- 英
- new quinolone
- 関
- ニューキノロン、ニューキノロン系抗菌薬、ニューキノロン系薬、ニューキノロン薬、ニューキノロン抗菌薬、ニューキノロン系抗菌剤、新キノロン剤
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/06/25 11:48:52」(JST)
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ニューキノロン (英語: New Quinolone) とは、合成抗菌薬の系列の一つである。DNAジャイレースを阻害することにより、殺菌的に作用する薬剤である。キノロン系をもとに人工的に合成・発展させたものであり、作用機序はキノロンと同一である。また、化学構造からフルオロキノロン(英: fluoroquinolone)とも称される。
経口投与が可能で比較的副作用が少ないということで頻用されている。しかし感染症学の知識を用いて診断を行えば、ほとんどの場合ニューキノロン薬なしで治療は可能である。結核菌に効果があるため、軽はずみに処方すると診断が遅れる。
目次
- 1 種類
- 2 副作用
- 3 使い分け
- 4 薬物動態学
- 5 参考文献
- 6 関連項目
- 7 外部リンク
種類
- 第IIa世代キノロン
- ノルフロキサシン norfloxacin(NFLX)
- オフロキサシン ofloxacin(OFLX)
- エノキサシン enoxacin(ENX)
- 塩酸シプロフロキサシン ciprofloxacin(CPFX)
- 塩酸ロメフロキサシン lomefloxacin(LFLX)
- レボフロキサシン levofloxacin(LVFX)
- ガレノキサシン garenoxacin(GRNX)
- フレロキサシン fleroxacin(FLRX)
- シタフロキサシン sitafloxacin(STFX)
- 第IIb世代キノロン
- トスフロキサシントシル酸塩 tosufloxacin(TFLX)
- スパルフロキサシン sparfloxacin(SPFX)
- 第IIIa世代キノロン
- ガチフロキサシン gatifloxacin(GFLX)
- モキシフロキサシン moxifloxacin(MFLX)
なお、第IIb世代以降のキノロン系薬剤は、特に呼吸器系感染症への抗菌作用が増強されていることから、レスピラトリーキノロンと通称されている。
副作用
ニューキノロンに比較的特徴的な副作用を列記する。
- 血糖異常(特に低血糖)
- ガチフロキサシンでは起こりやすく、ガチフロキサシンは世界的に販売中止となった。
- 横紋筋融解症
- 筋タンパク質の一種であるミオグロビンの血中濃度上昇の結果、急性腎不全等の重篤な副作用に至る場合がある。
- 光線過敏症
- スパルフロキサシンでは起こりやすい。
- 関節毒性
- 動物実験(幼若犬)において関節異常が認められているため、小児投与は多くが禁忌とされている(例外:ノルフロキサシン、トスフロキサシン)。
- 腱の異常
- 高齢者でアキレス腱断裂を起こすことがある。
薬物相互作用
NSAIDsとの併用で痙攣がおこることがあると言われているが近年は論争中である。テオフィリンやワルファリンの血中濃度を上昇させる。また、制酸剤(Mg製剤)や(Al含有の)胃粘膜保護薬、鉄剤を併用するとニューキノロンの吸収が阻害されるので、ニューキノロンと併用する場合は服用する時間を2~3時間空ける。酸化マグネシウム(マグミット、マグラックス等)を用いる場合は、ニューキノロンを朝にまとめて服薬し、夕方に酸化Mgを用いるという方法もある。痛みを伴う場合、ロルカムやフルカムといったCOX-2選択的阻害薬を用いれば、添付文書上は禁忌にはならない。
使い分け
よく用いられる薬としてはオフロキサシン(OFLX、商品名タリビッド®)、シプロフロキサシン(CPFX、商品名シプロキサン®)、レボフロキサシン(LVFX、商品名クラビット®)があげられる。オフロキサシンやシプロフロキサシンは細菌が一回変異しただけで耐性化する。CPFX耐性化≒ニューキノロン耐性化がほとんどである。
これらの薬は好気性・グラム陰性菌には著効するが、それ以外の効果には差がある。ガチフロキサシンやモキシフロキサシンは肺炎球菌に効果的でシプロフロキサシンは黄色ブドウ球菌によく効くと言われている。前述のようにシプロフロキサシンは耐性化しやすいのでリファンピシンを併用することもあるが、一般に臨床使用での併用で耐性化率の有意差があるとの報告はない。
よく用いられるシプロフロキサシンとレボフロキサシンの使い分けに関してまとめる。シプロフロキサシンは1日2回投与でありレボフロキサシンは1日1回投与である。緑膿菌など好気性グラム陰性菌に対してはシプロフロキサシンの方が活性が高く、肺炎球菌にはレボフロキサシンの方が活性が強い。レボフロキサシンはレスピラトリーキノロンであるがシプロフロキサシンはそうではない。
- 尿路感染症
シプロキサン®400~500mg 1日2回投与やクラビット®500mg 1日1回投与などがよく行われる。しかしST合剤より有効性が高いわけではない。
- 市中肺炎
レスピラトリーキノロンであるクラビット®500mg 1日1回7日間または解熱後3日までで投与がされることがあるがセフェム系とマクロライド系の併用などで代用できる。その場合はメイアクト®200mg 1日3回投与とジスロマック®500mg 1日1回投与を行う。
- 旅行者下痢症
旅行者下痢症の原因は腸管毒素原性大腸菌(ETEC)が多いため、症状が出現したらクラビット®500mg 1回、シプロキサン®400~500mg 1日2回3日間、ジスロマック®1000mg 1日1回やリファキシミンなどが用いられる。
- STD
クラビット®500mg 1日1回7日間などで用いられる。
薬物動態学
なおキノロン系薬剤は、濃度依存性の薬物なので、例えばクラビット®100mg 3錠を処方するときは、100mg1錠を三回飲むよりもを3錠を一回飲むよう指示する方が効果は高かったが、以前は国内では認められていなかった。しかし、他国に遅れ、日本でもこの事が次第に認知され、クラビット®250mg/500mgが上市されたため、クラビット100mg錠は製造終了となった。PK/PDパラメータとしては AUC/MIC または Peak/MIC(Cmax/MIC) を指標とする。しかし、実際の臨床の場での投与方法にそぐわないという意見もあるので、注意が必要である。
参考文献
- 藤本卓司 『感染症レジデントマニュアル』 医学書院、2004年。ISBN 4-260-10660-0。
- 岩田健太郎、宮入烈 『抗菌薬の考え方、使い方』 中外医学社、2004年。ISBN 4-498-01758-7。
- 岩田健太郎 『プライマリケア医のための抗菌薬マスター講座』 南江堂、2011年。ISBN 9784524264711。
- Dos&Don'ts! Dr.青木の感染症大原則. ケアネット.. (2004年). ISBN 490333127X
- Dr.岩田の感染症アップグレード. 第1巻. ケアネット.. ISBN 4903331415
- Dr.岩田の感染症アップグレード. 第2巻. ケアネット.. ISBN 4903331423
関連項目
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ウィキメディア・コモンズには、ニューキノロンに関連するカテゴリがあります。 |
- DNAジャイレース
- 抗菌薬
- 感染症学
- 呼吸器感染症/尿路感染症
外部リンク
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- 注射用ニューキノロン系薬 (特集 系統別 抗菌薬の使い方・止め方・変え方)
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- ニューキノロン系抗生物質. 作用機序. キノロン系薬の細菌に対する作用機序はその DNA合成阻害であり、一般 のセフェム系やペニシリン系薬あるいはマクロライド系薬とは 全く異なる 作用機序であるので、これらに耐性を示す菌にも有効性が期待できる。
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- 次の文を読み、 26、 27の問いに答えよ。
- 72歳の女性。予診票に「熱がある」と記載されている。医師が待合室に向かって診察室への入室を促した。医師「 27番の患者さん、こちらの診察室にお入り下さい」患者「はい」医師「おはようございます。医師のサトウタロウと申します」患者「よろしくお願いします」
- 現病歴: 5日前から咳が出るようになった。 2日前から咳をすると胸の痛みを感じるようになった。今朝から 38.2℃の発熱を認めたため受診した。
- 既往歴:特記すべきことはない。アレルギー歴はない。
- 生活歴:喫煙歴はない。
- 現症:意識は清明。身長 152 cm、体重 48 kg。体温 38.4℃。脈拍 84/分、整。血圧 136/82 mmHg。呼吸数 24/分。 SpO2 94%(room air)。心音に異常を認めない。右背部に coarse cracklesを聴取する。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。
- 検査所見:尿所見:蛋白 (-)、糖 (-)、ケトン体 (-)、潜血 (-)、沈渣に白血球を認めない。血液所見:赤血球 410万、 Hb 13.1 g/dl、Ht 38%、白血球10,700(桿状核好中球 33%、分葉核好中球 45%、好酸球 1%、好塩基球 1%、単球 5%、リンパ球 15% )、血小板 20万。血液生化学所見:尿素窒素 15 mg/dl、クレアチニン 0.8 mg/dl、尿酸 3.8 mg/dl、血糖 108 mg/dl、Na 140 mEq/l、K 3.7mEq/l、Cl 105 mEq/l。CRP 9.0 mg/dl。胸部エックス線写真で心胸郭比 48%、右の中肺野と肺門部に浸潤影を認める。喀痰の Gram染色標本 (別冊 No. 4)を別に示す。
- 抗菌薬として第一選択となるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [108C026]←[国試_108]→[108C028]
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- 52歳の男性。発熱と咳嗽とを主訴に来院した。 3日前から 39.2℃の発熱が出現し、市販の総合感冒薬を内服したが症状が改善しなかった。昨日から咳嗽、喀痰および息切れを自覚するようになり受診した。既往歴と家族歴とに特記すべきことはない。ペットは飼育していない。 1週前に温泉に行ったという。意識は清明。体温38.5℃。脈拍 96/分、整。血圧 142/84 mmHg。呼吸数 30/分。 SpO2 93% (リザーバー付マスク 10 l/分酸素投与下 )。心音に異常を認めない。右胸部に fine cracklesと coarse cracklesとを聴取する。血液所見:赤血球 390万、 Hb 13.8 g/dl、Ht 39%、白血球 8,300(桿状核好中球 8%、分葉核好中球 79%、好酸球 1%、単球 2%、リンパ球 10% )、血小板 24万。血液生化学所見:総蛋白 5.6 g/dl、アルブミン 2.8 g/dl、AST 40 IU/l、ALT 38 IU/l、LD 340 IU/l(基準 176~353)、 CK 350 IU/l(基準 30~140)、尿素窒素 27 mg/dl、クレアチニン 0.9 mg/dl、Na 128 mEq/l、K 3.6 mEq/l、Cl102 mEq/l。CRP 35 mg/dl。喀痰のヒメネス〈Gimenez〉染色標本で桿菌を認める。胸部エックス線写真にて右中下肺野に浸潤影を認める。肺野条件の胸部単純 CT(別冊No. 26)を別に示す。
- 抗菌薬として適切なのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [108D054]←[国試_108]→[108D056]
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- 次の文を読み、37、38の問いに答えよ。
- 7歳の女児。発熱と咽頭痛とを主訴に来院した。
- 現病歴 昨夕から発熱と咽頭痛とが出現した。咳嗽や鼻汁はない。嚥下痛はあるが飲水は可能である。
- 既往歴 ペニシリン系抗菌薬で全身に蕁麻疹を生じたことがある。
- 家族歴 特記すべきことはない。
- 現症 意識は清明。体温39.2℃。脈拍104/分、整。血圧98/62mmHg。眼球結膜に充血を認めない。白苔を伴う両側の扁桃腫大とイチゴ舌とを認める。両側の前頭部に圧痛を伴う腫大したリンパ節を数個触知する。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。四肢と顔面とに皮疹や浮腫を認めない。
- 検査所見 尿所見:蛋白(-)、糖(-)、潜血(-)。血液所見:赤血球 470万、Hb 12.8g/dl、Ht 39%、白血球 14,500(好中球87%、好酸球1%、単球4%、リンパ球8%)、血小板 22万。血液生化学所見:尿素窒素 14mg/dl、クレアチニン 0.5mg/dl、AST 24IU/l、ALT 21IU/l、LD 325IU/l(基準280-588)、ALP 512IU/l(基準338-908)、Na 142mEq/l、K 4.2 mEq/l、Cl 101 mEq/l。CRP 9.2 mg/dl。
[正答]
※国試ナビ4※ [105H036]←[国試_105]→[105H038]
[★]
- 23歳の初妊婦。発熱を主訴に来院した。現在、妊娠15週。3日前から下腹部の違和感と排尿時痛とを認め、昨日から38.4℃の発熱が出現した。既往歴に特記すべきことはない。意識は清明。体温 38.8℃。脈拍 100/分、整。血圧 118/68mmHg。呼吸数 20/分。右肋骨脊柱角に叩打痛を認める。尿Gram染色でGram陰性桿菌を認めた。
- 投与すべき抗菌薬はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [110D019]←[国試_110]→[110D021]
[★]
- 72歳の男性。38℃台の発熱、咳嗽および喀痰を訴えて来院した。呼吸数20/分。脈拍104/分、整。血圧146/88mmHg。右肺にcoarse cracklesを聴取する。胸部エックス線写真で右上肺野に浸潤影を認めた。
- 喀痰のGram染色標本を以下に示す。
- 最も適切な注射用抗菌薬はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [098I033]←[国試_098]→[098I035]
[★]
- 21歳の女性。弛張熱と咽頭痛とを主訴に来院した。両側口蓋扁桃は発赤、腫脹し、硬口蓋粘膜に点状の出血斑を認める。両側頸部に腫大したリンパ節を複数個触知する。体温38.2℃。白血球9,600(リンパ球60%、異形リンパ球20%)。この患者に使用できない抗菌薬はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [103G047]←[国試_103]→[103G049]
[★]
- 45歳の男性。上部消化管造影で異常を指摘され、精密検査のため来院した。胃内視鏡検査で十二指腸潰瘍であると診断され、ウレアーゼ試験が陽性であった。この疾患の治療に組合せて用いる抗菌薬はどれか。
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [098A056]←[国試_098]→[098A058]
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[正答]
※国試ナビ4※ [109I006]←[国試_109]→[109I008]
[★]
- 耳痛を訴える2歳9か月の男児の鼓膜の写真(別冊No. 1)を別に示す。投与すべき抗菌薬はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109I005]←[国試_109]→[109I007]
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[正答]
※国試ナビ4※ [105B037]←[国試_105]→[105B039]
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[正答]
※国試ナビ4※ [110E033]←[国試_110]→[110E035]
[★]
- 英
- Chlamydia trachomatis disease, Chlamydia trachomatis infection
- 同
- 性器クラミジア感染症 genital chlamydiosis
- 関
- Chlamydia trachomatis, STD、クラミジア感染症
治療
[★]
- 英
- new quinolone
- 関
- ニューキノロン、ニューキノロン系、ニューキノロン系抗菌薬、ニューキノロン系薬、ニューキノロン薬、ニューキノロン抗菌薬、ニューキノロン系抗菌剤
[★]
- 英
- new quinolone
- 関
- ニューキノロン、ニューキノロン系、ニューキノロン系抗菌薬、ニューキノロン系薬、ニューキノロン抗菌薬、ニューキノロン系抗菌剤、新キノロン剤
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- 英
- new quinolone
- 関
- ニューキノロン、ニューキノロン系、ニューキノロン系抗菌薬、ニューキノロン系薬、ニューキノロン薬、ニューキノロン系抗菌剤、新キノロン剤
[★]
- 英
- new quinolone, NQ
- 同
- ニューキノロン、ニューキノロン系、ニューキノロン系薬、ニューキノロン薬、ニューキノロン抗菌薬、ニューキノロン系抗菌剤、新キノロン剤
- 関
- キノロン系抗菌薬
[show details]
[★]
- 英
- new quinolone
- 関
- ニューキノロン、ニューキノロン系、ニューキノロン系抗菌薬、ニューキノロン薬、ニューキノロン抗菌薬、ニューキノロン系抗菌剤、新キノロン剤
[★]
ニューキノロン系抗菌薬
[★]
- 関
- 一連、菌株、緊張、系統、系列、シリーズ、歪み、連続、システム、体系、体制、方式、筋挫傷
[★]
- 英
- new quinolone
- 関
- キノロン系抗菌薬
SMB. 150