- 英
- femoral hernia, crural hernia
- 同
- 股ヘルニア
- 関
- ヘルニア、鼠径ヘルニア、閉鎖孔ヘルニア
概念
- 大腿部に膨隆を起こすヘルニア。鼡径ヘルニアとの鑑別が困難な場合がある
- 前腹壁の弱い部分である大腿管で、腹部内臓が大腿輪を通って大腿管に突き出る。
疫学
- 鼡径ヘルニアの十数%を占める。
- 中年以降。女性に多い。多産もリスク。幼児にはほとんどない。 → 女性は骨盤が大きいが故に、大腿輪も大きい。分娩による大腿管組織の脆弱化。(SSUR.485)
- 比較的右側に多い。右60-70%
解剖
- ヘルニア門:大腿輪(血管裂孔の内側1/3でリンパ管が通っている。大腿輪中隔で仕切られている) ← ヘルニア門が狭く嵌頓を起こしやすい。
- ヘルニア内容:大網、小腸
症状
- 嵌頓による症状が初発のことが多い。
- 診察では鼠径靭帯の下で、かつ大腿動脈の内側に膨隆を触知するが、ヘルニアが小さく気づかない場合もある。
鑑別診断
検査
治療
- 嵌頓の頻度が高いため、外科手術を行う。
- クーパー靭帯と腸骨恥骨筋を縫合して大腿輪を縫縮する方法、或いはメッシュやプラグで大腿輪を閉鎖する方法がある。
- 死冠が存在する場合、大腿ヘルニアの嵌頓を解除するために、裂孔靭帯を無神経に内側に切開すると出血を起こすことがあるので注意(SSUR.485)
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
国試
参考
- https://epos.myesr.org/esr/viewing/index.php?module=viewing_poster&task=viewsection&pi=143217&ti=509497&si=1720&searchkey=
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 臨牀指針 イレウスで発症した同側内鼠径,外鼠径,大腿ヘルニアに対し腹腔鏡下経皮的腹膜外ヘルニア閉鎖術:laparoscopic percutaneous extraperitoneal closure(LPEC)を施行した1例
- 手術症例報告 術前診断しえた大腿ヘルニア内虫垂嵌頓の1例
- 局所麻酔下経鼠径法にて修復した大腿ヘルニア術後の閉鎖孔ヘルニアの1例
- 赤堀 浩也,清水 智治,森 毅,小椋 英司,谷 徹
- 日本臨床外科学会雑誌 = The journal of the Japan Surgical Association 72(6), 1602-1606, 2011-06-25
- NAID 10029612885
Related Links
- 大腿ヘルニアは鼠径靱帯の下から腸などの組織が外に出てきて皮膚の下が膨らむ病気.出産を多く経験した痩せ型の中年以降の女性に多い.大腿ヘルニアは危険な症状である嵌頓になりやすいと言われている.医療従事者向けサイト ...
- 鼠径・大腿ヘルニア はじめに 「鼠径(そけい)」とは、太ももの付け根の部分のことをいい、「ヘルニア」とは、体の組織が正しい位置からはみ出した状態をいいます。「鼠径ヘルニア」とは、お腹の中にあるはずの腹膜や腸の一部 ...
- 「大腿ヘルニア」の手術の中で、広がったヘルニア門(大腿輪)を閉鎖するという最もシンプルな方法が「Moschcowitz法」です。 「ヘルニア整復法」で直接ヘルニアを元に戻したあと、ヘルニア門を2~3針縫合して閉鎖します。
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★リンクテーブル★
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- 78歳の女性。腹痛を主訴に他院から紹介されて来院した。生来健康で、体重減少もなく、腹部の手術歴もない。5回経産であるが婦人科的既往歴もない。8時間前から急に嘔気と腹痛とが出現した。紹介状によると、赤血球310万、Hb11.2g/dl、白血球8,200で、血清生化学所見には異常はなかったとのことである。最初は絞るような腹痛が間欠的にあり、吐き気がしていたが、痛みは徐々に持統性となった。最初は食べたもの、次いで苦みのある液を嘔吐するようになった。腹痛が出現して以降、排ガスはない。持参した腹部エックス線単純写真立位像には拡張した腸管ループと鏡面形成とを認める。
- 診断確定のために特に注意して身体診察を行うべき部位はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [098F010]←[国試_098]→[098F012]
[★]
- 77歳の女性。今朝から腹痛と左大腿内側部痛とが出現したため来院した。昨晩から悪心と嘔吐とが統いている。26歳時に帝王切開の既往がある。腹部はやや膨隆し、腸雑音の亢進を認める。肝・脾を触知しない。血液所見:赤血球378万、Hb10.8g/dl、Ht34%、白血球8,100、血小板17万。血清生化学所見:総蛋白6.2g/dl、アルブミン3.0g/dl、AST30単位、ALT25単位、LDH410単位(基準176~353)、アルカリホスファターゼ230単位(基準260以下)。CRP2.5mg/dl。骨盤部造影CTを以下に示す。最も考えられるのはどれか。
[正答]
D
- CT:ヘルニア嚢の前方に恥骨筋、後方に外閉鎖筋、その内側には内閉鎖筋が存在する。
※国試ナビ4※ [099A029]←[国試_099]→[099A031]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [106D006]←[国試_106]→[106D008]
[★]
- a. 鼠径部のヘルニアの約半数を占める。
- b. 中年男性に多い。
- c. 両側性に発生する。
- d. 大腿動脈の外側に脱出する。
- e. 嵌頓しやすい。
[正答]
※国試ナビ4※ [101F037]←[国試_101]→[101F039]
[★]
- a 男性に多い。
- b 両側性が多い。
- c 嵌頓しやすい。
- d 高齢者に多い。
- e 大腿動脈の外側に触れる。
[正答]
※国試ナビ4※ [112A012]←[国試_112]→[112A014]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [110A017]←[国試_110]→[110A019]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [104I009]←[国試_104]→[104I011]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [107E009]←[国試_107]→[107E011]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [109A007]←[国試_109]→[109A009]
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- ラ
- corona mortis (Z)
- 関
- 内腸骨動脈、大腿ヘルニア
- 下腹壁動脈枝と閉鎖動脈恥骨枝の吻合が発達した異常血管のこと。
- 死冠が存在する場合、大腿ヘルニアの嵌頓を解除するために、裂孔靭帯を無神経に内側に切開すると出血を起こすことがある。
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
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- 英
- femoral ring (M)
- ラ
- anulus femoralis
- 同
- 股輪
- 関
- 大腿ヘルニア
構造 (M.317)
境界
- 外側:大腿輪と大腿静脈の隔壁
- 後方:恥骨筋とその筋膜が覆う恥骨上枝
- 内側:裂孔靭帯
- 前方:鼡径靭帯の内側部
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- 英
- hernia
- 同
- 脱腸
- 関
- 真性ヘルニア true hernia
-
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- 英
- femur
- ラ
- os femoris
- 関
- 下肢、下腿