- 英
- postmortem rigidity, rigor mortis
- 同
- 死体硬直 cadaveric rigidity cadaveric spasm、強硬性死体硬直、電撃性死体硬直 instantaneous rigor
- 関
- 早期死体現象
- 死後2-3時間で発現(顎関節、頚関節→上肢関節→下肢関節)。6-8時間で全身の関節に及ぶ。12-15時間で最高となる。死後1日から1日半持続。30-36時間で発現した順序に従って緩解が始まる。夏2-3日、冬4-5日で完全に緩解、消失(SLE.263)
死後硬直に影響を及ぼす要因(SLE.263)
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/05/15 10:49:56」(JST)
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死後硬直(しごこうちょく)とは、死体の筋肉が硬化する現象である。
目次
- 1 機序
- 2 進展
- 3 納棺時の対処
- 4 関連項目
機序
死に伴い筋肉のATPが枯渇すると、筋原線維の収縮タンパクであるアクチン、ミオシンからアクトミオシンを生じて硬化する。
進展
硬直
死後硬直の進展は環境温度等の影響を受けるが、20℃前後では通常死後2~3時間程度経過してから徐々に脳から内臓、顎や首から始まり、死後12時間ほどで大関節,末梢関節などの全身に及ぶ。これらの進行を「下行型硬直」というが,この現象について近年の報告では、筋のタイプ(速筋・遅筋)によって硬直の発現に時間差があり、筋肉質の青壮年者で経過が速く、老人・小児では遅い。
筋肉への酸素の供給が絶たれると好気的な代謝は停止するが、嫌気的な代謝は継続して行われる。つまり筋肉中のATPが消費され、グリコーゲンが嫌気的に分解されて乳酸を生成する。これによって徐々に筋肉のpHが低下する。最低到達pHになると嫌気的な代謝も阻害されるため、それ以下にpHが下がることはない。pHの低下に伴い、筋源繊維タンパク質であるミオシンとアクチンが強く結合してアクトミオシンを生成し、筋肉は硬い状態になる。
また、死後硬直はATPの枯渇により進行するので、体内のATPが通常よりもともと少ない場合、例えば激しい運動で肉体が疲弊している状態のまま死亡した場合などには、硬直は通常より早く始まる。
緩解
死後30時間から40時間程度で徐々に硬直は解け始め、死後90時間後には完全に解ける。緩解時期は、夏は死後2日ほど、冬は4日ほどである。犯罪捜査上、死後硬直の進展状況から死亡推定時刻を割り出す場合があり、法医学的に重要である。硬直は人為的に緩解させることが可能であるが,死後非常に早い時期(4~5時間以内)であれば再硬直が起こりうる。
死後硬直が解ける事を解硬というが、これは筋肉細胞に残存するタンパク質分解酵素プロテアーゼにより筋源繊維が小片化するためであると考えられている(その他にも筋肉中のCa2+(カルシウムイオン)が関与しているとする説もある)。つまり死後の筋肉の硬直と解硬は単に硬くなったものが元に戻るわけではなく、それぞれ別の原理によって行われている。解硬は、言うなれば筋肉組織が崩壊していく事により起こる現象(食肉ではこれを"熟成"と呼ぶ)なので、一度解硬した筋肉が再び「死後硬直で」硬くなる事はない。
ごく稀に、不均一な硬直による筋肉の収縮などで遺体が動き、生き返ったように見えて周囲の人を驚かすこともある。
納棺時の対処
死後半日~1日余りの間はちょうど死後硬直のピークに当たるため、死亡時に手足が曲がっていたり目や口が開いたりしたままの状態で長時間寝かせていた場合、通夜や葬儀に際して姿勢を整えようとしても硬くて動かせない事態がしばしば起こる。死後時間が経ってから手指を胸元で組ませようとする場合も同様である。
また、かつて土葬で樽型の座棺が主流だった時代は、布団に安置した状態から体育座りのように膝を折って納めるため(屈葬)、死後硬直による不都合が発生する頻度も高かった。このような場合、昔は遺族らで強引に関節を折り曲げて納棺するケースも多かったが、近年の葬祭業者は、湯灌や部分加熱で温めながら、筋肉の硬直を解して整える方法をとっている。
関連項目
- 木口小平 - 急激な死後硬直が原因で英雄とされた喇叭手
- 武蔵坊弁慶 - 源義経に仕えた僧兵で、講談等で有名な弁慶の立ち往生は急激な死後硬直が原因とする説がある
- 死後変化
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Japanese Journal
- アオリイカの外套筋の死後硬直に及ぼす保存温度の影響
- 本田 榮子,谷山 茂人,水谷 麻衣子,岡本 昭,横田 桂子,川島 茜,濱田 友貴,橘 勝康
- 日本食品化学学会誌 16(1), 15-19, 2009-04-28
- The influence of temperature on suppression of cadaveric stiffness and contraction ratio in the mantle muscle of the oval squid, preserved at 0 (storage in ice), 5, 10, 15, and 20℃ was investigated. T …
- NAID 110007361210
- 白板 孝朗,田村 亘,石川 哲
- 地方独立行政法人青森県産業技術センター食品総合研究所研究報告 (2), 21-24, 2009
- NAID 40018745967
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- 英
- early postmortem change, postmortem phenomena at early stage
- 関
- 死体現象
早期死体現象
- 死後1-2時間で発現、5-6時間で著明、12-15時間で最高。死後5-6時間以内の体位変化で死斑の移動。8-10時間くらいまでは死斑が移動しうる。死後12時間くらいまでは死斑を圧迫すると消失。死後24時間以降は消退しなくなる(SLE.263)
- 死後2-3時間で発現(顎関節、頚関節→上肢関節→下肢関節)。6-8時間で全身の関節に及ぶ。12-15時間で最高となる。死後1日から1日半持続。30-36時間で発現した順序に従って緩解が始まる。夏2-3日、冬4-5日で完全に緩解、消失(SLE.263)
- 3. 体温の降下(死体冷却) → 低体温の場合がある。
- 死体の直腸温:死後1-2時間は殆ど低下しない。10-12時間までは直線的かつ急激に低下。以降、気温とゆるかやに平衡に達する。(SLE.265)
- 1時点測定法:死後10時間までは1時間あたり1度低下、10-20時間までは0.5時間低下するとして推定。夏:1.4倍、冬:0.7倍、太った人:1.2倍、やせた人:0.8倍。(SLE.266)
- 4. 角膜混濁:24時間以降に顕著
- 5. 死体の乾燥(表皮の乾燥)
- 6. 眼圧の低下
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- 英
- postmortem、post mortem、post mortem