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この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。 |
放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律 |
日本の法令 |
通称・略称 |
障防法、放射線障害防止法 |
法令番号 |
昭和32年法律第167号 |
効力 |
現行法 |
種類 |
法律 |
主な内容 |
放射性同位元素の使用・販売・賃貸・廃棄の安全確保 |
関連法令 |
原子力基本法、原子炉等規制法、労働安全衛生法、本法施行規則・施行令 |
条文リンク |
総務省・法令データ提供システム |
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放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律(ほうしゃせいどういげんそとうによるほうしゃせんしょうがいのぼうしにかんするほうりつ、昭和32年6月10日法律第167号)は、日本の法律。
目的は、放射線障害を防止し、公共の安全を確保することにある。規制対象は、放射性同位元素の使用、販売、賃貸、廃棄その他の取扱い、放射線発生装置の使用及び放射性同位元素によって汚染された物の廃棄その他の取扱いである。
目次
- 1 定義
- 2 基本構造
- 3 放射線業務従事者に係る線量限度
- 4 関連資格
- 5 脚注
- 6 参考文献
- 7 外部リンク
定義
- 放射線
- この法律において「放射線」とは、原子力基本法第三条第五号[1]に規定する放射線をいう。
- 核燃料物質、核原料物質、原子炉及び放射線の定義に関する政令より。α線、β線、γ線、中性子線、陽子線その他の重荷電粒子線、軌道電子捕獲による特性エックス線、1MeV以上のエネルギーを有する電子線及びエックス線のこと。
- 放射性同位元素
- 放射性同位元素を含む物質で、平成十二年科学技術庁告示第五号(放射線を放出する同位元素の数量等を定める件)の別表1(以下、単に別表1とする)に定める量及び濃度を超えるもの。但し、ウラン等の核燃料及び原料、医薬品、医療機器に装備されたものは、それぞれ核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律、医薬品医療機器等法、医療法で規制されるので除外する。
- 放射線発生装置
- サイクロトロン、シンクロトロン等荷電粒子を加速することにより放射線を発生させる装置で別途指定されたもの。表面から10cm離れた位置(≒電離箱サーベイメータを装置表面に押付けた時の電離箱中心と表面との距離)における最大線量当量率が0.6μSv/h(約1mSv/年)以下であるものは除く。
基本構造
国際放射線防護委員会(ICRP)90年勧告を取り入れて規制体系が構成されている。
- 販売・賃貸は、放射性同位元素を直接扱わないものとし届出とする。
- 使用・廃棄は、扱う放射性同位元素の量により届出または許可とする。
- 使用、貯蔵、廃棄に関する施設の位置、構造及び設備が、所定の技術基準に適合し、定期点検・補修により維持されていること。
- 使用基準と事業所毎に定めた放射線障害予防規程を遵守し、管理区域、事業所境界での線量が定期的に確認されていること。
- 作業従事者など管理区域に常時立入りする者に対して、定期的に被曝線量測定と健康診断を実施し、記録を永久保管する事。また、1を超えない間隔で教育訓練を実施する。
- 放射性同位元素の譲渡譲受、貸付借受は使用・廃棄が許可または届出済みの相手との間に限られ、使用、保管、廃棄とともに記帳されていること。
- 放射性同位元素の運搬は、所定の技術的基準に拠って行う。
- 放射線取扱主任者(病院の場合は医師が担当可)を選任し、上記の管理・監督をさせる。
第6条 - 使用許可の基準
文部科学省令の技術基準に適合しなければならず、また放射線障害のおそれがないことが基準として挙げられている。
放射線業務従事者に係る線量限度
「放射能汚染対策」および「被曝」も参照
この法律では、放射線業務従事者に係る被曝線量限度を以下のように規定している。
放射線業務従事者に係る線量限度
実効線量限度(mSv) |
期間 |
μSv/時 |
対象
注5 |
等価線量限度 mSv
(組織荷重係数= ) |
備考 |
皮膚 (=0.01) |
目の水晶体
(=0.05) |
通常作業時 |
1注1 |
8か月注2 |
約0.17注3 |
妊婦 |
500
/年 |
150
/年 |
腹部表面の等価線量限度は2 mSv
電離放射線障害防止規則第5条および第6条
東日本大震災により生じた放射性物質により汚染された土壌等を除染するための業務等に係る電離放射線障害防止規則第4条
参考(生殖腺の組織荷重係数=0.08 ICRP103勧告) |
5 |
3ヶ月 |
10注4 |
女 |
20 mSv/年、100 mSv/5年、結果的に通期で妊娠していなかった場合
電離放射線障害防止規則第4条第2項および第5条
東日本大震災により生じた放射性物質により汚染された土壌等を除染するための業務等に係る電離放射線障害防止規則第3条第2項 |
50 |
1年 |
25注4 |
男 |
単年で最大50 mSv、ただしその前後5年間で100 mSvを超えてはならない。平均20 mSv/年
電離放射線障害防止規則第4条第1項および第5条
東日本大震災により生じた放射性物質により汚染された土壌等を除染するための業務等に係る電離放射線障害防止規則第3条第1項 |
100 |
5年 |
10注4 |
男 |
緊急災害復旧作業(民間の臨時復旧作業者も含む) |
100 |
累計 |
33注6 |
男 |
1000 |
300 |
原子炉の冷却や放射性物質放出抑制設備の機能維持のための作業者
電離放射線障害防止規則第7条第2項 |
出典)日本原子力研究開発機構 「放射線業務従事者に係る線量限度」より 閲覧2011-7-15
高度情報科学技術研究機構ATOMICA「緊急作業に係る線量限度2002年2月」閲覧2011-7-17
- 注1) 内部被曝
- 注2) 本人の申出等により使用者等が妊娠の事実を知ったときから出産までの期間につき
- 注3) 仮に8か月、240日として
- 注4) 年間250日実働で1日8時間として(内部被曝はゼロの場合)
- 注5) 妊娠不能と診断された女子、および妊娠の意思のない旨を使用者使用許諾書等に書面で申し出た女子は当表では男に含む。
- 注6) 仮に復旧作業1年で上限に達するとして年間250日実働で1日12時間(内部被曝はゼロの場合)
|
関連資格
脚注
- ^ 電磁波又は粒子線のうち、直接又は間接に空気を電離する能力をもつもので、政令で定めるものをいう。
参考文献
- 広瀬研吉「わかりやすい原子力規制関係の法令の手引き」大成出版社、2011
- 『ICRP90年勧告、その要点と考え方』 草間朋子編 日刊工業新聞社 ISBN-4-526-02932-C3050
外部リンク
- 「放射線障害防止法」(原子力百科事典 ATOMIKA)
- 「放射線障害防止に関する関連法規」(原子力百科事典 ATOMIKA)
- 「放射線障害防止関連法令の用語および単位の改正に伴う新旧の対比」(原子力百科事典 ATOMIKA)
- 文部科学省のHP「放射線障害防止法による安全規制」
放射線(物理学と健康) |
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単位 |
放射線量の単位 - 放射能の単位
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測定 |
放射線・放射能計測機器
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放射線の種類 |
電磁放射線(X線 - ガンマ線)- 粒子放射線(アルファ線 - ベータ線 - 中性子線 - 陽子線)
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物質との相互作用 |
各放射線と物質との相互作用
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放射線と健康 |
基本概念
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放射線生物学 - 放射線医学 - 放射線被曝 - 保健物理学
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放射線の利用
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放射線源 - 放射線療法(レントゲン(X線撮影)- ポジトロン断層法 (PET) - コンピュータ断層撮影(CTスキャン))- 後方散乱X線検査装置 - 食品照射 - 原子力電池
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法律・資格
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放射線管理区域 - 放射線管理手帳 - 放射線取扱主任者 - 技術士原子力・放射線部門 - 原子炉主任技術者 - 核燃料取扱主任者 - エックス線作業主任者 - ガンマ線透過写真撮影作業主任者 - 日本の原子力関連法規
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放射線と健康影響
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放射線の健康影響
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関連人物
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放射線研究者
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放射能被害など
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放射能汚染 - 核実験の一覧 - 原子力事故の一覧
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関連団体
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日本の原子力関連組織 - 原子力関連の国際組織
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Category:放射線
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UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 法改正に伴う放射線障害予防規程の改訂における留意点などについて : 平成24年4月1日施行の改正放射線障害防止法等に関して
- 堀次 元気,藤淵 俊王,山口 一郎,木田 哲生,田中 真司,平木 仁史,渡邉 浩,大山 正哉,岡崎 清,杉本 勝也
- 日本放射線技術學會雜誌 68(8), 1071-1075, 2012-08-20
- NAID 10030705513
- 改正された放射線障害防止法での放射化物の管理のための換算表の考え方について
Related Links
- 放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律 (昭和三十二年六月十日法律第百六十七号) ... 第一章 総則(第一条・第二条) 第二章 使用の許可及び届出、販売及び賃貸の業の届出並びに廃棄の業の許可(第三条―第 ...
- <参考文献> (1) (社)日本アイソトープ協会:アイソトープ法令集(1) 放射線障害防止法関係法令 2001年版、丸善(2001年1月) (2) (社)日本アイソトープ協会:アイソトープ法令集(2) 医療放射線防護関係法令集 2001年版 ...
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★リンクテーブル★
[★]
- 英
- International Commission on Radiological Protection ICRP
- 関
- ICRP勧告
[★]
- 英
- radiation damage, radiation injury, radiation hazard
- 同
- 放射能症、電離放射線障害 radiolesion ionizing radiation injury、放射線の危険性 radiation risk
- 関
- 放射線、放射能、放射性核種
全身被爆の症状と予後 RNT.322
全身被爆線量
|
前駆症状(%)
|
潜伏時間
|
死因
|
症状
|
死亡率(%)
|
~2
|
0~50
|
>3 hr
|
|
無症状~軽度の血球現象
|
0~10
|
2~10
|
100
|
0.5-3 hr
|
骨髄死
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血球現象→感染、出血
|
0~90
|
10~20
|
100
|
0.5 hr
|
消化管死
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嘔吐・下痢・吐血・下血・脱水
|
90~100
|
50
|
100
|
several min.
|
中枢神経死
|
脳浮腫→けいれん、意識障害
|
100
|
*前駆症状:悪心、嘔吐、めまい、全身倦怠感、発熱
|
- 末梢の血球への影響はリンパ球>その他の白血球>血小板>赤血球
SUB 449
メモ
- 111018
- 放射線による慢性的な障害は、ふくしまの件では微々たるものなのでは?
- 大気汚染、喫煙、飲酒による健康への障害の方が遙かに大きい。
- 問題は、放射線への知識が貧弱すぎること(いわゆる文系馬鹿のマスコミが煽る)と、放射線を積極的に回避しづらいことである。
- 例えば、大気汚染は外出を控えることで避けられるし、喫煙は吸わないこと、副流煙を吸わないことで回避できる。飲酒は飲まなければよい。
- しかし、放射線からは距離を置く、放射性同位体を含む物を摂取しないことしか回避できない。
- しかも、どれだけ体内被曝することで、どれだけ生命予後に影響を及ぼすかは不明である。
- 政府が基準値を定めているが、その値は次々と変更され、疑心暗鬼を生じる原因となってしまった。
[★]
- 英
- disorder、impairment、dysfunction、damage、difficulty、(妨げ)barrier、impediment、obstacle、disturbance、foe、(化学)hindrance、disorder、impair、lesion
- 関
- 妨げ、撹乱、関門、機能障害、機能不全、困難、傷害、障壁、損なう、損傷、ダメージ、破壊、破損、バリヤー、病変、不安、妨害、乱れ、無秩序、機能異常症、敵、疾患、バリア、バリアー、機能異常、機能不全症
[★]
- 英
- radiation, radioactive ray
- 同
- 輻射線
- 関
- 電磁波
場所による分類
性質による分類
胎児への放射線の影響
- 1999年のICRP勧告「胎児が100mGy被爆した場合、子供が奇形を持たない確率はほぼ97%、癌にならない確率は99.1%」
[★]
- 英
- radiation、beam、radiate、emit、beam、radiative、radiant
- 関
- 照射、照射性、排出、ビーム、放散、放射状、放射線、放射線照射
[★]
- 英
- prevention、preclusion、prevent、preclude、discourage
- 関
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