- 英
- overactive bladder, OAB
- 同
- 過活動膀胱
- 関
- 神経因性膀胱、尿失禁、蓄尿症状
概念
- 蓄尿障害の一種。蓄尿期における排尿筋の過活動により生じる諸症状を呈する病態を表現したもの。
- 症状としては尿意切迫感、頻尿、切迫性尿失禁がある。
- 病因としては神経因性膀胱、非神経因性膀胱に大別される。
定義
- ただし、上記症状を示す明らかな疾患は除外する
- 下部尿路の炎症・感染(例えば、細菌性膀胱炎、間質性膀胱炎、尿道炎、前立腺炎)、下部尿路の新生物(例えば、膀胱癌、前立腺癌)、尿路結石(例えば、膀胱結石、尿道結石)、腹圧性尿失禁、多尿など
病因
- 参考1
- 過活動膀胱の病態は排尿筋の不随意な収縮、すなわち排尿筋過活動
- 神経因性過活動膀胱:下部尿路の支配神経の障害による
- 1. 脳幹部橋排尿中枢より上位の脳障害(脳血管障害、パーキンソン病など)
- 2. 仙髄より上位の核上型脊髄障害(脊髄損傷、多発性硬化症など)、
- 非神経因性過活動膀胱:臨床的に明らかな神経障害がないもの
- 下部尿路閉塞疾患(前立腺肥大症)、加齢、骨盤底筋障害など。
- 大部分は病因が特定できない(特発性過活動膀胱)
治療
- SURO.168
- 1. 脳幹部橋排尿中枢より上位の脳障害:抗コリン薬
- 2. 仙髄より上位の核上型脊髄障害:抗コリン薬服用/カプサイシンの膀注+間欠導尿
- 前立腺肥大症:α1受容体遮断薬 ×抗コリン薬(尿閉)
- 混合性尿失禁を伴うOAB:抗コリン薬
- 特発性:抗コリン薬
ガイドライン?
- http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1030&btnDownload=yes&hdnSeqno=0000005859
国試
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過活動膀胱(かかつどうぼうこう、overactive bladder、OAB)は泌尿器科の疾患であり、膀胱の不随意の収縮による尿意切迫感を伴う排尿障害である。病因に基づき、神経因性OABと非神経因性OABに大別される。
目次
- 1 概要
- 2 治療
- 3 脚注
- 4 参考文献
- 5 関連項目
- 6 外部リンク
概要
尿意切迫感を主症状とし、頻尿、夜間頻尿や、切迫性尿失禁を伴うこともあり、この症状の組み合わせで定義される。この定義は国際禁制学会(International Continence Society ; ICS[1])に基づく[2]。 この用語の使用に関しては、間質性膀胱炎のような他の膀胱疾患でも似た症状が認められるので、依然として論議がある。当初のOABの定義は、一義的に、尿失禁を含むものであった。しかし、頻尿/尿意切迫感がありながら失禁を呈さないも場合でも、これらの症状が間質性膀胱炎の存在を示唆する場合には、OAB患者と呼ぶべきであると提唱されるようになった。実際、多くの泌尿器科医はOABを軽症の間質性膀胱炎と考えている。2006年の後半になって、ESSIC(間質性膀胱炎と膀胱痛症候群の研究に関する欧州学会)が提唱した間質性膀胱炎から膀胱痛症候群への名称変更によって、OABの命名に関する論争はさらに混沌となった。
OABの病因は未解明だが、排尿筋(膀胱平滑筋)の機能異常を含む。 OABは腹圧性尿失禁を含まない。
初期の報告はアメリカ合衆国あるいは欧州における成人人口の約1/6がOABであると見積もっていた[3][4]。 先進国では平均年齢が高齢化しているため、加齢に伴い罹患率が増加するOABは将来さらに一般的な疾患になるであろうと予想されている[3][4]。しかし、最近のフィンランドの集団に基づく調査は年齢層の分布に関する方法論的な欠陥および(初期の調査への)参加者の少なさによって、その罹患率がかなり過大評価されている事を示した[5]。OABは初期に言われていた人口の半分を侵している[5]。
治療
行動療法
OAB初期の第一選択として以下のような行動療法が行われる[2]。
- 生活指導:水分摂取の制限、カフェインの忌避
- 膀胱再訓練:排尿間隔を少しずつ延長させ膀胱容量を増加させる訓練法
- 骨盤底筋訓練
- 排泄介助
薬物療法
OAB治療の根幹であり、抗コリン薬が最も多く利用されるが、ムスカリン受容体遮断による副作用に注意が必要である。
- 抗コリン薬:オキシブチニン、プロピベリン、トルテロジン、ソリフェナシン、イミダフェナシン、プロパンテリン臭化物など。また、フェソテロジン(fesoterodine)が2007年4月に欧州医薬品審査庁(European Medicines Agency)[6]、2008年10月にアメリカ食品医薬品局 (FDA) で承認された[7]。
- 選択的β3アドレナリン受容体作動薬:ミラベグロン
- 塩酸フラボキサート:膀胱平滑筋への作用機序は明らかではないが[2]、頻尿、残尿感などの効能を有する[8]。
- 抗うつ薬:三環系抗うつ薬(イミプラミン、アミノトリプチン、クロミプラミン)には遺尿症や夜尿症の効能を有するものがある[2]。
- レジニフェラトキシン、カプサイシン:脊髄性排尿筋過活動患者の尿失禁に対して、これら薬物の高濃度における無随知覚神経(C線維)の脱感作作用を利用した治療が試みられている[2]。
- ボツリヌストキシン:A型ボツリヌス毒素の膀胱内注入が、難治例で用いられる場合があり、メキシコ、チリ、ベネズエラで承認を受けている他、諸国で試験的に用いられている[9]。
脚注
- ^ “Welcome to the ICS Website”. International Continence Society. 2009年11月22日閲覧。
- ^ a b c d e 三田充男、庄司優「薬剤師のための診療ガイドライン解説:13」、『Credentials』第2巻第11号、日本アルトマーク、2009年11月、 p.p.42-46。
- ^ a b Stewart WF, Van Rooyen JB, Cundiff GW, Abrams P, Herzog AR, Corey R, Hunt TL, Wein AJ. (2003). “Prevalence and burden of overactive bladder in the United States”. World J. Urol. 20 (6): 327-336. doi:10.1007/s00345-002-0301-4. PMID 12811491. http://www.springerlink.com/content/604hqnbmmyh6r1ky/fulltext.pdf 2008年5月14日閲覧。.
- ^ a b Milsom I, Abrams P, Cardozo L, Roberts RG, Thuroff J, Wein AJ (2001). “How widespread are the symptoms of an overactive bladder and how are they managed? A population-based prevalence study”. BJU Int. 87 (9): 760-766. doi:10.1046/j.1464-410x.2001.02228.x. PMID 11412210. Erratum in: ibid. 2001 Nov;88(7):807
- ^ a b Tikkinen KAO, Tammela TLJ, Rissanen AM, Valpas A, Huhtala H, Auvinen A (2007). “Is the Prevalence of Overactive Bladder Overestimated? A Population-Based Study in Finland”. PLoS ONE 2 (2): e195. PMID 17332843. http://www.plosone.org/article/fetchArticle.action?articleURI=info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0000195.
- ^ “平成19年4月-6月に欧米4カ国のいずれかの国で新たに承認された医薬品(類型I) (PDF)”. 厚生労働省. pp. p.2. 2009年11月22日閲覧。
- ^ 「海外で承認された医薬品:6 (PDF) 」 、『JAPIC NEWS』第296号、日本医薬情報センター、2008年12月、 p.p.8、2009年11月22日閲覧。
- ^ “ブラダロン錠200mg:ブラダロン顆粒20%:添付文書 (PDF)”. 日本新薬 (2009年7月改訂). 2009年11月22日閲覧。
- ^ “医薬品インタビューフォーム:ボトックス注50:ボトックス注100 (PDF)”. グラクソ・スミスクライン. pp. p.p.64,67,71 (2009年2月作成). 2009年11月22日閲覧。
参考文献
- IC Patient Handbook
- IC Top Five List of Forbidden Foods
- Diane K. Newman, Alan J. Wein (2004) (英語). Overcoming Overactive Bladder. New Harbinger Pubns Inc. ISBN 978-1572243392.
- Robert M. Moldwin (2000) (英語). The Interstitial Cystitis Survival Guide. New Harbinger Pubns Inc. ISBN 978-1572242104.
関連項目
外部リンク
- Interstitial Cystitis Network
- Cystitis & Overactive Bladder Foundation - UK
- Canada IC & OAB Resource Center
- 2006 IC & PBS On-Line Patient Conference
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Japanese Journal
- 下部尿路機能障害 (特集 骨粗鬆症に併存する他科疾患 : その骨病態と対応)
- 骨粗鬆症治療 = Journal of osteoporotic medicine 14(3), 229-233, 2015-12
- NAID 40020688007
- 診療ガイドラインニュース(Vol.115)過活動膀胱診療ガイドライン第2版
- 高齢女性の過活動膀胱と腹圧性尿失禁 : 薬物療法の広がり (特集 高齢女性の尿失禁治療最前線)
- パーキンソン病の非運動症状 : 排尿障害 (特集 パーキンソン病の最新情報)
- 日本医師会雑誌 = The Journal of the Japan Medical Association 144(8), 1623-1626, 2015-11
- NAID 40020654483
Related Links
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★リンクテーブル★
[★]
- 65歳の女性。尿意切迫感、切迫性尿失禁および夜間頻尿を主訴に来院した。尿所見:蛋白(-)、糖(-)、沈査に赤血球 0~2/1視野、白血球 1~3/1視野。尿量1,000~1,300ml/日、排尿量80~200ml、残尿量10~20ml。昼間排尿回数 8~10回、夜間排尿回数 2、3回。
- 対応として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [103I057]←[国試_103]→[103I059]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [106D016]←[国試_106]→[106D018]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [103I033]←[国試_103]→[103I035]
[★]
- 英
- neurogenic bladder
- ラ
- vesica neurogena
- 同
- 神経原性膀胱、神経障害膀胱 neuropathic bladder
- 関
- 排尿筋、neurogenic urinary bladder
概念
神経系に生じた障害により生じる蓄尿・排尿障害
分類
神経因性膀胱
- IMD SURO.164
橋排尿中枢より上位の障害
|
脳血管障害(脳出血、脳梗塞)、パーキンソン病、認知症、脳外傷、脳腫瘍
|
[橋排尿中枢への抑制が失わる]蓄尿による求心性知覚線維(Aδ)の興奮→(中枢より抑制を受けず)PMCによる排尿指令→仙髄副交感神経中枢による排尿指令→排尿筋収縮
|
蓄尿障害(排尿筋不随意収縮、切迫尿失禁、頻尿)
|
核上脊髄障害
|
脊髄損傷、多発性硬化症、損傷部位に依存して後縦靭帯骨化症、二分脊椎、HAMでも起こる
|
[異常な排尿回路の形成]蓄尿による求心性知覚線維(C)の興奮→(C線維による2つの異常な回路が形成され、求心性知覚情報はここに入力)(1)仙髄副交感神経中枢による排尿指令、(2)オヌフ核による外尿道筋収縮→排尿筋収縮+外尿道筋収縮
|
蓄尿障害(反射性尿失禁)、排尿障害(排尿筋括約筋協調不全)
|
仙髄より下位の神経障害
|
下位脊髄損傷、仙髄以下馬尾神経の障害をきたす二分脊椎、脊髄稽留症候群、腰部脊柱管狭窄症、下位の損傷を起こすような後縦人口骨化症、シャイ・ドレガー症候群、脊髄小脳変性症、多発性硬化症、脊髄癆、HAM
|
|
排尿障害、残尿、尿閉
|
[★]
- 英
- tolterodine
- 化
- 酒石酸トルテロジン, tolterodine tartrate
- 商
- デトルシトール
概念
- 抗コリン薬の一種で、膀胱に選択性の高いムスカリン受容体拮抗薬。
適応
禁忌
- デトルシトールカプセル
用法用量
- デトルシトールカプセル
- 健常成人には酒石酸トルテロジン4mg 1T
- 腎障害、肝障害、CYP3A4阻害のマクロライド系抗生物質・アゾール系抗真菌薬の服用の場合には、酒石酸トルテロジン2mg 1T
[★]
- 英
- mirabegron
- 商
- ベタニス
- 関
- その他の泌尿生殖器官及び肛門用薬。β3アドレナリン受容体、アドレナリン受容体
- 選択的β3アドレナリン受容体作動薬。膀胱平滑筋に新剤するβ3アドレナリン受容体を選択的に刺激することで、膀胱を弛緩させる。これにより過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁を改善する。
- 50mgを1日1回食後に内服する。中等度の肝機能障害患者(Child-Pughスコア7~9)への投与は1日1回25mgから開始。重度の腎機能障害患者(eGFR15~29mL/min/1.73m2)への投与は1日1回25mgから開始
[★]
- 英
- darifenacin
- 化
- 臭化水素酸ダリフェナシン darifenacin hydrobromide
- 関
- 薬物療法として、抗コリン薬、フラボキサート、抗うつ薬などが考えられている
[★]
商品名
会社名
成分
薬効分類
- 選択的β3アドレナリン受容体作動性過活動膀胱治療剤
薬効
[★]
- 英
- Overactive Bladder Symptom Score, OABSS
- 関
- 過活動膀胱
- OABと診断された患者について、その症状の評価に適用される(参考2)
- 2点満点 1項目, 3点満点 1項目, 5点満点 2項目 = 15点満点
- 診断に用いる場合、「問3の点数が2点以上、かつ全体の合計点が3点以上」である場合に過活動膀胱を疑う
- 重症度判定は、5点以下は軽症、6-11点は中等症、12点以上を重症とする。
参考
- http://www.higashino-clinic.com/content/images/oabss.pdf
- 2. OAB.jp|下部尿路機能ポケットマニュアル|過活動膀胱の定義と原因疾患
- http://oab.jp/manual/c03.html
[★]
- 英
- idiopathic overactive bladder, idiopathic OAB
- 関
- 過活動膀胱
[★]
- 英
- non-neurogecic overactive bladder
- 関
- 過活動膀胱
[★]
- 英
- neurogecic overactive bladder
- 関
- 過活動膀胱
[★]
- 英
- urinary bladder (M,N), bladder (Z)
- ラ
- vesica urinaria
- 関
- 膀胱容量
組織
- 粘膜には多くのヒダが存在し、膀胱が伸展すると消える (HIS.388)
- 被蓋細胞+移行上皮細胞 (HIS.388)
血管(M.210)
[★]
- 英
- activity
- 関
- 活性、活性度、活動性、活量