出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/08/28 19:30:56」(JST)
IUPAC命名法による物質名 | |
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7,8,9,10-tetrahydro-6,10-methano- 6H-pyrazino(2,3-h)(3)benzazepine |
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臨床データ | |
ライセンス | US FDA:リンク |
胎児危険度分類 |
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法的規制 |
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投与方法 | Oral |
薬物動態的データ | |
生物学的利用能 | 80.5% |
血漿タンパク結合 | <20% |
代謝 | Limited (<10%) |
半減期 | 24 時間 |
排泄 | 腎臓 (81–92%) |
識別 | |
CAS番号 | 249296-44-4 375815-87-5 |
ATCコード | N07BA03 |
PubChem | CID 170361 |
KEGG | D08669 |
化学的データ | |
化学式 | C13H13N3 |
分子量 | 211.267 g/mol |
SMILES
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バレニクリン (Varenicline) とは、日本初の経口錠剤禁煙補助薬である。世界初のニコチン受容体パーシャルアゴニストであり、従前の禁煙補助剤であるニコチンガム、ブプロピオン、ニコチンアンタゴニストなどとは薬理学的に異なる。日本での商品名は「チャンピックス®」で、酒石酸塩としてファイザーが販売する(2008年1月に製造販売承認を取得、同4月に保険適用)。
アメリカ合衆国では「チャンティックス®」と言う名称で、2006年5月に販売を承認し、同年8月に発売を開始した。欧州連合では同年9月29日に販売を承認する。
禁煙に対する効果は、α4β2ニコチン受容体の部分作動薬作用(刺激作用と拮抗作用)によって発現する。刺激作用は部分的で、ニコチンより弱い。ニコチン受容体を軽く刺激することで少量のドーパミンを放出させ、禁煙に伴う離脱症状やタバコに対する欲求を軽減する。拮抗作用は、ニコチンのニコチン受容体への結合を妨げ、その作用を弱める。ニコチンによるドーパミン放出を抑制するので、喫煙による満足感を得られにくくする。
厚生労働省医薬食品局はチャンピックス®に関する副作用を報告している。チャンピックス®の添付文書には使用上の注意としてめまい、傾眠について書いてある。実際に意識の低下・消失など意識障害を起こし、それに伴う自動車事故が発生している[1]。
2007年11月、アメリカ合衆国食品医薬品局(FDA)は、禁煙のためにバレニクリンを服用中の患者に、自殺念慮・自殺行為・奇異行動・眠気を含む、いくつかの重大な副作用が見られた、と市販後調査で報告された事を発表した。2008年2月1日、FDAはこの件について「Chantix(バレニクリンのアメリカでの商品名)と重大な神経精神医学的症状に関連がある可能性がさらに強まった」と警告を発した。精神医学的症状がこの薬あるいはニコチン離脱症状と関係があるかどうかは、知られていないとされるが、それらの症状を呈した患者のすべてが喫煙を中止していたわけではなかった。また、FDAは医療従事者および患者に対し行動や気分の変化について観察するよう勧告した。2008年5月、ファイザー社はバレニクリンの医薬品安全情報を「一部の患者において行動変化・激越・抑うつ気分・自殺念慮・自殺行為が報告されている」と改訂した。
2009年7月1日、FDAは、抑うつ・自殺念慮・自殺行為を含む重大な副作用が報告されていることにより、バレニクリンを同局の最も強い安全上の警告である『黒枠警告』に移動した。
禁煙補助薬のバレニクリンは、致死的または非致死的な自殺や自傷のリスクを上昇させないことが、大規模前向きコホート研究の結果として示された[2]。
アメリカ食品医薬品局(FDA)の有害事象報告システム(AERS)のデータから、殺人や暴力といった他害行為を同定し、2位の選択的セロトニン再取り込み阻害薬であるフルオキセチン(商品名:プロザック)の10.9倍を引き離し18.0倍と、最も他害行為の危険性を高める薬であることが明らかになっている[3]。
2011年6月16日、FDAはバレニクリンについて「心血管系疾患を持つ患者では、ある種の心血管系副作用のリスクが少し増加すること」と関連する可能性があると安全情報を発表した。
2011年7月4日、4人の研究者がカナディアン・メディカル・アソシエーション・ジャーナルに二重盲検試験のレビューを発表した。その調査において、バレニクリンはプラセボに比べて、心血管系の重大な副作用のリスクを増加させることが発見された。
日本では、2010年8月の段階で毎月約7万人の患者がチャンピックス®を使用し、9月は約17万人が使用、供給不足を懸念したファイザーは10月に「スタート用パック」の出荷停止を発表し、2011年1月から供給体制を整えることとなった[4]。
チャンピックス®による禁煙成功率は、全体で6割、中断せず5回の通院をした場合で8割から9割である[5]。
チャンピックス®のCMに起用された舘ひろしは、チャンピックス®による禁煙成功者である。舘は40年間の喫煙歴があり、最盛期には1日あたり70本から80本吸っていた[6]。舘は仕事で忙しい中、禁煙外来を継続し、3か月で5回の通院を成し遂げ、禁煙に成功した[7]。2010年を以ってたばこを止めることができた舘であるが、2012年にファイザーの禁煙治療啓発イベントに出席した際に測定した肺年齢は95歳という数値が出た[6][8]。しかしながら、舘によれば「たばこの呪縛から自由になれるのが禁煙の素晴らしさ」である禁煙後の舘の生活は、目覚めが良く、肌ツヤの良さを言われ始め、ご飯と水が美味くなり、妻も喜んでいる[6]。CM後継者の温水洋一は2012年2月からの禁煙治療を終え、25年間の喫煙[9]への終止符を2012年5月に宣言したところである[6][8]。
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チャンピックス錠0.5mg
リンク元 | 「酒石酸」「他に分類されない治療を主目的としない医薬品」「バレニクリン」 |
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