- 英
- chronic inflammation
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炎症(えんしょう)とは、生体が何らかの有害な刺激を受けた時に免疫応答が働き、それによって生体に出現した症候である。さらにその免疫応答の結果によって生じる病理学上の変化を示す病理学用語でもある。
目次
- 1 概要
- 2 歴史
- 3 経過
- 4 分類
- 5 種類
- 6 関連項目
概要
外傷や熱傷などの物理的要因や、感染、アレルギー反応によって引き起こされる、発赤;rubor、熱感;calor、腫脹;tumor、疼痛;dolorを特徴とする症候である。これらの特徴を「炎症の4徴候」という。また、機能障害を含めて「炎症の5徴候」ともいう。 発赤や熱感は当該部位の血管が拡張することにより生じる血流の増加が原因である。腫脹・疼痛は血管透過性が亢進して浮腫ができたり、C線維を刺激することで内因性発痛物質が出現することによる。
歴史
ローマ時代の医学者であるセルサスによれば、上記の4徴候は太古の昔より知られていたという。機能障害は1858年に病理学者のルドルフ・ルートヴィヒ・カール・ウィルヒョーによって炎症の定義に加えられた。その弟子、ユリウス・コーンヘイムは「炎症は血管にまつわる反応である」として白血球が血管から遊離し、局所循環障害を引き起こすことを提唱した。ヘルマン・ブルーハーフェは炎症巣には過剰の血液があるとし、ジョン・ハンターは動物実験を用い、炎症は圧力、摩擦、熱、寒冷などの原因に対する生体反応であり、病気ではなく障害を受けた局所の機能回復としての有益な反応であることに気づいて炎症の発赤部では、血管が拡張し、血流が早くなったり、化膿は小血球が血管外に出ることや炎症では血漿の滲出が起こる事なども発見した。イリヤ・メチニコフは、「マクロファージの貪食能が防衛反応に重要」であるとし、異物の排除機構を提唱した。ヴェーリー・メンキンは身体細胞を侵す刺激に対して、高等動物が現す防衛反応の一つとした。これは炎症時にリウコタキシン(血管透過因子)、LPF(白血球増多因子)、ネクロシン(炎症部の組織障害因子)、パイレキシン(発熱因子)等の化学的因子が発生することで、局所を犠牲にして全身を守るという免疫学的なシステムである。ロベルト・ルスルは、非経口的消化を提唱する。フレデリック・フォーリーは、血管にカテーテルを炭素静注し炎症・血管透過性を上昇させサイトカイン・接着分子の関与を証明した。林秀雄は刺激物質に対して末梢血管が一度収縮してから拡張することを観察し、充血後に血管透過性が亢進し白血球浸潤が起こることを観察した。
経過
- 炎症の第1期
- 刺激を受けることにより、まずその付近の血管が一時的に収縮する。その後血管が拡張し血管透過性が向上する。直後には血漿等、血液の液体成分が漿液として滲出し、炎症性水腫となる。
- 炎症の第2期
- ついで、白血球が血管内皮に接着し、血管外へと滲出し、病巣へ移動する。この移動を遊走という。初期に滲出するのは好中球であり、ついで単球、リンパ球である。これらが感染を防ごうとする。
- 炎症の第3期
- 急性炎症では刺激が無くなると回復する。損傷した部位は肉芽の形成や血管の新生により回復する。炎症が長期に渡ったり、慢性化したりすると好中球の核の左方移動が起こる。
分類
- 形態学的分類
- 変質性炎症、浸出性炎症、増殖性炎症
- 経過による分類
- 急性炎症、亜急性炎症、慢性炎症
急性炎症
急性炎症(きゅうせいえんしょう)は炎症のうち、細菌に感染してすぐの状態。微小循環系の反応である。臨床的には7日程度以内の炎症である。
血漿成分と好中球が炎症部に送られ、血管反応により毛細血管などが拡張し充血が起こって、3~4週間以上の経過で血管の透過性が亢進し循環障害と滲出現象が強く出る。この時点で炎症性浮腫という炎症時の局所の浮腫が起こる。
ここで滲出物中に腐敗菌の混合感染がおこると悪臭のある膿汁がつくられて、壊疸性炎症が起きる。
血管内の好中球は、血管外へ遊出すると、アメーバ運動をしながら炎症部へ進んで防衛反応を起こす。
転帰としては完全治癒(滲出液の吸収により、不溶性フィブリンや破壊された細胞が酵素による消化やマクロファージの貪食作用によって取り除かれ、浸潤した好中球の多くはアポトーシスによって死滅)→瘢痕治癒(欠損組織が多い場合、線維芽細胞、マクロファージ、新生血管が肉芽組織を形成して瘢痕組織となって、欠損部を補う)→膿瘍治癒(化膿菌感染が炎症部位に起こった場合に起こる)→慢性炎症
病理像として、好中球を多く認め、その他に食細胞が出現し血管反応や滲出が起こる。
東洋医学では五臓の風寒(五臓の急性炎症等)と呼ばれるものに含まれる。
慢性炎症
慢性炎症(まんせいえんしょう)は、炎症のうち、進行が緩やかに持続するもの。臨床的には1週間以上の炎症である。
炎症症状や血管の充血があり、原因となる刺激が除去されると成長が止まる。結核・梅毒・癩などの特殊な肉芽腫を形成するものが含まれる。循環障害 ・ 滲出は急性炎症に比べて軽い。形質細胞が関与している。
病理像としてリンパの浸潤が見られ、さらに線維芽細胞といった急性炎症の組織増生で出現する細胞が多く見られる。
種類
- 急性炎症
- 変質性炎症(実質性炎症)
- 滲出性炎症(浸出性炎症、血管性炎症)
- 漿液性炎症
- 線維素性炎症
- 化膿性炎症
- カタル性炎症
- 出血性炎症
- 腐敗性炎症(壊疽性炎症、壊死性炎症)
- 慢性炎症
- 増殖性炎症
- 肉芽腫性炎症
- 特異性炎症(特殊性炎症)
- 結核
- 梅毒
- ハンセン病
- サルコイドーシス
- 野兎病
- ブルセラ症
- 腸チフス
- その他真菌症
関連項目
- 病理学/口腔病理学
- 医学/歯学
- 出血/疼痛
- 医師/歯科医師/臨床検査技師
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Japanese Journal
- CMTと炎症性ニューロパチー (特集 シャルコー・マリー・トゥース病)
- Tocilizumabにより臨床的・内視鏡的寛解が得られた消化管アミロイドーシスの1例
Related Links
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- 炎症の慢性化機構の解明と制御 - 炎症の慢性化機構の解明と制御.
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- 次の文を読み、58~60の問いに答えよ。
- 57歳の男性。便潜血検査で異常を指摘され精査のため来院した。
- 現病歴:50歳時に大腸ポリープで内視鏡的切除術を受けた。その後、特に症状を認めないためそのままにしていた。先日、同僚が大腸癌で手術を受けたため、自分も癌ではないかと気になり自宅近くの診療所を受診した。尿検査、血液検査および腹部超音波検査で異常はなく、便潜血検査で陽性を指摘され受診した。
- 既往歴:28歳時に急性虫垂炎で手術。
- 生活歴:喫煙は20本/日を25年間。飲酒はビール350ml/日を35年間。2年前から禁煙、禁酒している。
- 家族歴:父親が大腸癌のため89歳で死亡。
- 現症:身長165cm、体重67kg。体温36.6℃。脈拍72/分、整。血圧130/84mmHg。呼吸数14/分。右下腹部に軽度の圧痛と手術後の瘢痕とを認める。筋性防御と反跳痛とを認めない。腫瘤を触知しない。
- 検査所見:血液検査:赤血球420万、Hb 13.4g/dl、Ht 42%、白血球8,200、血小板28万。血液生化学所見:総蛋白7.2g/dl、アルブミン3.8g/dl、総コレステロール230mg/dl、AST 36IU/l、ALT 36IU/l。CRP 0.03mg/dl。これまでの臨床経過と既往歴から下部消化管内視鏡検査を行った。下行結腸の内視鏡像(別冊No.6)を別に示す。
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[正答]
※国試ナビ4※ [104D012]←[国試_104]→[104D014]
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- 英
- microcytic hypochromic anemia
- 同
- 低色素性小球性貧血???
- 関
- 貧血、小球性貧血
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検査値
貧血
- 原発性(先天性、獲得性)
- 二次性
- ピリドキシン反応性
鉄剤が無効な代表的な小球性低色素性貧血
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- 英
- acute inflammation
- 関
- 慢性炎症、炎症
- vascular change(BPT.33)
- celluler event(BPT.33)
[★]
- 英
- chronic inflammatory demyelinating polyradiculoneuropathy, chronic inflammatory demyelinating polyneuropathy, CIDP
- 同
- 慢性炎症性脱髄性多発根神経炎、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、慢性炎症性脱髄性多発性根神経障害、慢性炎症性脱髄性多発神経障害、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎
- 関
- 難病
[show details]
概念
病因
- 末梢神経ミエリンの構成成分に対する免疫異常に基づく自己免疫性疾患と考えられている。
uptodateの見解
- 参考2
- CIDPが単一の疾患なのか症候群なのかは議論が分かれるところである。以下の疾患はいずれも慢性、脱髄、炎症、あるいは免疫の媒介(immune-mediation)を共通に有する (略) (以下、鑑別疾患に上げられると思われるため、列挙。現時点でのCIDPの疾患概念はとにかく原因不明ということ)
- CIDP
- 多巣性運動ニューロパチー、multifocal motor neuropathy、MMN
- Lewis-Sumner症候群、Lewis-Sumner syndrome、MADSAM
- IgM異常蛋白をともなう遠位脱髄性神経炎±抗MAG抗体、distal demyelinating neuropathy with IgM paraprotein, with or without anti-myelin associated glycoprotein
- IgG, IgA異常蛋白をともなう脱髄性神経炎、demyelinating neuropathy with IgG or IgA paraprotein
- POEMS症候群、POEMS syndrome
- 感覚優位型脱髄性神経炎、sensory predominant demyelinating neuropathy
- 中枢神経系の脱髄を伴う脱髄性神経炎、demyelinating neuropathy with central nervous system demyelination
- その他の膠原病・血管炎、甲状腺中毒症、臓器移植・骨髄移植、遺伝性ニューロパチー、ネフローゼ症候群、炎症性腸疾患。
- 全身疾患に関連する脱髄性神経炎:B型肝炎、C型肝炎、HIV感染、リンパ腫、糖尿病、全身性エリテマトーデス
検査
診断基準
- 参考1
- 診断:( 1.の1)2) ) and ( 2.の1) ) and ( 2.の2)~5)のうち1つ )
主要項目
1. 発症と経過
- 1) 2ヶ月以上の経過の、寛解・増悪を繰り返すか、慢性進行性の経過をとる多発ニューロパチーである。
- 2) 当該患者の多発ニューロパチーを説明できる明らかな基礎疾患、薬物使用、毒物への曝露がなく、類似疾患の遺伝歴がない。
2. 検査所見
- 1) 末梢神経伝導検査で、2本以上の運動神経において、脱髄を示唆する所見を示す。(伝導速度の低下、伝導ブロックまたは時間的分散の存在、遠位潜時の延長、F波欠如または最短潜時の延長)
- 2) 脳脊髄液検査で、蛋白増加をみとめ、細胞数は10/mm3未満である。
- 3) 免疫グロブリン大量療法、副腎皮質ステロイド薬、血液浄化療法、その他の免疫療法などにより改善を示した病歴がある。
- 4) MRIで神経根あるいは馬尾の肥厚または造影所見がある。
- 5) 末梢神経生検で脱髄を示唆する所見がある。
鑑別診断
治療
参考
- 1. 慢性炎症性脱髄性多発神経炎(公費対象) - 難病情報センター
- http://www.nanbyou.or.jp/entry/333
- 2. [charged] Chronic inflammatory demyelinating polyneuropathy: Etiology, clinical features, and diagnosis - uptodate [1]
- 3. [charged] Chronic inflammatory demyelinating polyneuropathy: Treatment and prognosisFind Print Email - uptodate [2]
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- 英
- chronic inflammatory demyelinating polyneuropathy
- 関
- 慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー
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- 英
- chronic inflammatory disease
- 関
- 慢性炎症性疾患
[★]
- 英
- inflammation
- 同
- 炎症反応 inflammatory reaction
- 関
- 急性炎症による有害な刺激物が除去され組織が修復されるが、障害が続けば慢性炎症となる。
主徴 (BPT.32)
原因
- ウイルス、リケッチア、細菌、真菌、原虫、寄生虫
- 日光、放射線物質、電気的刺激、摩擦
- 酸・アルカリ
- 壊死物
- 異物
- 免疫学的な刺激(アレルギー、自己免疫疾患)
分類
- 比較的短期間で終了し滲出と好中球浸潤が主体
- 長時間持続し、組織増殖とリンパ球・組織球浸潤が主体
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急性炎症
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慢性炎症
|
概要
|
滲出性病変が主体
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増殖性変化が主体
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経過
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急性・一過性
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遷延性・潜行性
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血管
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血管透過性亢進
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血管新生
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間質組織
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充血・浮腫
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線維芽細胞・血管・間質結合組織の増生
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浸潤細胞
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好中球→マクロファージ→リンパ球
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急性炎症 (BPT.33)
- vasolilation
- increased vascular permeability
- cellular recruitment and activation
慢性炎症
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- 英
- sis, pathy
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- 英
- chronicity
- 関
- 慢性的、慢性型