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Harvard University |
|
ラテン語名称:Universitas Harvardiana
|
校訓 |
Veritas[1] |
創立 |
1636年 (1636)[2] |
学校種別 |
私立、研究大学 |
運営資金 |
37億6000万ドル[3] |
学長 |
ドリュー・ギルピン・ファウスト |
教職員 |
4,671人[4] |
学生 |
21,000人[5] |
学部生 |
6,700人[5] |
大学院生 |
14,500人[5] |
所在地 |
アメリカ合衆国
マサチューセッツ州ケンブリッジ |
キャンパス |
都市型
210エーカー (85 ha) (Main campus)
21エーカー (8.5 ha) (Medical campus)
360エーカー (150 ha) (Allston campus)
4,500エーカー (1,800 ha) (other holdings) |
学生新聞 |
The Harvard Crimson |
スポーツ |
様々42チーム |
スクールカラー |
クリムゾン[3] |
愛称 |
Harvard Crimson |
運動競技 |
NCAA Division I – アイビー・リーグ |
所属提携 |
NAICU
AICUM
AAU
URA |
ウェブサイト |
Harvard.edu |
テンプレートを表示 |
ハーバード大学(英語: Harvard University)は、アメリカ合衆国の研究型私立大学であり、アイビー・リーグの一校。イギリス植民地時代の1636年に設置された、アメリカ最古の高等教育機関である。
現在に至るまで8人のアメリカ合衆国大統領や、100人以上のノーベル賞受賞者、7人のフィールズ賞受賞者(学部卒2人、博士課程卒6人)を輩出している。また、現在の億万長者(資産10億ドル以上)のうち62人はハーバードの卒業生である[6]。アメリカの学部課程ランキングで1位にランク付けされ、[7]タイムズ・ハイアー・エデュケーションや上海交通大学などによる世界大学ランキングでは、常にトップクラスにランキングされる。[8][9]
目次
- 1 沿革
- 2 キャンパス
- 3 特徴
- 4 大学運営と資金力
- 5 教育内容
- 6 主要世界大学ランキング
- 7 特筆すべき関係者
- 8 学生文化
- 9 不祥事
- 10 日本との関係
- 11 フィクションなど
- 11.1 文学
- 11.2 劇場映画
- 11.3 テレビドラマ
- 12 脚注
- 13 出典
- 14 関連項目
- 15 外部リンク
沿革
ジョン・ハーバード像:ユニバシティーホールの前にあり、「3つの嘘の像
[注 1]」と呼ばれる。像の脚先に触れると幸運が訪れるという。ダニエル・チェスター・フレンチ(1850-1931)作。
ハーバード大学はアメリカ最古の高等教育機関であるが、大学がいつの時点で発足したのかは、明確に特定の日付では定められていない。1636年9月8日(グレゴリオ暦では9月18日)に招集され10月28日(グレゴリオ暦では11月7日)に散会したマサチューセッツ湾植民地の議会は、「学校ないしカレッジ[10]」の新設のために資金を支出することを議決した[11]。一般的にこれを創立の年とみなしている。翌1637年9月7日の植民地議会では、「The College()」を当時の Newe Towne(Newtowne)に開設することが議決されている[11]。1639年から用いられるようになった「ハーバードカレッジ[12]」という名称は、1638年に死去した際に、遺言で蔵書と所有不動産の半分をカレッジに遺贈した、最初の寄付者で清教徒派の牧師ジョン・ハーバード(英語版)に由来する。1638年には、Newe Towne (Newtowne) が Cambridge と改称されたが、これは大学の初代学長[13]ヘンリー・ダンスター(英語版)(在任;1640-1654)、最初の寄付者ジョン・ハーバード、初代校長[14]ナサニエル・イートン(英語版)、さらに、当時の(初代の)マサチューセッツ湾植民地総督ジョン・ウィンソープが、いずれもケンブリッジ大学出身であったことに由来している。College()でなく、University()として言及した最初の例は、1780年のマサチューセッツ州憲法[15]とされている。
キャンパス
大学の中核はボストン近郊、ケンブリッジのハーバードヤード[16]を中心とするケンブリッジキャンパスであり、マサチューセッツ工科大学のキャンパスからは3kmほどの距離にある。キャンパスは、ボストン市内のオールストン[17]やロングウッド[18]にもある。付近には60を超える大学があり、ハーバード大とマサチューセッツ工科大にゆかり(卒業生または教員)のあるノーベル賞受賞者を合わせると累計150人(ハーバード74人、マサチューセッツ工科大学79人)を超えるなど、世界有数の学園都市を形成している。
ケンブリッジキャンパスの最寄りの地下鉄(Tと呼ばれる)駅は、「Harvard」。ハーバードスクエアに面し、ハーバードヤードに入る玄関の正門はジョンストンゲート。その正面のユニバーシティーホールの前にはジョン・ハーバードとされる像がある(実際にはジョン・ハーバードを象った像ではないという話は有名)。ハーバードヤードには、大学事務や1年次の学生が住む寮がある他、第一次世界大戦の学生戦死者を祈念して作られたメモリアル教会、タイタニック号沈没で息子を失ったワイドナー夫妻によって設立されたワイドナー記念図書館、ロマネスク様式建築のセバーホールなどの建築物がある。ヤード周辺には、南北戦争の戦死者を祈念して作られたメモリアルホール、科学教育施設であるサイエンスセンター、デザイン学関係のガントセンターなどがある。また、西洋美術のフォッグ美術館、東洋美術のサックラー美術館、ガラス製植物標本で有名な自然史博物館など、常設公開施設もあり、多くの観光者が訪れる場所となっている。以下は、ケンブリッジキャンパスの代表的な見所である。
-
ハーバードヤード:ハーバードホール(1766年)、マサチューセッツホール(1720年)、ホールデンチャペルのある付近がハーバード大学の1番古い部分であり、オールドヤードと呼ばれる。ユニバーシティーホール(1815年、ワシントンDCアメリカ合衆国連邦議会議事堂と同じブルフィンチ設計)の裏側のメモリアル教会、ワイドナー図書館がある部分は、6月に卒業式が行われる広場でターセンテナリー劇場という。[注 2]
-
ワッズワースハウス[19]:1726年建築。19世紀半ばまで、学長の住居だった。独立戦争時にジョージ・ワシントンが司令部を置いたことで知られる。
-
メモリアルホールメモリアルホール:南北戦争の戦死者を祈念して作られたゴシック風建築。内部は、サンダース劇場と呼ばれるコンサートホールになっている。毎年9月末恒例のイグノーベル賞(ノーベル賞のパロディー賞)の授賞式はここで行われる。下部は、ロッカーコモンズと言われ、学生食堂、溜まり場になっている。
-
フォッグ美術館:ハーバード大学最古の美術館。西洋美術、印象派やピカソの作品が有名。連結したブッシュ・ライジンガー美術館(英語版)は、北欧美術。
-
アーサー・M・サックラー美術館(英語版):東洋美術、イスラム美術など非西洋美術が中心。
-
自然史博物館:ハーバード大学の教授であった博物学者ルイ・アガシーの理想である Study Nature, not books を実現した博物館。鉱物学地質学博物館、比較動物学博物館、有名なガラス製植物標本があるハーバード大学標本館・植物博物館からなっている。考古学、民族学の博物館であるピーボディー博物館と連結している。ルイ・アガシーは、大森貝塚を発見したエドワード・S・モースと師弟関係にある。
-
ホリオキセンター[20]:ハーバード大学の運営事務所。一階には、ハーバード大学の案内所などがある。学生によるハーバード大学ツアーの開始点。
-
ハーバードスクエアからチャールズ川側に行くと、ハウス(下記参照)やフランドル風の建物であるランプーン[21]などの建物がある。ハーバードビジネススクールのキャンパスをつなぐウィークス橋付近は、ハウスの建物を望み、ハーバード大学学生のくつろぎの場となっている。
- The Coop:これは、ハーバード大学生協であるが、マサチューセッツ工科大学にもある。ハーバードスクエアには、書籍を扱う店とハーバードグッズを扱う店[22]の2店がある。
オールストンキャンパス拡張計画 - ビジネススクールのあるオールストン地区のキャンパスを拡張するプロジェクトが実施されている。
特徴
歴史的には清教徒会衆派が指導者を育成するために設立したので、現在でも神学校(ディビニティースクール)があり、卒業式にはプロテスタント関係者が参加するなどの関係がある。またキャンパス内にあるメモリアル教会でも宗教関連の行事が開かれる。なお設立当初の目的は「社会と教会の指導者を育成する」となっており、教育モットーは「神とその子キリストを知る」というヨハネの福音書17章3節「その永遠のいのちとは、彼らが唯一のまことの神であるあなたと、あなたの遣わされたイエス・キリストとを知ることです。」の聖書の言葉からのものであった。
ハーバード大学、イェール大学、プリンストン大学の3大学は伝統的にBig Threeまたは各校の頭文字をとってHYPと呼ばれている。ハーバード大学は他に比べ「リベラル」であると言われ、マイノリティーの受け入れにも積極的である。アメリカ合衆国の政権でいえば、前学長がクリントン政権にいたことからわかるように民主党と関わりが深い。ただ、ジョージ・W・ブッシュ元大統領(共和党)がハーバードビジネススクール出身であり、かつてのヘンリー・キッシンジャー氏のように共和党政権の主要人物が教鞭をとっていたことからも単純には議論できない。
- ハーバード大学の学部教育の問題として、マイノリティへの成績の付け方が他大学に比べ甘いこと、また実際の教育が教授でない教員(フェロー)によって行われている実態があることが指摘されている。これは教授が研究や大学院教育に重点を置いているためであるが、教授が学生の指導を密接に行うリベラルアーツ・カレッジとの違いになっている。マサチューセッツ州のアマースト大学、ペンシルベニア州スワースモア大学といったリベラルアーツ・カレッジを卒業して、ハーバード大学の大学院に入学する学生も少なくない。大学院の教育は、専門職大学院を始めとして、その質の高さから世界の教育機関の規範となっている。ただ、GSASなど、他の大学に比べて放任教育の傾向があるといわれる。
ハーバードと地理学
アメリカ合衆国最高の教育水準を保つハーバード大学であるが、地理学に関しては1956年以降地理学者がいない状態が続いている[23]。ハーバード大学は、かつて地形輪廻を提唱したウィリアム・モーリス・ディヴィスや環境決定論で知られるエルズワース・ハンティントン、人文地理現象を自然との関係で捉えようとしたイザイア・ボウマンなどの地理学者を輩出してきた[23]が、1948年2月に財政難を理由に地質・地理学科の地理学部門の閉鎖が決まった[23]。実際には地理学者エドワード・アッカーマン(英語版)の準教授への昇任をめぐる駆け引きがきっかけとされ、学内からはエドワード・アルマン、学外からはリチャード・ハーツホーンやカール・O・サウアーが地理学部門を守るために尽力したが、結局廃止に追い込まれた[23]。
杉浦芳夫は、『二〇世紀の地理学者』の中で卒業生のイザイア・ボウマンが時のハーバード大学総長ジェームス・コナントに存続を働きかけていたら、状況は変わっていたかもしれないと述べている[23]。しかしボウマンは、同じ政治地理学分野で考えの合わなかったダウエント・ホイットルセーがハーバード大学で教鞭を執っていたこともあってか、コナントに働きかけをすることをしなかった[23]。閉鎖にともなってアッカーマンはシカゴ大学へ、アルマンはワシントン大学へ移籍し、最後まで残ったホイットルセーは、1956年に急死し、ハーバード大学の地理学は終焉を迎えた[23]。
大学運営と資金力
ハーバード大学の巨大なシステムを支えているのは、寄付金などを蓄積してきた349億ドル(2007年度・約4兆円)という米国内はもとより、全世界でも飛び抜けて巨大な大学基金とその運用であり、全米2位イェール大学の2倍近くある。年間の寄付金(エンダウメント)は、約800億円。(参考までに、日本の21世紀COEプログラムは年間全予算が約370億円である。)
- 学長:現在の学長であるドリュー・ギルピン・ファウストはハーバード大学史上初の女性学長にして、史上初の非ハーバード出身の学長である。歴史学者であり、就任前は大学附属のラドクリフ研究所長であった。
- プロボスト:スティーブ・ハイマン(医学関係者)
- 教員数:2,300(うち終身雇用権テニュアを持つもの:870;テニュアを持つ教員数が少ないのが、他の大学と比べた場合の特徴となっている。他大学ではAssociate Professorになるとテニュアを持つ場合が多いが、ハーバード大学は異なる。これは、ハーバード大学にある研究所内のFull Professor以外の教員の多くが非テニュアとして雇われているからである。)
- 学部生:6,650(男性3,400 女性 3,200)(白人48%、アジア系17%、アフリカ系8%、ヒスパニック8%など)
- 大学院生:13,000 (GSAS:3,600、ビジネススクール:1,800、ロースクール:1,900、教育学:1,100、メディカル:800など)
- 大学学費:$34,998(約400万円)(2008年度)(注:2学期分、約8か月分の学費。夏学期を受講すればさらに上乗せされる。なお返済不要の財政援助も充実しており、2006年度より世帯年収6万ドル以下の学部生は授業料を全額免除され、世帯年収6万ドル~8万ドルの学部生も大幅に授業料が減額、さらに$8万ドル~$18万ドルの世帯年収の学生には年収の10%ほどの授業料のみしか要求されない。[24]また、PhD課程で学ぶ学生には年収に関係なく、授業料全額免除+年間約3万ドル(専攻により額は異なる)の生活費が給付されている。これらの財政援助は留学生に対しても適用される。)
- 必要経費:$2,000(約23万円)および寄宿費$9,260(約100万円)(食事込み)
- 政府研究費(2004年度):FAS(直接経費$80,204,000、間接経費$32,660,000、合計$112,864,000)、メディカルスクール(直接経費$141,587,000、間接経費$60,062,000、合計$201,649,000)
教育内容
College/school |
設立年度 |
Harvard College |
1636年 |
Medicine |
1782年 |
Divinity |
1816年 |
Law |
1817年 |
Dental Medicine |
1867年 |
Arts and Sciences |
1872年 |
Business |
1908年 |
Extension |
1910年 |
Design |
1914年 |
Education |
1920年 |
Public Health |
1922年 |
Government |
1936年 |
Engineering and Applied Sciences |
2007年 |
大学
ハーバード・カレッジ[25]。Faculty of Arts and Sciences(ファカルティ・オブ・アーツ・アンド・サイエンシーズ)というリベラルアーツ学部によって運営されている。
ハーバード大学に入学した学生は、1年次をハーバードヤードとその周辺にある寮で過ごすが、。2年次から4年次卒業までは、「ハウス House」と呼ばれるシステムに属し、大部分の学生がハウスに寄宿する全寮制となっている。ハーバード大学のハウスは、ハーバードヤードからチャールズ川の間を中心に12個ある。それぞれのハウスには、専攻、学年、人種の違う学生が400人ほど集まり、専任の教員がいて指導が行われ、同窓会組織も強い。日本の皇太子徳仁親王妃雅子がハーバード在学中に寄宿したローウェルハウスなど、外観が優美な建築物も多い。
ハーバード大学の学生の専攻(concentration)は、他の大学のようにmajor(メイジャー)とは呼ばず、concentration(コンセントレイション)と呼ばれる。その他、他の大学とは学期試験(2セメスター制)の時期が異なるなど、ハーバード大学独自の方式や伝統が見られる。同じケンブリッジにあるマサチューセッツ工科大学MITとは、単位交換などができる姉妹校として基本的に協同的な運営が行われている。近年、MITとハーバード大学の共同事業としてブロード研究所が設立されるなど関係が深まる一方、工学系が弱かったハーバード大学でも工学系学科の充実が行われつつある。
41専攻(アフリカ・アフリカンアメリカン研究、人類学、応用数学、生化学、生物学、化学、化学物理、古典、コンピューター科学、地球惑星科学、東アジア研究、経済学、工学、英米文学と言語、環境科学と公共政策、伝承と神話学、政治学、歴史学、文学史、科学史、芸術史、言語学、文学、数学、音楽学、中東言語文化、哲学、物理学、心理学、宗教比較、ロマンス語と文学、サンスクリット・インド研究、スラブ語と文学、社会科学、社会学、特別専攻、統計学、視覚環境学、女性・性に関する研究)。
学生寮
新人向け寮については「en:List of Harvard College freshman dormitories」を参照
12のハウス
- リバーハウス(ハーバードヤードとチャールズ川の間にあるハウス): アダムス[26]、ダンスター[27]、エリオット[28]、カークランド[29]、ロエル[30]、マザー[31]、クインシー[32]、ウィンスロプ[33]
- ラドクリフ・クアドラングル[34]にあるハウス: キャボット[35]、クーリエ[36]、フォルツァイマー[37]
- ダドリー・ハウス[38]:ハーバード13番目のハウスとして、大学院生を組織化している。ハーバード大学が、不動産部門、アパートを持っており、大学院生のための住居を斡旋している。コナントホールなどの大学院生専用居住施設もある。
大学院
大学院は、学術系大学院のGSASなどのほか、ビジネス・スクール(HBS、経営学大学院)、ロー・スクール(HLS、法科大学院)、ケネディスクール(HKS、行政・政治学大学院)、メディカル・スクール(医学)などの専門職大学院がある。ロースクールはハーバードヤード北側、ケネディスクールはヤードから少し離れた場所にある。ビジネススクールはチャールズ川をはさんだオールストン(ボストン)キャンパスに、メディカルスクールは距離的に離れたロングウッド(ボストン)キャンパスにある。これらの大学院は全米で常にトップクラスにランキングされている。
- ハーバード・GSAS (Graduate School of Arts and Sciences)
- GSASは、ファカルティ・オブ・アーツ・アンド・サイエンシーズ[39]の大学院で、大学院生数は最多。人文科学・社会科学・自然科学・工学・生命科学を含む学術大学院。主に博士号であるPhDの学位を授与するが、少数ながら修士号であるAM[40]、SM[41]、ME[42]、MFS[43]を授与するプログラムも存在する。現在GSASで提供されている学位プログラムの一覧[44]
- 数学、物理学、天文学、化学物理学、化学と化学生物学、化学生物学、応用数学、応用物理学、コンピュータ科学、工学/応用科学、建築/ランドスケープ/都市計画、生物医学、免疫学、分子細胞生物学、神経科学、生物進化学、ウイルス学、生物物理学、生物統計学、システム生物学、人間進化生物学、歯科医学における生物科学、公衆衛生における生物科学、統合生命科学、地球/惑星科学、経済学、ビジネス経済学、人類学、森林学、心理学、アフリカ・アフリカンアメリカン研究、ケルト語/ケルト文学、古典、比較文学、東アジア学、英語、映画/視覚学、ドイツ語/ドイツ文学、行政学、健康政策、歴史学、アメリカ文明化の歴史、芸術と建築の歴史、科学史、内陸アジア/アルタイ研究、言語学、医療科学、中東研究、音楽、近中東言語と文明化、組織行動、哲学、政治経済と行政、公共政策、地域研究(ロシア/東ヨーロッパ/中央アジア)、宗教、ローマ語/ローマ文学、サンスクリット/インド/チベット/ヒマラヤ研究、科学/技術/経営、スラブ語/スラブ文学、社会政策、社会学、南アジア研究、ビザンチン/中世研究、統計学
- ハーバード・ビジネス・スクール
- ハーバード・ロー・スクール
- ハーバード・ケネディスクール
- ハーバード・デンタルスクール
- ハーバード・メディカルスクール
- このメディカルスクールは、マサチューセッツ総合病院の運営を行っている他、いくつかの病院と提携をしている。世界最先端の医療研究も行われている。
- ハーバード・公衆衛生大学院 - 武見国際保健プログラムが設置されている。
- ハーバード・工学/応用科学スクール
- 2007年に開校した、ハーバードで最も新しいスクール。他のアイビーリーグの大学同様、歴史的にハーバードでは工学や応用科学の研究が手薄であった。しかし、これらの分野の重要性の高まりを受け、スクールとして独立することで近年拡大を続けている。
- ハーバード・デザインスクール
- ハーバード・教育学大学院
- ハーバード・神学大学院
- ラドクリフ研究所:1879年創立のラドクリフ・カレッジは、ハーバード大学と提携した女子大学であったが、1999年に完全に吸収されラドクリフ研究所となった。ヘレン・ケラーが卒業したことで知られる(1904年)。
図書館
ハーバード大学図書館(英語版)は1638年に創設され、アメリカで最も歴史がある図書館になっている[45]。 図書館システムは1530万冊の蔵書を持ち、学術図書館として世界最大級の規模を誇る[45]。この規模は、米国議会図書館に次いで全米2位の蔵書数であり、世界では米国議会図書館、大英図書館、フランス国立図書館に次いで4位となっている。図書館システムの中心にあるのは、ワイドナー記念図書館であり[45]、その他、90個あまりの図書館を有する。例えば、多数の日本語書籍を所蔵するイェンチン図書館やカウントウェイ医学図書館などがある。
主要世界大学ランキング
TIMES世界大学ランキング(2014 / 2015年)[46]
分類 |
順位 |
総合 |
第2位 |
評判 |
第2位 |
社会科学 |
第4位 |
芸術・人文学 |
第2位 |
生命科学 |
第1位 |
医学・保健 |
第2位 |
自然科学 |
第3位 |
工学 |
圏外(100位未満) |
QS世界大学ランキング(2014 / 2015年)[47]
分類 |
順位 |
総合 |
第4位 |
分野別 |
芸術・人文科学 |
第1位 |
社会科学・経営学 |
第1位 |
生命科学・医学 |
第1位 |
自然科学 |
第2位 |
工学・技術 |
第17位 |
ARWU世界大学学術ランキング(2014年)[48]
分類 |
順位 |
総合 |
第1位 |
分野別 |
自然科学 |
第2位 |
生命科学 |
第1位 |
医学 |
第1位 |
工学・コンピュータ科学 |
第32位 |
社会科学 |
第1位 |
学問別 |
数学 |
第2位 |
物理学 |
第4位 |
化学 |
第2位 |
コンピュータ科学 |
第4位 |
経済学 |
第1位 |
US News世界大学ランキング(2015年)[49]
分類 |
順位 |
総合 |
第1位 |
分野別 |
社会科学・公衆衛生 |
第1位 |
経済学・ビジネス |
第1位 |
生物学・生化学 |
第1位 |
分子生物学・遺伝学 |
第1位 |
免疫学 |
第1位 |
細菌学 |
第1位 |
神経科学・行動学 |
第1位 |
植物学・動物学 |
第1位 |
環境・生態学 |
第2位 |
臨床医学 |
第1位 |
精神医学・心理学 |
第1位 |
薬学・毒物学 |
第1位 |
農学 |
第11位 |
化学 |
第7位 |
材料科学 |
第5位 |
物理学 |
第4位 |
宇宙科学 |
第40位 |
地球科学 |
第4位 |
数学 |
第6位 |
コンピュータ科学 |
第2位 |
工学 |
第30位 |
特筆すべき関係者
詳細は「ハーバード大学の人物一覧」を参照
ハーバード大学出身のノーベル賞受賞者については「en:List of Nobel laureates by university affiliation#Harvard University」を参照
学生文化
- ザ・ゲーム(The Game): 毎秋恒例のイェール大学とのフットボール交流戦。ハーバード大学で行われる場合は、オールストン(ボストン)側にあるスタジアムが会場。その他、約40個のスポーツチームがある。
- WHRB: 学生により運営されているFM局(95.3MHz)
- ローブ[50]ドラマセンター:現代劇上演劇場。
- ハスティ・プディング・シアトリカルズ[51]:マン・オブ・ジ・イアー[52]とウーマン・オブ・ジ・イアー[53]という男優、女優を選定する。
- M2: ハーバード大学ケンブリッジキャンパス、マサチューセッツ工科大学、ハーバード大学メディカルキャンパス(ロングウッド地区)の3キャンパスを結ぶシャトルバス。ハーバード大学の学生は無料で利用できる。
- ハーバード・クリムゾン(英語版): ハーバード大学日刊の学生新聞。
- ハーバード・ガゼット[54]: ハーバード大学の広報新聞。
- ハーバード・ランプーン(英語版): 全米最古の風刺雑誌。
不祥事
- サマーズ発言と不信任決議:2005年1月、サマーズ学長が、「科学や工学の分野で秀でた業績を残した女性が少ないのは、男女間に生まれつきの素質の差があるからだ」という趣旨の発言をし、世界中に配信された。これをきっかけに、ハーバードカレッジの教員会が、サマーズ学長を不信任とする決議を採択している。2006年2月21日、同年6月に学長を辞任することを発表した。
- 2012年5月、リベラルアーツ学部で行われた政治学の試験でカンニングが発生。後日、学年の約半数にあたる125名が退学や停学、仮進級といった処分を受けた。この試験は、出題された課題を自宅で答案(レポート)としてまとめて提出するもので、インターネット等の資料の閲覧が認められるものの、丸写しや他の学生との相談による作成は認められていない。しかし多数の学生の回答ぶりが酷似していたことから、大学側が調査を開始。一部の学生側からは、特定の学生のノートをコピーして資料として使用したもので、答案作成そのものを相談して作成した訳ではないとの弁明が出されたが、学校側は大量処分に踏み切った[55]。
日本との関係
著名人
ハーバード大学関係の日本人会
- Kennedy School 日本人会[56]
- Business School 日本人会[57]
- Public Health School 日本人会[58]
- ボストン日本人研究者会[59]
- HarvardMed-J[60]
同志社大学
- ハーバードの授業(夏期集中講義)を、同志社大学のキャンパス・施設において実施している。アメリカから大学の教員・大学生が来日し、講義はすべて英語で行われる。同志社大学の学生も授業に参加することができるが、TOEFL 550点(CBT 230点、iBT 79-80点)または TOEIC 800点程度取得するなどの参加条件が付く。
フィクションなど
ハーバード大学は、文学、劇場映画、テレビドラマなどにも登場する。ただし、撮影場所には、別の大学のキャンパスが利用されることもある。
文学
劇場映画
- ある愛の詩
- きっと忘れない
- キューティ・ブロンド
- グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち(主な舞台はマサチューセッツ工科大学)
- ソーシャル・ネットワーク
- ビー・バッド・ボーイズ
- ミスター・ソウルマン
- 私は「うつ依存症」の女
テレビドラマ
脚注
- ^ 銘版には、「John Harvard Founder 1638」と書かれているが、ジョン・ハーバードは、ハーバード大学創設者ではなく、寄贈者である。ハーバードカレッジの創設は、1638年ではなく1636年。モデルが、1884年作製当時の学生
- ^ ここには、ボストンのトリニティー教会設計のリチャードソンがデザインしたロマネスク様式建築セバーホール、イタリアルネサンス様式のボイルストンホールなどがある。ハーバード大学の建物のほとんどすべてに固有名詞が入っており、同じケンブリッジにあるマサチューセッツ工科大学が、建物を番号で呼んでいるのとは対照的である。毎学期の終わり、試験週の始まる前日には、このハーバードヤードで「プライマルスクリーム」と呼ばれる、全裸で学生たちが走り回る伝統が行われる。
出典
- ^ Harvard's Veritas appears on the university's arms; heraldically speaking, however, a 'motto' is a word or phrase displayed on a scroll in conjunction with a shield of arms. Since 1692 University seals have borne Christo et Ecclesiae (for Christ and the Church) in this manner, arguably making that phrase the university's motto in a heraldic sense. This legend is otherwise not in general use today.
- ^ An appropriation of £400 toward a "school or college" was voted on October 28, 1636 (OS), at a meeting which convened on September 8 and was adjourned to October 28. Some sources consider October 28, 1636 (OS) (November 7, 1636 NS) to be the date of founding. Harvard's 1936 tercentenary celebration treated September 18 as the founding date, though 1836 bicentennial was celebrated on September 8, 1836. Sources: meeting dates, Quincy, Josiah (1860). History of Harvard University. 117 Washington Street, Boston: Crosby, Nichols, Lee and Co.. , p. 586, "At a Court holden September 8th, 1636 and continued by adjournment to the 28th of the 8th month (October, 1636)... the Court agreed to give £400 towards a School or College, whereof £200 to be paid next year...." Tercentenary dates: “Cambridge Birthday”. Time. (1936年9月28日). http://www.time.com/time/magazine/printout/0,8816,756722,00.html 2006年9月8日閲覧。 : "Harvard claims birth on the day the Massachusetts Great and General Court convened to authorize its founding. This was Sept. 8, 1637 under the Julian calendar. Allowing for the ten-day advance of the Gregorian calendar, Tercentenary officials arrived at Sept. 18 as the date for the third and last big Day of the celebration;" "on Oct. 28, 1636 ... £400 for that 'school or college' [was voted by] the Great and General Court of the Massachusetts Bay Colony." Bicentennial date: Marvin Hightower (2003年9月2日). “Harvard Gazette: This Month in Harvard History”. Harvard University. 2006年9月15日閲覧。, "Sept. 8, 1836 - Some 1,100 to 1,300 alumni flock to Harvard's Bicentennial, at which a professional choir premieres "Fair Harvard." ... guest speaker Josiah Quincy Jr., Class of 1821, makes a motion, unanimously adopted, 'that this assembly of the Alumni be adjourned to meet at this place on September 8, 1936.'" Tercentary opening of Quincy's sealed package: The New York Times, September 9, 1936, p. 24, "Package Sealed in 1836 Opened at Harvard. It Held Letters Written at Bicentenary": "September 8th, 1936: As the first formal function in the celebration of Harvard's tercentenary, the Harvard Alumni Association witnessed the opening by President Conant of the 'mysterious' package sealed by President Josiah Quincy at the Harvard bicentennial in 1836."
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関連項目
- 植民地時代に創立したアメリカ合衆国の大学の一覧
- ハーバード燕京研究所
- ハーバード・アジア国際関係プロジェクト
- ハーバード・ハウス
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| 構造式=ビスフェノールAの構造式 | IUPAC= 4,4'-(プロパン-2,2-ジイル)ジフェノール
| 別名= 4,4'-ジヒドロキシ-2,2'-ジフェニルプロパン
4,4'-イソプロピリデンジフェノール | 分子式=C15H16O2 | 分子量=228.29 | CAS登録番号=80-05-7 | 形状=淡いベージュ色の固体 | 密度=1.20 | 融点=157 | 融点注= | 沸点=220 | 沸点注=/4 mmHg | SMILES=C(C)(C1=CC=C(O)C=C1)(C2=CC=C(O)C=C2)C | 出典=ICSC
ビスフェノールA (bisphenol A) は2つのフェノール部位を持つ芳香族化合物である。しばしば BPA と略称される。
合成
ビスフェノールAは2当量のフェノールと1当量のアセトンの反応によって合成される。この反応は酸によって触媒されるが、触媒として塩酸のような鉱酸やスルホン酸型の陽イオン交換樹脂(スチレン−ジビニルベンゼン共重合体を硫酸などでスルホン化したもの)のような固体酸が使われる。さらに反応速度や選択性の向上を目的に、チオール化合物のような含硫黄化合物を触媒に共存させることが一般に行われている。
一般に、フェノールは大過剰にして反応を行う。
- (CH3)2CO + 2 C6H5OH → (CH3)2C(C6H4OH)2 + H2O
合成された大過剰のフェノールを含む反応液を冷却すると、ビスフェノールA:フェノール=1:1の付加物結晶(アダクト)が得られるので、これを分離・洗浄した後、結晶を加熱・溶融し、フェノールを蒸留などで除去すると、高純度のビスフェノールAが得られる。工業的にはこれを1〜2ミリ程度の球状に粒子化(プリル)して製品化している。
多くのケトンは同様な縮合反応を起こす。この合成法では副産物が水しか生成しないため効率的である<ref name=Fiege>テンプレート:citation</ref>。
歴史・用途
1891年にロシアの化学者ディアニン (A. P. Dianin) によって初めて合成された<ref>Dianin, A. P. (1891). Zhurnal russkogo fiziko-khimicheskogo obshchestva 23: 492.</ref><ref>Zincke, Th. (1905). "Mittheilungen aus dem chemischen Laboratorium der Universität Marburg". Justus Liebigs Ann. Chem. 343: 75–131.</ref>。1930年代には合成エストロゲン(女性ホルモン)の1つとして研究されていたが、当時ジエチルスチルベストロールがエストロゲンとして強い活性を持つことが明らかにされたため、ビスフェノールAが合成エストロゲンとして使われることはなかった。
樹脂原料としての利用
現在ではポリカーボネート製のプラスチックを製造する際のモノマーや、エポキシ樹脂の原料として利用されている。抗酸化剤、あるいは重合禁止剤としてポリ塩化ビニルの可塑剤に添加される。
ポリカーボネートの用途はサングラスやCDから水・食品の容器まで多くの日用品にわたり、壊れにくいため哺乳瓶にも使われている。歯科治療用の歯の詰め物や、缶詰の内側を被覆するエポキシ樹脂の中にも含まれている。
健康影響に関する研究
ビスフェノールAを原料とする樹脂からの溶出
ポリカーボネートやエポキシ樹脂のようなビスフェノールAを原料とする種類の合成樹脂では、強力な洗剤で洗浄した場合や酸・高温の液体に接触させた場合にビスフェノールA成分が溶け出すことが知られている。アメリカ合衆国での調査では、ヒトからかなりの確率で検出された。
内分泌攪乱化学物質としての懸念
ビスフェノールAを摂取するとエストロゲン受容体が活性化されて、エストロゲン自体に類似した生理作用を表す。1930年代に卵巣を除去したマウスにこの物質を投与する実験が行われ、作用が初めて証明された<ref>Dodds, E. C.; Lawson, W. (1936). Nature 137: 996.</ref><ref>Dodds, E. C.; Lawson, W. (1938). Proc. R. Soc. Lond., B, Biol. Sci. 125: 222–232.</ref>。
フォム・サールによる「低用量仮説」
ビスフェノールAが、従来の無作用量より遥かに低濃度でのみ毒性を有する、という「低用量仮説」が提唱された。これは従来の薬理学とは全く矛盾する内容であったため、大きな議論となった。
フォム・サール (F. vom Saal) とヒューズ (Claude Hughes) の論文(2004年)によると、合成樹脂の製造業者らが行った検証(11件)ではエストロゲン様作用が認められなかったのに対し、他機関の研究では104例中の約9割で上記の症状が出るという結果となった。これをフォム・サールらは、製造業者らが都合の良い試験結果のみを採用したためであると主張した<ref>vom Saal, F.S.; Hughes, C. (2005). Environ. Health Perspect. 113(8): 926–933. PMID 16079060</ref>。アメリカ・プラスチック協会によって資金を提供されているハーバード・リスク分析センターによる以前の報告では、危険性を証明するにはまだ根拠が乏しく、定量的に証明できていないとされていた。ヒューズはハーバード・リスク分析センターの委員を務めていたが、彼は上記の論文の中で、その見解は時代遅れのものである、なぜなら2001年から出版されている低用量のビスフェノールAに関する多くの論文のうちわずかしか考慮していないからだ、と述べている。
2006年、フォム・サールとウェルションス (Wade V. Welshons) は、製造業者の資金提供によって行われた少数の研究が低用量のビスフェノールAの効果を見落としていた原因について、詳細な分析を報告した<ref>vom Saal, F. S.; Welshons, W. (2006). Environ. Res. 100: 50–76. DOI: 10.1016/j.envres.2005.09.001</ref>。また、アメリカ政府機関によって開設された委員会による再調査によると、それらの論文の1つは実際にはビスフェノールAについての影響を発見していたにも関わらず、この結果を否定する内容になっていた。一部の研究では陽性対照を使っておらず、他の研究との比較によって陰性対照が汚染されていた可能性も示された。さらに、エストロゲンに反応しにくい種類のラットを使用した研究もいくつか存在した。
その後の研究の経過
アメリカ化学工業毒性研究所は、フォン・サールらによる「低容量仮説」を慎重に検証し、彼らの実験結果が再現しないと発表した。またハーバード大学リスク分析センターや各国の政府機関(FDA、EFSA、ECBなど)でも低用量仮説を含めた研究結果を集めて詳細に検討し、ビスフェノールAはヒトの健康に影響がないことを報告している。
現在ではビスフェノールAは、他の「環境ホルモン」疑惑を受けた化合物と同様、通常の摂取条件ではヒトに対して大きな影響を及ぼすものではないという考えが強まっている。ただし生態系への影響、胎児や乳幼児への影響に関してはまだ研究が進行中である<ref>「メディア・バイアス」 松永和紀著(2007年,光文社新書)</ref>。
厚生労働省は、「成人への影響は現時点では確認できない」としながらも、「公衆衛生上の見地から、ビスフェノールAの摂取をできるだけ減らすことが適当」と報道発表(2008年7月8日)した。また、同日に一般消費者向けの「ビスフェノールAについてのQ&A」が公表されている。<ref>ビスフェノールAがヒトの健康に与える影響について,厚生労働省 (2008年7月8日)</ref>
参考文献
<references />
[★]
- 英
- university、college、Univ
- 関
- 単科大学