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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2021/12/11 07:27:12」(JST)
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OECD各国のGDPにおける社会的支出割合(%、種類別)。オレンジが高齢者福祉。
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高齢者福祉(こうれいしゃふくし、英語: Old-age Welfare)とは、社会福祉制度の一分野で、特に高齢者を対象とするサービスのことを指し、老人福祉とも呼ばれる。広義では高齢者の所得保障や医療保障などを含む。
日本では、人口の高齢化が世界に類を見ないスピードで上昇、高齢化率は21%以上の超高齢社会となり、サービス受給者は増加の一途をたどっている。
概要
高齢化はサービスを必要とする人口の増加と、サービスの担い手であり税・保険料負担の大きい若年世代の人口の相対的減少を意味し、増加する一途の費用をどこに求めるかが課題となっている。
2000年度には介護保険制度が発足し、老人介護は公的社会保険によって行うこととなった。
この背景には、核家族化により要介護老人を嫁ひとりが世話をしなければいけない状況や、独居高齢者で介護する親族が近隣にいないなど、家族や親族の介護力が低下し、寝たきり老人発生の一因ともなっていたこと。
介護力の低下と福祉サービスの量の貧困は、自宅で介護できない高齢者を介護目的で医療機関に入院させる社会的入院の原因となり、医療費の増加や高齢者の自立を遠ざける結果となっていたことがある。
高齢者虐待は、21世紀になってようやく対策がとられ始めているが、悪質リフォームなど認知症高齢者への悪徳商法が2005年に大きく社会問題化するようになった。認知症老人の消費者詐欺を予防する対策として、成年後見制度があり、全国的に日常生活自立支援事業(旧名称:地域福祉権利擁護事業)が行われているが、サービスを使いやすくするための工夫や従事者の増員が求められている。
日本の高齢者福祉の歴史
第二次世界大戦後の高齢者福祉は右肩上がりの経済成長のもと、一時期、老年医療の窓口負担を無料としたり、年間5万円の公的年金も存在し「ばらまき福祉」といわれた時代があった。しかし、オイルショックによる経済成長のかげり、予想を遥かに上回る人口の高齢化の進展によって、このようなばらまき福祉は財政上維持できなくなった。こういった状況をふまえて1982年に老人保健法が制定され、医療事業や保険事業を無料から有料に切り替え、老人保健法に該当しない場合のみ老人福祉法による手厚い福祉が受けられるという体制に切り替えた。しかし、人口の高齢化は更に進み、福祉の適用範囲を減らしたにも関わらずまたもや財政上破綻をし、従来老人福祉法、老人保健法の管轄であった介護部門を別の財源で行うことにした。これが介護保険法である。このように高齢者福祉は戦後のばらまき福祉から、徐々に国民が負担する体制へと変化している。こういった歴史的な背景から、高齢者福祉では、まず老人保健法と介護保険法が適用され、やむをえない事由があるときのみ老人福祉法が適用されるという形式となっている。なお、老人保健法廃止後は老人保健法の医療事業は高齢者の医療の確保に関する法律へ、それ以外の保健事業は健康増進法に引き継がれている。
主な高齢者福祉
- 老人福祉法の制度
- 老人デイサービスセンター、老人短期入所施設、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム(ケアハウス)、老人福祉センター、老人介護支援センター
- 訪問介護
- 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
- 日常生活用品の給付または貸与
- 主として病院退院後家庭への復帰を目指す中間施設として制度化された。略して「老健」といわれる。
- 公的年金(国民年金、厚生年金、共済年金)
- 生活保護
- 老人クラブ・シルバー人材センター
- 老人休養ホーム
- 老人憩の家
脚注
出典
- ^ Indicators on Social Spending, 1980-2012; and a Manual to the OECD Social Expenditure Database (SOCX) You or your institution have access to this content (Report). OECD. (2011-02). Chapt. II.2.1. doi:10.1787/1815199x.
参考文献
- 高橋茂樹他『STEP公衆衛生第5版』海馬書房、2002-10-22、ISBN 4-907704-20-8
関連項目
- 福祉 / 社会保障|後期高齢者医療制度
- 老年医学
- 老人看護 / 介護
- 老人福祉施設
- 高齢者住宅
- ゴールドプラン
- 公共交通機関 - 福祉乗車証
- 生涯活躍のまち
- 老人福祉法
- 高齢者の医療の確保に関する法律
典拠管理 |
- GND: 4001420-4
- NDL: 00565167, 00569781
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UpToDate Contents
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- 1. 高齢者の健康維持geriatric health maintenance [show details]
… identifies older adults at high risk of functional decline and poor health . A gait speed faster than 1 meter/second suggests better-than-average life expectancy. Comprehensive Geriatric Assessment (CGA) …
- 2. 高齢者における身体活動および運動physical activity and exercise in older adults [show details]
… Exercise is beneficial for older adults. Older individuals who are physically active report better overall health, lower health care expenditures, and fewer mobility limitations than their sedentary counterparts …
- 3. 成人における肺炎球菌ワクチンpneumococcal vaccination in adults [show details]
… is an important preventive health care measure that substantially reduces the burden of pneumococcal disease in vaccinated individuals and in the population.… vaccine (PCV7) has led to a >90 percent reduction in PCV7 serotype disease among children and older adults . The subsequent introduction of 13-valent conjugate vaccine (PCV13) has led to continued, dramatic …
- 4. 帯状疱疹の予防接種vaccination for the prevention of shingles herpes zoster [show details]
… frail or prefrail ; such patients are at risk for adverse health outcomes and have been found to have low immune responses to certain vaccines.… in previously exposed individuals (particularly older adults) may lead to negative results despite past infection.…
- 5. 高齢者におけるリハビリテーションの概要:リハビリテーションのプログラム構成および環境overview of geriatric rehabilitation program components and settings for rehabilitation [show details]
… factors that influence activity and participation. Multiple health conditions or comorbidities, with concomitant impairments, are common in older persons and influence the disablement process. Effective treatment …
Related Links
- 老人医療に要する費用を国民が公平に負担するための制度。1983年,老人保健法の定めるところにより,国民の老後における健康の保持と適切な医療の確保をはかるため,疾病の予防,治療,機能訓練などの保健事業を総合的に行なうことを目的として実施された。
- 介護老人保健施設をご利用いただける方は、介護保険法による被保険者で要介護認定を受けた方のうち、病状が安定していて入院治療の必要がない要介護度1~5の方で、リハビリテーションを必要とされる方です。 介護老人保健施設は ...
- 老人保健制度からの変更点について紹介しています。 ホーム > 政策について > 分野別の政策一覧 > 健康・医療 > 医療保険 > 平成18年健康保険法等の一部改正について > 平成18年度医療制度改革関連資料 > 高齢者医療制度 > 老人保健制度からの変更点
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★リンクテーブル★
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- (1) 医師は疾病前の予防と疾病段階の対応とに従事する。
- (2) 健康増進には変化する環境への適応力をつけることが重要である。
- (3) 健康増進のプランには栄養、休養、教養の3要素が重要である。
- (4) 健康教育は知識の普及を目的とし、個人の行動の変容までは求めない。
- (5) 健康の管理は母子保健、学校保健、老人保健等の縦割りの管理である。
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [098G010]←[国試_098]→[098G012]
[★]
- 英
- social security
社会保障
- 公衆衛生・社会福祉の向上により、健康で文化的な最低限度の生活を保障すること。
- 日本国憲法第25条に「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」(生存権)が定められている。
狭義の社会保障
広義の社会保障
- 上記の5区分
- 恩給、戦争犠牲者援護:文官恩給、旧軍人遺族恩給、戦没者遺族年金など
[★]
- 英
- Elderly Health Law
- 関
- 老人保健。高齢者の医療の確保に関する法律
[★]
- 英
- the aged
- 関
- 初老、老齢、高齢者、年輩、高齢、老齢者、老年者、高年齢
[★]
- 英
- health, health supervision
- 関
- 衛生、健康