀仁,大木 紫,里見 和彦
- 杏林医学会雑誌 41(4), 26-37, 2010
- … (背景)ヒトの腕の運動指令を伝える経路には,錐体路から直接運動ニューロンにシナプス結合する経路とC3-4に存在するpropriospinal neuron(PN)等を介して間接的に伝える経路が存在すると言われている。 … 右利き正常被検者で促通効果に左右差がみられたのは,手の使用頻度によりPNに対する錐体路入力の強さが変わるためと考えられた。 …
- NAID 130000441799
Related Links
- 錐体路障害(すいたいろしょうがい、英語:pyramidal tract disorder)は、錐体路を含め た、主に上位の運動ニューロン障害のことを示す。 運動神経線維(ニューロン)の遠心性 経路で延髄の錐体を通る経路のことを錐体路という。随意運動の指令を伝える。
- 大脳皮質から延髄までの伝導路である皮質延髄路も、後述のように錐体を通らないが「 錐体路」のひとつと考えられている。皮質延髄路は脊髄ではなく脳幹にある脳神経の 運動神経核(運動ニューロンの細胞体が集合する神経核)に大脳からの信号を伝達して ...
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- 検査所見 : 尿所見:蛋白(-)、糖(-)。
- 血液所見:赤血球410万、Hb13.0g/dl、Ht39%、白血球6,500、血小板25万。
- 血清生化学所見:総蛋白6.9g/dl、アルブミン4.8g/dl、尿素窒素9.2mg/dl、クレアチニン0.9mg/dl、AST18単位(基準40以下)、ALT14単位(基準35以下)、LDH260単位(基準176~353)。
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[★]
[★]
- 英
- descending tract (B)
- 関
- 伝導路、上行性伝導路
下行性伝導路
- 皮質延髄路
- 皮質脊髄路
- 前皮質脊髄路
- 外側皮質脊髄路
- 皮質赤核脊髄路
- 皮質網様体脊髄路
- 視蓋延髄路 視蓋脊髄路
- 前庭脊髄路
- オリーブ脊髄路
外側路と内側路
SP.363
伝導路 (TP.101)
[★]
- 英
- midbrain
- ラ
- mesencephalon
- 関
- 脳, 一次脳胞
解剖
- 中心管は、細い中脳水道となっている
- 中脳は3つの領域に分けられる。
- 中脳水道より背側にある領域は中脳蓋
- 腹外側に突出した部分は大脳脚
- 両者の間の領域が中脳被蓋である
発生
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
中脳とは(医学大事典)
臨床関連
神経内科
[★]
- ラ
- substantia nigra (KH)
- 同
- 黒核 intercalatum, nucleus nigra
- 関
- 錐体路
概念
解剖
臨床関連
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
[★]
- 英
- extrapyramidal tract
- ラ
- tractus extrapyramidalis
- 関
- 錐体路、movement disorder、extrapyramidal system
- 錐体外路症候群は、大脳基底核から始まる錐体路以外の下行性伝達経路が傷害されることで生じると考えられてきた。
- 大脳基底核からの下行性の線維はわずかであり、ほとんどが大脳皮質に投射する
- 従って、錐体外路という概念は正しくない
[★]
- 英
- extrapyramidal syndrome, extrapyramidal tract syndrome (SP)
- 関
- 大脳基底核疾患
- 大脳基底核の障害(=大脳基底核疾患)によって生じる症状群
- 筋緊張の異常
- 不随意運動
- 麻痺を伴わない運動減少
- 注意:錐体外路症候群だからと言って、錐体路とか錐体外路のどちらかが関係しなくなることはない。両方とも関わっている。
[★]
- 英
- pyramidal sign, pyramidal tract sign
- 同
- 錐体路症候群 pyramidal tract syndrome
- 関
- 錐体外路徴候 extrapyramidal sign
[★]
- 英
- pyramidal tract syndrome
- 関
- 錐体路徴候
[★]
側頭骨の錐体
- 英
- pyramid (KH)
- ラ
- pyramis
延髄の錐体、延髄錐体
- 英
- pyramis
- 図:N.108
- 錐体の高まりの下層に縦走する白い神経線維の束が存在し、これが錐体束である。
- 延髄の前正中裂と前外側溝に挟まれた高まり
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
- 英
- cone, cone cell, retinal cone
- ラ
- conus
- 同
- 錐状体
- 関
- 網膜、桿状体 桿体 杆体
[★]
- 英
- tract
- ラ
- tractus