ジノプロスト、ジノプロストン
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Japanese Journal
- 腹部外科手術後の腸管麻痺に対するプロスタルモンF(PGF2α)の使用経験
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
プロスタルモン・F注射液1000
組成
成分
含量
容量
添加物(1アンプル中)
- クエン酸ナトリウム水和物0.3mg、酢酸ナトリウム水和物3.4mg、等張化剤、pH調節剤
禁忌
本剤を妊娠末期における陣痛誘発、陣痛促進、分娩促進の目的で使用するにあたって
- 骨盤狭窄、児頭骨盤不均衡、骨盤位等の胎位異常のある患者〔正常な経腟分娩が進行せず、母体及び胎児への障害を起こすおそれがある。〕
- 全前置胎盤〔胎盤が胎児より先に娩出され、胎児への危険性が予想される。〕
- 気管支喘息又はその既往歴のある患者〔気管支を収縮させ気道抵抗を増加し、喘息発作を悪化又は誘発するおそれがある。〕
- オキシトシン、ジノプロストン(PGE2)を投与中の患者(「相互作用」の項参照)
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
本剤を腸管蠕動亢進の目的で使用するにあたって
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- 気管支喘息又はその既往歴のある患者〔気管支を収縮させ気道抵抗を増加し、喘息発作を悪化又は誘発するおそれがある。〕
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人
(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)
本剤を治療的流産の目的で使用するにあたって
- 前置胎盤、子宮外妊娠等で、操作により出血の危険性のある患者〔経腟分娩ができず、大量出血のおそれがある。〕
- 骨盤内感染による発熱のある患者〔炎症、感染を増悪させるおそれがある。〕
- 気管支喘息又はその既往歴のある患者〔気管支を収縮させ気道抵抗を増加し、喘息発作を悪化又は誘発するおそれがある。〕
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
効能または効果
I.静脈内注射投与
- 1.妊娠末期における陣痛誘発・陣痛促進・分娩促進
- 2.下記における腸管蠕動亢進
- ●胃腸管の手術における術後腸管麻痺の回復遷延の場合
- ●麻痺性イレウスにおいて他の保存的治療で効果が認められない場合
II.卵膜外投与
I.注射投与
妊娠末期における陣痛誘発・陣痛促進・分娩促進には
*点滴静注
- 本剤1mLに5%ブドウ糖注射液または糖液を加えて500mLに希釈し、通常ジノプロストとして0.1μg/kg/分の割合で点滴静注する。なお、希釈する輸液の量及び種類は患者の状態に応じて適切に選択する。
*シリンジポンプによる静注(持続注入)
- 本剤1mLに生理食塩液を加えて50mLに希釈し、通常ジノプロストとして0.1μg/kg/分(0.05〜0.15μg/kg/分)の割合で静注する。
- 症状により適宜増減する。
腸管蠕動亢進には
- 通常1回ジノプロストとして1,000〜2,000μg(本剤1〜2mL)を輸液500mLに希釈し、1〜2時間(10〜20μg/分の投与速度)で1日2回静脈内に点滴注射する。
- 本剤の投与は、手術侵襲の程度ならびに他の処置などを考慮して慎重に行うこと。
- 3日間投与しても効果が認められないときは直ちに投与を中止し他の療法にきりかえる。
- 症状、体重により適宜増減する。
II.卵膜外投与
治療的流産には
妊娠12週以降
- 本剤1mLに生理食塩液を加え4mLに希釈し、この液を子宮壁と卵膜の間に数回に分け注入投与する。
薬液注入カテーテルの固定
- 通常フォーリーカテーテルを用いる。カテーテルを子宮頸管を通じ挿入、カテーテルのバルーン部が子宮口を通過して、子宮下部まで到達した後、バルーン部に生理食塩液を充満、内子宮口を閉鎖し、カテーテルの脱出と腟への薬液漏出を防止する。次にカテーテルを大腿部内側ヘテープで固定する。
薬液の注入
初回量
- 希釈液(ジノプロスト250μg/mL)1mLを注入し、薬液がカテーテル内に残らないように引き続きカテーテルの内腔量を若干上回る生理食塩液を注入する(通例、16号カテーテルでは約3.5mL)。
2回目以降
- 本剤の2回目以降の注入投与は、原則として2時間ごとに希釈液3〜4mL(750〜1,000μg)を反復投与するが、初回投与による子宮収縮、その他の反応が強すぎる場合には、次回の投与量を2mL(500μg)に減量または4時間後に投与する。
- 本剤の投与は原則として2時間々隔で行うが、本剤による効果及びその他の反応を観察しながら適宜投与量及び投与間隔を1〜4時間の間で調節する。
- 本投与法においては薬剤注入の度に、カテーテルの内腔量を若干上回る生理食塩液を引き続き注入することに注意すること。
妊娠12週未満
- 胞状奇胎、合併症で全身麻酔が困難な症例、頸管拡張の困難な症例又はその場合の除去術の前処置に使用する。その際本剤の注入は、硫酸アトロピン、鎮痛剤の投与後、前麻酔効果があらわれてから行うことが望ましい。
チューブの挿入
- 通常F4〜5号の合成樹脂製の細いチューブを用い、使用前にチューブ内腔に生理食塩液を満たしておく。チューブを鉗子ではさみ、外子宮口より子宮腔内にゆっくりと約7cm位まで挿入する。
直視下で薬液の注入を行う以外は、チューブの排出をふせぐためチューブをとりかこむようにガーゼを腟腔内につめる。注射器をチューブに接続し、また、チューブを大腿部内側にテープで固定する。
薬液の注入
分割注入法
- 妊娠12週以降の場合に準じ、本剤1mLに生理食塩液を加え4mLに希釈した液を用い分割注入する。
- ●初回量は希釈液1mL(ジノプロスト250μg/mL)を注入し、また薬液がチューブ内に残らないように引き続きチューブ内腔量を若干上回る生理食塩液を注入する。
- ●2回目以降の注入は、原則として1時間ごとに希釈液3〜4mL(750〜1,000μg)を反復投与するが、初回投与による子宮収縮、その他の反応が強すぎる場合には、次回の投与量を2mL(500μg)に減量または投与時間々隔をおくらせる。
- ●本剤の投与は原則として総投与量3,000μgとし、また1時間々隔で行うが、本剤による効果及びその他の反応を観察しながら適宜に投与量及び投与時間々隔を調節する。
- ●本投与法においては薬剤注入の度にチューブの内腔量を若干上回る生理食塩液を引き続き注入することに注意する。
一回注入法
- ●通常ジノプロスト1,000μg/1mL含有注射剤を希釈しないで、一回に2,000〜3,000μg(2〜3mL)をゆっくり注入する。本剤による効果及びその反応を観察しながら適宜に投与量を増減する。
- ●注入後チューブの内腔量を若干上回る生理食塩液を引き続き注入する。チューブは薬液注入が終了すれば抜きとる。
- *陣痛誘発、陣痛促進、分娩促進の目的で本剤を投与する際は、精密持続点滴装置を用いて投与すること。
慎重投与
I.静脈内注射投与
妊娠末期における陣痛誘発・陣痛促進・分娩促進の場合
- 緑内障、眼圧亢進のある患者〔動物実験(ウサギ)で眼圧上昇が報告されている。1)〕
- 心疾患のある患者〔血管収縮作用により心機能を悪化させるおそれがある。〕
- 高血圧症のある患者〔血圧上昇作用がある。〕
- 帝王切開又は子宮切開等の既往歴のある患者〔子宮が脆弱になっていることがあり、過強陣痛が生じると子宮破裂の危険がある。〕
- 多胎妊娠、経産婦の患者〔子宮が脆弱になっていることがあり、過強陣痛が生じると子宮破裂の危険がある。〕
腸管蠕動亢進の場合
- 緑内障、眼圧亢進のある患者〔動物実験(ウサギ)で眼圧上昇が報告されている。1)〕
- 心疾患のある患者〔血管収縮作用により心機能を悪化させるおそれがある。〕
- 高血圧症のある患者〔血圧上昇作用がある。〕
- 幼児〔使用経験が少なく安全性が確立していない。〕
II.卵膜外投与
治療的流産の場合
- 緑内障、眼圧亢進のある患者〔動物実験(ウサギ)で眼圧上昇が報告されている。1)〕
- 心疾患のある患者〔血管収縮作用により心機能を悪化させるおそれがある。〕
- 高血圧症のある患者〔血圧上昇作用がある。〕
- 頸管炎又は腟炎のある患者〔炎症、感染を増悪させるおそれがある。〕
- 帝王切開又は子宮切開等の既往歴のある患者〔子宮が脆弱になっていることがあり、過強陣痛が生じると子宮破裂の危険がある。〕
- 多胎妊娠、経産婦の患者〔子宮が脆弱になっていることがあり、過強陣痛が生じると子宮破裂の危険がある。〕
重大な副作用
I.静脈内注射投与
妊娠末期における陣痛誘発・陣痛促進・分娩促進の場合
心室細動、心停止、ショック
- 心室細動、心停止、ショック(いずれも頻度不明※)があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
呼吸困難
- 喘鳴、呼吸困難等(頻度不明※)があらわれることがあるので、このような場合には投与を中止すること。
過強陣痛
- 過強陣痛(0.4%)があらわれることがある。また、それに伴い子宮破裂、頸管裂傷をきたしたとの報告があるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し適切な処置を行うこと。
胎児仮死徴候
- 胎児に仮死徴候〔児切迫仮死徴候(1.1%)、徐脈(1.3%)、頻脈(0.8%)、羊水の混濁(1.5%)〕をきたすことがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、減量又は投与を中止すること。投与を中止してもこのような症状が認められる場合には、急速遂娩等の適切な処置を行うこと。
腸管蠕動亢進の場合
心室細動、心停止、ショック
- 心室細動、心停止、ショック(いずれも頻度不明※)があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
呼吸困難
- 喘鳴、呼吸困難等(頻度不明※)があらわれることがあるので、このような場合には投与を中止すること。
II.卵膜外投与
治療的流産の場合
心室細動、心停止、ショック
- 心室細動、心停止、ショック(いずれも頻度不明※)があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
呼吸困難
- 喘鳴、呼吸困難等(頻度不明※)があらわれることがあるので、このような場合には投与を中止すること。
薬効薬理
作用機序
- PGF2αは生理的な子宮収縮作用を有し、妊娠各期において効果的な子宮収縮を起こすため、妊娠末期には点滴静注により陣痛誘発・分娩促進に、妊娠初期・中期には卵膜外注入により治療的流産に有用であることが認められている。また、PGF2αは消化管の縦走筋・輪状筋に作用し、蠕動運動亢進作用をもたらすことが認められ、臨床的にも排ガス時間の短縮、術後腸管麻痺の改善に効果が認められている。
薬理作用
子宮に対する作用
- ラット摘出子宮平滑筋に対し0.6ng/mL以上の濃度で収縮作用を示す(in vitro)。1)
分娩誘発作用
- ●妊娠21日目のラットに静脈内持続注入(5〜10μg/kg/分)すると子宮の自動収縮を増強する。9)
- ●妊娠21日目のラットに静脈内持続注入(0.5〜5.0μg/kg/分)すると第1児分娩までの時間は非投与群と比較して有意に短縮する。9)
- ●妊娠末期の妊婦に静脈内持続注入(0.05〜0.15μg/kg/分)すると内圧の低い不規則陣痛から次第に規則的陣痛に移行し、自然陣痛発来時の子宮収縮に類似している。10)
- 流産誘発作用
妊娠中期のラットに羊膜外投与(0.25〜1.0mg/kg)すると、子宮収縮作用を示し、流産が認められる。また血中プロゲステロン濃度は減少する。11)
消化管に対する作用
- モルモット摘出胃・回腸・結腸平滑筋に対し1ng/mLの濃度で収縮作用を示す(in vitro)。12)
- 腸管輸送能亢進作用
腸管運動麻痺ラットに静脈内持続注入(10〜20μg/kg/分)したとき、腸管運動麻痺を緩解し、腸管輸送能の有意の亢進が認められる。12)
- 胃腸管運動亢進作用
麻酔下の絶食犬の空腸、回腸、結腸のバルーンによる内圧測定及び筋電図所見では静脈内持続注入(5〜10μg/kg/分)で内圧の上昇、蠕動運動の誘発が認められる。12)
- 術後消化管運動亢進作用
筋電図所見によれば、消化管術後患者の胃、十二指腸、空腸、回腸、結腸に運動抑制がみられるが、PGF2αの静脈内持続注入(0.3〜0.5μg/kg/分)により、消化管各部位に用量依存性の著明な運動亢進を認め、この作用は投与中止後5〜10分で消失する。13)
有効成分に関する理化学的知見
一般名
化学名
- (5Z)-7-{(1R,2R,3R,5S)-3,5-Dihydroxy-2-[(1E,3S)-3-hydroxyoct-1-en-1-yl]-cyclopentyl}hept-5-enoic acid
分子式
分子量
性状
- 本品は白色のろう状の塊又は粉末、若しくは無色〜淡黄色澄明の粘稠性のある液で、においはない。
本品はN,N-ジメチルホルムアミドに極めて溶けやすく、メタノール、エタノール(99.5)又はジエチルエーテルに溶けやすく、水に極めて溶けにくい。
★リンクテーブル★
[★]
商品
[★]
- 英
- dinoprost
- 化
- ジノプロストトロメタミン, dinoprost tromethamine
- 商
- プロスタグランジンE2、プロスタルモン、プロスモン
- 関
- プロスタグランジンF2、プロスタグランジンF2α
[★]
- 英
- pro