ロフラゼプ酸エチル
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ロフラゼプ酸エチル
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IUPAC命名法による物質名 |
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IUPAC名 ethyl- 9-chloro- 6-(2-fluorophenyl)- 3-oxo- 2,5-diazabicyclo [5.4.0]undeca- 5,8,10,12- tetraene- 4-carboxylate |
臨床データ |
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胎児危険度分類 |
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法的規制 |
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投与方法 |
経口 |
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薬物動態データ |
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生物学的利用能 |
? |
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代謝 |
肝臓- CYP3A4 |
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半減期 |
122時間 |
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排泄 |
腎臓 |
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識別 |
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CAS番号
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28911-01-5 |
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ATCコード |
N05BA18 (WHO) |
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PubChem |
CID: 3299 |
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DrugBank |
? |
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KEGG |
D01293 |
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化学的データ |
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化学式 |
C18H14ClFN2O3 |
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分子量 |
360.7 |
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メイラックス錠1mg(Meiji Seika ファルマ株式会社)
メイラックス錠2mg(Meiji Seika ファルマ株式会社)
ロフラゼプ酸エチル (ethyl loflazepate) は、ベンゾジアゼピン系の緩和精神安定剤、抗不安薬の一種。日本では、1989年よりメイラックスという商品名で、明治製菓(現Meiji Seika ファルマ)より発売され、適応は神経症や心身症における不安・緊張・抑うつ・睡眠障害である。
連用により依存症、急激な量の減少により離脱症状を生じることがある[1]。向精神薬に関する条約のスケジュールIVに指定されている。麻薬及び向精神薬取締法の第三種向精神薬である。
薬理特性
ベンゾジアゼピン系の中では特に作用時間が長く、作用もやや強い。血中半減期は60~300時間の超長時間作用型である。鎮静作用、意識水準の低下、筋弛緩作用はやや弱い反面、抗けいれん作用や抗コンフリクト作用が強い。抗コンフリクト作用は5mg/kgで認められ、その強度はジアゼパムの2倍、ロラゼパムの8倍である。
適応
日本で承認されている適応は、心身症や神経症における不安、緊張、抑うつ、睡眠障害である。
ガイドライン
長時間作用型のベンゾジアゼピンは高齢者に使用すべきではない[2]。
研究事例
現在、パキシルとともに、耳鳴りの治療薬としての効果が注目されている[3]。耳鳴りは、現在は、ステロイド、アデホス、メコバラミンしか対処薬がなく、その効果もさほどではない。治療効果があれば、耳鳴りの患者への福音となりうる。
注意
日本では2017年3月に「重大な副作用」の項に、連用により依存症を生じることがあるので用量と使用期間に注意し慎重に投与し、急激な量の減少によって離脱症状が生じるため徐々に減量する旨が追加され、厚生労働省よりこのことの周知徹底のため関係機関に通達がなされた[1]。奇異反応に関して[4]、錯乱や興奮が生じる旨が記載されている[1]。医薬品医療機器総合機構からは、必要性を考え漫然とした長期使用を避ける、用量順守と類似薬の重複の確認、また慎重に少しずつ減量する旨の医薬品適正使用のお願いが出されている[5]。調査結果には、日本の診療ガイドライン5つ、日本の学術雑誌8誌による要旨が記載されている[4]。
以下は添付文書の記載であり、頻度は臨床期間のものであり、より長期の使用では異なる。
一般的注意
眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、自動車や機器の操作運転は従事しない。自分の判断で勝手に服用を中止したりしない。アルコールとの併用は、神経抑制作用とアルコールの酩酊作用を増強するため危険。
禁忌事項
(以下の場合は投与しない)
- 同種薬に対して過敏症の既往症がある場合。
- 急性狭隅角縁内障のある患者。
- 重症筋無力症患者。
副作用
まれに幻覚、呼吸抑制が現れることがある。(0.1%未満)
ジェネリック医薬品
現在は、ロフラゼプ酸エチル錠「会社名」に統一されている。過去には各社から以下の名称で販売されていた。
- メデタックス(沢井製薬)
- ジメトックス(三和化学研究所→日医工)
- スカルナーゼ(東和薬品)
- ロンラックス(シオノケミカル-テバ製薬-マイラン製薬)
出典
注釈・出典
- ^ a b c 厚生労働省医薬・生活衛生局安全対策課長, “催眠鎮静薬、抗不安薬及び抗てんかん薬の「使用上の注意」改訂の周知について (薬生安発0321第2号)” (pdf) (プレスリリース), https://www.pmda.go.jp/files/000217230.pdf 2017年3月25日閲覧。 、および、“使用上の注意改訂情報(平成29年3月21日指示分)”. 医薬品医療機器総合機構 (2017年3月21日). 2017年3月25日閲覧。
- ^ 日本医師会、日本老年医学会『超高齢化社会におけるかかりつけ医のための適正処方の手引き』(pdf)日本医師会、2017年9月。
- ^ 「耳鳴りに対するSSRIの治療効果に関する検討」『Audiology Japan』第54巻第5号、2011年9月、 327-328頁、 doi:10.4295/audiology.54.327、 NAID 10029741840。
- ^ a b 医薬品医療機器総合機構 (2017年2月28日), “調査結果報告書” (pdf) (プレスリリース), 医薬品医療機器総合機構, http://www.pmda.go.jp/files/000217061.pdf 2017年3月25日閲覧。
- ^ 医薬品医療機器総合機構 (2017-03). “ベンゾジアゼピン受容体作動薬の依存性について” (pdf). 医薬品医療機器総合機構PMDAからの医薬品適正使用のお願い (11). https://www.pmda.go.jp/files/000217046.pdf 2017年3月25日閲覧。.
関連項目
- ベンゾジアゼピンの長期的影響
- グレープフルーツジュース — 本剤との相互作用がある。
抗不安薬 (N05B) |
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GABAA PAMs |
ベンゾジアゼピン |
アジナゾラム アルプラゾラム Bretazenil ブロマゼパム Camazepam クロルジアゼポキシド クロバザム クロナゼパム クロラゼプ酸 クロチアゼパム クロキサゾラム ジアゼパム ロフラゼプ酸エチル エチゾラム フルジアゼパム Halazepam Imidazenil Ketazolam ロラゼパム メダゼパム Nordazepam Oxazepam ピナゼパム プラゼパム トフィソパム | カルバミン |
エミルカメート メブタメート メプロバメート (Carisoprodol, Tybamate) フェンプロバメート エキパックス | 非ベンゾジアゼピン |
アベカルニル アジピプロン アルピデム CGS-9896 CGS-20625 ジバプロン ELB-139 Etifoxine ファシプロン GBLD-345 Gedocarnil ICI-190,622 L-838,417 NS-2664 NS-2710 オシナプロン パゴクロン Panadiplon Pipequaline RWJ-51204 SB-205,384 SL-651,498 TP-003 TP-13 TPA-023 Tracazolate Y-23684 ZK-93423 | その他 |
クロルメザノン エタゾレート エタノール (アルコール) Kavalactone (カヴァカヴァ) タツナミソウ属 吉草酸 (セイヨウカノコソウ) |
| α2δ VDCC Blockers |
ガバペンチン プレガバリン | 5-HT1A作動薬 |
アザピロン系: ブスピロン ゲピロン タンドスピロン; Others: Flesinoxan Oxaflozane | H1 拮抗薬 |
Diphenylmethanes: Captodiame ヒドロキシジン; Others: Brompheniramine クロルフェニラミン Pheniramine | CRF1 拮抗薬 |
Antalarmin CP-154,526 Pexacerfont Pivagabine | NK2 拮抗薬 |
GR-159,897 Saredutant | MCH1 拮抗薬 |
ATC-0175 SNAP-94847 | mGluR2/3 作動薬 |
エグルメガド | mGluR5 NAMs |
フェノバム | TSPO 作動薬 |
DAA-1097 DAA-1106 Emapunil FGIN-127 FGIN-143 | σ1 作動薬 |
Afobazole Opipramol | Others |
Benzoctamine Carbetocin Demoxytocin メフェノキサロン オキシトシン Promoxolane トリメトジン WAY-267,464 |
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Japanese Journal
- ロフラゼプ酸エチル(メイラックス)による多形紅斑型薬疹の1例
- 抗不安薬メイラックス(ロフラゼプ酸エチル)の代謝に関与するヒト肝チトクロムP450(CYP)分子種の同定--選択的セロトニン再取り込み阻害薬デプロメール(マレイン酸フルボキサミン)との併用をふまえた代謝的相互作用発現に関する考察
- 神経症・心身症治療薬 ロフラゼプ酸エチル(メイラックス) (特集 向精神薬の販売動向と新薬開発)
Related Pictures
Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
メイラックス細粒1%
組成
- メイラックス細粒1%は、1g中に下記の成分を含有する。
有効成分
添加物
- 乳糖水和物、ヒドロキシプロピルセルロース、ステアリン酸マグネシウム
禁忌
- ベンゾジアゼピン系薬剤に対して過敏症の既往歴のある患者
- 急性狭隅角緑内障のある患者[眼圧が上昇し、症状が悪化するおそれがある。]
- 重症筋無力症のある患者[筋弛緩作用により症状が悪化するおそれがある。]
効能または効果
- ○神経症における不安・緊張・抑うつ・睡眠障害
- ○心身症(胃・十二指腸潰瘍、慢性胃炎、過敏性腸症候群、自律神経失調症)における不安・緊張・抑うつ・睡眠障害
- 通常、成人には、ロフラゼプ酸エチルとして2mgを1日1〜2回に分割経口投与する。
なお、年齢、症状に応じて適宜増減する。
慎重投与
- 心障害のある患者[症状が悪化するおそれがある。]
- 肝障害、腎障害のある患者[血中濃度が上昇するおそれがある。]
- 脳に器質的障害のある患者[作用が強くあらわれることがある。]
- 高齢者[「高齢者への投与」の項参照]
- 乳児、幼児、小児[「小児等への投与」の項参照]
- 衰弱患者[作用が強くあらわれる。]
- 中等度又は重篤な呼吸不全のある患者[症状が悪化するおそれがある。]
重大な副作用
- 大量連用により、薬物依存(0.1%未満)を生じることがあるので、観察を十分に行い、用量を超えないよう慎重に投与すること。また、大量投与又は連用中における投与量の急激な減少ないし投与の中止により、痙攣発作(0.1%未満)、せん妄、振戦、不眠、不安、幻覚、妄想等の離脱症状(0.1%未満)があらわれることがあるので、投与を中止する場合には徐々に減量するなど慎重に行うこと。
- 統合失調症等の精神障害者、高齢者への投与により逆に刺激興奮、錯乱(0.1%未満)等があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 幻覚(0.1%未満)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 呼吸機能が高度に低下している患者に投与した場合、呼吸抑制(0.1%未満)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
薬効薬理
- 本薬は質的にはジアゼパムなどのベンゾジアゼピン系薬剤に共通した中枢神経作用を有しているが、その作用強度や薬理学的プロフィールは他のベンゾジアゼピン系薬剤とは異なっている。鎮静作用、意識水準の低下、筋弛緩作用及び協調運動抑制作用は比較的弱い反面、抗痙攣作用や抗コンフリクト作用が強い点が特徴的である。
抗コンフリクト作用17)
- 抗コンフリクト作用は5mg/kgで認められ、その強度はジアゼパムの2倍、ロラゼパムの8倍であった(ラット)。
馴化静穏作用17)
- 嗅球摘出及び中脳縫線核破壊により誘発される攻撃行動(muricide)に対する抑制作用は、それぞれロラゼパムの1/6及び1/3で、ジアゼパムとほぼ同等であった(ラット)。
抗痙攣作用17)
- 抗ペンテトラゾール痙攣作用はロラゼパムと同等で、ジアゼパムの7倍であった(マウス)。
麻酔・睡眠増強作用17,18)
- チオペンタール麻酔増強作用はロラゼパムの1/4で、ジアゼパムの1/2であった(マウス)。
ベンゾジアゼピン系睡眠導入薬で特に強く発現するクロルプロチキセン睡眠増強作用は弱く、ニトラゼパムの1/14であった(マウス)。
筋弛緩作用・協調運動抑制作用17,18)
- 傾斜板法による筋弛緩作用はジアゼパムとほぼ同等であった(マウス)。回転棒法による協調運動抑制作用は極めて弱く、ロラゼパムの1/7で、ジアゼパムの1/4であった(マウス)。
運動系機能に及ぼす影響18)
- 脊髄多シナプス反射及び後根反射電位並びに除脳固縮による頸部筋放電に対する作用は、いずれもジアゼパムより弱かった(ネコ)。
有効成分に関する理化学的知見
性 状
- ロフラゼプ酸エチルは白色の結晶性の粉末でにおいはない。
本品はジメチルスルホキシドに溶けやすく、アセトン又はクロロホルムにやや溶けやすく、アセトニトリル、酢酸(100)又は酢酸エチルにやや溶けにくく、エタノール(95)、エーテル又はトルエンに溶けにくく、水、ヘキサン又はヘプタンにほとんど溶けない。
本品は旋光性を示さない。
一般名
- ロフラゼプ酸エチル Ethyl Loflazepate
化学名
- ethyl 7-chloro-5-(o-fluorophenyl)-2,3-dihydro-2-oxo-1H-1,4-benzodiazepine-3-carboxylate
分子式
分子量
融 点
分配係数
- (log10 1-オクタノール層/水層、20±5℃)
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- climacteric disturbance, climacteric disturbance disorder
- 同
- 更年期症候群 menopausal syndrome
- 関
- 閉経症候群
原因
- 閉経の2年前からエストロゲンの分泌低下、FSH・LHの分泌亢進
症状
除外すべき疾患
- 甲状腺機能低下症
- 精神疾患:うつ病
- 耳鼻科:メニエール病
検査
2. 自覚的評価法
治療
治療方針
- a. ホルモン補充療法
- b. ホルモン補充療法 + 漢方薬
- c. 漢方薬:
- d. 精神安定薬
- e. 心理療法、カウンセリング、運動療法
1. 薬物療法
- 卵胞ホルモン:結合型エストロゲン、17βエストラジオール(17β-E2)、エストリオール(E3)(萎縮性膣炎)
- 黄体ホルモン:酢酸メドロキシプロゲステロン(MPA)
- 絶対禁忌:エスロトゲン依存性悪性腫瘍(糸球体癌、乳癌)またその疑いのあるもの、重症肝機能障害、血栓疾患
- 相対禁忌:エスロトゲン依存性良性腫瘍(子宮筋腫、子宮内膜症、良性乳腺疾患)、下垂体腫瘍、高血圧、糖尿病、不正性器出血
2. 心理療法 カウンセリング
処方
-
- 抗鬱症状に自律神経失調症状を伴う場合:SSRI, SNRI
予後
国試
[★]
- 英
- hypnotic, hypnotics
- 同
- 催眠薬 somnifacient
- 関
- 睡眠、薬理学、睡眠障害、中枢神経抑制薬
- 正常な睡眠と同じような中枢作用を示す薬
- http://www.gifuyaku.or.jp/fumin.pdf
- http://www.tokyo-med.ac.jp/pharmacol/pdf/news_suimin0910.pdf
- http://mentalsupli.com/medication/sleeping-drug/summary-sleeping-drug/sleep-choice/
- http://seseragi-mentalclinic.com/sleepingdrug/
睡眠薬
- (1) 薬物依存性が高い、(2) REM睡眠が短縮しやすい、(4) 過量により急性中毒→抗痙攣薬、抗てんかん薬としての適応
分類
-
-
- ω2受容体への作用が弱く、転倒リスクが少ない。高齢者の筋弛緩作用に関与。反跳性不眠が比較的少ない。
- 持ち越し効果に注意。逆に、抗不安作用を期待して使用することも
-
- flutoparazepam
- fluurazepam
- rilnazafone
投与制限
睡眠障害
- 睡眠障害の型に合わせた処方
- 何で眠れないのか聴取。身体的要因、環境整備、
- 睡眠障害の型を聴取する。
[★]
- 英
- ethyl loflazepate
- 関
- ジメトックス、スカルナーゼ、メイラックス、メデタックス、ロンラックス
[★]
- 英
- rack
- 関
- 試験管立て