鎮静薬
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- a drug that reduces excitability and calms a person (同)sedative_drug, depressant, downer
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- 鎮静効課のある,鎮静[作用]の / 鎮静剤
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/09/28 13:03:01」(JST)
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ベンゾジアゼピン系鎮静薬(左からユーロジン、メイラックス、デパス、ソラナックス)
鎮静薬(ちんせいやく,Sedative)、マイナートランキライザー(minor tranquilizer)は、興奮性を減らすことによって鎮静をもたらす薬物である。
目次
- 1 概要
- 2 副作用
- 3 乱用
- 4 アルコールとの組み合わせの危険性
- 5 依存性
- 6 主な鎮静薬
- 6.1 短時間作用型
- 6.2 中時間作用型
- 6.3 長時間作用型
- 6.4 超長時間作用型
- 7 関連項目
- 8 関連文献
- 9 脚注
概要
鎮静薬には、脳神経に作用し、不安(恐怖)・緊張といった症状を緩和させる作用がある。睡眠時の緊張を緩和させる事から睡眠薬として利用される場合もある。パニック障害、不安障害など不安をともなう疾患に多く利用されている。また、症状によっては内科などでも処方され、手術の麻酔前に投与されることがある。
ベンゾジアゼピン
現在、日本国内において一般的に利用される鎮静薬は、ベンゾジアゼピン系とチエノジアゼピン系に分類されるものがほとんどである[1]。
ベンゾジアゼピン系は以前によく使われていたバルビツレート系に比べて毒性が低く、死に至る事は稀である。しかし乱用・長期服用により依存性が生じるため専門医による処方が必要である。
ベンゾジアゼピンは依存の危険性があるため、1ヶ月以上の長期処方を行わないことが推奨される。(ベンゾジアゼピン依存症参照)。スウェーデン医薬品エージェンシーは不安治療にベンゾジアゼピンを用いることを推奨していない。[2]
副作用
大半の鎮静薬はベンゾジアゼピン系であるために、ベンゾジアゼピン系特有の副作用がある。比較的安全と言われているが、アルコールとの併用は奨められておらず、ベンゾジアゼピン受容体の作用でベンゾジアゼピン健忘を引き起こす副作用がある薬剤もある。眠気を誘発するため、自動車の運転などと言った危険を及ぼす作業などは避けるべきである。また長期の服用で依存や急な断薬による離脱症状を起こす場合があるため注意が必要である。ベンゾジアゼピン系の鎮静薬でうつ病を悪化させることがある。
乱用
「ベンゾジアゼピン薬物乱用」も参照
すべての鎮静薬は乱用の可能性があるが、しかしながらバルビツール酸とベンゾジアゼピンは最も乱用が問題視されており、広くレクレーション用途・非医療的使用で乱用されている。 ストレス・不安・不眠に置かれている人はオーバードーズや薬物依存になりやすい。 ヘロイン常用者はサプリとして摂取する。 覚醒剤常用者はよく鎮静薬をイライラを鎮めるために摂取する。 その他には、リラックスし不安を忘れるために抗不安薬をレクレーション使用する。 バルビツールの過剰摂取は、薬物関連の死亡の三分の一を占めている。それは自殺目的や薬物事故死を含む。 事故死は眠いときや、薬物使用により混乱しているとき、アルコールと併用されたときに起こっている。
米国では1998年の毒物コントロールセンターへの報告では、70,982の鎮静薬使用者のうち2310 (3.2%) が中毒を起こし、 89 (0.1%) が死亡した。 米国での緊急治療室に入院した人の約半数は、合法的な処方箋による鎮静薬の非医学的使用の結果であった。彼らは過剰量を摂取したりアルコールやその他の薬物とので組み合わせていた。[3]
アルコールとの組み合わせの危険性
鎮静薬とアルコールは時々気晴らしに、もしくは不注意にも併用される。アルコールは強力に脳の機能を低下させ、呼吸を低下させる。この組み合わせは互いに悪化を招き致命的であるとのエビデンスが存在する。
依存性
「ベンゾジアゼピン依存症」および「ベンゾジアゼピン離脱症候群」も参照
すべての精神鎮静剤は、通常の治療服用であっても定期的に摂取すると身体的・精神的依存が発生する。[4][5][6][7] 依存者は、不安・不眠・死亡といった離脱症状を起こす。 服用者が精神的依存になると、関数的に薬を必要とするようになる。しかし身体的依存については必ずしも発生せず、とりわけ短期間の使用では少ない。 両方の依存となると、薬を探し使うことが人生の目標となる。 身体的・精神的依存は治療を受けることにより対応できる。(see Sedative Dependence).
主な鎮静薬
短時間作用型
- エチゾラム(商品名:デパスなど)チエノジアゼピン系。睡眠導入剤として出される場合もある。
- クロチアゼパム(商品名:リーゼなど)チエノジアゼピン系。
- フルタゾラム(商品名:コレミナール)ベンゾジアゼピン系。
- トフィソパム(商品名:グランダキシンなど)ベンゾジアゼピン系。
中時間作用型
- ロラゼパム(商品名:ワイパックスなど)ベンゾジアゼピン系。
- アルプラゾラム(商品名:ソラナックス、コンスタンなど)ベンゾジアゼピン系。
- ブロマゼパム(商品名:レキソタン、セニランなど)ベンゾジアゼピン系。
長時間作用型
- クロキサゾラム(商品名:セパゾン)ベンゾジアゼピン系。
- フルジアゼパム(商品名:エリスパン)ベンゾジアゼピン系。
- ジアゼパム(商品名:セルシン、ホリゾンなど)ベンゾジアゼピン系。
- クロナゼパム(商品名:ランドセン、リボトリール)一般的には抗てんかん薬として使われる。
- メダゼパム(商品名:レスミットなど)ベンゾジアゼピン系。
- クロラゼプ酸二カリウム(商品名:メンドン)ベンゾジアゼピン系。
- クロルジアゼポキシド(商品名:コントール、バランスなど)ベンゾジアゼピン系。
- オキサゾラム(商品名:セレナールなど)ベンゾジアゼピン系。
- メキサゾラム(商品名:メレックス)ベンゾジアゼピン系。
超長時間作用型
- プラゼパム(商品名:セダプラン)ベンゾジアゼピン系。
- ロフラゼプ酸エチル(商品名:メイラックスなど)ベンゾジアゼピン系。
- フルトプラゼパム(商品名:レスタス)ベンゾジアゼピン系。
関連項目
- 睡眠薬
- 抗うつ薬
- ベンゾジアゼピン依存症
- ベンゾジアゼピン離脱症候群
- ベンゾジアゼピン誘導性気分障害
関連文献
- 上島国利著 『実地医家が知っておきたい 抗不安薬の知識と使い方 改訂3版』 ライフ・サイエンス ISBN 4898011896
- 渡辺昌祐著 『抗不安薬の選び方と用い方 改訂第3版』 金原出版 ISBN 4307150503
脚注
- ^ チエノジアゼピン系はベンゾジアゼピン系とは異なるが作用はほぼ同じである。
- ^ MEDICAL PROCUTS AGENCY Lakemedelsbehandling vid angest
- ^ Professor Jeffrey S Cooper (2007年12月10日). “Toxicity, Sedatives”. USA: eemedicine. 2008年12月18日閲覧。
- ^ Yi PL; Tsai CH, Chen YC, Chang FC (March 2007). “Gamma-aminobutyric acid (GABA) receptor mediates suanzaorentang, a traditional Chinese herb remedy, -induced sleep alteration”. J Biomed Sci 14 (2): 285?97. doi:10.1007/s11373-006-9137-z. PMID 17151826.
- ^ Ebert B; Wafford KA, Deacon S (December 2006). “Treating insomnia: Current and investigational pharmacological approaches”. Pharmacol Ther 112 (3): 612?29. doi:10.1016/j.pharmthera.2005.04.014. PMID 16876255.
- ^ Sarrecchia C; Sordillo P, Conte G, Rocchi G (Oct-December 1998). “[Barbiturate withdrawal syndrome: a case associated with the abuse of a headache medication]”. Ann Ital Med Int 13 (4): 237?9. PMID 10349206.
- ^ Proudfoot H; Teesson M; Australian National Survey of Mental Health and Wellbeing (October 2002). “Who seeks treatment for alcohol dependence? Findings from the Australian National Survey of Mental Health and Wellbeing”. Soc Psychiatry Psychiatr Epidemiol 37 (10): 451?6. doi:10.1007/s00127-002-0576-1. PMID 12242622.
薬理学:医薬品の分類 |
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消化器/代謝(A) |
胃酸中和剤(制酸薬、H2ブロッカー、プロトンポンプ阻害薬) • 制吐薬 • 瀉下薬 • 止瀉薬/止痢薬 • 抗肥満薬 • 血糖降下薬 • ビタミン • ミネラル
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血液、血液生成器官(B) |
抗血栓薬(抗血小板剤、抗凝固薬、血栓溶解薬) • 抗出血(血小板、凝固・線溶系、抗線維素溶解性)
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循環器系(C) |
心臓療法/狭心症治療薬(強心配糖体、抗不整脈薬、強心剤) • 高血圧治療薬 • 利尿薬 • 血管拡張薬 • 交感神経β受容体遮断薬 • カルシウム拮抗剤 • レニン-アンジオテンシン系(ACE阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、レニン阻害薬) • 脂質降下薬(スタチン、フィブラート、胆汁酸捕捉因子)
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皮膚(D) |
皮膚軟化剤 • 瘢痕形成剤 • 鎮痒薬 • 乾癬治療薬 • 他の皮膚薬
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泌尿生殖器系(G) |
ホルモン避妊薬 • 排卵誘発治療 • SERM • 性ホルモン
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内分泌器(H) |
視床下部脳下垂体ホルモン • 副腎皮質ホルモン(糖質コルチコイド、ミネラルコルチコイド) • 性ホルモン • 甲状腺ホルモン/抗甲状腺薬
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感染(J、P、QI) |
抗菌薬 (抗生物質) • 抗真菌薬 • 抗ウイルス薬 • 抗寄生虫薬(抗原虫薬、駆虫薬) • 外部寄生虫駆除剤 • 静注用免疫グロブリン • ワクチン
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悪性腫瘍(L01-L02) |
抗がん剤(代謝拮抗薬、抗腫瘍性アルキル化薬、紡錘体毒、抗悪性腫瘍薬、トポイソメラーゼ阻害薬)
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免疫系(L03-L04) |
免疫調節薬(免疫賦活薬、免疫抑制剤)
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筋肉、骨、関節(M) |
アナボリックステロイド • 抗炎症薬(NSAIDs) • 抗リウマチ • 副腎皮質ホルモン • 筋弛緩剤 • ビスホスホネート
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脳、神経(N) |
鎮痛剤 • 麻酔剤(一般、局所・静脈) • 食欲低下薬 • ADHD治療 • 中毒医学 • 抗てんかん薬 • アルツハイマー治療 • 抗うつ薬 • 片頭痛治療 • 抗パーキンソン病薬 • 抗精神病薬 • 抗不安薬 • 抑制剤 • エンタクトゲン • エンセオジェン • 陶酔薬 • 幻覚剤(サイケデリック、解離性麻酔薬、デリリアント) • 催眠薬/鎮静薬 • 気分安定薬 • 神経保護 • スマートドラッグ • 神経毒 • 食欲促進 • セレニック • 精神刺激薬 • 覚醒促進物質
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呼吸器(R) |
鬱血除去薬 • 気管支拡張薬 • 鎮咳去痰薬 • 抗ヒスタミン薬
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感覚器(S) |
眼科学 • 耳科学
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その他ATC(V) |
解毒剤 • 造影剤 • 放射性薬理学 • 湿潤療法
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睡眠導入剤と鎮静剤 (N05C) |
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GABAA
アゴニスト/PAM |
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GABAB
アゴニスト |
- 1,4-ブタンジオール
- アセブル酸
- GABOB
- GHB (ナトリウムオキシベート)
- GBL
- GVL
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H1 インバース
アゴニスト |
抗ヒスタミン系: |
- カプトジアミン
- シプロヘプタジン
- ジフェンヒドラミン
- ドキシルアミン
- ヒドロキシジン
- メタピリレン
- フェニルアミン
- プロメタジン
- プロピオマジン
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抗うつ薬 |
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抗精神病薬 |
- 定型抗精神病薬
- 非定型抗精神病薬
- オランザピン
- クエチアピンフマル
- リスペリドンなど
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α1-アドレナリン
アンタゴニスト |
抗うつ薬 |
- セロトニンアンタゴニストと再取り込み阻害薬
- 三環系抗うつ薬
- 四環系抗うつ薬
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抗精神病薬 |
- 定型抗精神病薬
- 非定型抗精神病薬
- オランザピン
- クエチアピンフマル
- リスペリドンなど
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その他: |
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α2-アドレナリン受容体
アゴニスト |
- 4-NEMD
- クロニジン
- デトミジン
- デクスメドエトミジン
- ロフェキシジン
- メデトミジン
- ロミフィジン
- チザニジン
- キシラジン
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5-HT2A
アンタゴニスト |
抗うつ薬 |
- セロトニンアンタゴニストと再取り込み阻害薬
- 三環系抗うつ薬
- 四環系抗うつ薬
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抗精神病薬 |
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その他: |
- エプリバンセリン
- ニアプラジン
- プルバンセリン
- ボリナンセリン
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メラトニン
アゴニスト |
- アゴメラチン
- LY-156,735
- メラトニン
- ラメルテオン
- タシメルテオン
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オレキシン
アンタゴニスト |
- アルモレキサント
- SB-334,867
- SB-408,124
- SB-649,868
- スボレキサント
- TCS-OX2-29
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その他 |
- アセカルブロマール
- アプロナール
- ブロミソバル
- カンナビジオール
- カルブロマール
- エンブトラミド
- エボキシン
- フェナジアゾール
- ガバペンチン
- カバラクロン
- メフェノキサロン
- オピオイド
- トケイソウ
- スコポラミン
- UMB68
- バルノクタミド
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Japanese Journal
- 細径スコープによる大腸内視鏡挿入の要点:Flick法の原理と実際
- 宮脇 哲丸,佐藤 徹
- 日本消化器内視鏡学会雑誌 57(7), 1532-1544, 2015
- … の訓練が必要である.右手の役割はあくまでも左手の補助である.<BR>スコープの進行方向は無名溝を参考にする.無名溝の垂直方向にアングルノブ操作を行うとスコープは自然と管腔内を進んでゆく.その際,腸管内にあるガスは極力脱気して腸管は虚脱させる.回盲部への到達率は96.1%で平均到達時間は6分06秒,出血穿孔例はない.鎮静剤や鎮痛剤は一切使用せず,検査は被検者と楽しい会話をしながら行う. …
- NAID 130005090151
- 処方箋データベースを利用した認知症患者に対する向精神薬等の利用実態の調査
- 村田 純一,武藤 正樹,池田 俊也
- 薬剤疫学 19(2), 81-89, 2015
- … ドライン発出にあたり実際の処方データを用いて認知症患者の向精神薬の処方実態について Anatomical Therapeutic Chemical (ATC) 分類を用いて調査した.向精神薬の ATC 第 3 階層ごとでの患者数の割合は N05C 催眠薬と鎮静剤が 9,920名(19.7%) と最も多く使われていた.また,risperidone の処方割合は 5.6% と英国での調査と比較しても少ない.BPSD ガイドラインでは抗不安薬は原則使用すべきでないとされているが実際には etizolam が …
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- プロポフォールを用いた外来大腸内視鏡検査の安全性・有用性と患者満足度の検討
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- 中枢神経抑制薬。鎮静
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鎮静剤 : 約 605,000 件
鎮静薬 : 約 301,000 件
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- 関
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鎮静薬、鎮静剤
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