出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/05/10 18:18:06」(JST)
ターミナルケア(英: End-of-life care)とは終末期の医療および看護のことである。
終末期という概念や言葉については、日本の法律[1]、国際連合で採択された条約[2]、厚生労働省[3]、世界保健機関[4]、医学学会[5][6]などのいずれも、公的に明確な定義はしていない。
公的で明確な定義がないので、終末期の意味は論者によって異なる。一般的には老衰・病気・障害の進行により死に至ることを回避するいかなる方法もなく[7][8]、予想される余命が3か月以内程度の意味で表現されている。事故・災害・急性の病気により突然死した場合や、急性期の病気で何時間・何日間程度で死に至った場合は、死亡日以前に余命3か月などと予想される状況ではないので、死亡日から逆算して3か月以内を終末期とは表現しない。前記のように終末期は誰にでも死亡する以前に必ず発生するものではなく、進行性の老衰・病気・障害で死に至る場合にだけ発生する。
終末期の患者は、老衰、ガン、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、筋萎縮性側索硬化症、筋ジストロフィー、パーキンソン病などの進行により、特定の臓器の機能不全または多臓器不全になっているので、医学的・生物的に延命は不可能であり延命治療は行なわず、病気や障害からの回復や、病気や障害の進行の遅延や、心身の機能の維持を目的とする医療も不可能であり行なわない。
終末期の患者に対して身体的苦痛や精神的苦痛を緩和・軽減することによって、人生の質、クオリティ・オブ・ライフ(QOL)を維持・向上することを目的として、医療的処置(緩和医療)に加え、精神的側面を重視した総合的な措置がとられる。
ターミナルケアを行う施設としては、終末期の緩和ケア病床、慢性期の療養病床、老人介護施設、障害者介護施設などがある。ターミナルケアを専門に行う医療施設はホスピスとも呼ばれる。この外来語の語源である英語「hospice」の原義は、聖地への巡礼者や旅行者を、小さな礼拝堂を持つような教会が泊めた巡礼教会であった。患者や家族が在宅生活を希望する場合は、訪問医療・訪問看護による在宅での見取りケアという方法もある。
日本の医療制度・介護制度としては、ターミナルケアを行う施設として、健康保険が適用される施設として、ホスピス、医療療養病床、介護保険が適用される施設として介護療養病床、介護療養型老人保健施設、特別養護老人ホームがある。
日本の新聞・テレビ放送・雑誌・書籍の報道で、終末期の延命治療のために多額の費用がかかると報道されているが、厚生労働省が公開している診療報酬[9]や介護報酬[10]に基づいて詳細・正確に表現されたものではなく、終末期の患者に延命治療をして何年も延命させるという自己矛盾の表現で、証拠を示さずに1か月で何百万・何千万の費用が掛かるなどの扇情的な表現で報道され、記者の不勉強・無知・無理解による誤認・誤解であるかまたは意図的な虚偽報道のいずれかである。
上記のターミナルケアの目的のように終末期には長期の延命は不可能であり、大部分の人々の場合は通常は終末期の延命治療は行わないが、昭和天皇のように特別な社会的地位の人の場合は、例外として終末期でも延命治療が行われる事例があるが、いかなる延命治療をしても3か月前後の延命が限界で、それ以上の延命は医学的・生物的に不可能である。
本来・通常のターミナルケアでは緩和医療に限定して行うので、回復・延命を目的とする急性期医療・回復期医療や、進行遅延・心身の機能維持・延命を目的とす慢性期医療と比較して高額な医療費[9]や介護費[10]は発生しない。
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