- 英:demyelinating disease
- 関
- 髄鞘形成障害性疾患
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/04/21 16:18:14」(JST)
[Wiki ja表示]
脱髄疾患 |
分類及び外部参照情報 |
脱髄した多発性硬化症の病変の顕微鏡写真。CD68を免疫染色しマクロファージが茶色に染まっている。原版の1 0拡大。
|
ICD-10 |
G35.-G37., G61.0 |
ICD-9 |
340-341, 357.0 |
MeSH |
D003711 |
プロジェクト:病気/Portal:医学と医療 |
テンプレートを表示 |
脱髄疾患(だつずいしっかん、demyelinating disease)とは神経疾患の一種で、有髄神経の髄鞘が障害されることで起こる疾患である。いったん形成された後に障害される疾患のことを言い、髄鞘形成が不完全なために起こる髄鞘形成不全疾患とは分けて考えられる。
概念
有髄神経の周りには髄鞘と呼ばれるものが取り巻いている。これを形成する細胞は、中枢神経では乏突起膠細胞、末梢神経ではシュワン細胞である。この髄鞘があるために有髄神経では跳躍伝導を行うことができるため、これが障害されることで神経伝導速度が遅くなり、多彩な神経症状が引き起こされる。
種類
大きく分けて中枢神経系と末梢神経系の疾患がある。
- 中枢神経系
- 多発性硬化症
- 視神経脊髄炎(Devic症候群)
- 同心円硬化症(Balo病)
- 急性散在性脳脊髄炎(ADEM)
- 炎症性広汎性硬化症(Schilder病)
- 感染性
- 亜急性硬化症全脳炎(SSPE)
- 進行性多巣性白質脳症(PML)
- 中毒・代謝性
- 低酸素脳症
- 橋中心髄鞘破壊症
- ビタミンB12欠乏症
- 血管性
- 末梢神経系
- ギラン・バレー症候群
- 慢性炎症性脱髄性多発根神経炎
画像診断学
脱髄しているか否かは病理学的な概念であるためT2WIにて高信号を認める病変として部位別にまとめる。
- 大脳皮質下白質前方優位に分布するもの
- 神経梅毒、CADASIL(キャダシル、若年性遺伝性脳血管障害)、ピック病、筋緊張性ジストロフィー、Menkes病、アレキサンダー病などがあげられる。
- 大脳皮質下白質後方優位に分布するもの
- ALD、PML、SSPE、MELAS、PRES、CJDなどがあげられる。
- 両側深部灰白質に分布するもの
- Wilson病、CO中毒、メタノール中毒、低酸素脳症、日本脳炎、ヘルペス脳炎、ANEM、MELAS、ライ症候群などがあげられる。
参考文献
- 新版よくわかる脳MRI ISBN 487962280x
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Japanese Journal
- Tumefactive multiple sclerosisの1例
- 山田 昌興,山田 創,中口 博,村上 峰子,保谷 克巳,松野 彰,山崎 一人,石田 康生
- 脳神経外科ジャーナル 21(5), 427-432, 2012-05-20
- … sclerosis (tMS)は脱髄疾患であるが,画像所見では悪性脳腫瘍との鑑別が困難であり,組織診を要することが多い.左下肢の違和感を主訴に来院した37歳男性に,MRI上tMSが疑われた.髄液所見は正常であったが,症状が急速に悪化したため,3日間のステロイドパルス療法を施した.治療後のMRIでは病巣部のさらなる拡大を認め,tMSとしては非典型的な経過を呈したため,生検術を施行したところ,脱髄疾患と診断され, …
- NAID 110009445704
- 藤原 一男
- 日本臨床免疫学会会誌 = Japanese journal of clinical immunology 35(2), 129-135, 2012-04-28
- … れではない.NMOと多発性硬化症(MS)の関係は長い間議論されてきたが,NMO患者の血中には疾患特異的な自己抗体(抗aquaporin 4 (AQP4) 抗体,NMO-IgGとも呼ぶ)が発見された後,MSとの相違点が明らかになった.脱髄疾患であるMSとは異なり,NMOは抗AQP4抗体が補体を活性化してアストロサイトを破壊するアストロサイトパチーである.最近の研究結果からは,抗AQP4抗体の枯渇,再発のトリガーとなる中枢神経のT細胞性炎症の …
- NAID 10030573799
- 脱髄疾患における認知症 (認知症学(下)その解明と治療の最新知見) -- (臨床編)
Related Links
- 脱髄疾患(だつずいしっかん、demyelinating disease)とは神経疾患の一種で、有髄 神経の髄鞘が障害されることで起こる疾患である。いったん形成された後に障害される 疾患のことを言い、髄鞘形成が不完全なために起こる髄鞘形成不全疾患とは分けて 考え ...
- 神経線維は中心の軸索(じくさく)と、軸索をおおう髄鞘(ずいしょう)からなっています。 電線にたとえれば、芯にある銅線が軸索であり、銅線をおおうビニールやプラスチックの 被膜が髄鞘ということになります。免疫異常などでこの髄鞘が攻撃され、神経線維が ...
Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- multiple sclerosis, MS
- 関
- 脱髄疾患、視神経脊髄炎症候群。急性型多発性硬化症 バロー同心円硬化症 Balo's concentric sclerosis
- first aid step1 2006 p.191,327,332,350,353,358
概念
- 中枢神経系の原因不明の脱髄疾患
- 中枢神経系(大脳、小脳、脳幹、視神経)の白質に、多巣性の限局性脱髄疾患が生じ、さまざまな神経症候(空間的多発)が、再発と緩解を繰り返す(時間的多発)のが特徴
病因
疫学
- 緯度の高い地方に多発する傾向。(北欧・北米>アジア、アフリカ諸国)
- 北欧・北米:30-80人/10万人 有病率
- 日本:1-4人/10万人 有病率
- 若年に発症(15-50歳で80-90%が発症。30歳がピーク)
- 男:女=1:1.3-3.2
- HLA-DR2との関連
病理
症状
classical triad
- 神経心理学的症候:失語、失行、失認
- 錐体外路症状:硬直、ジストニー
診断
検査
- CTや核磁気共鳴法など:脱髄巣
- CT:低吸収
- MRI
[show details]
腰椎穿刺、髄液
- 細胞・蛋白・IgG・ミエリン塩基性蛋白は軽度から中等度上昇
- 電気泳動:60-80%でオリゴクローナルIgGバンド、ミエリンベーシック蛋白質陽性
治療
症例
- 22歳女性、昨日より突然右の上下肢に力が入らなくなったので驚いて受診した。16歳の時に一過性の視力低下があった。20歳の時には小脳失調になったが数日で回復したという。MRI T2強調画像で白質に多発性の病変が見られる。
USMLE
国試
参考
- http://www.neurology-jp.org/guidelinem/koukasyo.html
- →acrobat reader Xやflash player 10が必要だったり、閲覧に苦労するかも。
- http://www.neuroimmunology.jp/MSgaido2009.pdf
[★]
- 英
- progressive multifocal leukoencephalopathy, PML
- 関
- JCウイルス、脱髄疾患
- 同
- PML
- 免疫能低下者 ←日和見感染症である
病原体
病因
- 腎臓やBリンパ球に潜伏感染していたJCウイルスは宿主の免疫能が低下すると、Bリンパ球により中枢神経系に運ばれてアストロサイトとオリゴデンドログリアに感染し、脱髄を起こす。
- PML患者から分離されたJCウイルスはウイルス内の発現調節領域に変異を生じているので、これが発病に重要かもしれない (SMB.539)
病理
- 小さな脱髄病巣や融合した大きな脱髄病巣が大脳白質全体に多発。小脳や脳幹には少ない。
- 大病巣中心部では軸索も破壊され壊死
- 腫大した核内にウイルス封入体をもつオリゴデンドログリアが脱髄病巣辺縁部
症状
- 片麻痺、感覚異常、視野欠損、失認、失語、失行、痴呆など多彩
検査
予後
- 亜急性-慢性に経過し予後不良であり、80%は9か月以内に死亡
[★]
副作用
- 感染
- 脱髄疾患
- ループス様症状
- 悪性腫瘍
- 血球減少
- うっ血性心不全
[★]
- 英
- demyelination plaque
- 同
- 硬化斑 sclerotic plaque
- 関
- 脱髄疾患
[★]
- 英
- dysmyelinating disease
- 関
- 脱髄疾患、白質ジストロフィー
[★]
- 英
- hereditary central nervous system demyelinating disease
[★]
- 英
- disease, disorder, disturbance, illness, sickness, malady
- 同
- 疾病、病気
- 関
- 疾病、障害、病、乱れ、無秩序、病害、病気、病弊
[★]
- 英
- demyelination
- 同
- 髄鞘崩壊
- 関
- 髄鞘 myelin sheath