区画症候群
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Compartment syndrome |
分類及び外部参照情報 |
コンパートメント症候群の手術から2週間経過したところ
|
ICD-10 |
M62.2, T79.6 |
ICD-9 |
729.7, 958.9 |
DiseasesDB |
3028 |
MedlinePlus |
001224 |
eMedicine |
emerg/739 |
プロジェクト:病気/Portal:医学と医療 |
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コンパートメント症候群(コンパートメントしょうこうぐん、compartment syndrome)、または筋区画症候群(きんくかくしょうこうぐん)は、上肢または下肢のコンパートメント(筋区画)の内圧上昇により循環障害がおこり、筋や神経の機能障害が生じることをいう。
概要
上肢、下肢の筋、血管、神経は骨、筋膜、骨間膜に囲まれている。この構造をコンパートメント(compartment)あるいは筋区画と呼ぶ。例えば下腿には前部、外側、深後部、浅後部の4つのコンパートメントが、前腕には屈筋群、伸筋群、橈側伸筋群の3つのコンパートメントがある。何らかの原因でコンパートメント内の圧力が高まると、コンパートメント内の血管が圧迫されて循環障害が発生、筋や神経の機能障害がおきる。
急性型と慢性型があり、急性型の場合は筋や神経の組織が壊死して重大な障害を残すことがある。スポーツでは慢性型のコンパートメント症候群がみられることがある。
急性型
骨折、筋損傷、血管損傷などにより内出血あるいは浮腫が発生すると、コンパートメント内の圧力が上昇し循環不全がおこる。細動脈が閉塞するとコンパートメント内の組織の阻血が生じ、最悪の場合、壊死に至る。 主な症状は疼痛、腫脹、感覚障害、運動障害などで、筋を他動的に伸長させたときにも疼痛が発生する。
最終的に阻血性壊死に至るため、阻血の症状が現れたら、コンパートメント内の減圧と循環改善を図る処置を速やかに行わねばならない。 末梢の阻血の代表的な症状は、疼痛(pain)、蒼白(paleness)、脈拍消失(pulselessness)、感覚異常(paresthesia)、麻痺(paralysis)であるが[1]、これらのうち脈拍消失は必ずしも認められない。これは、コンパートメントの内圧が上昇して細動脈を閉塞しても動脈本管の圧力より低いためである。例えば、前腕のコンパートメント症候群が発生してもコンパートメントの内圧が橈骨動脈の内圧を上回らなければ、橈骨動脈の拍動は消失しない。
阻血の症状が現れたときは、次の処置を行う。
- 包帯やギプスによる固定を行っている場合は、それらの除去。
- 進行が急激である場合は、筋膜切開。
一般的に、外傷が発生した場合はRICE処置、すなわち患部の安静(rest)、冷却(icing)、圧迫(compression)、挙上(elevation)を行うが、コンパートメント症候群においては、圧迫と挙上は見合わせる。循環障害を助長させるからである。
急性型の例
- フォルクマン拘縮 - 前腕の屈筋群に阻血が発生し急速に変性する。小児の上腕骨顆上骨折に合併するケースが多い。
脚注
- ^ 英語の頭文字をとって阻血の5Pと呼ばれる。
参考文献
- Clem W. Thompson, R. T. Floyd『身体運動の解剖学 改訂版』、中村千秋・竹内真希 訳、医道の日本社、2002年
- 社団法人全国柔道整復学校協会・教科書委員会『柔道整復学-理論編』、改訂第5版、南江堂、2009年
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Japanese Journal
- コンパートメント症候群 (特集 新人ナース復習号 エビデンスがあるからもう迷わない! 整形外科病棟の主要合併症 予防法と観察チェックリスト)
- 山本 健吾
- 整形外科看護 : 整形外科ナースの知識と実践力アップをサポートする 17(12), 1176-1178, 2012-12-00
- NAID 40019502032
- 腹部コンパートメント症候群に伴う呼吸困難で発症した破裂性腹部大動脈瘤の1例 (報告集 第31回 東京CCU研究会)
- 飯田 啓太,渋井 敬志,石原 卓 [他]
- ICUとCCU : 集中治療医学 36(10), 827-831, 2012-10-00
- NAID 40019526022
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★リンクテーブル★
[★]
- 72歳の女性。右手の疼痛を主訴に来院した。3か月前に右橈骨遠位端骨折を受傷し、8週間のギプス固定を受けた。ギプス除去後にリハビリテーションを受けている。手を触られると刺すような痛みがあり、手掌の発汗亢進を自覚していたが、その後、増強するようになったため受診した。来院時、右手指は腫脹しており、つまみ動作は可能である。手関節とすべての手指の関節とに可動域制限を認める。両手エックス線写真(別冊No. 22)を別に示す。
- 診断として考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109D043]←[国試_109]→[109D045]
[★]
- 英
- pit viper bite
- 関
- マムシ、蛇咬傷、毒蛇咬傷
概念
- クサリヘビ科マムシによる咬傷
- 本州、四国、九州、北海道など日本全域に生息するマムシに咬まれて発症。
- 初夏から初秋に多い。
- 一般的な治療として、安静、創の切開・洗浄および毒素の吸引、細胞外液の点滴、抗マムシ毒素血清の投与がある。
診断
- 患者がマムシを目撃していれば、マムシ咬傷と診断して良い。
- 蛇を目撃していてもマムシかどうか分からない場合には、写真や図鑑をみて判断する。
- マムシをかまれていたとしても、蛇毒は毒牙の歯根部から注入されるので毒素が注入されない場合もある。その場合には、受傷後30-60分経過しても腫脹・疼痛がない場合には咬傷はなかったと考えられる。
症状
- 咬傷後に30分以内に咬傷部を中心とした腫脹、疼痛、皮下出血を生じる。
- 腫脹は約一日かけて体幹方向に腫脹が波及する。
- 咬傷部の壊死や筋肉壊死が生じる。
- 腫脹が激しい場合や横紋筋融解症によりコンパートメント症候群が生じうる。
- 咬傷後に24時間以内で内側直筋を主とする外眼筋麻痺による複視、眼瞼下垂などが生じうる。
- 全身症状として、発熱、全身倦怠感、動悸、血圧低下、悪心・嘔吐を生じることがある。
- 臓器障害では腎不全が多いが、肺水腫、心筋障害、DICなども起こりうる。
- 腎不全の原因は、横紋筋融解症、サードスペースへの体液流出にともなう循環血漿量減少、マムシ毒による直接腎毒性、DICなどが考えられている。
- 死亡例は亜急性で咬傷後3-9日に起こっており、死因のほとんどは腎不全である。
マムシ咬傷の重症度分類
重症度
|
所見
|
1度
|
かまれた局所のみの腫脹
|
2度
|
手関節または足関節までの腫脹
|
3度
|
肘関節または膝関節までの腫脹
|
4度
|
一肢全体に及ぶ腫脹
|
5度
|
一肢を越える腫脹
|
治療
- 輸液:
- 抗マムシ毒素血清:軽症例や皮内テストが陽性の場合には使用しないことが多い。抗毒素の副作用として3-5%にアナフィラキシーショックが、10-20%に血清病が生じるうるので重症例に投与は限るという考え方が一般的である(臨床中毒学p.500)。以下のような重症例では投与が推奨される。(1)全身症状として一過性の視力障害・複視などの眼症状が見られるとき。(2)マムシ重症度分類の3度以上。(3)急激に2関節を越えて腫脹が伸展するとき。
[★]
- 英
- compartment syndrome
- 同
- コンパートメント症候群 コンパートメントシンドローム、筋区画症候群
好発部位
- 前腕:掌側区画(フォルクマン拘縮)
- 下腿:前方区画(前脛骨区画)>外側区画>後方深部区画>後方浅部区画
分類
経過
部位
区画症候群の6P
診断
- 出血や浮腫が見られている部位に腫脹、筋肉の緊張があれば区画症候群を疑う。
- 確定診断には筋区画内圧の測定を行い、30-40mmHg以上の場合は異常と考える。(正常圧:10mmHg以下)
治療
[★]
- 英
- supracondylar humeral fracture, supracondylar fracture
- ラ
- fractura supracondylica humeri
- 関
- 上腕骨外側上顆、上腕骨内側上顆
概念
- 上腕骨遠位の内・外上顆のやや中枢での骨折であり、小児、5-10歳に多い。肘関節を伸展させたまま転倒した時に起こる。
検査
合併症
[★]
- 英
- abdominal compartment syndrome
[★]
- 英
- syndrome, symptom-complex
- 同
- 症状群
- 関
- [[]]
- 成因や病理学的所見からではなく、複数の症候の組み合わせによって診断される診断名あるいは疾患。
内分泌
先天的代謝異常
高プロラクチン血症
- 分娩後の視床下部障害によるプロラクチン分泌抑制因子の分泌抑制のため、高プロラクチン血症を呈する。
- 分娩に関係なくプロラクチン分泌抑制因子の分泌抑制をきたし、高プロラクチン血症を呈する。
性腺機能低下
- 嗅覚の低下・脱出、低ゴナドトロピン性性腺機能低下症
- 肥満、網膜色素変性症、知能低下、低ゴナドトロピン性性器発育不全、多指症、低身長
性早熟
- 思春期早発症、多発性線維性骨異形成症、皮膚色素沈着
- 女性型の肥満、性器の発育障害の2主徴を示し、視床下部に器質的障害をもつ疾患群。
脳神経外科・神経内科
[★]
- 英
- group
- 関
- グループ、集団、分類、群れ、基、グループ化
[★]
- 英
-
- 関
- 一部、部分、分割、役割
[★]
- 英
- symptom and sign
- 関
- 症状, 徴候 兆候
[★]
- 英
- compartment、compartmental
- 関
- 区画