ラウリル硫酸ナトリウム
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ラウリル硫酸ナトリウム |
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別称
ラウリル硫酸ナトリウム;ラウリル硫酸Na(表示名);硫酸ドデシルナトリウム;NaDS, SLS, SDS;
|
識別情報 |
CAS登録番号 |
151-21-3 |
- CCCCCCCCCCCCOS(=O)([O-])=O.[Na+]
|
特性 |
化学式 |
NaC12H25SO4 |
モル質量 |
288.38 g/mol |
外観 |
白色固体 |
密度 |
1.01 g/cm³ |
融点 |
206 °C
|
危険性 |
EU分類 |
F X |
Rフレーズ |
R11 R21/22 R36/37/38 |
Sフレーズ |
S26 S36/37 |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
ラウリル硫酸ナトリウム(ラウリルりゅうさんナトリウム、sodium lauryl sulfate, SLS)は陰イオン性界面活性剤の1つ。ドデシル硫酸ナトリウム(ドデシルりゅうさんナトリウム、sodium dodecyl sulfate, SDS, NaDS)とも呼ばれる。硫酸のモノ長鎖アルキルエステルのナトリウム塩である。
乳化剤や発泡剤、洗浄剤として、日用品では歯磨き粉、シャンプー、髭剃りクリーム、泡風呂、リキッドファンデーションなど、医薬品では薬・サプリメントのカプセルなど、工業用としてはガレージのフロア用洗剤、エンジンの油落とし洗剤、洗車用洗剤などの多く用途に使用されている合成化学物質である。12個の炭素原子鎖が硫酸塩に結合した構造を持ち、洗剤に不可欠な両親媒性特性を有する。
目次
- 1 特性
- 2 製法
- 3 人体への影響
- 4 用途
- 5 出典
- 6 外部リンク
特性
- 25℃における純水中の臨界ミセル濃度: 8.2 mM[1]。
- 前項の濃度における凝集数: 62付近[2]。
- ミセル電離度 (α): 0.3 (30%)付近。
- 純粋な水溶液中における光学屈折率増分(dn/dc): 波長532 nmの場合、約0.1070 mL/g。
製法
1-ドデカノール(ラウリルアルコール、CH3(CH2)10CH2OH)を硫酸との脱水縮合によりエステル化した後、炭酸ナトリウムにより中和して合成する。
人体への影響
炎症
清掃用洗剤に含まれる他、歯磨き粉やシャンプー、ボディーソープにも使用される。他のすべての界面活性剤と同じく皮脂を取り除くため、皮膚や眼などに炎症を起こす可能性がある[3][4][5]。特に、眼に入った後は大量の水で洗い流す必要がある。
発癌可能性の論争
1970年代に発癌性が指摘され厚生労働省によって精密な追試が行われたが発癌性は確認されていない。東京都立環境衛生研究所の調査でも毒性は無いとの結論に達している[6]。また、米国化粧品工業会も化粧品原料評価を行い発癌性を否定しており、インターネットやE-mailで流布される発癌性懸念の噂は虚偽であるとのカナダ健康省や米国癌学会(en:American Cancer Society)の見解を紹介している[7]。さらに、2007年現在までIARCやNTPの発癌性リストに載ったことは無い。
科学的、医学的な根拠が示されていないにも関わらず、現在においても発癌性が盛んに主張される背景には、天然石鹸を販売する業者が市販の歯磨き粉や洗剤の中に含まれる危険な成分としてこの物質を紹介しているという事情がある[8]。
用途
実験室では、ラウリル硫酸ナトリウムはポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)用にタンパク質を処理するために使用される。ラウリル硫酸ナトリウムはタンパク質の非共有結合を分離させ、分子の高次構造を失わせる(これは変性と呼ばれる)。さらに、ラウリル硫酸ナトリウムの陰イオンは、1つのラウリル硫酸ナトリウム陰イオンに対し2つのアミノ酸残基の比率で主ペプチド鎖に結び付く。これにより、そのタンパク質の質量に比例した負電荷を効果的に分配する(およそ1.4グラムのラウリル硫酸ナトリウムに対し1グラムのタンパク質)。ラウリル硫酸ナトリウムの結合により生成される静電気反発作用は、タンパク質の折りたたみ構造を棒状構造へと変化させることにより、ゲル中泳動時におけるタンパク質形状の差による影響を取り去る。
出典
- ^ P. Mukerjee and K. J. Mysels, "Critical Micelle Concentration of Aqueous Surfactant Systems", NSRDS-NBS 36, U.S. Government Printing Office, Washington, D.C., 1971.
- ^ N. J. Turro. A. Yekta, J. Am. Chem. Soc., 1978, 100, 5951.
- ^ Agner T. Susceptibility of atopic dermatitis patients to irritant dermatitis caused by sodium lauryl sulphate. Acta Derm Venereol. 1991;71(4):296-300. PMID 1681644
- ^ A. Nassif, S. C. Chan, F. J. Storrs and J. M. Hanifin. Abstract: Abnormal skin irritancy in atopic dermatitis and in atopy without dermatitis. Arch Dermatol. November 1994;130(11):1402. Abstract
- ^ Marrakchi S, Maibach HI. Sodium lauryl sulfate-induced irritation in the human face: regional and age-related differences. Skin Pharmacol Physiol. 2006;19(3):177-80. Epub 2006 May 4. PMID 16679819
- ^ 『東京都立環境衛生研究所年報』 1976年、7巻、122–124頁。
- ^ 米国化粧品工業会 インターネットに飛び交うデマ情報の紹介ページ
- ^ NEWS ZERO 2008年5月15日放送分
外部リンク
- 国際化学物質安全性カード(ラウリル硫酸ナトリウム):国立医薬品食品衛生研究所
Japanese Journal
- メチレンブルー吸光光度法を用いる都市大気エアロゾル中陰イオン界面活性物質の迅速定量
- 曽田 美夏,大河内 博,緒方 裕子,大川 浩和
- 分析化学 62(7), 589-594, 2013
- … 濃度範囲で直線性が高く(平均r=0.996),高感度(検量線傾きの平均1.07 μM−1)の検量線(n=4)が得られた.最適条件を用いたエアロゾル捕集用の石英繊維フィルター水抽出液(ブランク)からのドデシル硫酸ナトリウム(SDS)の添加回収率は94.7±3.3%(n=3),エアロゾルを捕集した石英繊維フィルター水抽出液(実試料)からの添加回収率は92.3±1.5%(n=4),降水試料からの添加回収率は90.8±3.5%(n=3)であっ …
- NAID 130003362071
- ドデシル硫酸ナトリウム-アルミナアドミセルにおける蛍光消光現象を用いる塩化セチルピリジニウムの定量
- 的矢 大輝,齋藤 徹,平出 正孝
- 分析化学 = Japan analyst 61(8), 727-730, 2012-08-05
- A novel method for the sensitive determination of an antimicrobial agent, cetylpyridinium chloride (CPC), in water was developed. Traces of CPC in water were highly concentrated to sodium dodecyl s …
- NAID 10030495412
- ドデシル硫酸ナトリウムを用いたリン酸鉄-セリウムの作製
Related Links
- ラウリル硫酸ナトリウム(ラウリルりゅうさんナトリウム、sodium lauryl sulfate, SLS)は 陰イオン性界面活性剤の1つ。ドデシル硫酸ナトリウム(ドデシルりゅうさんナトリウム、 sodium dodecyl sulfate, SDS, NaDS)とも呼ばれる。硫酸のモノ長鎖アルキル エステル ...
- < №37203 n-ドデシル硫酸ナトリウム >>. 作成日 2003/08/01. 改訂日 2010/02/16. ㌻ 1 / 6. 製品安全データシート. 1.製品及び会社情報. 製品名. : n-ドデシル硫酸ナトリウム . 会社名. : 関東化学株式会社. 住 所. : 〒103-0022 東京都中央区日本橋室町2-2-1 ...
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★リンクテーブル★
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- 68歳の女性。料理の段取りができなくなったことを主訴に来院した。6か月前から料理に時間がかかるようになったが、本人も夫もあまり気にしていなかった。3か月前からそれまで得意にしていた料理がうまくできなくなった。かかりつけ医でうつ病と診断され、抗うつ薬の投与が開始されたが改善せず、ぼーっとしていることが多くなったため紹介され受診した。28歳時に十二指腸潰瘍の既往がある。意識は清明。時間と場所の見当識障害を認める。身長152cm、体重48kg。体温36.3℃。脈拍84/分、整。血圧138/86mmHg。呼吸数20/分。神経学的診察では、脳神経系に異常を認めない。両上肢に軽度の筋トーヌス亢進とミオクローヌスとを認める。四肢筋力低下を認めない。四肢腱反射亢進を認める。感覚障害と小脳失調とを認めない。歩行はやや不安定であるが自力歩行が可能である。血液所見:赤血球410万、Hb 13.0g/dl、Ht 36%、白血球4,500、血小板22万。CRP 0.2mg/dl。検査のため短期入院となった。初診時の頭部MRIの拡散強調像(別冊No.22)を別に示す。
- 対応として正しいのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [107D041]←[国試_107]→[107D043]
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- 英
- sodium lauryl sulfate
- 同
- ドデシル硫酸ナトリウム sodium dodecyl sulfate SDS
[show details]
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ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、SDS
[★]
- 英
- sodium dodecyl sulfate-polyacrylamide gel electrophoresis、SDS-PAGE
- 関
- ポリアクリルアミドゲル電気泳動
[★]
- 英
- sodium sulfate
- 商
- 乾燥硫酸ナトリウム、アスコルビン酸、アストーマ、アスペノン、アプリトーン、アモキシシリン、アモペニキシン、アモリン、アルギスタット、アルフロシン、アレンフラール、アンチレクス、イソパール・P、イノバン、ウレパール、エカテリシン、エクセラーゼ、エクセラーゼ配合、エホチール、エルゴメトリンマレイン酸塩、オーネスSP、オーネスSZ、オーペグ 、カズマリン、ガモファー、カラシミンC、カルデナリン、カルメゾシン、グルコリンS、ケイラーゼA、ケフラール、ケフレックス、ゲンタマイシン、ゲンタロール、コスパノン、コバマミド、コントミン、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ジアイナミックス、シーシーエル、シータック、シェトラゾーナ、ジソピラミド、スクリット配合、セクロダン、セフジトレンピボキシル、セフジニル、セブンイー・P、センセファリン、ダイメジンスリービー、ダウンテンシン、タフマックE、ダラシン、タンチパン配合、テクネMAG3、デトキソール、トキクロル、ドキサゾシン、ドキサゾン、ドパミン塩酸塩、トレキサメット、ドロキシドパ、トロキシン、ニザチジン、ニトレナール、ニトロールR、ニフプラス 、ニフレック配合、ニューロライト、ネオ・エフラーゼ配合、ハイポ、プロモーション
- 関
- 塩類下剤
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- 英
- sodium, natrium, Na
- 関
- Na+
血液(血清)中のナトリウム (臨床検査法提要第32版)
尿中のナトリウム
- <20 mEq/l (正常と判断できる範囲)
- >40 mEq/l (腎性腎不全を示唆)
尿Na,Kと血清Naによる血清Naの予測
- 経口摂取と輸液による自由水の摂取がなければ
- 尿([Na+]+[K+]) < 血清[Na+] → 血清[Na+]上昇
- 尿([Na+]+[K+]) = 血清[Na+] → 血清[Na+]普遍
- 尿([Na+]+[K+]) > 血清[Na+] → 血清[Na+]低下
食品中の食塩量
- ほとんどの製品ラベルに記載されている、ナトリウム[g]はそのまま食塩量[g]と考えることができないので、指導する債には注意を促す。
- 分子量から考えるとNa(23), Cl(35.5)なので、ナトリウムx[g]は食塩 x /23 * (23 + 35.5)、つまり2.54 * x [g]となる。
- 例えば、小生が常食している某社のインスタントラーメンにはナトリウム2[g]との記載があるが、これは5.08gの食塩が含まれているということになる。もちろんスープは全部飲む。1日3袋食べたことがあるのだが、、、
臨床関連
[★]
- 英
- thorium、Th
- 関
- トロトラスト、232Th
概念
- 参考1
- 原子番号:90
- 元素記号:Th
- アクチノイド元素の一つ
- 銀白色の金属。
- 安定同位体は存在しない。
- 北欧神話の軍神または雷神トールにちなんで名づけられた。
同位体
- 参考1
同位体
|
NA
|
半減期
|
DM
|
DE (MeV)
|
DP
|
228Th
|
trace
|
1.9116 y
|
α
|
5.52
|
224Ra
|
229Th
|
syn
|
7340 y
|
α
|
5.168
|
225Ra
|
230Th
|
trace
|
75380 y
|
α
|
4.77
|
226Ra
|
231Th
|
trace
|
25.5 h
|
β
|
0.39
|
231Pa
|
232Th
|
100 %
|
1.405 × 1010 y
|
α
|
4.083
|
228Ra
|
234Th
|
trace
|
24.1 d
|
β
|
0.27
|
234Pa
|
参考
- http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%AA%E3%82%A6%E3%83%A0
[★]
- 英
- acid
- 関
- 塩基
ブランステッド-ローリーの定義
ルイスの定義
[★]
- 英
- sulfuric acid, sulfate
- 関