出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/02/17 06:51:05」(JST)
タウリン | |
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IUPAC名
2-アミノエタンスルホン酸 |
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別称
タウリン酸
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識別情報 | |
CAS登録番号 | 107-35-7 |
PubChem | 1123 |
ChemSpider | 1091 |
UNII | 1EQV5MLY3D |
DrugBank | DB01956 |
KEGG | C00245 |
ChEBI | CHEBI:15891 |
ChEMBL | CHEMBL239243 |
IUPHARリガンド | 2379 |
SMILES
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InChI
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特性 | |
化学式 | C2H7NO3S |
モル質量 | 125.15 g mol−1 |
密度 | 1.734 g/cm3 (at −173.15 °C) |
融点 |
305.11 °C |
酸解離定数 pKa | <0, 9.06 |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
タウリン (英:taurine)とは、構造式がH2N-CH2-CH2-SO3H の物質。別名 アミノエチルスルホン酸。IUPAC名は 「2-アミノエタンスルホン酸」。
タウリンは常温では、無色の柱状の結晶。水溶性であり、エタノールには不溶。分子量 125.15。約300℃で分解する。生体にとって重要な物質であり、ヒトにとっても重要であり、イカ・タコ・カキなどの軟体動物では組織に遊離状態で豊富に存在し、また他の様々な動物の体内でも見つかっている。
タウリンは生体内で重要な働きを示す分子であり、含硫アミノ酸から合成される。なお、タウリンはカルボキシル基を持たないため、狭義にも広義にもアミノ酸には分類されない[注 1]。タウリンは、原則としてタンパク質を構成せず[1]、DNAの遺伝暗号にもコードされていない(参考:タンパク質を構成するアミノ酸)。通常、遊離状態で種々の動植物の組織中に見出される[2][3]。
タウリンは1827年にドイツの解剖学者・生理学者であるフリードリヒ・ティーデマンと化学者であるレオポルド・グメリンによってウシの胆汁中から発見された。「taurine タウリン」という名前は、ラテン語で雄牛を意味する「taurus タウルス」に由来する。
タウリンはヒトの体内などで胆汁の主要な成分である胆汁酸と結合(抱合)し、タウロコール酸などの形で存在する。消化作用を助けるほか、神経伝達物質としても作用する。白血球の一種である好中球が殺菌の際に放出する活性酸素や過酸化水素の放出(呼吸バースト)を抑える作用もある。
ヒトにおいては心臓に多く含まれ、次いで筋肉、肝臓、腎臓、肺、脳などに含まれ、また、網膜や卵巣、精子などにも含まれ、体重が60kgのヒトでは約60gのタウリンが含まれている[4]。
軟体動物、特に頭足類(タコ・イカ)では、神経組織に含まれる遊離アミノ酸様物質の50%以上がタウリンである[5]。するめの表面に出る白い粉にはタウリンが凝縮されている。
ネコはタウリンを合成する酵素を持っていないため、ネコにとっての重要な栄養素といえる。このためキャットフードにはタウリンの含有量を明記したものが多い。ネコではタウリンの欠乏により拡張型心筋症が生じる。ただし、ヒト、トリ、ネズミなどは体内で合成できる。ヒトの生体内ではアミノ酸のシステインから合成される。
有機合成化学ではシスタミンの酸化、システアミンの酸化のほか、ブロモエタンスルホン酸とアンモニアなどから誘導される。
ここでは、主にヒトが摂取することにおける効能について説明する。
タウリンには「からだ、細胞を正常状態で保つ作用(ホメオスタシス)」がある。たとえば、血圧上昇に対する下降作用などがこれに該当する。特に、肝臓に対して働きかける作用を持ち、大まかに分類すると以下のようになる。
また、タウリンは抑制性神経伝達物質として想定されている[6]。
日本では合成品は医薬品扱いとされ、主に医薬部外品を含む栄養ドリンクの主成分に使われる。
有名なものに第一三共ヘルスケアのRegain、大正製薬のリポビタンD、大鵬薬品工業のチオビタドリンクなどがある。中国ではドライシロップが小児向けの風邪の初期症状を抑える薬として使用されている。レッドブルなどに代表される「エナジードリンクと呼ばれる清涼飲料水」は、諸外国ではタウリンを含んだ形で販売されるが、日本では清涼飲料水としての規格の下で製造・発売されているためにタウリンを使用することができず、アルギニンなどで代用されているが、タウリンと同等の作用はしない。
天然抽出物は食品添加物として使用が認められており、強化剤として育児用粉ミルクにも添加されている。
諸外国ではサプリメント(健康食品の一種)として販売されていることもある。
また、目の新陳代謝を促進する働きがあるため、目薬の成分として使用されることもある。
合成経路においてはまず、タンパク質の構成成分にもなる含硫アミノ酸であるシステインからシステインジオキシゲナーゼによりシステインスルフィン酸が合成される。このシステインスルフィン酸がシステインスルフィン酸デカルボキシラーゼ(スルフィノアラニン・デカルボキシラーゼ)により脱炭酸されてヒポタウリンが生成され、ヒポタウリンが酸化されてタウリンが合成される。ヒトはこれらの合成経路の酵素を持つため、自らタウリンを合成することができる。
胆汁酸と縮合したタウロコール酸はコリル・コエンザイムAとタウリンから合成される。タウリンは尿中に一日約200mgが排泄される。
経口投与における急性毒性の半数致死率(LD50)はラットで 5g/kg。
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タウリンはカルボキシル基を持たないので、アミノ酸ではない。また、タンパク質の構成成分になることもない。したがって、ネコにおいてはタウリンは必須アミノ酸ではなく、ビタミンの一種である。しかし、アミノ基を持つ酸であることもあって、古くからアミノ酸として混同されている。合成経路においてはまず、タンパク質の構成成分にもなる含硫アミノ酸であるシステインからシステイン・ジオキゲナーゼによりシステイン酸が合成される。タウリンはシステインスルフィン酸デカルボキシラーゼ(スルフィノアラニン・デカルボキシラーゼ)によりこのシステイン酸から合成される。ヒトはこの合成経路の両酵素をもつため、タンパク質を摂取していれば、タウリンの形での積極的摂取は不要である。胆汁酸と縮合したタウロコール酸はコリル・コエンザイムAとタウリンから合成される。タウリンは尿中に一日約200mgが排泄される。
近位尿細管 | 70% |
遠位尿細管 | 20% |
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