フルクトース
- 商
- フルクトン、アミノトリパ1号、グリセオール、グリセノン、グリセリンF、グリセレブ、グリポーゼ、グリマッケン、テルモ果糖、トリパレン、トリフリード、ヒシセオール、フルクトラクト、果糖
WordNet
- a simple sugar found in honey and in many ripe fruits (同)fruit_sugar, levulose, laevulose
PrepTutorEJDIC
- 〈U〉果糖
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2012/05/01 13:08:41」(JST)
[Wiki ja表示]
D-フルクトース |
|
|
|
|
別称
レブロース[1]、果糖[2]、D-フルクトフラノース、D-フルクトース、D-arabino-へキスロース
|
識別情報 |
CAS登録番号 |
[57-48-7 [57-48-7 |
KEGG |
C02336 |
特性 |
化学式 |
C6H12O6 |
モル質量 |
180.16 |
外観 |
白色の固体 |
融点 |
104
|
特記なき場合、データは常温(25 °C)・常圧(100 kPa)におけるものである。 |
フルクトース (fructose)、または果糖(かとう、fruit sugar)は、糖の一種であり、単糖の一つである。水溶性の白色の結晶であり、全ての糖の中で最も多く水に溶ける[3][4]。フルクトースは、ハチミツ、木に成る果実、ベリー類、メロン、ある種の根菜に多量に含まれている。毎年240,000トンの結晶フルクトースが合成されている[5] 。
目次
- 1 化学的性質
- 1.1 反応
- 1.1.1 アルコール発酵
- 1.1.2 メイラード反応
- 1.1.3 脱水
- 1.2 還元性
- 1.3 異性体
- 2 物理的、機能的性質
- 3 出典・注釈
- 4 外部リンク
|
化学的性質
1847年、フランスのオギュスタン=ピエール・デュブリュンフォー (Augustin-Pierre Dubrunfaut) が初めてフルクトース分子を有機化学的に発見した[6]。フルクトースは6炭素のポリヒドロキシケトンである。グルコースの異性体であり、化学式はグルコースと同じC6H12O6であるが、構造が異なる。結晶性フルクトースはヘミケタールの安定性と分子内水素結合のため六員環構造をとる。この構造は形式的にD-フルクトピラノースと呼ばれる。水溶液中では、β-フルクトピラノース (57%) とフルクトフラノース (31%) および少量の鎖状構造を含むその他の構造との間で平衡の状態にある[7]。
反応
アルコール発酵
フルクトースは、酵母およびバクテリアによって、アルコール発酵される[8]。酵母の酵素がフルクトースをエタノールと二酸化炭素に変換する[9]。発酵により発生した二酸化炭素は発酵室が開封されない限り水に溶け込み続け、炭酸との間で平衡となる。溶存した二酸化炭素と炭酸により炭酸発酵飲料となる。
メイラード反応
フルクトースはアミノ酸によりメイラード反応を受け非酵素的に褐色化する。フルクトースはグルコースよりも開環構造での存在が大きいため、グルコースよりも迅速にメイラード反応の初反応が起こる。したがって、フルクトースはケーキを焼くときの過度の褐色化や体積と柔軟性の減少および変異原物質の形成など食品のおいしさならびにその他栄養学的影響の変化に寄与している可能性がある[10]。
脱水
フルクトースは容易に脱水し、ヒドロキシメチルフルフラール (HMF) を与える。この機構は今後、ガソリンや軽油の代替燃料として低コストなカーボンニュートラル系の一部となる可能性を持っている[11]。
還元性
2位にケトン基があり還元性がなさそうに見えるが、塩基性水溶液中ではロブリー・ドブリュイン-ファン エッケンシュタイン転位による異性化によりアルドースに変化し銀鏡反応、フェーリング反応を示す。中性・酸性下では酸化剤と反応しない。
異性体
D体・L体の光学異性体が考えられるが、生物にはD体のものしか存在しない。
鎖状構造のD-フルクトースのC2のケトン基は、C5もしくはC6のヒドロキシ基と容易に分子内ヘミアセタールを形成し、環状構造に変化する。 環状構造の形成に伴い、C2炭素の不斉化が起こり、α, β異性体が生成する。
その結果、D体のフルクトースの環状構造には、「C5で環状化またはC6で環状化」と「α型またはβ型」の組み合わせにより、
- α-D-フルクトピラノース (α-D-fructopyranose)
- β-D-フルクトピラノース (β-D-fructopyranose)
- α-D-フルクトフラノース (α-D-fructofuranose)
- β-D-フルクトフラノース (β-D-fructofuranose)
の計4種類の構造が存在することになる。
水溶液中では,これらは鎖状構造を経由して相互に変換する。すなわち、水溶液では鎖状構造を含め、計5種類の構造の平衡混合物となる。
フルクトースが低温でより甘くなるといわれるのは、このうち最も甘味の濃いβ-D-フルクトフラノースの平衡時での割合が、低温では高く、高温では低くなるためである[12]。
物理的、機能的性質
甘味
フルクトースが商業的に食品や飲料に使われる主な理由は、そのコストの低さと相対的に強い甘さである。フルクトースは天然に存在する糖の中では最も甘く、スクロースの1.73倍甘いとされている[13][14]。その甘さはフラノース型のものであり、ピラノース型のものは砂糖と同程度の甘さである。フルクトースは暖めるとピラノース型が形成される[15]。
フルクトースの甘さはスクロースやデキストロースよりも早く知覚され、味の感覚は、スクロースに比べより早く、より強いピークに達し、早く減衰する。フルクトースは他の風味を強めることもできる[13]。
出典・注釈
- ^ Levulose comes from the Latin word laevus, levo, "left side", levulose is the old word for the most occurring isomer of fructose. D-fructose rotate plane-polarised light to the left, hence the name.[1].
- ^ Fructose - Merriam Webster dictionary
- ^ Hyvonen, L., & Koivistoinen, P (1982). “Fructose in Food Systems”. In Birch, G.G. & Parker, K.J. Nutritive Sweeteners. London & New Jersey: Applied Science Publishers. pp. 133–144. ISBN 0-85334-997-5
- ^ 20°Cでの溶解度は375.0 g/100g H2O、40°Cでは538.0 g/100g H2Oである。
- ^ Wolfgang Wach "Fructose" in Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry 2004, Wiley-VCH, Weinheim.doi:10.1002/14356007.a12_047.pub2
- ^ Fruton, J.S. Molecules of Life 1972, Wiley-Interscience
- ^ “フルクトース(果糖)の構造”. 2011年4月12日閲覧。
- ^ McWilliams, Margaret. Foods: Experimental Perspectives, 4th Edition. ISBN 0130212822.
- ^ Keusch, P. “Yeast and Sugar- the Chemistry must be right”. 2011年4月12日閲覧。
- ^ Dills, WL (1993). “Protein fructosylation: Fructose and the Maillard reaction”. Journal of Clinical Nutrition 58: 779–787.
- ^ Huber, G. W.; Iborra, S.; Corma, A. Chem. Rev. 2006, 106, 4044 - 4098. doi:10.1021/cr068360d
- ^ Fructose in our diet: http://www.medbio.info/Horn/Time%201-2/carbohydrate_metabolism.htm last visited 2008-12-28
- ^ a b Hanover, LM; White, JS (1993). “Manufacturing, composition, and application of fructose”. Journal of Clinical Nutrition 58: 724s-732.
- ^ Oregon State University. "Sugar Sweetness". Last accessed May 5, 2008. http://food.oregonstate.edu/sugar/sweet.html アーカイブ 2008年5月16日 - ウェイバックマシン
- ^ Fructose in our diet: http://www.medbio.info/Horn/Time%201-2/carbohydrate_metabolism.htm last visited 2008-12-28
外部リンク
- 果糖、フルクトース - 「健康食品」の安全性・有効性情報 (国立健康・栄養研究所)
炭水化物 |
|
一般構造 |
アルドース · ケトース · ピラノース · フラノース
|
|
立体構造 |
エピマー · アノマー · 変旋光
|
|
単糖類 |
トリオース
|
ケトトリオース(ジヒドロキシアセトン) · アルドトリオース(グリセルアルデヒド)
|
|
テトロース
|
ケトテトロース(エリトルロース) · アルドテトロース(エリトロース, トレオース)
|
|
ペントース
|
ケトペントース(リブロース, キシルロース)
アルドペントース(リボース, アラビノース, キシロース, リキソース)
デオキシ糖(デオキシリボース)
|
|
ヘキソース
|
ケトヘキソース(プシコース, フルクトース, ソルボース, タガトース)
アルドヘキソース(アロース, アルトロース, グルコース, マンノース, グロース, イドース, ガラクトース, タロース)
デオキシ糖(フコース, フクロース, ラムノース)
|
|
ヘプトース
|
セドヘプツロース
|
|
|
マルチプル |
二糖類
|
スクロース · ラクトース · マルトース · トレハロース · ツラノース · セロビオース
|
|
三糖類
|
ラフィノース · メレジトース · マルトトリオース
|
|
四糖類
|
アカルボース · スタキオース
|
|
その他のオリゴ糖
|
フラクトオリゴ糖 (FOS) · ガラクトオリゴ糖 (GOS) · マンナンオリゴ糖 (MOS)
|
|
多糖類
|
グルコース: グリコーゲン · デンプン(アミロース, アミロペクチン) · セルロース · デキストリン · グルカン(β1,3-グルカン)
フルクトース: フルクタン(イヌリン, レバンβ2→6)
N-アセチルグルコサミン: キチン質
|
|
|
主要な生体物質
ペプチド - アミノ酸 - 核酸 - 炭水化物 - 脂肪酸 - テルペノイド - カロテノイド
テトラピロール - 補因子 - ステロイド - フラボノイド - アルカロイド - ポリケチド - 配糖体 |
|
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Japanese Journal
- 強い内皮依存性血管弛緩作用をもつ新たな赤ワインポリフェノールの特性
- 山崎 理美,岩田 宏紀,村田 恵理,片野 由美,石幡 明
- 山形大学紀要. 医学 : 山形医学 29(2), 45-56, 2011-08-15
- 【背景】赤ワインに含まれる多種類のポリフェノール化合物(RWPCs)は強い血管弛緩 作用を有する。RWPCs中の血管弛緩作用を有するポリフェノールはいくつか報告されて いるが、RWPCsにはそれら以外にも未知の成分が多数存在することが知られている。本 研究では、血管弛緩作用を有する新たな赤ワインポリフェノールを探索し、その特性を 検討することを目的に、RWPCsの比較的親水性の高い成分を分離・分画 …
- NAID 110008614765
Related Links
- フルクトース (fructose)、または果糖(かとう、fruit sugar)は、糖の一種であり、単糖の 一つである。水溶性の白色の結晶であり、全ての糖の中で最も多く水に溶ける。 フルクトースは、ハチミツ、木に成る果実、ベリー類、メロン、ある種の根菜に多量に含ま れている ...
Related Pictures
Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
グリセリンF注(200mLソフトバッグ)
組成
- 本剤は1袋(200mL)中に下記の成分を含有する。
有効成分
添加物
禁忌
先天性のグリセリン、果糖代謝異常症の患者1,2)
- [重篤な低血糖症が発現することがある。](重要な基本的注意の項参照)
成人発症II型シトルリン血症の患者
効能または効果
・頭蓋内圧亢進、頭蓋内浮腫の治療
・頭蓋内圧亢進、頭蓋内浮腫の改善による下記疾患に伴う意識障害、神経障害、自覚症状の改善
- 脳梗塞(脳血栓、脳塞栓)
脳内出血
くも膜下出血
頭部外傷
脳腫瘍
脳髄膜炎
・脳外科手術後の後療法
・脳外科手術時の脳容積縮小
・眼内圧下降を必要とする場合
・眼科手術時の眼容積縮小
- 通常、成人1回200〜500mLを1日1〜2回、500mLあたり2〜3時間かけて点滴静注する。
投与期間は通常1〜2週とする。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
脳外科手術時の脳容積縮小の目的には、1回500mLを30分かけて点滴静注する。
眼内圧下降及び眼科手術時の眼容積縮小の目的には、1回300〜500mLを45〜90分かけて点滴静注する。
慎重投与
心臓、循環器系機能障害のある患者
- [循環血液量を増すことから心臓に負担をかけ、症状が悪化するおそれがある。]
腎障害のある患者
- [水分、塩化ナトリウムの過剰投与に陥りやすく、症状が悪化するおそれがある。]
尿崩症の患者
- [本症には適切な水分、電解質管理が必要であり、本剤の投与により電解質等に影響を与え、症状が悪化するおそれがある。]
糖尿病の患者
- [非ケトン性高浸透圧性昏睡があらわれることがある。]
重大な副作用
アシドーシス
(頻度不明)
- 乳酸アシドーシスがあらわれることがあるので、症状があらわれた場合には炭酸水素ナトリウム注射液等を投与するなど適切な処置を行うこと。
薬効薬理
- ヒト(急性脳梗塞患者)に、10%グリセリン加生理食塩液を静脈内投与したところ、頭蓋内圧下降と脳浮腫の改善、脳血流の増加及び脳代謝改善等の作用が認められた4,5,6)。
- ウサギにグリセリンを静脈内投与したところ、眼圧降下作用が認められた7)。
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- fructose, Fru
- 同
- 果糖, fruit sugar、レブロース levulose
- 商
- 果糖注、フルクトン。(果糖、グリセリン)グリセレブ、グリセオール、グリセノン、グリセリンF、ヒシセオール、グリポーゼ、グリマッケン。(アミノ酸輸液製剤)アミノトリパ1号輸液、トリパレン1号、トリフリード輸液、フルクトラクト
- 関
- 単糖、糖
薬効
5%, 20%フルクトースとして
- 20%フルクトン注
- 1. エネルギー補給:果糖はブドウ糖に比べてグリコーゲン生成能が大で、容易に乳酸に分解されるため、速やかにエネルギー源となり、糖尿病状態時や肝障害時でも利用される。
- 2. インスリン非依存性:果糖は主として肝に存在するfructokinase(ketohexokinase)により代謝され、インスリンの影響を受けず、糖尿病状態時にも使用できる。
- 3. 蛋白節約作用:果糖は体内窒素平衡に関与し、ブドウ糖に比べて強い蛋白節約作用があり、糖尿病状態時でもその作用を示す。
- 4. 解毒作用:果糖はアルコール及び種々有毒物質の解毒を促進する
グリセリン、フルクトースの混合輸液として
- グリポーゼ
- 脳圧降下作用のあるグリセリン(グリセロール)に,溶血防止作用のある果糖(フルクトース)が配合されており、脳圧降下作用及び眼圧降下作用がある。
アミノ酸輸液との配合輸液として
- アミノトリパ
- 1. 糖質とアミノ酸の配合比率:本剤を構成する糖質・電解質液とアミノ酸液との配合比率を検討するため、一定の非蛋白熱量下にアミノ酸配合量を変えた液を用いて、絶食ラットに7日間の高カロリー輸液を施行した。その結果、蛋白栄養指標(窒素出納や血漿アルブミン濃度等)を良好に維持するための非蛋白熱量/窒素(NPC/N)は約150前後であることが確認された。
- 2. 栄養学的効果:本剤の栄養学的効果を市販製剤の混合液と比較するため、開腹術施行ラットに7日間の高カロリー輸液を施行した。その結果、本剤は窒素出納や肝グリコーゲン量等において、良好な栄養効果が認められた。
[★]
- 英
- mannitol
- ラ
- D-mannitolum
- 商
- マンニゲン、マンニットT、マンニットール、(果糖合剤)フルクトマニト、(ソルビトール合剤)マンニットールS
- 関
- D-マンニトール D-mannitol、D-マンニット D-mannit
- その他の循環器官用薬
概念
- 自然界にはD-マンニトールが多く存在しており、治療薬でもD-マンニトールが用いられる。
- 参考1より引用
- マンニトール (mannitol) は糖アルコールの一種である。 ヘキシトールに分類され、マンノースの還元体に相当する。マンニット (mannite) とも呼ばれる。光学活性物質であり、天然に多く存在するエナンチオマーは D-マンニトールである。ソルビトールの異性体である。
- 浸透圧調製剤・利尿剤であり、弱い腎臓血管拡張剤でもある。
- 水溶液中ではプロトンを放出する性質を持つため、水溶液は酸性になる。このため、炭酸ナトリウムなど pH 調整剤を併用することが珍しくない。
適応
- 1. 術中・術後・外傷後及び薬物中毒時の急性腎不全の予防及び治療 ← 通常の利尿薬はhypovolemia+乏尿では良い適応ではないらしい。そのような場合にマンニトールが良い適応となる、らしい。
- 2. 脳圧降下および脳容積の縮小を必要とする場合
- 3. 眼内圧降下を必要とする場合
参考
- http://wpedia.goo.ne.jp/wiki/%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%83%8B%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%AB
[★]
商品
[★]
フルクトース、果糖、fruit sugar、levulose
[★]
フルクトース fructose。果糖
[★]
- 英
- hereditary fructose intolerance, HFI
- 同
- 遺伝性フルクトース不耐症
- 関
- アルドラーゼ、果糖不耐症。フルクトース代謝異常症
[★]
- 英
- fructose intolerance
- 関
- フルクトース不耐症、遺伝性果糖不耐症、遺伝的フルクトース不耐症。フルクトース代謝異常症
[★]
- 英
- corn syrup、dextrose syrup、glucose syrup
- 関
- 液糖、コーンシロップ
[★]
フルクトキナーゼ欠乏症
[★]
- 英
- saccharide
- →糖質