- 英
- perospirone
- 化
- ペロスピロン塩酸、塩酸ペロスピロン水和物 perospirone hydrochloride hydrate
- 商
- ルーラン
- 関
- 精神神経用剤
- SDA serotonin dopamine antipsychotic
構造
作用機序
- ルーラン錠4mg/ルーラン錠8mg/ルーラン錠16mg
- ラット脳内でのドパミン代謝回転又はFos蛋白発現を指標とした作用機序の検討から、錐体外路症状との関連が深いとされている線条体に対する作用選択性がハロペリドールに比べ弱いことが示唆された。17),18)
薬理作用
- ルーラン錠4mg/ルーラン錠8mg/ルーラン錠16mg
- (1) ドパミン2受容体の遮断により、ラット及びマウスでのメタンフェタミン又はアポモルヒネによる興奮や常同行動等の行動変化並びにラットでの条件回避反応を抑制し、これらの効力はハロペリドールの約1/3~1/5であった。13),14)
- (2) セロトニン2受容体の遮断により、ラットでのトリプタミン又はp-クロロアンフェタミンによる前肢けいれんや体温上昇等の行動変化を抑制し、その効力はハロペリドールに比べ10倍以上強力であった。13),14)また、ラットでの恐怖条件付けすくみ行動試験(情緒障害モデル)で心理ストレスによるすくみ行動(無動症状)の発現を抑制した。15)
- (3) ラット及びマウスでのカタレプシー誘発作用、マウスでのブラジキネジア(寡動)誘発作用はハロペリドールの1/10以下であった。13),16)
動態
効能又は効果
- ルーラン錠4mg/ルーラン錠8mg/ルーラン錠16mg
注意
禁忌
- ルーラン錠4mg/ルーラン錠8mg/ルーラン錠16mg
- 1. 昏睡状態の患者〔昏睡状態を悪化させるおそれがある。〕
- 2. バルビツール酸誘導体等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者〔中枢神経抑制作用が増強される。〕
- 3. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- 4. アドレナリンを投与中の患者〔「相互作用」の項参照〕
副作用
重大な副作用
- ルーラン錠4mg/ルーラン錠8mg/ルーラン錠16mg
- 1. 悪性症候群(Syndrome malin)(0.1~1%未満)
- 無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。本症発症時には、白血球の増加や血清CK(CPK)の上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられることがある。なお、高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎不全へと移行し、死亡することがある。
- 長期投与により、口周部等の不随意運動があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合は減量又は中止を考慮すること。なお、投与中止後も症状が持続することがある。
- 腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹部の膨満あるいは弛緩及び腸内容物のうっ滞等の症状)を来し、麻痺性イレウスに移行することがあるので、腸管麻痺があらわれた場合には、投与を中止すること。なお、本剤は動物実験(イヌ)で制吐作用を有することから、悪心・嘔吐が不顕性化することが考えられるので注意すること。
- 4. 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)(0.1~1%未満)
- 低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム排泄量の増加、高張尿、痙攣、意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)があらわれることがあるので、このような場合には投与を中止し、水分摂取の制限等適切な処置を行うこと。なお、抗精神病薬の高用量、長期間投与がSIADH発現の危険因子になるとの報告がある。
- 痙攣があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 横紋筋融解症があらわれることがあるので、筋肉痛、脱力感、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、横紋筋融解症による急性腎不全の発症に注意すること。
- 無顆粒球症、白血球減少があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 8. *高血糖、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡(頻度不明)
- 高血糖や糖尿病の悪化があらわれ、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡に至ることがある。口渇、多飲、多尿、頻尿等の症状の発現に注意するとともに、血糖値の測定を行うなど十分な観察を行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、インスリン製剤の投与等の適切な処置を行うこと。〔「慎重投与」、「重要な基本的注意」の項参照〕
- 抗精神病薬において、肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されているので、観察を十分に行い、息切れ、胸痛、四肢の疼痛、浮腫等が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。〔「重要な基本的注意」の項参照〕
相互作用
参考
- ルーラン錠4mg/ルーラン錠8mg/ルーラン錠16mg
- http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/1179043F1032_2_10/1179043F1032_2_10?view=body
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/06/23 13:34:12」(JST)
[Wiki ja表示]
|
「ルーラン」はこの項目へ転送されています。シャイニングウィル所属の日本の女性アイドルグループについては「RuRian」をご覧ください。 |
ペロスピロン
|
IUPAC命名法による物質名 |
IUPAC名
(3aR,7aS)-2-{4-[4-(1,2-benzisothiazol-3-yl)piperazin-1-yl]butyl}hexahydro-1H-isoindole-1,3(2H)-dione
|
臨床データ |
法的規制 |
|
投与方法 |
Oral |
薬物動態データ |
半減期 |
2-2.5 hours |
識別 |
CAS番号
(MeSH) |
150915-41-6 |
ATCコード |
無し |
PubChem |
CID: 115368 |
ChemSpider |
16737064 |
化学的データ |
化学式 |
C23H30N4O2S |
分子量 |
426.57 g/mol |
SMILES
-
O=C4N(CCCCN1CCN(CC1)C\3=N\SCc2ccccc2/3)C(=O)[C@@H]5CCCC[C@H]45
|
ペロスピロン(英:Perospirone、商品名:ルーラン)は、非定型抗精神病薬のひとつ。ペロスピロンは日本国内で統合失調症治療薬として承認を受けている。アメリカでは販売されていない。
ペロスピロンは国産初のセロトニン・ドーパミン拮抗薬 (SDA) であり、国内で2番目に承認された非定型抗精神病薬である。
旧住友製薬が開発、現在は大日本住友製薬が製造・販売している。商品名はルーラン (Lullan)。薬価は4mg錠で1錠あたり23.1円。これは非定型抗精神病薬の中では安い部類に入る。
目次
- 1 種類
- 2 薬理
- 3 日本での経緯
- 4 副作用
- 5 外部リンク
種類
薬理
ペロスピロンはアザピロン系に分類される非定型抗精神病薬であり、ドパミンD2受容体及び、セロトニン5-HT2受容体拮抗作用がある。ペロスピロンはリスペリドンに似た精神薬理作用をもっている。
ペロスピロンの抗精神作用はドパミンD2受容体への拮抗作用に因るものと考えられている。セロトニン5HT2受容体拮抗作用もまたペロスピロンの有効性に影響している可能性がある。ペロスピロンはまた、5-HT1A受容体の部分作動薬として作用する。
日本での経緯
ルーラン錠は、2000年12月に承認され、2001年2月に発売された。
副作用
主な副作用は錐体外路症状(アカシジア、ジスキネジア、振戦、筋剛直)、構音障害、流涎、不眠、眠気、焦燥・不安など。 また嘔吐、ゲップを抑える作用がある。このため呑気症の患者が使用するとゲップを出せなくなり、腹部膨満感の症状が悪化する恐れがある。
外部リンク
- ルーラン添付文書
- ルーラン錠4mg/ルーラン錠8mg/ルーラン錠16mg(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)
抗精神病薬 (N05A) |
|
定型抗精神病薬 |
ブチロフェノン系: アザペロン Benperidol ブロムペリドール Droperidol Fluanisone ハロペリドール Lenperone Moperone ピパンペロン スピペロン Trifluperidol; Diphenylbutylpiperidines: Clopimozide Fluspirilene Penfluridol Pimozide; フェノチアジン系: アセプロマジン Acetophenazine Butaperazine Carphenazine Chlorproethazine クロルプロマジン Cyamemazine Dixyrazine フルフェナジン レボメプロマジン Mesoridazine Perazine プロペリシアジン ペルフェナジン Piperacetazine Pipotiazine Prochlorperazine プロマジン プロメタジン Propiomazine Sulforidazine Thiethylperazine Thiopropazate Thioproperazine Thioridazine Trifluoperazine Triflupromazine; Thioxanthenes: Chlorprothixene Clopenthixol Flupentixol Thiothixene Zuclopenthixol; Tricyclics: アモキサピン Butaclamol Carpipramine Loxapine Metitepine/Methiothepin Octoclothiepin; Others: Molindone Oxypertine Prothipendyl
|
|
非定型抗精神病薬 |
Azapirones: ペロスピロン Tiospirone; ベンザミド系: Amisulpride Levosulpiride ネモナプリド Remoxipride スルピリド スルトプリド Tiapride Veralipride; ブチロフェノン系: Cinuperone Setoperone; Tricyclics: Asenapine Clotiapine クロザピン Fluperlapine Metitepine/Methiothepin モサプラミン オランザピン クエチアピン Tenilapine ゾテピン; Others: Amperozide アリピプラゾール Bifeprunox ブロナンセリン Cariprazine Iloperidone ルラシドン Ocaperidone パリペリドン Pardoprunox Pimavanserin リスペリドン Sertindole Ziprasidone
|
|
Others |
Cannabidiol D-Cycloserine Mifepristone Reserpine Rimcazole Secretin Talnetant Tetrabenazine Vabicaserin
|
|
Japanese Journal
- 維持透析中の糖尿病を伴う高齢者のせん妄にペロスピロンが著効した2例
- 大内 雄太,藤倉 恵美,金井 秀明 [他],小野寺 謙吾,中嶋 俊之,伊藤 千裕
- 日本透析医学会雑誌 46(5), 481-486, 2013
- … のペロスピロン(ルーラン<SUP>®</SUP>)内服により速やかに改善した.症例2は77歳,男性.急速進行性糸球体腎炎を原疾患とする慢性腎不全のため,血液透析導入となる.維持透析継続目的の入院4か月後よりせん妄状態が遷延していたが,入院10か月目よりペロスピロン服用開始したところ,徐々にせん妄が軽快した.両症例とも糖尿病を合併しており,ペロスピロンを …
- NAID 130003372783
- アリピプラゾール投与開始後に血糖値の上昇をきたした統合失調症の1例
- 永井 悦子,勝野 朋幸,紺屋 浩之,小西 康輔,中村 裕子,美内 雅之,片岡 政子,浜口 朋也,宮川 潤一郎,難波 光義
- 糖尿病 52(4), 295-300, 2009
- … ,3月4日全身痙攣,血糖値2089 mg/dlにて,糖尿病性非ケトン性高浸透圧昏睡と診断した.同薬を中止し,インスリン加療を開始.治療経過良好にて,退院後は食事療法のみとなった.7月より妄想が出現しペロスピロンを開始した.12月にアリピプラゾール6 mg/日を追加したところ,5%台前半であったHbA1cが2008年1月25日受診時8.4%となった.外来でインスリン治療を再開するも血糖コントロールの改善なく,3月1日入院となっ …
- NAID 130004511165
- 高齢者の精神症状と行動障害に対するperospironeの治療効果
- 脳波・筋電図の臨床 急性期統合失調症に対するペロスピロン単剤治療とレボメプロマジン併用治療での聴覚性事象関連電位の変化
Related Links
- ルーランとは?ペロスピロンの効能,副作用等を説明,ジェネリックや薬価も調べられる(おくすり110番:薬事典版) ... 用法用量は医師・薬剤師の指示を必ずお守りください。 すべての副作用を掲載しているわけではありません。
- 効能又は効果 統合失調症 用法及び用量 通常、ペロスピロン塩酸塩として成人1回4mg1日3回より始め、徐々に増量する。維持量として1日12~48mgを3回に分けて食後経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。但し、1日量は ...
- ルーラン(ペロスピロン)の作用機序:抗精神病薬 脳の神経伝達物質に異常が起こっている病気として、統合失調症があります。統合失調症では、幻覚や妄想、強い不安などが表れてしまいます。 これを改善するために薬が使用され ...
Related Pictures
Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
ルーラン錠4mg
組成
有効成分(1錠中)
- ペロスピロン塩酸塩として4mg(ペロスピロン塩酸塩水和物 4.31mg)
添加物
- 乳糖水和物、トウモロコシデンプン、結晶セルロース、カルメロースカルシウム、ポリビニルアルコール(部分けん化物)、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、濃グリセリン、シリコーン樹脂、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、トウモロコシ油、酸化チタン、カルナウバロウ
禁忌
- 昏睡状態の患者〔昏睡状態を悪化させるおそれがある。〕
- バルビツール酸誘導体等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者〔中枢神経抑制作用が増強される。〕
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- アドレナリンを投与中の患者〔「相互作用」の項参照〕
効能または効果
- 通常、ペロスピロン塩酸塩として成人1回4mg1日3回より始め、徐々に増量する。
維持量として1日12〜48mgを3回に分けて食後経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。但し、1日量は48mgを超えないこと。
慎重投与
- 肝障害のある患者〔肝障害モデル動物(ラット)で本剤の血中濃度の増大が認められている。〕
- 腎障害のある患者〔腎障害モデル動物(ラット)で本剤の血中濃度の増大が認められている。〕
- 高齢者〔「高齢者への投与」の項参照〕
- 心・血管疾患、低血圧、又はそれらの疑いのある患者〔一過性の血圧降下があらわれることがある。〕
- パーキンソン病のある患者〔錐体外路症状が悪化するおそれがある。〕
- てんかん等の痙攣性疾患、又はこれらの既往歴のある患者〔痙攣閾値を低下させるおそれがある。〕
- 小児〔「小児等への投与」の項参照〕
- 薬物過敏症の患者
- 脱水・栄養不良状態等を伴う身体的疲弊のある患者〔悪性症候群(Syndrome malin)が起こりやすい。〕
- 自殺企図の既往及び自殺念慮を有する患者〔症状を悪化させるおそれがある。〕
- 糖尿病又はその既往歴のある患者、あるいは糖尿病の家族歴、高血糖、肥満等の糖尿病の危険因子を有する患者〔血糖値が上昇することがある。〕
重大な副作用
悪性症候群(Syndrome malin)(0.1〜1%未満)
- 無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。本症発症時には、白血球の増加や血清CK(CPK)の上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられることがある。なお、高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎不全へと移行し、死亡することがある。
遅発性ジスキネジア(0.1〜1%未満)
- 長期投与により、口周部等の不随意運動があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合は減量又は中止を考慮すること。なお、投与中止後も症状が持続することがある。
麻痺性イレウス(0.1〜1%未満)
- 腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹部の膨満あるいは弛緩及び腸内容物のうっ滞等の症状)を来し、麻痺性イレウスに移行することがあるので、腸管麻痺があらわれた場合には、投与を中止すること。なお、本剤は動物実験(イヌ)で制吐作用を有することから、悪心・嘔吐が不顕性化することが考えられるので注意すること。
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)(0.1〜1%未満)
- 低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム排泄量の増加、高張尿、痙攣、意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)があらわれることがあるので、このような場合には投与を中止し、水分摂取の制限等適切な処置を行うこと。なお、抗精神病薬の高用量、長期間投与がSIADH発現の危険因子になるとの報告がある。
痙攣(頻度不明)
- 痙攣があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
横紋筋融解症(頻度不明)
- 横紋筋融解症があらわれることがあるので、筋肉痛、脱力感、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、横紋筋融解症による急性腎不全の発症に注意すること。
無顆粒球症、白血球減少(頻度不明)
- 無顆粒球症、白血球減少があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
高血糖、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡(頻度不明)
- 高血糖や糖尿病の悪化があらわれ、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡に至ることがある。口渇、多飲、多尿、頻尿等の症状の発現に注意するとともに、血糖値の測定を行うなど十分な観察を行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、インスリン製剤の投与等の適切な処置を行うこと。〔「慎重投与」、「重要な基本的注意」の項参照〕
肺塞栓症、深部静脈血栓症(頻度不明)
- 抗精神病薬において、肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されているので、観察を十分に行い、息切れ、胸痛、四肢の疼痛、浮腫等が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。〔「重要な基本的注意」の項参照〕
薬効薬理
薬理作用
- ドパミン2受容体の遮断により、ラット及びマウスでのメタンフェタミン又はアポモルヒネによる興奮や常同行動等の行動変化並びにラットでの条件回避反応を抑制し、これらの効力はハロペリドールの約1/3〜1/5であった。13),14)
- セロトニン2受容体の遮断により、ラットでのトリプタミン又はp-クロロアンフェタミンによる前肢けいれんや体温上昇等の行動変化を抑制し、その効力はハロペリドールに比べ10倍以上強力であった。13),14)また、ラットでの恐怖条件付けすくみ行動試験(情緒障害モデル)で心理ストレスによるすくみ行動(無動症状)の発現を抑制した。15)
- ラット及びマウスでのカタレプシー誘発作用、マウスでのブラジキネジア(寡動)誘発作用はハロペリドールの1/10以下であった。13),16)
作用機序
- ラット脳内でのドパミン代謝回転又はFos蛋白発現を指標とした作用機序の検討から、錐体外路症状との関連が深いとされている線条体に対する作用選択性がハロペリドールに比べ弱いことが示唆された。17),18)
有効成分に関する理化学的知見
一般名
- ペロスピロン塩酸塩水和物(塩酸ペロスピロン 水和物)
Perospirone Hydrochloride Hydrate
化学名
- cis-N-[4-[4-(1,2-benzisothiazol-3-yl)-1-piperazinyl]butyl]cyclohexane-1,2-dicarboximide monohydrochloride dihydrate
分子式
- C23H30N4O2S・HCl・2H2O(499.07)
性状
- 白色の結晶又は結晶性の粉末である。メタノール又はエタノール(95)にやや溶けやすく、アセトニトリルにやや溶けにくく、水に溶けにくく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。
融点
- 98℃付近で溶け始め、120℃付近で固化し、185℃付近より再び溶け始め、190℃付近で澄明となった。
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- levodopa
- 同
- L-dopa、L-DOPA、LD、Lドーパ、L-ドーパ、L-ドパ、ドパ、ドーパ、3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン 3,4-dihydroxyphenylalanine、ジヒドロキシフェニルアラニン dihydroxyphenylalanine
- 商
- ドパストン、ドパゾール、ドパール、イーシー・ドパール配合、カルコーパ配合、スタレボ配合、デュオドーパ配合、ドパコール配合、ドパゾール、ネオドパストン配合、ネオドパゾール配合、パーキストン配合、マドパー配合、メネシット配合、レプリントン配合
[show details]
相互作用
薬剤名等
|
臨床症状・措置方法
|
機序・危険因子
|
レセルピン製剤
|
脳内ドパミンが減少し本剤の作用が減弱するおそれ
|
脳内のドパミンを減少させてパーキンソン症状を悪化させる。
|
テトラベナジン
|
血圧降下剤(メチルドパ水和物、レセルピン、節遮断剤等)
|
血圧降下剤の作用を増強することがある
|
機序は不明であるが、レボドパに血圧降下作用があるためと考えられている。
|
抗精神病薬(フェノチアジン系薬剤 (クロルプロマジン等) 、 ブチロフェノン系薬剤 (ハロペリドール等)、ペロスピロン等
|
本剤の作用が減弱することがある
|
これらの薬剤によりドパミン受容体が遮断される。
|
全身麻酔剤(ハロタン等)
|
不整脈を起こすことがある
|
ハロタン等は交感神経のα、βレセプターの感受性を高める。一方、レボドパとの併用ではレボドパから転換したドパミンがα、βレセプターに作用して、不整脈を起こす可能性がある。
|
ピリドキシン
|
末梢での本剤の脱炭酸化を促進するため、本剤の作用が減弱することがある
|
ピリドキシンはレボドパ脱炭酸酵素の補酵素であり、併用によりレボドパの末梢での脱炭酸化を促進し、レボドパの脳内作用部位への到達量を減少させると考えられる。
|
抗コリン剤、アマンタジン塩酸塩、ブロモクリプチンメシル酸塩
|
精神神経系の副作用が増強することがある
|
併用によりレボドパの効果増加につながるが、同時に精神神経系の副作用が増強される可能性もある。
|
NMDA受容体拮抗剤(メマンチン塩酸塩等)
|
本剤の作用を増強するおそれ
|
これらの薬剤により、ドパミン遊離が促進する可能性がある。
|
パパベリン塩酸塩
|
本剤の作用が減弱するおそれ
|
パパベリン塩酸塩が線条体にあるドパミンレセプターをブロックする可能性がある。
|
鉄剤
|
本剤の作用が減弱するおそれ
|
キレートを形成し、本剤の吸収が減少するとの報告がある。
|
イソニアジド
|
本剤の作用が減弱するおそれ
|
機序は不明であるが、イソニアジドによりドパ脱炭酸酵素が阻害されると考えられている。
|