- 英
- propionic acid
- 同
- プロパン酸、プロパン
- 関
- カルボン酸
- プロピオン酸(プロピオンさん、propionic acid)は示性式CH3CH2COOH、分子量74.08のカルボン酸。IUPAC命名法ではプロパン酸 (propanoic acid) となる。CAS登録番号は79-09-4。
物性
反芻動物におけるプロピオン酸
ヒト(非反芻動物を含む)におけるプロピオン酸
- 奇数脂肪酸のβ酸化、イソロイシンとコレステロール側鎖の酸化によって得られる。(HBC.169)
代謝
- HBC. 169
- →プロピオン酸血症
- →メチルマロン酸尿症
誘導体
臨床関連
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/02/24 16:52:38」(JST)
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プロピオン酸 |
|
IUPAC名 |
プロパン酸(系統名)
プロピオン酸(許容慣用名) |
分子式 |
C3H6O2 |
分子量 |
74.08 |
CAS登録番号 |
[79-09-4] |
形状 |
無色油状液体 |
密度と相 |
0.99 g/cm3, 液体 |
相対蒸気密度 |
2.6(空気 = 1) |
融点 |
−21 °C |
沸点 |
141 °C |
SMILES |
CCC(O)=O |
出典 |
国際化学物質安全性カード |
プロピオン酸(プロピオンさん、propionic acid)は示性式 CH3CH2C(=O)OH、分子量74.08のカルボン酸。IUPAC系統名ではプロパン酸 propanoic acid となる。CAS登録番号は79-09-4。
単体は融点 −21 °C、沸点 141 °C の無色の液体で、不快な臭気を有する。水、エタノール、クロロホルム、エーテルなどに溶けやすい。1-プロパノール、プロピオンアルデヒドの酸化によって得られる。
語源は「最初の脂肪酸」という意味で、油脂の加水分解により得られる脂肪酸のうち、最も炭素数の少ないものであったことによる。
目次
- 1 用途
- 2 誘導体
- 3 生体での生成
- 4 生体での代謝
- 5 関連項目
- 6 脚注
用途[編集]
プロピオン酸および同カルシウム塩・ナトリウム塩が、食品用保存料[1]および香料として利用可能であるが、特有の臭気があるため使用例は多くない[2]。
誘導体[編集]
イブプロフェン、ナプロキセン、ロキソプロフェンナトリウムなど、α位に芳香族部位が置換した非ステロイド性抗炎症薬 (NSAIDs) が知られ、「プロピオン酸系」と称される。
生体での生成[編集]
哺乳類の大腸やルーメンでは細菌が食物の中のセルロースやヘミセルロースを嫌気発酵し、プロピオン酸などの短鎖脂肪酸を生成しており、これが草食性動物の体内では重要なエネルギー源となっている。ウシなどの反芻動物は、第1胃で行われる糖質の発酵によって大量のプロピオン酸を生産する[3]。反芻動物の場合は、セルロースを分解するバクテリアが胃の中で糖を揮発性脂肪酸にしてしまうのでプロピオン酸からの糖新生は特に重要な代謝である。プロピオン酸生産菌はビタミンB12を生産する主要な菌であり、草食動物は腸内細菌としてこれらの菌からビタミンB12を摂取している[4][5][要高次出典]。後述するようにビタミンB12は、プロピオン酸の代謝に必要不可欠な補酵素の1つである。
炭素数が奇数の脂肪酸はβ酸化により反応が進み、2個ずつの炭素がアセチルCoAとして生成し、最後に炭素数3個のプロピオニルCoAを生じる。プロピオニルCoAは、プロピオン酸とCoAが結び付いたもので加水分解するとプロピオン酸が生じる。
イソロイシン、メチオニン、バリンは、アミノ酸の代謝分解によりプロピオニルCoAを生じる。
生体での代謝[編集]
哺乳動物では、プロピオニルCoAはビオチン依存性酵素であるプロピオニルCoAカルボキシラーゼによって(S)-メチルマロニルCoAに変換される。この酵素反応では炭酸水素イオンとATPを要する。この生成物はさらにメチルマロニルCoAエピメラーゼによって(R)-メチルマロニルCoAに変換される。(R)-メチルマロニルCoAは、メチルマロニルCoAムターゼによってスクシニルCoAに変換されるが、この酵素は炭素-炭素結合の移動を触媒するためのコバラミン(ビタミンB12)を要する。メチルマロニルCoAムターゼの欠如は、血液のpHが低下するメチルマロン酸血症(Methylmalonic acidemia)を引き起こす[6]。 生成したスクシニルCoAは、クエン酸回路の中間体として代謝される。
関連項目[編集]
- 無水プロピオン酸
- プロピオン酸イソアミル - バナナ、ブドウ、リンゴなどの香り成分の1つ。
- プロピオン酸エチル - イチゴ、ブドウ、リンゴなどの香り成分の1つ。
- プロピオン酸ベンジル - 合成香料の1つ。
脚注[編集]
- ^ 食品衛生の窓(東京都福祉保健局)
- ^ 食品添加物公定書規格中のプロピオン酸「易酸化物」について(CiNii)
- ^ David L. Nelson, Michael M. Cox 共著 『レーニンジャーの新生化学[下]‐第4版‐』 山科郁男 監修、川嵜敏祐ほか 編、廣川書店、2007年2月、p.897-912、ISBN 978-4-567-24403-9
- ^ 帝京科学大学生命環境学部生命科学科松岡研究室研究内容紹介
- ^ 山田惠子 ビタミンB12の栄養学 講座の紹介資料
- ^ “メチルマロン酸血症”. 厚生労働省難治性疾患克服研究班報告. 難病医学研究財団/難病情報センター. 2010年10月31日閲覧。
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 気管支喘息治療におけるドライパウダー吸入製剤の粒子径と末梢気道への送達度--サルメテロール/フルチカゾンプロピオン酸エステル配合剤ディスカスの製剤特性と臨床効果による検討
- P19-7 プロピオン酸フルチカゾン/サルメテロール合剤投与開始後の気管支喘息安定例におけるステップダウンの検討(P19 喘息吸入薬,ポスター,第60回日本アレルギー学会秋季学術大会)
- 弓野 陽子,数寄 泰介,野尻 さと子,小島 淳,石川 威夫,沼田 尊功,中山 勝敏,桑野 和善
- アレルギー 59(9・10), 1456, 2010-10-30
- NAID 110008084276
- サルボウガイ(Scapharca kagoshimensis)の呼吸代謝に及ぼす低酸素の影響
- 本田 匡人,郡司掛 博昭,松井 繁明,諸石 淳也,姜 益俊,島崎 洋平,大嶋 雄治,Honda Masato,Gunjikake Hiroaki,Matsui Shigeaki,Moroishi Junya,Kang Ik Joon,Shimasaki Yohei,Oshima Yuji
- 九州大学大学院農学研究院学芸雑誌 65(2), 31-37, 2010-10-29
- … その結果、サルボウガイは連続低酸素暴露3日目以降、乳酸およびフマル酸濃度が有意に減少し、プロピオン酸濃度が有意に増加した。 …
- NAID 120002697651
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- プロピオン酸エチル(プロピオンさんエチル 英: ethyl propionate )は、示性式CH3CH2 COOC2H5で表されるプロピオン酸エステルの一種。バナナやパイナップルのような 果実香を持ち、食品香料などに用いられる。天然には白ブドウやワインなどに存在する。
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
アルベゾン点鼻液0.1%
組成
- 1g中:ベクロメタゾンプロピオン酸エステル…1.0mg
(1回噴霧中:ベクロメタゾンプロピオン酸エステル…0.05mg)
〈添加物〉
カルメロースナトリウム、グリセリン、結晶セルロース、プロピレングリコール、ベンザルコニウム塩化物液、ポリソルベート80、pH調整剤
1瓶中の重量
禁忌
- 有効な抗菌剤の存在しない感染症、全身の真菌症の患者[症状を増悪するおそれがある]
- 本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者
効能または効果
- こう鼻後十分の呼吸を行わせ、吸気の際に本剤を1側鼻孔より1回噴霧し、この際他側の鼻孔は指で閉鎖する。
次いで他側鼻孔に同様の操作を行う。
成人は、通常1回上記1操作の吸入(ベクロメタゾンプロピオン酸エステルとして100μg)を、1日4回鼻腔内に噴霧吸入する。
小児は、通常1回上記1操作の吸入(ベクロメタゾンプロピオン酸エステルとして100μg)を、1日2回鼻腔内に噴霧吸入する。
なお、年齢・体重・症状により適宜増減するが、1日の最大投与量は、成人では16吸入、小児では8吸入を限度とする。また、症状の緩解がみられた場合は、その後の経過を観察しながら減量する。
慎重投与
- 感染症の患者[症状を増悪するおそれがある]
- 反復性鼻出血の患者[出血を増悪するおそれがある]
- 高血圧の患者[血圧上昇を起こすおそれがある]
- 糖尿病の患者[症状を増悪するおそれがある]
重大な副作用
- 眼 外国において、眼圧亢進、緑内障が報告されている。このような症状があらわれた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
薬効薬理
- ベクロメタゾンプロピオン酸エステルは合成糖質副腎皮質ホルモンで局所消炎作用はベタメタゾンよりも強く、糖新生、消炎、抗アレルギー作用、好エオジン白血球減少作用を有する。
色素漏出抑制作用
- アルベゾン点鼻液0.1%(100μL鼻腔内投与)は、抗原感作ラットの鼻腔内色素漏出に対し、抗原誘発後10分間で51.6%、その後10分間では43.9%の有意な抑制作用を示した。1)2)
鼻腔抵抗増加抑制作用
- アルベゾン点鼻液0.1%(100μL鼻腔内投与)は、抗原感作モルモットの鼻腔抵抗増加に対し、抗原誘発10分後で57.2%、20分後で56.8%の有意な抑制作用を示した。1)2)
有効成分に関する理化学的知見
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- carboxylic acid
カルボン酸の一覧
飽和脂肪酸
炭素数
|
慣用名
|
IUPAC名
|
化学式
|
備考
|
1 |
ギ酸 |
メタン酸 |
HCOOH |
アリ、ハチの毒
|
2 |
酢酸 |
エタン酸 |
CH3COOH |
酢
|
3 |
プロピオン酸 |
プロパン酸 |
CH3CH2COOH |
|
4 |
酪酸 |
ブタン酸
|
CH3(CH2)2COOH |
油脂が腐敗した臭い
|
5 |
吉草酸 |
ペンタン酸
|
CH3(CH2)3COOH |
|
6 |
カプロン酸 |
ヘキサン酸
|
CH3(CH2)4COOH |
|
7 |
エナント酸 |
ヘプタン酸
|
CH3(CH2)5COOH |
|
8 |
カプリル酸 |
オクタン酸
|
CH3(CH2)6COOH |
|
9 |
ペラルゴン酸 |
ノナン酸
|
CH3(CH2)7COOH |
|
10 |
カプリン酸 |
デカン酸
|
CH3(CH2)8COOH |
|
12 |
ラウリン酸 |
ドデカン酸
|
CH3(CH2)10COOH |
ココナッツ油
|
14 |
ミリスチン酸 |
テトラデカン酸
|
CH3(CH2)12COOH |
|
16 |
パルミチン酸 |
ヘキサデカン酸
|
CH3(CH2)14COOH |
|
17 |
マルガリン酸 |
ヘプタデカン酸
|
CH3(CH2)15COOH |
|
18 |
ステアリン酸 |
オクタデカン酸
|
CH3(CH2)16COOH |
|
[★]
- 英
- propionic acidemia
- 同
- プロピオニルCoAカルボキシラーゼ欠損症 propionyl-CoA carboxylase deficiency
- 関
- プロピオニルCoAカルボキシラーゼ、プロピオン酸、プロピオン酸尿症
[★]
- 英
- propionic aciduria
- 関
- プロピオン酸
- propionic aciduria can result from deficiency of biotin, propionyl-CoA carboxylase, or the enzyme that covalently attaches biotin to all carboxylases
[★]
- 英
- propionate
- 関
- プロピオン酸
[★]
- 英
- alclometasone dipropionate
- 関
- アルクロメタゾン、プロピオン酸アルクロメタゾン
[★]
- 英
- betamethasone dipropionate
- 関
- ベタメタゾン、17-吉草酸ベタメタゾン
[★]
- 英
- testosterone propionate
- 関
- テストステロン、男性ホルモン製剤
[★]
- 英
- 2-aminopropionicacid
- 関
- アラニン
[★]
- 英
- acid
- 関
- 塩基
ブランステッド-ローリーの定義
ルイスの定義
[★]
- 英
- pro
[★]
フルルビプロフェンアキセチル