- 英
- intestinal Behcet disease
- 同
- 腸管型ベーチェット病
- 関
- ベーチェット病
[show details]
まとめ
- ベーチェット病の特殊病型の一つであり、消化管に病変を生じたものをいう。ベーチェット病に典型的な「口腔内アフタ、陰部潰瘍、虹彩毛様体炎」、結節性紅斑の他に腸管に病変を来す。症状は、腹痛、下痢、下血であり、全身症状として発熱も伴いうる。血液検査では炎症所見(CRP、WBC、ESRの上昇)が認められ、腹部X線造影では、典型的には回盲部に円形ないし類円形の打ち抜き像で下掘れ傾向が強く深い潰瘍が認められる。特異的治療無く、栄養療法、薬物療法(サラゾスルファピリジン、副腎ステロイド、免疫抑制薬、抗TNF-α抗体)が行われるが、難治である。手術療法は穿孔例、瘻孔形成例、出血例で適応となるが、半数は再手術が必要となる。(IMD.863 YN.A-72)
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- P-1-183 保存的治療が困難であった腸管ベーチェット病の2手術例(小腸・大腸 良性1,一般演題(ポスター),第63回日本消化器外科学会総会)
- 青柳 治彦,樋口 哲郎,吉村 哲規,植竹 宏之,安野 正道,榎本 雅之,杉原 健一
- 日本消化器外科学会雑誌 41(7), 1359, 2008-07-01
- NAID 110006832652
- P-1-182 腸管皮膚瘻形成を繰り返した腸管ベーチェット病の1例(小腸・大腸 良性1,一般演題(ポスター),第63回日本消化器外科学会総会)
- 反復性口内炎・成長障害を契機に診断した腸管ベーチェット病の11歳男児例
- 鎌田 彩子,大日方 薫,菅沼 広樹,馬場 春奈,新妻 隆広,木下 恵司,藤井 徹,清水 俊明
- 順天堂医学 53(3), 506-510, 2007-09
- 9歳頃より難治性口内炎を反復し成長障害を認めていた男児.腹痛,下痢も繰り返していたため大腸内視鏡検査を行ったところ,回盲部から上・横行結腸に斑状潰瘍を多数認め,回盲弁は無機能であった.眼・皮膚症状はなかったが,家族歴HLA B-51陽性より,腸管ベーチェット病と診断.小児ベーチェット病は腸管型が多く,完全型は少ないため,難治性口内炎,成長障害,慢性腹部症状を認めた場合は,ベーチェット病も鑑別する必 …
- NAID 110007125009
Related Links
- 腸管潰瘍を起こしたとき腸管型ベーチェット病といい、腹痛、下痢、下血などが主症状 です。部位は右下腹部にあたる回盲部が圧倒的に多く、その他、上行結腸、横行結腸に もみられます。潰瘍は深く下掘れし、消化管出血や腸管穿孔により緊急手術を必要と する ...
- ベーチェット病は、1937年トルコのベーチェットによって提唱された疾患で、多臓器侵襲 性の難治性の病気である。 .... 副症状の出現頻度は関節炎以外は多くないものの、特に 腸管型、血管型、神経型ベーチェット病は生命に脅威をもたらしうる警戒すべきもので ...
- これらの症状のうち、超音波検査での役目としては 「消化器症状の描出」 があげられる 。 ベーチェット病は検査所見で特異的なものはなく、その分画像診断の意味合いは 大きい。 特に、腸管型、血管型、神経型ベーチェット病は、生命に脅威をもららしうるので ...
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★リンクテーブル★
[★]
- 英
- Crohn disease, Crohn's disease
- 同
- Crohn病
- 限局性回腸炎 regional ileitis、回腸末端炎、終末回腸炎 terminal ileitis
- 関
- 潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患 inflammatory bowel disease
- first aid step1 2006 p.113,140,276,280,283,326,427
- see also 消化器系チュートリアルの材料.xls
まとめ
- 特定疾患治療研究事業に含まれる疾患である(特定疾患)。消化管のあらゆる部位に非連続性に起こる原因不明・全層性の慢性肉芽腫性炎症疾患である。10歳後半から20歳代の若年者に多く、また男性に多い(男女比2:1)。病因は不明であるが、炎症反応の亢進であるかもしれない。病理学的にはリンパ球、形質細胞浸潤を伴う全層性炎症像がみられる。また、非乾酪性類上皮細胞肉芽腫が特徴的である。症状は腹痛、下痢、発熱、体重減少などあり、肛門病変(痔瘻や裂肛)が初発することがある。血液検査では炎症所見(WBC,CRP上昇、赤沈亢進)が見られ、貧血、低栄養の所見、またα1アンチトリプシン試験で異常となる。画像検査では、非連続性の病変が認められ、またアフタ状潰瘍、腸間膜付着側の縦列潰瘍、敷石像、瘻孔形成、肛門病変が認められる。治療は内科的治療が中心である。絶食、栄養療法(成分栄養剤による経腸栄養療法、経静脈栄養。小腸ok)、薬物療法(サラゾスルファピリジン(大腸only)、メサラジン(小腸・大腸ok)。ステロイド(栄養療法・5-アミノサリチル酸不応例)、インフリキシマブ、免疫抑制薬、顆粒球吸着療法(GCAP)が行われる。外科療法は狭窄、膿瘍、肛門病変に対して行われる。(SSUR.535 YN A-62)
比較
Table 15-10. Distinctive Features of Crohn Disease and Ulcerative Colitis*
|
Feature
|
Crohn Disease (Small intestine)
|
Crohn Disease (Colon)
|
Ulcerative Colitis
|
Macroscopic
|
Bowel region
|
Ileum ± colon†
|
Colon ± ileum
|
Colon only
|
Distribution
|
Skip lesions
|
Skip lesions
|
Diffuse
|
Stricture
|
Early
|
Variable
|
Late/rare
|
Wall appearance
|
Thickened
|
Variable
|
Thin
|
Dilation
|
No
|
Yes
|
Yes
|
Microscopic
|
Pseudopolyps
|
None to slight
|
Marked
|
Marked
|
Ulcers
|
Deep, linear
|
Deep, linear
|
Superficial
|
Lymphoid reaction
|
Marked
|
Marked
|
Mild
|
Fibrosis
|
Marked
|
Moderate
|
Mild
|
Serositis
|
Marked
|
Variable
|
Mild to none
|
Granulomas
|
Yes (40% to 60%)
|
Yes (40% to 60%)
|
No
|
Fistulas/sinuses
|
Yes
|
Yes
|
No
|
Clinical
|
Fat/vitamin malabsorption
|
Yes
|
Yes, if ileum
|
No
|
Malignant potential
|
Yes
|
Yes
|
Yes
|
Response to surgery‡
|
Poor
|
Fair
|
Good
|
概念
- 原因不明の炎症性疾患
- 腸壁全層に肉芽腫形成が見られる
- 小腸や大腸に縦走潰瘍、敷石像、アフタの形成
病型
- 病変の存在部位により分類(小腸型、小腸大腸型、大腸型、特殊型など)
- 頻度:小腸大腸型>小腸型>>大腸型
病理
病因
- 遺伝的因子 + 環境因子(食餌抗原や細菌、ウイルス感染など) → 免疫異常 → 腸管に慢性炎症性変化
症状
- 主要症状:腹痛、下痢、発熱、体重減少 ← 水様性下痢が一般的で血便が見られることは少ない(QB.A-142)
- 腹痛(臍周囲部および回盲部痛)、間欠性発熱、下痢、嘔吐、肛門部病変。体重減少、貧血
合併症
- 1. 消化管合併症:狭窄、瘻孔、痔瘻、肛門周囲膿瘍
- 2. 消化管外合併症
続発症
検査
- 腹部単純X線写真:イレウスを疑う症例ではニボーの確認のために重要。クローン病の確定診断にはやくにたたない。
- 上部消化管内視鏡
- 下部消化管内視鏡
- 小腸造影:小腸病変の評価。特に回腸末端の病変、程度、潰瘍、狭窄、瘻孔
- 腹部造影CT:TNFα阻害薬やステロイドを用いる際には、腹部から触知下腫瘤が腸管の癒着か、膿瘍の合併によるものかを評価する必要がある(QB.A-144)
- 注腸造影:大腸病変の描出
[show details]
[show details]
- 左:縦走潰瘍。右:cobble stone appearance
診断
[show details]
- (1)
臨床所見
消化管病変
- (a)縦走潰瘍(注1)
- (b)敷石像(注2)
- (c)腸管の狭小,狭窄
- (d)非連続性又は区域性病変(いわゆるskip lesion)
- (e)内瘻(腸-腸瘻,腸-膀胱瘻,直腸-腟瘻など)
- (f)外瘻(腸-皮膚瘻)
- (g)不整形潰瘍
- (h)多発アフタ(注3)
- (a)難治性痔瘍
- (b)肛門周囲膿瘍
- (c)裂肛
- (d)潰瘍
- (e)肛門皮垂(skip tag)など
- (a)多発アフタ
- (b)潰瘍
- (c)狭窄など
- (d)敷石像など
消化管外病変
- 血液:貧血,低蛋白血症
- 関節:腸性関節炎,強直性脊椎炎
- 皮膚:口内アフタ,結節性紅斑,壊死性膿皮症,多形滲出性紅斑など
- 眼:虹彩炎,ぶどう膜炎など
- 栄養代謝: 成長障害,微量元素欠乏,ビタミン欠乏(ビタミンB12,葉酸など),アミロイ ドーシスなど
- 悪性腫瘍:腸癌など
- その他:原発性硬化性胆管炎
病理学的所見
切除標本肉眼所見
- 縦走潰瘍(注1)
- 敷石像(注2)
切除標本組織所見
- 非乾酪性類上皮細胞肉芽腫(局所リンパ節にもみられることがある)(注4)
- 全層性炎症(注5)
- 裂溝
- 潰瘍
生検組織所見
- 非乾酪性類上皮細胞肉芽腫(注4)
- --------------------------------------------------------------------------------
- (注1)腸管の腸軸方向に4~5cm以上の長さを有する潰瘍で活動期潰瘍では,近傍に炎症性ポリープや敷石像を伴うことが多い。虚血性大腸炎で縦走潰瘍を認めることがあるが,炎症性ポリポーシスや敷石像を伴うことは稀である。潰瘍性大腸炎で縦走潰瘍を認めることがあるが,その周辺粘膜は潰瘍性大腸炎に特徴的な所見を呈する。
- (注2)縦走潰瘍とその周辺小潰瘍間の大小不同の密集した粘膜隆起であり,密在した炎症性ポリポーシスもこれに含める。虚血性大腸炎の場合,肉眼標本上で浮腫や残存粘膜等が敷石 像類似の所見を呈することがあるが,その高さは低く,発赤調が強い。
- (注3)クローン病では縦列することがある。
- (注4)非乾酪性類上皮細胞肉芽腫は腸結核でも認められることがある。
- (注5)主にリンパ球からなる集簇巣が消化管壁全層にみられるもの。
- --------------------------------------------------------------------------------
診断の基準
(1)主要所見
- A. 縦走潰瘍
- B. 敷石像
- C. 非乾酪性類上皮細胞肉芽腫
(2)副所見
- a. 縦列する不整形潰瘍又はアフタ
- b. 上部消化管と下部消化管の両者に認められる不整形潰瘍又はアフタ
-
- 確診例 1 主要所見のA又はBを有するもの(注6,7)。
- 2 主要所見のCと副所見のいずれか1つを有するもの。
-
- 疑診例 1 副所見のいずれかを有するもの(注8)。
- 2 主要所見のCのみを有するもの(注9)。
- 3 主要所見のA又はBを有するが虚血性大腸炎,潰瘍性大腸炎と鑑別ができないもの。
- --------------------------------------------------------------------------------
- (注6)縦走潰瘍のみの場合,虚血性大腸炎や潰瘍性大腸炎を除外することが必要である。
- (注7)敷石像のみの場合,虚血性大腸炎を除外することが必要である。
- (注8)副所見bのみで疑診とした場合は同所見が3カ月恒存することが必要である。
- (注9)腸結核などの肉芽腫などを有する炎症性疾患を除外することが必要である。
- --------------------------------------------------------------------------------
鑑別診断
- IMD
治療
YN.A-66
外科療法
- 狭窄、瘻孔形成、痔瘻の場合に適応となる。
- 腸切除の後遺症:吸収障害(脂肪>蛋白>糖)、[回盲部切除]胆汁酸・ビタミンB12の吸収不良、小腸内細菌異常増殖(結腸からの侵入?)
USMLE
参考
- http://jsp.umin.ac.jp/corepictures2007/09/c01/index.html
- http://www.jimro.co.jp/ibd/index_ibd.htm
- http://mimibukuro.org/cd/medical-guideline08/2/
- アフタ病変
- http://www.ajronline.org/content/179/4/1029/F14.expansion
- 縦走潰瘍
- http://www.ajronline.org/content/179/4/1029/F12.expansion
- 偽ポリープ
- http://rfs.acr.org/gamuts/data/images/ID1143.htm
国試
[★]
- 英
- ileocecum
- 関
- 回盲弁
臨床関連
[★]
- 英
- ileocecal ulcer
- 関
- 回盲部
[★]
[★]
腸管ベーチェット病
[★]
- 英
- Behçet disease, Behcet disease, Behcet's disease, BD
- 同
- ベーチェット症候群 Behcet syndrome, (国試)Behcet病
- 関
概念
- 難病であり、特定疾患治療研究事業の対象疾患である。
- 急性の炎症が反復し、増悪と寛解を繰り返す慢性疾患であり、繰り返す口内アフタが特徴的である。その他、性器潰瘍、皮膚病変、眼病変、神経病変、血管病変、消化管病変、関節病変を伴う。全身の血管(動静脈)にそのサイズに関係なく炎症を起こすのが特徴的である(参考2)。
病因
疫学
- 20歳代に初発。中年男性では多発する。日本人に多い。(NDE.145)
症状
- 特殊型は予後が悪い。
主症状:4主徴
- 1. 口腔内アフタ性潰瘍:ほぼ全例に出現。初発症状で最多。口腔粘膜、舌。有痛性。再発性。
- 2. 陰部潰瘍:70-80%に出現。有痛性の深い潰瘍。男性は陰嚢、女性は大小陰唇。
- 3. 皮膚症状:下腿に好発する結節性紅斑。毛嚢炎様皮疹。血栓性静脈炎(高頻度らしい(NDE.145))など。 皮膚症状の出現頻度は90%(QB.F-147)
- 4. 眼症状:40-50%。男性に多い。網膜ぶどう膜炎、虹彩毛様体炎(前眼房蓄膿)。霧視羞明、眼痛。
副症状
- 5. 関節症状:関節炎症状(腫脹、疼痛)。大関節に多く、骨の破壊や変形は起きない傾向。
- 6. 精巣上体炎:10%以下。腫脹と疼痛。
特殊型
- 7. 消化器症状:回盲部潰瘍。回盲部を中心とした腹痛、下痢、黒色便など。腸Behcet病
- 難治性のことが多い。
- 8. 血管炎症状:大血管の動脈瘤や閉塞。脈拍や血圧の左右差。脳、腎などの循環障害症状。無症状の場合もありうる。血管Behcet病
- 9. 中枢神経症状:髄膜炎症状から、四肢麻痺、痙攣、運動失調、精神症状の出現など。神経Behcet病
ベーチェット病による血管疾患
- 参考1
検査
- 針反応:皮膚を針で刺すと膿疱ができる。皮膚の被刺激性、好中球機能過剰による
診断
治療
- 前部ぶどう膜炎:ステロイド点眼、散瞳薬
- 後部ぶどう膜炎:ステロイド結膜下注射/テノン嚢下注射
- 眼炎症予防:コルヒチン、炎症が起きればNSAIDを用いる。
- 難治例ではシクロスポリンを投与、インフリキシマブ投与
症例
- 35歳男性。発熱、関節痛を認める。今までに皮膚に結節性潰瘍、陰部潰瘍が繰り返し出現し、最近、右眼の霧視が出現したため来院。
参考
- 1. [charged] Clinical manifestations and diagnosis of Behçet’s disease - uptodate [1]
- 2. [charged] Pathogenesis of Behçet’s disease - uptodate [2]
- 3. [charged] Treatment of Behçet’s disease - uptodate [3]
- 4. ベーチェット病 - 難病情報センター
- http://www.nanbyou.or.jp/entry/330
[★]
- 英
- duct、tube、canal、pipe
- ラ
- ductus、vas、meatus
- 関
- 水路、チューブ、導管、道管、卵管、道
[★]
- 英
- intestinal tract、enteric canal、intestinal、enteric
- 関
- 消化器系、腸、腸管内、腸内
[★]
- 英
- disease、sickness
- 関
- 疾病、不調、病害、病気、疾患