- 英
- pit viper bite
- 関
- マムシ、蛇咬傷、毒蛇咬傷
概念
- クサリヘビ科マムシによる咬傷
- 本州、四国、九州、北海道など日本全域に生息するマムシに咬まれて発症。
- 初夏から初秋に多い。
- 一般的な治療として、安静、創の切開・洗浄および毒素の吸引、細胞外液の点滴、抗マムシ毒素血清の投与がある。
診断
- 患者がマムシを目撃していれば、マムシ咬傷と診断して良い。
- 蛇を目撃していてもマムシかどうか分からない場合には、写真や図鑑をみて判断する。
- マムシをかまれていたとしても、蛇毒は毒牙の歯根部から注入されるので毒素が注入されない場合もある。その場合には、受傷後30-60分経過しても腫脹・疼痛がない場合には咬傷はなかったと考えられる。
症状
- 咬傷後に30分以内に咬傷部を中心とした腫脹、疼痛、皮下出血を生じる。
- 腫脹は約一日かけて体幹方向に腫脹が波及する。
- 咬傷部の壊死や筋肉壊死が生じる。
- 腫脹が激しい場合や横紋筋融解症によりコンパートメント症候群が生じうる。
- 咬傷後に24時間以内で内側直筋を主とする外眼筋麻痺による複視、眼瞼下垂などが生じうる。
- 全身症状として、発熱、全身倦怠感、動悸、血圧低下、悪心・嘔吐を生じることがある。
- 臓器障害では腎不全が多いが、肺水腫、心筋障害、DICなども起こりうる。
- 腎不全の原因は、横紋筋融解症、サードスペースへの体液流出にともなう循環血漿量減少、マムシ毒による直接腎毒性、DICなどが考えられている。
- 死亡例は亜急性で咬傷後3-9日に起こっており、死因のほとんどは腎不全である。
マムシ咬傷の重症度分類
重症度
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所見
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1度
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かまれた局所のみの腫脹
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2度
|
手関節または足関節までの腫脹
|
3度
|
肘関節または膝関節までの腫脹
|
4度
|
一肢全体に及ぶ腫脹
|
5度
|
一肢を越える腫脹
|
治療
- 輸液:
- 抗マムシ毒素血清:軽症例や皮内テストが陽性の場合には使用しないことが多い。抗毒素の副作用として3-5%にアナフィラキシーショックが、10-20%に血清病が生じるうるので重症例に投与は限るという考え方が一般的である(臨床中毒学p.500)。以下のような重症例では投与が推奨される。(1)全身症状として一過性の視力障害・複視などの眼症状が見られるとき。(2)マムシ重症度分類の3度以上。(3)急激に2関節を越えて腫脹が伸展するとき。
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/02/09 13:48:32」(JST)
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動物咬傷(どうぶつこうしょう)とは、動物に咬まれた時にできる傷であり、外傷の一つである。
目次
- 1 犬・猫咬傷
- 2 魚咬傷
- 3 ネズミ咬傷
- 4 ヘビ咬傷
- 4.1 ヘビ毒について
- 4.2 有毒ヘビかの鑑別ポイント
- 4.3 対処法
- 4.4 対処の手順
- 4.5 対処のポイント
- 4.6 禁止事項
- 5 関連項目
犬・猫咬傷
まず、咬まれた時は、水道水、生理食塩水などで十分洗い、ガーゼをする。また、動物の口にはパスツレラ菌という特殊な菌がついていることが多く、化膿し蜂窩織炎になりやすい。そのため、化膿を防ぐための抗生剤の内服または点滴が必要となる。
「パスツレラ症」も参照
また、基本的にできた傷に対して縫合は行わないことが多い。(しかし、外傷による顔の変形が強い場合には縫合を行うこともある。)また、破傷風予防のため、トキソイドなど予防注射を行うのが望ましいとされている。また、犬の場合、狂犬病が心配される。発症すると100%の確率で死ぬと言われており、よく外国に旅行に行く人は予防接種をすることが推奨されている。猫の場合は、猫ひっかき病にも注意が必要である。
魚咬傷
釣れたゴンズイ、オコゼ、アイゴ、トラギス、ウニ、ヒトデなどに咬まれたり刺された場合、最初皮膚が白くなり、しばらくしてから腫れて赤くなる。疼痛がひどい場合、やけどしない程度でなるべく高温の湯(45℃位)に痛みが和らくまで浸すのがよいとされる。お湯による疼痛緩和が期待できない場合、神経ブロック、局所麻酔を行うことがある。犬・猫の時と同じように、破傷風予防のため、トキソイドなど予防注射を行うのが望ましいとされている。
ネズミ咬傷
Spirillhm minusとStreptobacillus moniriformsの2菌による感染が起こりやすい。ペニシリン系の抗生剤が奏功する。同じく破傷風予防のため、トキソイドなど予防注射を行うのが望ましいとされている。詳細は鼠咬症を参照のこと。
ヘビ咬傷
毒ヘビによって世界では年間50万人が咬傷をうけ、4万人が死亡している。日本ではニホンマムシにより3000人ないしはそれ以上が受傷し、約5~10人が死亡している。沖縄、奄美群島では、ハブにより年間100人が受傷している。
ヘビ毒について
日本でみられるヤマカガシ、クサリヘビ科の構成種は血液に作用する毒、コブラ科の構成種は神経に作用する毒をもっている。この毒は血液のプロトロンビンを活性化させ、血管内に微小な凝固を引き起こす。その時、フィブリノーゲンや凝固因子が消費され、逆に血液が止まらなくなる。これをDICという。こうなると、腎臓では微小な血栓のために急性腎皮質壊死を引き起こすなどの危険がある。また、ヘビ毒自体が血管内皮細胞に作用して、全身的な出血を引き起こす作用もある。
詳細は「ヘビ毒」を参照
有毒ヘビかの鑑別ポイント
- 咬んだ跡の傷の前方左右に、2つの牙の跡ができる。
- 痛みが強く咬まれた所がどす黒く変色している。
この2点が重要であり、これらが見られる場合、有毒ヘビの可能性が高い。
対処法
ヘビに咬まれた時の対処法を、以下に列記する。ヘビの場合、間違って伝えられている言い伝えなどが多いため、注意が必要。
対処の手順
- まず落ち着くこと。パニックに陥ったり、悲鳴を上げたり騒いだりすると、心拍数が上がるため、毒の回りが速くなってしまいやすい。ウミヘビに咬まれた場合は、すぐに陸や船に上がり、溺死を防ぐ。
- できるだけヘビを確認する。無毒ヘビと有毒ヘビでは治療法が異なるし、有毒ヘビの場合、治療の際に使用する抗血清は、毒蛇の種類によって異なる。つまり、ニホンマムシ咬傷の場合にはニホンマムシの抗血清、ヤマカガシ咬傷の場合にはヤマカガシの抗血清が必要である。このため、ヘビの種類がわかっていれば、それだけ早く最適な抗血清を用意できる。もちろん、検査によって毒蛇の種類を判別するのは可能だが、時間がかかるため、治療が遅れ、後遺症が残ってしまうことがある。可能であれば咬んだヘビを殺し、それを病院へ一緒に持ってきて確認してもらうのが望ましい。
- 患部を清潔に保つ。毒によって血管や血液がダメージを受けるため、雑菌などに対する抵抗力が弱まり、感染症に罹ってしまう。患部は清潔な水でよく洗い(できれば水道水が良い。消毒用のカルキを含むため)、清潔なガーゼなどで患部を保護すること。また、ウミヘビにかまれた時は、お茶(できれば番茶)に含まれるタンニンで毒を洗い流すのも望ましい。
対処のポイント
- 毒のまわりを遅くするために患部を心臓より低い位置に保つようにするのがよい。但し、後述するように、縛るのは厳禁である。
- 病院に行く。誰かに付き添ってもらうのが望ましいが、自分一人で行かなければならない場合は、ゆっくり歩くこと。走ったり、早歩きだと、心拍数が上がってしまい、それだけ毒の回りが速くなる。
禁止事項
次に、絶対してはいけないことを、以下に列記する。
- 運動 - 心拍数が上がると、それだけ毒の回りが速くなる。
- 飲酒 - 運動と同じで、心拍数が上がる。また、肝臓に負担がかかるため、肝臓の解毒作用が弱まってしまう。
- 切開 - 不潔な環境で素人が切開すれば、化膿の危険が高まり、また、毒の作用によって抵抗力が弱まっているため、たちまち感染症に罹ってしまいやすい。
- 縛る - 毒の回りは遅いので、縛っても無意味。逆に、患部に新鮮な血液が行かなくなるため、患部が壊死する危険が高まる。
- 冷やす - 毒蛇に咬まれると患部が腫れるが、打ち身や捻挫とは違い、冷やしても効果はない。むしろ、患部が壊死する危険が高まる。
- 血清を打つ - 手元に抗血清があっても、安易に使用してはならない。血清は毒蛇の種類によって違うし、また、誤って使用した場合や以前にも抗血清を使用したことがある場合などには、抗血清に対するアナフィラキシーショックが起こることもあるため、使用は医師の判断に任せること。実際の病院での治療では、あらゆる対策が講じられた後に、消炎剤や抗生物質などと併用しながら静脈に点滴で投与する。
関連項目
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ウィキメディア・コモンズには、動物咬傷に関連するカテゴリがあります。 |
- 感染症
- 皮膚科学
- 外科学
- 外傷
- 蜂窩織炎
- 虫刺症
- クラゲ刺傷
- ヘビ毒
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UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 臨床統計 当院で経験したマムシ咬傷34例の臨床的検討
- 臨床皮膚科 = Japanese journal of clinical dermatology 69(11), 877-881, 2015-10
- NAID 40020602657
- 症例報告 マムシ咬傷の1例 : 重症化の予測について
- 臨床皮膚科 = Japanese journal of clinical dermatology 69(6), 427-430, 2015-05
- NAID 40020477487
- 救急医学 = The Japanese journal of acute medicine 39(4), 497-506, 2015-04
- NAID 40020439749
Related Links
- マムシ(咬傷)pit viper (bite). 新潟県立六日町病院 研修医 渡辺 順. (監修 麻酔科 市川高夫). 【概要】. マムシは、琉球列島を除く日本の全土に分布しており、春から秋 とくに7~9月に多くみられる。体長45~60cm、胴が太く尾が短い。体色はさまざまだが 、 ...
- 2011年9月6日 ... 発症件数と致死率. ➢全国で年間2000~3000人. ➢致死率 0.1~0.8%. ➢死亡例 0. < 当院救命救急センターマムシ咬傷症例の推移>. 過去9年間 計 167症例. 0. 5. 10. 15. 20. 25. 30 ...
Related Pictures
★リンクテーブル★
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- 英
- toxic action
- 関
- ICD-10
薬用を主としない物質の毒作用 ICD-10
T51
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アルコールの毒作用
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T52
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有機溶剤の毒作用
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T53
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脂肪族及び芳香族炭化水素のハロゲン誘導体の毒作用
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T54
|
腐食性物質の毒作用
|
T55
|
石鹸及び洗浄剤の毒作用
|
T56
|
金属の毒作用
|
T57
|
その他の無機物質の毒作用
|
T58
|
一酸化炭素の毒作用
|
T59
|
その他の気体,フューム及び蒸気の毒作用
|
T60
|
農薬の毒作用
|
T61
|
海産食品として摂取された有害物質の毒作用
|
T62
|
食物として摂取されたその他の有害物質による毒作用
|
T63
|
有毒動物との接触による毒作用
|
T64
|
アフラトキシン及びその他の真菌毒素<マイコトキシン>による食物汚染物質の毒作用
|
T65
|
その他及び詳細不明の物質の毒作用
|
T63 有毒動物との接触による毒作用
T63.0
|
有毒動物との接触による毒作用,ヘビ毒
|
ヘビ毒、海ヘビ毒、ヘビ咬傷、ハブ咬傷、マムシ咬傷
|
T63.1
|
有毒動物との接触による毒作用,その他の爬虫類の毒
|
トカゲ毒
|
T63.2
|
有毒動物との接触による毒作用,サソリ毒
|
サソリ毒
|
T63.3
|
有毒動物との接触による毒作用,クモ毒
|
クモ毒
|
T63.4
|
有毒動物との接触による毒作用,その他の節足動物の毒
|
チャドクガ皮膚炎、ムカデ咬創、昆虫毒、刺虫アレルギー、刺虫症、四肢虫刺症、節足動物毒、体幹虫刺症、虫刺性皮膚炎、蜂刺症
|
T63.5
|
有毒動物との接触による毒作用,魚類との接触による毒作用
|
|
T63.6
|
有毒動物との接触による毒作用,その他の海生動物との接触による毒作用
|
イソギンチャク毒、クラゲ毒、ヒトデ毒、甲殻動物毒
|
T63.8
|
有毒動物との接触による毒作用,その他の有毒動物との接触による毒作用
|
|
T63.9
|
有毒動物との接触による毒作用,詳細不明の有毒動物との接触による毒作用
|
顔面昆虫螫、胸部昆虫螫、頚部虫刺症、前額部虫刺症
|
[★]
- 英
- viper venom、crotalid venom
- 関
- マムシ、マムシ咬傷
- 複数の蛋白質から構成されており、様々な生理作用を有する。それぞれ腫脹・出血・組織壊死・血液凝固促進・血液凝固抑制、神経毒性を有する。
[★]
- 英
- mamushi bite
- 関
- マムシ、マムシ咬傷
[show details]
[★]
- 英
- mamushi, mamushi pit viper
- ラ
- Agkistrodon blomhoffii, Agkistrodon halys
- 関
- 毒蛇咬傷
- 北海道から九州の屋久島までの各地に分布する日本の代表的な毒蛇。
- 平地から山地の森林、田畑の周辺、およびやぶなどに生息している。
- 4-11月にかけて生息し、ネズミや小鳥などを補食している。
- 体長は45-75cm程度で、頭は幅広く三角形で、頸部は細くびれ、胴は太く、尾は短い。
- 体色は茶褐色から赤褐色まで変位が多く、背には暗褐色の銭型斑紋を有する。
- 動作は緩慢で元来温和な蛇であるが、体色が保護色となり気づかずに近づいた結果、かまれることが多い。
[★]
- 英
- wound
- 関
- 創傷、傷つける
[★]
- 英
- bite mark
- 関
- 創傷