- 英
 
- immunological tolerance
 
- 同
 
- 免疫トレランス
 
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2012/09/03 13:30:56」(JST)
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免疫寛容(めんえきかんよう、immune tolerance)とは、特定抗原に対する特異的免疫反応の欠如あるいは抑制状態のことを示し、自己体組織成分に対する免疫無反応性(自己寛容)はこれに由来する。
免疫を担当する細胞であるT細胞は、あらゆる病原体に対応できるよう、抗原に結合する部位(T細胞受容体;TCR)に無数のバリエーションを持った物がランダムに作り出される。ただし、このようにランダムに作られた物の中には自分自身の細胞を異物と見なして攻撃してしまう物が含まれるので、胸腺においてT細胞が成熟する過程で、そのように自己抗原に強く反応するT細胞は死滅させられる。しかし、この選別過程では胸腺で発現している自己抗原を攻撃するT細胞が除外されるのだが、同一個体の細胞であってもある特定の臓器でのみ発現する抗原を持った細胞が存在しており、その抗原は胸腺では発現していないため、胸腺の選別メカニズムではこの特殊な抗原を持った細胞を異物と認識して攻撃するT細胞を排除できない。このような本来は自己なのだがT細胞から見て非自己に見える細胞を攻撃しないようにする仕組みが免疫寛容である。ある特定の条件の元にT細胞がその特殊な自己抗原に結合した場合に免疫寛容が成立する。
牛ウイルス性下痢ウイルス、ボーダー病ウイルス、豚コレラウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルスなどでは胎子期における垂直感染により、病原体に対する免疫寛容が成立することがある。牛ウイルス性下痢ウイルスに対して免疫寛容が成立した動物は重要な感染源となる。
抗原を経口摂取することによりその抗原への免疫寛容を成立させ、アレルギー疾患や自己免疫疾患を抑制させる治療法を経口トレランス、または経口寛容という。飲食物を異物とみなさないのも免疫寛容によるが、免疫システムに異常をきたし、本来は異物とは認識されない飲食物を異物として攻撃するために起こるのが食物アレルギーである。
関連項目
参考文献
- 大里外誉郎 『医科ウイルス学 改訂第2版』 南江堂 2000年 ISBN 4524214488
 
- 山本一彦『アレルギー病学』朝倉書店、2002年、ISBN 4254321975
 
 
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Japanese Journal
- 樹状細胞サブセットによる免疫応答制御 (第1土曜特集 自然免疫Update : 研究最前線) -- (自然免疫に関わる細胞研究の最前線)
 
- ドナー樹状細胞移入による移植免疫寛容トレランスの誘導
 
Related Links
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- 2013年3月16日 ... ばい菌などの異物が入ってきたとき、これをリンパ球が攻撃するのが免疫の仕組みだ。  その司令塔となる免疫細胞が誤作動したり暴走するとアレルギー症状に襲われる。卵や  乳製品を異物として攻撃するのが食物アレルギー、花粉では花粉 ...
 
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★リンクテーブル★
  [★]
- 英
 
- hepatitis B virus, HBV, hepatitis virus B
 
- 関
 
- ウイルス、肝炎、B型肝炎、肝炎ウイルス
 
ウイルス学
抗原&および抗体
| HBs抗原
 | 
HBsAg
 | 
表面抗原である。HBs抗原(+)はウイルスが体内に存在することを示す。
 | 
| 抗HBs抗体
 | 
anti-HBs
 | 
中和抗体である。抗HBs抗体(+)は過去にHBVに感染して治癒しているか、HBVワクチンを接種されているかをしめす。
 | 
| HBc抗原
 | 
HBcAg
 | 
HBVを構成するタンパク質であるが、キャプシド内のタンパク質である。
 | 
| 抗HBc抗体-IgM
 | 
IgM anti-HBc
 | 
感染初期に現れ、数ヶ月後に消える。急性肝炎の診断に使用される。
 | 
| 抗HBc抗体-IgG
 | 
IgG anti-HBc
 | 
抗HBc抗体-IgMに少し遅れて現れ、ほぼ生涯にわたって血中に存在する。過去にHBVにかかったことを示す。 
 | 
| HBe抗原
 | 
HBe
 | 
HBe抗原は発症に遅れて一ヶ月後から増加し始め、治癒した後2,3ヶ月かけて減少する。HBe抗原(+):HBVが増殖する際に過剰に作られるタンパク質。HBVの活発な増殖を示しており、感染力が強いことを示す。
 | 
| 抗HBe抗体
 | 
anti HBe
 | 
抗HBe抗体(+):HBVウイルス量と増殖が落ち着いていることを示しており、感染力が弱いことを示す。
 | 
HBcAg
- HIM.1935
 
- ヌクレオキャプシドはC geneがコードしている。ヌクレオキャプシド:に発現している抗原をHBcAgという。
 
HBeAg
- HIM.1935
 
- C geneがコード。スタートコドンが箇所有り、precore regionから開始するものは小胞体シグナルを含み、細胞外に分泌される。core regionから翻訳されたものがnucleocapsid particleの組み立てに用いられる。この蛋白はRNAと結合する。ウイルスの増殖性・感染性と関係がある。HBs-Ag陽性キャリアの母親が妊娠・出産して子供にHBVが伝播する確率は、HBeAg陽性で90%、HBe陰性で10-15%。3ヶ月を越えてHBeAg陽性だったら、慢性化した事の証。(HIM.1933)
 
- HBeAgは、HBsAgと同時かあるいはそのちょっと後に出現する。急性のB型肝炎の場合は、ALTがピークをつけたあたりで検出できなくなる。
 
初感染時に、末梢血でみられる血清学的変化の順番
- IgM anti-HBc (対応抗原が末梢血に出てこないから検出が容易という訳じゃよ、たぶん) -> anti-HBe ->anti-HBs
 
HBV抗原の局在
- QB.278
 
- HBsAg:肝細胞質内
 
- HBeAg:肝細胞質内
 
- HBcAg:肝細胞核内? ← ホントかな。末梢血に出ないというだけじゃね?
 
抗原/抗体の状態
|  
 | 
HBs抗原
 | 
抗HBs抗体
 | 
抗HBc抗体
 | 
HBe抗原
 | 
抗HBe抗体
 | 
RT-PCR
 | 
| 未感染者
 | 
-
 | 
-
 | 
-
 | 
-
 | 
-
 | 
-
 | 
| ワクチン接種者
 | 
-
 | 
+
 | 
-
 | 
-
 | 
-
 | 
-
 | 
| 既感染者
 | 
-
 | 
+
 | 
+
 | 
-
 | 
+
 | 
-
 | 
| キャリア
 | 
+
 | 
-
 | 
+++
 | 
+
 | 
-
 | 
+
 | 
| -
 | 
+
 | 
慢性化
- HBsAgが6ヶ月以上陽性で、IgG anti-HBcが優性となり、anti-HBsは検出できないか検出限界以下となる。このころにHBV DNAは末梢血・肝細胞の核内に存在し、free or episomal form(エピソーム)として存在する。
 
- 1. replacative stage: HBVの増殖や肝障害が激しい。このstageにおいてHBV DNAは量的, HBeAgは質的なマーカーとなる。
 
- 2. nonreplacative stage: 年に~10%の割合で起こる。HBeAg陽性からanti-HBeへの血清変換(seroconversion)が起こる。この時期にたいていALTが上昇するが、身体の細胞性免疫がウイルスを排除したと考えられている。このころにはHBV DNAは核内に存在して、宿主のゲノム内にintegrateされている。末梢血にはウイルス粒子ではなく、球状・管状のウイルス粒子がみられる。肝臓の障害もやんでいる傾向にある。時に、HBeAgへの血清変換とHBV DNAの上昇、IgM anti-HBcの出現を伴ってウイルスの再活性化が起こる。IgM anti-HBcはウイルスの再活性化でも起こるから、初感染の指標としては使えないね。患者の病歴が重要。(HIM.1935)
 
- 血清変換は細胞性免疫が減弱した老人で起こりにくく、若者に多い。
 
- 3. inactive HBV carrier: nonreplicative stageに入った患者のうち、活動性の肝障害がないヒトを指している。
 
ウイルスの生活環
- when packaging within viral peoteins is complete, synthesis of the incomplete plus strand stops
 
侵入&増殖
- ウイルスDNAは核内に移行
 
- ニックの入った鎖がDNAポリメラーゼに修復され2本鎖環状DNAとなる
 
遺伝子型
| 遺伝子型
 | 
A
 | 
C
 | 
| 地域
 | 
海外?
 | 
日本
 | 
| 慢性化
 | 
する
 | 
しにくい
 | 
| 重症度
 | 
軽い
 | 
重い
 | 
| IFN効果
 | 
奏効しやすい
 | 
奏効しにくい
 | 
| 腫瘍
 | 
 
 | 
肝細胞癌発症しやすい
 | 
潜伏期
- 60-160日
 
- 約35日でHBV DNAが検出可能
 
- 約59日でHBs抗原が検出可能
 
感染経路
- 血液、体液、分泌液(唾液)が粘膜と接触することで引き起こされる
 
- 垂直感染:母子感染(経産道感染。経胎盤感染しない。母乳感染なし。) ⇔ ときに経胎盤感染するらしい(G10M.168)
 
G10M.168
疫学
- 世界中に存在する
 
- 流行地:中国、東南アジア、サハラ砂漠地域、アマゾン川流域、太平洋湾岸地域
 
症状
急性肝炎
慢性肝炎
合併症
経過
- 感染後、10%がキャリアーとなり慢性化する
 
急性B型肝炎 (SMB.547)
- 急性B型肝炎→慢性B型肝炎
 
- 免疫能が正常な人に感染した場合、長い潜伏期の後にA型肝炎様の症状を発症する。2-4ヶ月で治癒する
 
- 1-2%の確率で劇症肝炎を引き起こす
 
慢性B型肝炎 (SMB.547)
- HBVキャリア:血中のHBs抗原が6ヶ月以上にわたり陽性である
 
- 無症候性キャリア:自発症状がない
 
- キャリアとなるとウイルス量は多いが肝障害がない無症候性キャリアとなる ← 免疫系が誘導されていない。免疫寛容の状態
 
- 10-30歳で肝炎を発症し、多くの場合、B型肝炎ウイルスを排除する方向に向かっていく(HBe抗体が立ち上がる)が、10%の症例で肝炎が持続する。HBe抗体が立ち上がっても5-10%の症例で変異型HBVにより肝炎が持続する。肝炎が持続すると肝硬変、原発性肝癌を生じる (SMB.547)
 
検査
治療
治療薬
急性肝炎
慢性肝炎
インターフェロン
- seroconversion(HBe抗原→HBe抗体)しにくいHBe抗原陽性活動性肝炎
 
- HBV DNA陽性・HBe抗体陽性活動性肝炎
 
ラミブジン
- 目的:救命
 
- 絶対適応:重症化、重症化の予想される慢性肝炎、活動性肝硬変、F3/A3の慢性肝炎、発症早期の劇症肝炎
 
- 相対適応:35歳以上のF2/A2慢性肝炎
 
- 禁忌  :35歳以下でF1/A1慢性肝炎
 
- 炎症:A1<A2<A3、線維化の程度F1<F2<F3<F4
 
ラミブジン耐性株
検査
予防
- HBs抗原の遺伝子を酵母に遺伝子導入して作らせた成分ワクチン
 
母子感染の予防
- ↓陽性
 
- 2-a.(HBe陽性)ウイルス量が多い場合の予後 :感染率100%, キャリア化率80-90%
 
- 0ヶ月:HBIG
 
- 1ヶ月: →HBs抗原検査
 
- 2ヶ月:HBIG:B型肝炎ワクチン
 
- 3ヶ月:B型肝炎ワクチン
 
- 4ヶ月:
 
- 5ヶ月:B型肝炎ワクチン
 
- 6ヶ月: →HBs抗原/HBs抗体検査
 
- 2-b.(HBe陰性)ウイルス量が少ない場合の予後:感染率 10%, キャリア化率まれ
 
- 0ヶ月:HBIG
 
- 1ヶ月:
 
- 2ヶ月:B型肝炎ワクチン
 
- 3ヶ月:B型肝炎ワクチン
 
- 4ヶ月:
 
- 5ヶ月:B型肝炎ワクチン
 
- 6ヶ月: →HBs抗原/HBs抗体検査
 
消毒薬
- アルコールでは不十分
 
- 0.5%次亜塩素酸、2%グルタルアルデヒドを用いる
 
ステロイド使用
- http://www.kenei-pharm.com/medical/academic-info/icnews/2015/4072/
 
- http://www.ryumachi-jp.com/info/news110926_gl.pdf#search=%27%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AD%E3%82%A4%E3%83%89+B%E5%9E%8B%E8%82%9D%E7%82%8E+%E9%99%A4%E5%A4%96%27
 
関連疾患
参考
- http://www.bml.co.jp/genome/product_service/invader01.html
 
  [★]
- 英
 
- clonal deletion
 
- 同
 
- クローン排除
 
- 関
 
- [[]]
 
[show details]
 
参考
  [★]
- 関
 
- immune tolerance、immunological tolerance
 
  [★]
- 英
 
- oral tolerance
 
- 関
 
- 経口耐性、経口寛容
 
  [★]
- 英
 
- allograft tolerance
 
- 関
 
- 移植免疫寛容
 
  [★]
- 英
 
- maternal immunity tolerance
 
  [★]
- 英
 
- immunity, immune
 
- 関
 
- 免疫系
 
免疫の種類 (PT.246-251)
T細胞の種類
ヘルパーT細胞の種類
  [★]
- 英
 
- tolerance、permissiveness、tolerant
 
- 関
 
- 寛容性、許容度、耐性、認容性、耐容能、トレランス