- 英
- corn syrup、liquid sugar syrup、sugar syrup
- 関
- コーンシロップ、ブドウ糖果糖液糖
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/12/04 21:58:13」(JST)
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異性化糖(いせいかとう、high-fructose corn syrup、HFCS)とは、デンプンを酵素又は酸により加水分解して得られた主としてぶどう糖からなる糖液を酵素又はアルカリにより異性化した果糖又はぶどう糖を主成分とする糖をいう[1]。デンプンはぶどう糖から構成されているが、ぶどう糖をより甘味の強い果糖に異性化させることによって甘味をより強めることができる。トウモロコシやジャガイモ、あるいはサツマイモなどのデンプンを酵素で糖化させた後、含まれるブドウ糖の一部を別の酵素で果糖に異性化させたものである。 甘さをショ糖と同等に調整した果糖分55%、ブドウ糖分42%の製品(アメリカではHFCS 55)がソフトドリンクなどに使用されるなど、最も普及している。
目次
- 1 分類
- 2 生成方法
- 3 甘味度
- 4 特性
- 5 各国の事情
- 6 引用
- 7 関連項目
- 8 外部リンク
分類
異性化糖製品は日本農林規格 (JAS) で以下のように制定されている。
- ブドウ糖果糖液糖
- 果糖含有率(糖のうちの果糖の割合)が 50% 未満のもの。
- 果糖ブドウ糖液糖
- 果糖含有率が 50% 以上 90% 未満のもの。
- 高果糖液糖
- 果糖含有率が 90% 以上のもの。
- 砂糖混合異性化液糖
- 上記の液糖に 10% 以上の砂糖を加えたもの(その液糖がブドウ糖果糖液糖なら砂糖混合ブドウ糖果糖液糖)。
生成方法
デンプンから異性化糖を生成するには、3回の酵素反応と精製、濃縮が必要である。一方、砂糖はビートやサトウキビから抽出、精製して作られる。
- 液化 — デンプンに水と加水分解酵素である α-アミラーゼを加え、95 ℃ 程度に加熱する。これにより高分子のデンプンはある程度小さく分解される。
- 糖化 — 液化終了後に 55 ℃ 程度まで冷却し、グルコアミラーゼを加える。この反応で、糖はさらに細かく分解され、ブドウ糖になる。
- 異性化 — 60 ℃ で異性化酵素のグルコースイソメラーゼを加え、約半分のブドウ糖を果糖に変化させる。異性化糖の名称はこの反応(ブドウ糖が果糖に異性化する反応)に由来している。
- 精製・濃縮 — 異性化後、液糖をろ過機やイオン交換装置で精製し、水分を蒸発させて濃縮することにより、果糖分 42% のブドウ糖果糖液糖が得られる。さらに、クロマトグラフィーによって果糖純度を高めることができ、果糖分 90-95% の高果糖液糖を作ることができる。これを果糖分42%のブドウ糖果糖液糖とブレンドすることで果糖分55%の果糖ブドウ糖液などが作られる。
甘味度
砂糖の甘味度(甘みの強さ)を 100 とすると、ブドウ糖の甘味度は 65–80、果糖は 120–170 で、甘味度の強さは 果糖 > 砂糖 > ブドウ糖 の順である。そのため、果糖分 42% のブドウ糖果糖液糖の甘味度は 70–90、果糖分 55% の果糖ブドウ糖液糖は 100–120 である。ただし、果糖は高温では砂糖の 60% の甘味度しかなく、40 ℃ 以下でないと砂糖よりも甘くならないので、異性化糖の甘さは温度によって大きく左右される。
特性
- 砂糖より甘みが口中に残りにくく、低温下で甘味度を増すので、清涼飲料や冷菓などに多く使われている。また、異性化糖は価格も安い(果糖分 55% の果糖ブドウ糖液糖は砂糖の7割程度)ので、他に缶詰、パン、みりん風調味料などにも使われている。
- 低温での利用に向いている半面で、熱に弱く、加熱すると着色してしまう(このときメイラード反応が起きる)。
- 粘性が少ないため、取り扱いやすく、タンクローリー等により大量に運送したり、タンクに保存・貯蔵したりすることが容易である。
- 液状のため、固形化や粉末化するのが難しく、一般消費者向けにはほとんど販売されていない(果糖ブドウ糖液糖はガムシロップとして市販されている)。
- 砂糖よりもカロリーが低く、時折ダイエット商品にも利用されている。
各国の事情
異性化糖は主に工業国において生産される。普及の割合には、各国の農業政策と密接な関係がある。なお、補助金制度等は現在の農業自由化の流れの中で変化しつつある。
日本
- 日本においては、国内で余剰気味のサツマイモ等などを原料とした糖類を作る技術が求められ、農林水産省および通商産業省管轄下の研究所で競って研究が進められた結果、1960年代後半から70年代にかけて技術が確立された。現在の製法は通産省工業技術院(現産業技術総合研究所)の高崎義幸博士らのグループにおいて開発されたものである(特公昭41-7431)。日本においては普及は急速ではなかったものの、清涼飲料水において普及が進み、今では砂糖類の需要の4分の1程度となっている[1]。また、日本においてもデンプン源として主に使われるのは今はトウモロコシであるが、農業振興のため、一定量の国内産デンプンの引き取り義務がある。
- 日本の市場規模は、年間800億円-1,000億円。10社(日本スターチ・糖化工業会)が9割のシェアを握る構造となっている[2]。
アメリカ
- アメリカ合衆国ではコーンスターチ(トウモロコシから作られたデンプン、低コスト生産のため殺虫能力を添加した遺伝子組み換えトウモロコシが主に使用される)を原料に使っているため HFCS (high-fructose corn syrup) と呼ばれている。通商産業省工業技術院(現産業技術総合研究所)は、1966年に再実施権付きの独占実施契約を、コーンスターチの5大メーカーの一であったStandard Brands Inc.(現Nabisco)と締結している。この契約は国有特許の輸出第一号になったものである。FDAの審査を経た後、開発された直後の1970年代に急速に受け入れられ、今では糖類の需要の半分近くを占め、世界の生産量、消費量の7割を占めており、直接ないし清涼飲料水の形で周辺国へ輸出もしている。これにはキューバ革命によってキューバからの砂糖の輸入が途絶え価格が高騰したこと、液糖を使う素地が元々あったことが考えられる。普及に伴い、肥満の原因としてやり玉に挙げられることが多くなり、大きな論争の種となっている。
欧州連合
- 欧州連合 (EU) 砂糖規制法規においてはイソグルコース (isoglucose) と呼ばれ、製糖業の保護のために生産割り当てが行われている。その結果、EU諸国における異性化糖の占める割合は多くて 5% 以下で、あまり普及していない。食品表記上では、ブドウ糖果糖液糖に相当するGlucose-Fructose Syrup(GFS)が使われる。果糖ブドウ糖液糖等に相当するFructose-Glucose Syrup(FGS)の表記も規定されているがEU圏内では殆ど生産されていない。
引用
- ^ 砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律
- ^ 甘味料販売で価格カルテルか。公取委、10社立ち入り(47NEWS.2012年1月31日)2012年2月3日
関連項目
外部リンク
- お砂糖豆知識2004年7月
- お砂糖豆知識2004年8月
- お砂糖豆知識2004年9月
- 甘味料のあれこれ 液糖(異性化糖)はどうして生まれたのか。
- ブドウ糖を果糖に変えるグルコースイソメラーゼ(産業技術総合研究所)
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 簡易血糖測定器5機種の臨床評価 : 血液糖濃度, 患者および測定環境の影響
- 三浦 文子,吉野 正代,富岡 光枝,長谷川 美彩,田中 康富,嶺井 里美,尾形 真規子,佐藤 麻子,岩本 安彦
- 糖尿病 52(10), 865-870, 2009-10-30
- NAID 10026317016
- 今村 美穂,佐藤 常雄,畑本 修
- 日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology 56(7), 384-393, 2009-07-15
- … ,その過程において以下の知見を得た.(1) 醤油原液の評価におけるぶどう糖の閾値は1.8%,MSGの閾値は1.9%である.(2) 豆腐へのつけかけ評価における醤油中の閾値は,ぶどう糖8.9%,果糖ぶどう糖液糖8.3%(v/v),砂糖4.8%,みりん7.1%(v/v),MSG 3.9%,核酸0.03%である.複雑系に対する甘味成分や旨味成分の添加効果は対象となる系が有する成分とは異なると,また,その成分を構成する糖の種類が豊富 …
- NAID 10025182082
Related Links
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- 世界大百科事典 第2版 液糖の用語解説 - 成分は砂糖とかわらないが,糖液のままで 結晶させたもの。液状糖ともいい,内容物によって次のような種類がある。(1)全砂糖液 糖,(2)転化糖液糖,(3)両者の混合液糖,(4)濃厚砂糖溶液にブドウ糖を加えたもの,(5) ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
アミノトリパ1号輸液(850mL袋)
組成
本剤は1つのソフトバッグに隔壁を介して上室にアミノ酸液を、下室に糖・電解質液を充填した注射液で、それぞれ次の成分を含有する。
■上室液(アミノ酸液)
成分(250mL中)
L‐ロイシン
L‐イソロイシン
L‐バリン
L-リシン酢酸塩
(*L‐リシンとして)
L‐トレオニン
L‐トリプトファン
L‐メチオニン
L‐システイン
L‐フェニルアラニン
L‐チロシン
L‐アルギニン
L‐ヒスチジン
L‐アラニン
L‐プロリン
L‐セリン
グリシン
L‐アスパラギン酸
L‐グルタミン酸
- 0.250g
- 添加物として亜硫酸水素ナトリウム0.2g / L、氷酢酸(pH 調整剤)を含有する。
■下室液(糖・電解質液)
成分(600mL中)
ブドウ糖(グルコース)
果糖(フルクトース)
キシリトール
(糖質合計)
塩化ナトリウム
塩化カリウム
酢酸ナトリウム水和物
グルコン酸カルシウム水和物
硫酸マグネシウム水和物
リン酸二水素カリウム
硫酸亜鉛水和物
- 2.280mg
- 添加物として亜硫酸水素ナトリウム0.5g / L、クエン酸水和物(pH調整剤)を含有する。
■混合時(1 袋中)
(850mL中)
電解質
Na+※
K+
Mg2+
Ca2+
Cl-
SO42-
Acetate-※
Gluconate-
Citrate3−※
P
Zn
糖質
総糖質量
総糖質濃度
アミノ酸
総遊離アミノ酸量
総窒素量
必須アミノ酸/ 非必須アミノ酸
分岐鎖アミノ酸含有率
総熱量
非蛋白熱量
非蛋白熱量/窒素
禁忌
- 電解質代謝異常のある患者[症状が悪化するおそれがある。]
- 高カリウム血症(乏尿、アジソン病、高窒素血症等)の患者
- 高リン血症(副甲状腺機能低下症等)の患者
- 高マグネシウム血症(甲状腺機能低下症等)の患者
- 高カルシウム血症の患者
- 肝性昏睡又は肝性昏睡のおそれのある患者[アミノ酸の代謝が十分に行われないため、症状が悪化するおそれがある。]
- 重篤な腎障害のある患者[水分、電解質の過剰投与に陥りやすく、症状が悪化するおそれがある。また、アミノ酸の代謝産物である尿素等が滞留し、症状が悪化するおそれがある。]
- アミノ酸代謝異常症の患者[投与されたアミノ酸が代謝されず、症状が悪化するおそれがある。]
- 遺伝性果糖不耐症の患者[果糖が正常に代謝されず、低血糖症等が発現し、さらに肝不全や腎不全が起こるおそれがある。]
効能または効果
- 経口・経腸管栄養補給が不能又は不十分で、経中心静脈栄養に頼らざるを得ない場合の水分、電解質、カロリー、アミノ酸補給
アミノトリパ1号輸液
- 本品は経中心静脈栄養法の開始時で、耐糖能が不明の場合や耐糖能が低下している場合の開始液として、あるいは侵襲時等で耐糖能が低下しており、ブドウ糖を制限する必要がある場合の維持液として用いる。
用時に隔壁を開通して上室液と下室液をよく混合し、開始液とする。
通常、成人には1 日1700mL の開始液を24 時間かけて中心静脈内に持続点滴注入する。
なお、症状、年齢、体重に応じて適宜増減する。
アミノトリパ2 号輸液
- 本品は経中心静脈栄養法の維持液として用いる。
用時に隔壁を開通して上室液と下室液をよく混合し、維持液とする。
通常、成人には1 日1800mL の維持液を24 時間かけて中心静脈内に持続点滴注入する。
なお、症状、年齢、体重に応じて適宜増減する。
- 高カロリー輸液療法施行中にビタミンB1欠乏により重篤なアシドーシスが起こることがあるので、本剤を投与する場合には、必ず必要量(1日3mg以上を目安)のビタミンB1を併用すること。
混合方法(必ず混合すること)
[開封]
[開通]
- (2)下室を両手で押して隔壁を開通する。
(本品に輸液を混注する場合は、開通後に行うこと。)
[混合]
慎重投与
- 菌血症の患者[カテーテルが二次感染巣となることがあり、敗血症さらには敗血症性ショックを起こすおそれがある。]
- 心不全のある患者[循環血液量を増すことから心臓に負担をかけ、症状が悪化するおそれがある。]
- 腎不全のある患者[水分、電解質の調節機能が低下しているので、慎重に投与すること。]
- 閉塞性尿路疾患により尿量が減少している患者[水分、電解質の過負荷となり、症状が悪化するおそれがある。]
- 脱水症の患者[本症には適切な水分、電解質管理が必要であり、本剤の投与により水分、電解質等に影響を与え、症状が悪化するおそれがある。]
- 尿崩症の患者[本症には適切な水分、電解質管理が必要であり、本剤の投与により電解質等に影響を与え、症状が悪化するおそれがある。]
- 糖尿病の患者[ブドウ糖の組織への移行が抑制されているので、高血糖を生じ症状が悪化するおそれがある。]
- 重症熱傷のある患者[水分、電解質代謝等が著しく障害されており、慎重に投与する必要がある。]
- 高度のアシドーシスのある患者[症状が悪化するおそれがある。]
- 膵障害(膵炎、膵硬化症、膵腫瘍等)のある患者[糖代謝異常等を伴うことがあり、慎重に投与する必要がある。]
- 肝障害のある患者[キシリトールの大量を急速投与すると、肝障害があらわれるおそれがある。]
重大な副作用
アシドーシス
- 重篤なアシドーシスがあらわれることがある(【警告】の項参照)。
薬効薬理
糖質とアミノ酸の配合比率
- 本剤を構成する糖質・電解質液とアミノ酸液との配合比率を検討するため、一定の非蛋白熱量下にアミノ酸配合量を変えた液を用いて、絶食ラットに7 日間の高カロリー輸液を施行した。
その結果、蛋白栄養指標(窒素出納や血漿アルブミン濃度等)を良好に維持するための非蛋白熱量/ 窒素(NPC/N)は約150 前後であることが確認された7)。
栄養学的効果
- 本剤の栄養学的効果を市販製剤の混合液と比較するため、開腹術施行ラットに7 日間の高カロリー輸液を施行した。その結果、本剤は窒素出納や肝グリコーゲン量等において、良好な栄養効果が認められた8)。
★リンクテーブル★
[★]
- 関
- dextrose syrup、glucose syrup、liquid sugar syrup、sugar syrup
[★]
- 英
- corn syrup
- 関
- 液糖、ブドウ糖果糖液糖
[★]
- 関
- corn syrup、liquid sugar syrup
[★]
- 関
- corn syrup、sugar syrup
[★]
- 英
- corn syrup、dextrose syrup、glucose syrup
- 関
- 液糖、コーンシロップ
[★]
- 英
- isomerized sugar syrup
[★]
- 英
- saccharide
- →糖質