ヘモジデリン沈着症
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Japanese Journal
- 特発性肺ヘモジデローシスを合併した新生児期発症血球貪食性リンパ組織球症の1例
- 藤岡 一路,森岡 一朗,三輪 明弘,齋藤 敦郎,橋本 総子,森川 悟,柴田 暁男,横山 直樹,松尾 雅文
- 日本未熟児新生児学会雑誌 = Journal of Japan Society for Premature and Newborn Medicine 22(1), 97-103, 2010-02-15
- NAID 10026440290
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- 関連する組織の損傷を伴わない局所的または全身的な鉄沈着は,ヘモジデローシスで ある。鉄過剰は,鉄代謝の原発性(遺伝性)障害,または鉄の過剰摂取もしくは放出を 伴う他の障害に続発する疾患として生じる。過剰な鉄はほぼ全ての組織内に蓄積するが , ...
- ... 鉄剤・食事鉄の過剰摂取、無効造血、アルコール多飲、肝硬変など)とに分けられ ます(表13)。 なお、鉄が主として網内系(もうないけい)組織に蓄積し、実質細胞への 蓄積が少ないために臓器障害や機能障害を伴わない状態を、ヘモジデローシスといい ます。
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★リンクテーブル★
[★]
- 英
- iron Fe
- 同
- scissors
- 関
- ヘモグロビン、赤血球、血清鉄、iron salts
概念
- ヘモグロビン、ミオグロビン、およびペルオキシダーゼなどの正常な働きのために必須の元素である。ヒトは一日10-15mgの鉄を摂取しており、そのうちわずか1mgが小腸で吸収される。主に十二指腸でFe2+の形で吸収されるので、胃酸、ビタミンC、クエン酸などによりFe3+→Fe2+になっていると吸収の効率が高まる。生体内には4gの鉄が存在しており、その2/3がヘム鉄(2.5g)(ほぼヘモグロビン鉄、一部ミオグロビン鉄)で存在し、残りのほとんど(1g)は貯蔵鉄(網内系の中。フェリチン・ヘモジデリンとして)として組織に貯蔵される。鉄は受動的に1mgが主に消化管から失われ、その他皮膚、尿路からも失われる。
基準値
- →血清鉄
鉄の体内分布(SP.499)
鉄の収支 (SPC.280)
- 糞、汗、脱落皮膚:1mg/day
- 月経中の女性:30mg/月経期間中
- 妊娠中:500mg/満期まで
- 月経中の女性:1.4mg/day
- 妊娠中:5-6mg/day
- 男性:0.5-1.0mg/day
-
- うち0.9mg程度しか吸収されない
鉄の吸収 (詳しくは図:SP.500)
- 十二指腸で良く吸収される。 (吸収部位:十二指腸、空腸上部(LAB.579))
- Fe2+は水溶性、Fe3+は難溶性なので、Fe2+であるほうが吸収されやすい。また、ヘム鉄、アミノ酸鉄などキレート状の鉄は吸収が容易である(SP.499)
- 鉄は摂取量の10%しか吸収されない。腸上皮中ではフェリチンと結合して存在するが、フェリチンが飽和するとそれ以上取り込まない。腸上皮のフェリチンは血清中のトランスフェリンに鉄を渡すが、トランスフェリンが飽和するとそれ以上鉄を渡せなくなる。鉄が飽和した状態の腸上皮はやがて脱落する。これで、必要以上の鉄が吸収されないように厳密に制御されている(←過剰の鉄は生体内でフリーラジカルを産生する反応を触媒するので危険)。ビタミンCは鉄の吸収を促進し、肉に含まれるヘム鉄は食物中の無機鉄より効率よく吸収される。またアルコールやフルクトースは鉄の吸収を促進するが、カルシウムは鉄の吸収を阻害する。(HBC.486)
QB.A-366
- 鉄の吸収には胃酸の分泌、十二指腸からの吸収が必要。胃全摘が施行された場合には、胃酸の分泌減少と、Billroth II法が施行された場合には食物が十二指腸を通過せず鉄の吸収が障害される。
治療薬
臨床関連
[★]
- 英
- ferritin
- 同
- 血清フェリチン ← 血液検査の時に用いる用語?
- 関
- アポフェリチン、血清フェリチン
概念
- フェリチンは、H鎖とL鎖からなるサブユニットからなるヘテロダイマーであり、これが組み合わさってアポフェリチンとなる。アポフェリチンは細胞内で鉄イオンと結合してフェリチンとなる。フェリチンは鉄を生体内に貯蔵し、鉄による組織障害を防ぐのに貢献している。細胞内のフェリチンはわずかに血中に漏れだしており、漏れ出た血清中のフェリチンは(血清フェリチン)は貯蔵鉄の量と相関するので臨床検査に用いられる。
体内分布
- 網内系:肝細胞、脾臓、骨髄 ← 多い
- その他:肺、心臓、骨、腸管など広く存在
解釈
- LAB.488
-
- 臨床検査データブック
減少
増加
臨床
- フェリチン低値(≦12ng/ml)のみで診断可能(感度59%,特異度99%)なので、フェリチン単体で提出されることがある(内科外来マニュアル.394)。
- フェリチンは女性で<10ng/ml, 男性で<20ng/mlであれば、鉄貯蔵欠乏と診断する特異度が高い(ワシントンマニュアル33.742)。
- フェリチンが100ng/ml以上では鉄欠乏の可能性は低いとされる(内科外来マニュアル.394)。
- 血清フェリチンが>200ng/ml以上では鉄欠乏性貧血は除外できる(ワシントンマニュアル33.742)。
- 腎透析や機能的鉄欠乏状態では500ng/mlまでの高値を示すことがある。
- 健常な成人では15ng/ml未満、小児では12ng/ml未満が絶対的な鉄欠乏を示唆。(臨床透析 vol.24 no.1 2008 p.38)
[★]
- 英
- hemosiderin
- 同
- ヘモシデリン 血鉄素
- 関
- ヘモジデローシス、ヘモクロマトーシス
概念
- 鉄はタンパク質に結合し(例えば組織内ではフェリチン)ミセル化しているが、細胞内のリソソームで変性を受けるとヘモジデリンとなる。 (SP.500)
- 黄色から茶色を呈する
- 鉄過剰により細胞内に沈着する
- 体内にはヘモジデリンとして鉄が0.5g含まれている(LAB.579)。→鉄
染色像
- 鉄貯蔵蛋白であるフェリチンが網内系の細胞などに摂取され変性したもの。
[★]
- 英
- hemosiderosis
- ラ
- haemosiderosis
- 同
- 血鉄症、ヘモジデローシス
- 関
- ヘモジデリン、ヘモクロマトーシス
[show details]
定義
- 組織内に染色可能な鉄が存在している状態 (HAR.2429)
- 病的な状態を強調するときはヘモクロマトーシス
[★]
- 英
- hemochromatosis
- 同
- 血色素症、血色素沈着症
- 関
- ヘモジデローシス、ヘモジデリン
定義
- 鉄が次第に沈着し、線維化や器官不全に結びつく状態 (HAR.2429)
症状