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医療(いりょう、英語: medical treatment、health care)とは、人間の健康の維持、回復、促進などを目的とした諸活動について用いられる広範な意味を持った語である。
そもそも何が医療か?ということに関しては、「生物医学(biomedicine)的な根拠にのっとった近代医療のみを医療と見なす」という立場と、多元的医療システム観に基づき「その社会の一定程度の人に支持された、形式化された〈病・治療・健康〉をめぐる社会的文化的行為」とする立場に大きくわかれている[1]と黒田浩一郎は述べた。池田光穂によると、「補完医療」「代替医療」「伝統医療」といった認識はあくまで近代医療(を?)(の?)[要検証 – ノート]カウンターモデルとして構成されており、前者の立場の変形、なのだという[2]。それらを総合したものは「統合医療」という呼称で呼ばれている。
医療人類学者のアーサー・クラインマンは、医療は様々なセクターで行われている、として、公的機関などに認定された通常医療(制度医療)や伝統医などによる専門職セクターだけでなく、宗教や伝統などに基づいた民俗セクター、家庭内などの民間セクターでも様々な医療が行われているとしている[3]。
上記の医療現場による分類だけでなく、一方で病因論や身体論の体系に分類の根拠を求める場合がある。
近代医療は、強く制度化されていることもあり、あたかも一枚岩の単一な医療であるという認識が持たれることもあるが、多様な理論の複合体であり、個々の医療従事者による実践も多様性に富んでいる[2]。
近年、通常医療の代わりの医療という意味で「代替医療」、一方で通常医療を補完する医療という意味で「補完医療」という言葉が使われるようになっており[4]、これらは『補完・代替医療』と呼ばれることも多い。そこには伝統医学から民間療法、宗教的実践まで様々な療法が含まれている。補完・代替医療は生命の自然治癒力を活性化させることを目的とし、得意としている、とアンドルー・ワイルは説明している[5]。 なお「代替医療」という呼称については、「日本では東洋医学が主流医学であるので、この欧米式の表現は日本の状況には馴染まない[6]」と指摘する人もいる。東アジア諸国では伝統中国医学(東洋医学)を源流と持つ漢方医学や、韓医などの医師が公的に認知された専門職セクターとして受容されており、西洋医療と比較的良好な関係を持っている[7]。また、欧米においても(後述するように)利用頻度が逆転した状況が続いており、「[要出典]将来的には、西洋医学に ”通常医療”という表現を当てることが、状況にそぐわないものと見なされる可能性がある」と言われることがある。 、
医療のセクター区分・分類と、それぞれの場において行われる医療行為が、実際に治療効果があるかどうかは別の問題である。通常医療でさえ根拠に基づいた医療(EBM)は半分以下しか行われておらず[8]、(特に日本などでは、EBMに必要な大規模調査がそもそもあまり実施されておらず[9])、実は医局や病院の慣習などといった怪しげなものに支えられており、ある分野の治療法群に対してようやくEBMの調査が行われると、多くの場合、長年医師らによって良いと信じられて用いられてきた”治療方法”(=医師が治療だと信じたがっていた何らかの行為)が、統計的に見れば害する割合のほうが大きいとか、そこまでひどくなくても、実はプラシーボ効果以上の効果は無かった、などと判明することがしばしばである。
通常医療(西洋医学)は、自然治癒力を活性化させることを最も苦手としている[5]とアンドルー・ワイルは指摘した。 通常医療において使われている概念はせいぜい「免疫」や「恒常性」であり、ふつう医学事典に「自然治癒力」という項目は存在しない[10]といったことは定方昭夫の文献でも指摘されている。 さらに言えば『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』の記事でフランツ・インゲルフィンガーが「医師がかかわった病気のうち85%は、”自己完結的”(実は医師が関わらなくても、自然に治癒してしまうもの)である」と記しているように[11]、(西洋医学では言語化自体ができないでいるが)実際には人体には明らかに「治癒系」と呼べるものが存在している、と指摘されている[11]。結局、西洋医学は「循環系」や「消化系」や「神経系」などの系については理解してそれを言語化できているにもかかわらず[11]、その同じ西洋医学が、治癒系については全然理解しておらず[11]、概念化・言語化すらできていない、ということなのである[11]。例えば医学事典でも「治癒系」という項目すら立てておらず[11]、西洋医学では医学校(医学部)の履修内容でも「解剖学」「内分泌学」「物理学」「化学」などの科目は存在するのに[11]、現に明らかに生体に備わり存在している、病気からの回復を実現しているしくみ(系・システム)について教える科目が最近までただのひとつも存在していなかった[11]と指摘されている。西洋医学の教育体系では、治癒系がひとつの統合されたシステムとして教えられていない[11]。治癒系のごく一部の機能が(例えば免疫などが)、バラバラの科目の中でバラバラに教えられているにすぎない、というおかしな教育体系になっている[11]と指摘されているのである。
なお民間セクターや家庭内の医療の場合は、そもそも網羅的統計資料に乏しくその治療実態はあまり明らかになっていない。あくまで網羅的ではなくて、そのごく一部だけを恣意的にピックアップし調べた研究にすぎず代替医療を網羅していない[12]が、著者が恣意的に選び調べた治療についてはほとんど効果が無いとの結論を得て[12]、それを一般化までして「代替医療には一部に効果が期待できるものもあるが、大半はプラシーボ効果以上の効果が期待できない[12]」とまで主張する本が出版され、それをきっかけにして代替医療のみならず医療全般に関する議論を呼んだ。
医療・医学の分野にもこうした動向の影響はあり、「癒しのart(わざ)」であった伝統的な西洋医学には、テクノロジーが持ち込まれ、「機械医療」へと変容した[13]。 人々の「科学医療」「機械医療」に対する素朴な崇拝・信仰の状態は、1960年代まで続いた[14]。
以下に示されるように、1960年代以降には、医療の効果を否定する資料が整い、医療が健康被害を与えていることが明らかになった。(下記に詳述)。
1971年、アメリカ公衆衛生学会(英語版)会長で、ハーバード大学教授のカースは、衛生統計を分析し、次のように指摘した[14]。
"現代医学の感染症予防措置や治療が、人々の平均寿命に寄与した" などと思うのは全く根拠が無い。医学的な措置・治療ではなく、むしろ環境や栄養の改善のほうが大きな役割を果たしたのである。
また、次のような第三者による客観的なデータが現れるようになった[* 1]。
クエンティン・ヤング博士(en:Quentin_Young)は、医者らが医療という名目のもとで組織的に大量の人間破壊(大量殺人)を行っていることを指摘して、それを医療による大量殺戮と呼んだ[15]。
ロバート・メンデルソン(en:Robert_S._Mendelsohn)は「医師のやっていることのかなりの部分が、人を死に至らしめる行為なのである[15]。」と警告した。ただし、ロバート・メンデルソンは救急医療の価値については認めており、「医者はその医療行為の9割は行うのを止めて、救急医療だけに取り組めば、人々の健康状態は間違いなく改善されるはずだ」と評価した[15]。
1977年、アメリカの社会評論家イヴァン・イリイチは「現代の医学は健康改善にまったく役立っていないばかりか、むしろ病人をつくり出すことに手を貸しており、人々をひたすら医療に依存させるだけである」と警告し、そのような状況を「医原病」と呼んだ[18]。[* 2]
1977年[19]、医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンの主幹のフランツ・インゲルフィンガー(英語版)は、現代医療が人々の疾病の治療に一体どのような役割を果たしているかを分析・検討し、次のような結果を得て発表した[20][21]。
- 医療によって、疾患の予後[* 3]に影響がなかった(=効果がなかった)ケース 80%
- 医療によって、疾患の予後が好転または治癒したケース 11%
- 医療によって、疾患の予後が悪化したケース 9%
一流医学誌のデータでこれが判明した。
イヴァン・イリイチらによる、医療の実態の指摘と、その改善を提唱する社会医学者と公衆衛生専門家による努力は、1984年の世界保健機関による医療の再設定の提唱に結実した[22]。
1993年、アメリカ合衆国の人々が補完・代替医療に支払った費用は、西洋医学の病院に支払った費用を上回った[23][5]。つまり、アメリカ合衆国では、西洋医学の医療(過去となった「通常医療」)よりも、補完・代替医療のほうが好んで利用されている。また、時代を先導してゆく人たち[* 4]ほど、補完・代替医療を高く評価し、積極的に利用している[5]。
人々は西洋医学を見限り代替医療に移ったといえるのではないか、と医師の帯津良一は述べた[24]。また、近年では補完・代替医療の存在感が増している[5]、とか脚光を浴びている[4]、と言われている。米国では最近では医師たちもおよそ半数が代替医療を支持しているという[24]
医療の再設定とは、健康づくりのためのオタワ憲章にて提唱された、医師の教育と訓練の転換についての提言である[22]。
1974年にカナダ保健省から公開されたラロンド・レポートは、健康に影響を及ぼす要因として、生物学、環境、生活様式そして医療へのアクセスという4つの医療領域を提案し[25]、医療へのアクセスの重要性について、具体的な評価を下した。これらの医療領域と健康への影響は、アメリカ保健教育福祉省のヘルシー・ピープル (1979年) やイギリス保健社会保障省のブラック・レポート (1980年) おいても追認された[26][27]。
1984年、世界保健機関は健康づくり国際会議を開催し、健康に影響を及ぼす要因を健康の前提条件として整理すると、5つの活動領域の1つとして医療の再設定を掲げ、保健部門に携わる人々に、臨床的治療的業務を果たす責任から離れ、健康づくりへ向かうよう呼びかけた。
医療の再設定の流れは、マイケル・マーモットとリチャード・ウィルキンソンらによる健康の社会的決定要因 (1998年) の整理により健康と社会を結びつける現実的かつ政策的な概念[要出典]として成熟し、各国の政策に取り込まれるようになってきている。
プライマリケア(Primary care)とは、医療制度においてすべての患者が最初に受診する起点となる医療職のことである[28][29]。担い手には、プライマリケア医(総合診療医や家庭医)、さらに理学療法士や医師助手(Physician assistant)、ナース・プラクティショナー(NP)などの有資格コメディカルが挙げられる。地理的、医療体制、患者意思などにより、患者はプライマリケア受診前に薬剤師、看護師、Clinical officer、アーユルヴェーダ師、伝統医療師などを受診していることもある。状態により、患者は二次、三次医療に紹介される。
二次医療は、各分野の専門医がおり、彼らは直接には患者を初診せず紹介を受ける。例えば心臓外科、泌尿器科、皮膚科などが挙げられる。
また至急性の治療が求められる外傷・疾患を受け付ける急性医療も担っている。そのため一次救命処置、分娩、医用画像処理施設などを持っている。
三次医療は、ある専門分野に特化した医療機関であり、たいていプライマリケアと二次医療より紹介状を持って受診する。そこでは先進の医学研究が行われている[30]。たとえばがん研究、脳神経外科、心臓外科、形成外科、熱傷治療、新生児科、緩和医療、複数科の関わる医療などがある[31]。
いくつかの医療従事者は医療施設以外にて業務を行っている。それには公衆衛生分野も含まれ、食の安全監査や、疾患予防のためのコンドームや注射針配布なども含まれる。
また住宅やコミュニティにおいて、セルフケア、在宅医療、介護、生活支援、薬物乱用治療などの医療・ソーシャルケアなどにも携わる。
医療者という職種は、病気や障害を持った人に、専門的知識と技術を行使し、その人がその人として生活できるよう手助けする職種だと考えられる。「病気を診ずして、病人を診よ」という某医科大学の理念になぞらえて、病をもった人の生活を支援することが医療者の仕事、と定義することもできるであろう[32]。
医療者としては医師、看護師、理学療法士、作業療法士、介護福祉士 等々等々を挙げることができる[32]。(詳細は医療従事者や日本の医療・福祉・教育に関する資格一覧を参照のこと)
医療制度の財源は以下の5つを主にしている[34]。
ほとんどの国々では、以上の5つを全て組み合わせて運用されている。
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栄養サポートチーム(NST:Nutrition Support Team)とは、職種の壁を越え、栄養サポートを実施する多職種の集団(チーム)である。栄養サポートとは、基本的医療のひとつである栄養管理を、症例個々や各疾患治療に応じて適切に実施することである。<ref name=A>東口高志 『NST完全ガイド』照林社、2005年</ref>
NSTは1960年代の中心静脈栄養(TPN)の開発普及とともに誕生し、欧米を中心に世界各地に広がった。日本ではその普及が容易でなく、1998年のPPM方式の考案が契機となり、全国の医療施設に広がった。2006年4月の診療報酬改定により、多くの病院でNSTが立ち上がることとなった。<ref name=A>東口高志 『NST完全ガイド』照林社、2005年</ref>
この項では日本におけるNSTについて述べる。
1968年、米国のダドリック(Dudrick)らによって、中心静脈栄養法(Total Parenteral Nutrition)が開発され、全米に普及した。同時期に、医師・薬剤師・看護師などの栄養管理を専門とするメディカル・スタッフが各施設で求められるようになり、栄養管理チーム構築の始まりとされる。一方、同時期にブラックバーンにより栄養アセスメントが初めて体系化された。
1973年、米国ボストンシティ病院に初のNSTが本格的に誕生した。同時期に、マサチューセッツ総合病院ではフィッシャー教授がNSTをHyperalimentation Unitという名称で構築していた。
NSTは中心静脈栄養法の普及と相まって全米、ヨーロッパ諸国に広がった。 欧米ではNSTは診療部門の一つとして設立されていることが多い。施設内の全ての症例に対して提言・発言する権利を与えられ、中心静脈栄養法の施行にもNSTの承認を必要とするなどの規定が設けられたりしている。NSTが医療の質の向上や医療費の削減に貢献することを全ての医療従事者が認識している。<ref name=B>東口高志、『NSTの運営と栄養療法』医学芸術社、2006年</ref>
日本においても、中心静脈栄養法の普及と同時にNSTが導入されたが、数施設で単科・少数科での活動であったり、全科型でも中心静脈栄養法の管理が中心であった。<ref name=B>東口高志、『NSTの運営と栄養療法』医学芸術社、2006年</ref>栄養管理の有用性が認識されていなかった為、経費のかかる専属チームの設立は考えられていなかった。
全科型のNSTの発足は、PPM(Potluck Party Method)方式によるNSTが、1998年6月に鈴鹿中央総合病院に、2000年7月に尾鷲総合病院に設置されたものが日本初である。<ref name=B>東口高志、『NSTの運営と栄養療法』医学芸術社、2006年</ref>
現在日本でもNST活動の有用性は認識されており、2004年5月に病院機能評価項目Ver5.0の中にNSTの設立が取り上げられ、2005年末には全国で約700施設でNSTが設立されている。また、2006年4月の診療報酬改定に伴い、栄養管理実施加算が新設された。この加算が求めるものは、全科型のNST活動であり、全国の医療施設がNSTを積極的に設立するきっかけとなった。
NSTは職種の壁を越えたチーム医療であり、多職種のメンバーで組織される。主な職種は以下の通りである。
これらのチームによって、患者に対して栄養状態の評価・判定を行い、適正な栄養補給を実施し、さらに経緯を確認しながら栄養を改善することを目的に組織される。
適切な栄養療法を基盤として、より大きな治療効果や予防効果をもたらす補助組織(ワーキングチーム)やコラボレーション組織の育成が必要となる。
カテーテルの管理、栄養・食事のチェック、身体測定、NST診療録の管理などがあるが、中でも重要な役割は、①患者の身体状況を確認し、正確な情報をチームにアドバイスすること、②患者に栄養状態の実状を把握してもらい、協力してもらうことであろう。
第一に、輸液製剤の無菌的な調製があげられる。また、薬学的見地より栄養状態、処方内容を検討すること。特に輸液製剤、経腸栄養剤と薬剤との相互作用の検討、消毒剤と消毒方法の検討と医療従事者及び患者、患者家族への教育がある。<ref name=C>島田慈彦ら 『実践静脈栄養と経腸栄養』エルゼビア・ジャパン、2003年</ref>。
NSTにおいて管理栄養士は患者の食事摂取量や摂取状況など情報を元に食事量や食事形態の調節を行う
日本静脈経腸栄養学会(JSPEN)、日本病態栄養学会、日本栄養療法推進協議会などがNST認定施設、NST専門療法士などの認定を行っている。
テンプレート:脚注ヘルプ <references/>
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