出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/12/24 16:54:52」(JST)
ランゲルハンス細胞(ランゲルハンスさいぼう、英: Langerhans cell)とは、表皮に存在する樹状細胞の一つ。
発見者であるドイツの医学者パウル・ランゲルハンスにちなんで名づけられている。膵臓に存在するランゲルハンス島と混同してはならない。骨髄で造られ、表皮有棘層に存在する樹状細胞であり、表皮全体の細胞数の2~5%を占めている。樹枝状の突起があり、皮膚免疫を司る沢山の[1]レセプター(受容体)を持ち、外部から侵入する細菌やウイルス、化学物質、かび、放射線、紫外線、温熱、寒冷等の刺激や、皮膚内部の状況を常に[2]脳へ伝達し皮膚の均衡を保つセンサーの役目を担っている。
遊走性で、細胞内の抗原輸送を担うバーベック顆粒(Birbeck granule)があり、抗原を樹枝状の突起で取り込むとリンパ管を通って特定のリンパ節に移動し、抗原をT細胞に提示しこれを感作する。感作されたT細胞が皮膚に移行して抗原に出会うとサイトカインを放出し、異物を殺傷したり炎症などを引き起こす。
老化した皮膚ではランゲルハンス細胞の数が低下しており、情報伝達が滞れば、微生物や化学物質などの異物は排除されず侵入を許し、皮膚や体の健康的な営みが損なわれることになる。
ランゲルハンス細胞とアトピー性皮膚炎とが深く関わっていることが解ってきた。ランゲルハンス細胞は、IgE受容体をもっておりIgE抗体を介してアレルゲンを捕捉しアレルギー反応を加速する。Ⅰ型アレルギーのみならず、[3]Ⅳ型(遅延型)アレルギー反応にも重要な働きを演じていることが判明している。また近年注目されるようになった病態論として表皮バリア破綻説、即ちバリア機能の欠陥という皮膚の生理学的異常の分子レベルの解明が進んでいる。
新しい発見として2005年、ランゲルハンス細胞は病原体の侵入があると免疫系細胞に警戒態勢をとらせると考えられてきたが、それにとどまらず感染や炎症に対する皮膚の反応を弱めていることを、[4]エール大学医学部の研究者たちが明らかにした。
2009年 慶應義塾大学医学部久保亮治特別研究講師、天谷雅行教授らの研究グループは、ランゲルハンス細胞の細胞突起が、表皮に形成される皮膚バリアを突き抜けて外界の抗原、異物を取り込むことを発見した。この研究成果は、2009年12月7日 Journal of Experimental Medicine誌電子版に発表され、アトピー性皮膚炎の病態の理解・治療法の開発に結びつく成果を期待されている。
2010年には、アミノ酸研究家 小山秀男により、アミノ酸複合体でランゲルハンス細胞を活性化させアトピー性皮膚炎完治の検証結果が、第68回アメリカ皮膚科学会(AMERICAN ACADEMY of DERMATOLOGY:AAD)で、[5]P1308 A unique complex of several amino acids can cure patients with atopic dermatitis として学術発表された。
1868年 ドイツの解剖学者 パウル・ランゲルハンス(Paul Langerhans)により、表皮でランゲルハンス細胞が発見された。
1961年 バーベック博士は、ランゲルハンス細胞にラケット状の細胞内小器官を見出した。
1970年 ワルドマン(Waldmann)がランゲルハンス細胞がリンパ節でT細胞に抗原提示をする相互連結性嵌入細胞と同定した。
1973年 ロックフェラー大学のスタインマン(Ralph M.Steinman)がマウスの脾臓で同じ細胞を再発見した。突起のある腕をもつ外観から、「樹状細胞」と改めて命名した。
1993年 米国ボストンのハーバード皮膚科学研究所の細井純一研究員らは、末梢神経繊維が表皮内に入り込み、ランゲルハンス細胞に接触し、脳からの神経伝達物質が直接受け渡されていることを発見。
2005年 エール大学医学部が、ランゲルハンス細胞は免疫反応を調節することを発表。
2009年 慶應義塾大学医学部 久保亮治特別研究講師、天谷雅行教授らは、ランゲルハンス細胞の細胞突起が、表皮に形成される皮膚バリアを突き抜けて外界の抗原、異物を取り込むことを発見。
2010年 アミノ酸研究家 小山秀男は、アミノ酸複合体でランゲルハンス細胞を活性化させアトピー性皮膚炎が完治する検証結果を、第68回アメリカ皮膚科学会で、P1308 A unique complex of several amino acids can cure patients with atopic dermatitis と題して発表。
この項目は、医学に関連した書きかけの項目です。この項目を加筆・訂正などしてくださる協力者を求めています(プロジェクト:医学/Portal:医学と医療)。 |
|
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
リンク元 | 「主要組織適合複合体」「メラノサイト」「抗原提示細胞」「バーベック顆粒」「指状嵌入樹状細胞」 |
拡張検索 | 「ランゲルハンス細胞肉芽腫症」「ランゲルハンス細胞肉芽腫」「非ランゲルハンス細胞性組織球症」 |
関連記事 | 「細胞」 |
MHC class I | *MHC class II | |
MHC発現組織 | 全ての有核細胞(×赤血球) | CD4陽性T細胞 |
CD8陽性T細胞 | ||
抗原提示細胞(マクロファージ、樹状細胞、 | ||
抗原認識するリンパ球 | Tc細胞 | Th細胞 |
ドメイン構造 | α鎖(α1,2,3を持つ分子)とβ2-microgloblin | α鎖(α1,α2を持つ分子)とβ鎖(β1,β2を持つ分子) |
遺伝子座 | HLA-A,B,C, | HLA-DP,DQ,DR |
提示されるペプチド | 内在抗原 | 外来抗原 |
抗原ペプチドの長さ | 9残基 | 12-30残基 |
抗原ペプチドとMHCとの相互作用部位 | 2残基 | 3(免疫学授業プリント)
4(IMM.131) |
MHC class I | MHC class II | ||
リンパ組織 | T細胞 | +++ | + |
B細胞 | +++ | +++ | |
マクロファージ | +++ | ++ | |
樹状細胞 | +++ | +++ | |
胸腺上皮細胞 | + | +++ | |
有核細胞 | 好中球 | +++ | - |
肝細胞 | + | - | |
腎臓 | + | - | |
脳 | + | - | |
無核細胞 | 赤血球 | - | - |
主要組織適合遺伝子複合体 移植抗原として発見された抗原系 応答免疫(抗原提示)に関与する ヒト(HLA complex) human leucocyte antigen HLA ドメイン構造 クラスI A B C クラスII DP DQ DR 多型性がある 12種類のHLAを発現(父由来、母由来) マウス(H2 complex) Histcompatibility-2 ドメイン構造 クラスI K D クラスII A E MHCの歴史 G.Snell マウスH2が移植の正否を左右する J.Dausset HLAが抗原 B.Benaceraf MHC遺伝子を明らかにし、MHCが免疫応答に関与していることを証明
クラスI H鎖 β2-microglobulin クラスII α鎖 β鎖 細胞外領域 膜貫通領域 細胞内領域 ドメイン Igスーパーファミリー クリスタログラフィー crystallography
抗原処理 抗原提示 クラスI (proteasome TAP) クラスI抗原提示(内在性抗原) ①ほとんどの細胞が提示 ただし赤血球には発現していない ②細胞内:内在抗原をプロテアソーム(LMP複合体)が分子切断→ERに移動 ③ERI TAPトランスポーターによりER内に移動 クラスI+ペプチド複合体形成 ④細胞表面に移動 ⑤Tc(CD8+ T細胞)細胞が認識:標的細胞を障害 クラスII (Ii=invariant chain, HLA-DM) クラスII抗原提示(外来抗原) ①抗原提示細胞:貪食、飲食による取り込み ②ファゴリソゾーム:ペプチドに分解 ③小胞体(ER):(MHC class II + Ii鎖)複合 ④ファゴリソゾーム:HLA-DMがIi鎖を解離 ペプチドを提示→(MHC class II + ペプチド)複合体 ⑤細胞表面に移動 ⑥Th(CD4+T)細胞が認識
最近、E,F,Gが発見された→E,FはT細胞、Gは胎盤トロホブラストが発現(妊娠免疫に重要)
サイトカイン:TNPet,C, 酵素:21-hydroxylase クラス(領域 亜領域) 遺伝的多塑性 polymorphism 対立遺伝子頻度
-MHC
.