- 英
- complete right bundle branch block, CRBBB
- 関
- 右脚ブロック
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/01/14 09:55:43」(JST)
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完全右脚ブロック(かんぜんうきゃくぶろっく、英Complete Right Bundle Branch Block : CRBBB)は、心臓のプルキンエ線維の右脚を伝わる刺激が完全に途切れた状態。脚ブロックの一つで、完全脚ブロックと右脚ブロックを合わせた症候。
目次
- 1 病態
- 2 分類
- 3 原因
- 4 症状
- 5 検査
- 6 統計
- 7 治療
- 8 関連項目
病態[編集]
本症はプルキンエ線維右脚を伝わる刺激が完全に途切れているので、右心室は心筋伝導によって収縮する。一方左心室は普通に刺激伝導系を介して収縮する。心筋伝道は刺激伝導系よりも遅いため、左心室が正常なタイミングで収縮した後に遅れて右心室が収縮する。
分類[編集]
本症にST上昇を合併した一群をブルガダ症候群と言う。
原因[編集]
本症の原因は基礎疾患があればそれを疑う。またブルガダ症候群や先天性の心室中隔欠損症やエブステイン奇型等もある。
症状[編集]
多くの場合日常生活に影響はなく自覚症状も出ないことが多いが、強いて言えばめまいや貧血などを起こす事もある。
検査[編集]
- 心電図
- 本症は心電図検査で感度良く検出できる。左心室が正常に収縮した後に遅れて右心室が収縮するため、QRSの波形は二峰性(ウサギの耳状)になる。大まかに言えばWilliaM MorroWのMorroWの形、すなわち胸部誘導心電図に於いて、V1で上向きの二峰性、V6で下向きの二峰性になる。
- もう少し詳しく言うと、V1、V2はrS形がrSR'形になる。これは右心室由来の波形がV1へ近づく方を向いていて、左心室由来の波形がV1から遠ざかる方を向いているので、本来左右同時に収縮すれば体積の大きい左心室由来の波形が勝ってQRS波は一峰性の遠ざかる波となり、R波よりもS波の方が大きくrS形になるべき所だが、本症では左心室由来の通常のS波の後にS波の邪魔を受けずに右心室由来の近づいてくる波が観測されるので、これをR'波と言い、QRS波はrSR'形になる。
- また、V5、V6はQRS波の幅が広がる。これは右心室由来の波形がV6から遠ざかる方を向いていて、左心室由来の波形がV6へ近づく方を向いているので、本来左右同時に収縮すれば体積の大きい左心室由来の波形が勝ってQRS波は一峰性の近づく波となり、右心室の興奮は正常な長さで終わってS波は鋭くなるべき所だが、本症では左心室由来の通常のR波の後にR波の邪魔を受けずに右心室由来の遠ざかる波が観測されるので、これがS波の尾を鈍く長引かせてS波の頂点を遅らせるので結果としてQRS波が延長する。
- 心臓超音波検査(以下、心エコー)
- また心エコーでも右心室の動きが左心室の動きより遅れている所を見ることができる。
統計[編集]
本症の原因は不明な事が多い。
治療[編集]
基礎疾患やブルガダ症候群であればその治療を行い、どちらでもなければ経過観察でよい。
関連項目[編集]
心血管疾患 |
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疾患 |
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心疾患
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不整脈
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徐脈性
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洞不全症候群 | 房室ブロック | 脚ブロック(右脚ブロック · 完全右脚ブロック · 左脚ブロック)
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頻脈性
|
上室性
|
洞性頻脈 | 心房細動 | 心房粗動 | ブルガダ症候群 | QT延長症候群 | WPW症候群
|
|
心室性
|
心室細動 | 心室頻拍
|
|
|
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虚血性心疾患
|
狭心症 | 急性冠症候群 | 心筋梗塞 | 冠動脈血栓症
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弁膜性心疾患
|
僧帽弁狭窄症 | 僧帽弁閉鎖不全症 | 三尖弁狭窄症 | 三尖弁閉鎖不全症 | 大動脈弁狭窄症 | 大動脈弁閉鎖不全症
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先天性心疾患
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心房中隔欠損 | 心室中隔欠損 | 心内膜床欠損症 | 動脈管開存症 | ファロー四徴症(極型ファロー四徴症) | 大血管転位(左旋性 · 右旋性) | 総肺静脈還流異常症 | 大動脈縮窄 | 左心低形成症候群 | 両大血管右室起始症 | 三尖弁閉鎖
|
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心内膜・心筋
・心膜疾患
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心内膜疾患
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感染性心内膜炎
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心膜疾患
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心膜炎(急性心膜炎 · 慢性収縮性心膜炎) | 心タンポナーデ
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血管疾患
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静脈瘤 | 血栓性静脈炎 | 静脈血栓塞栓症 | 脂肪塞栓症
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病態・症候 |
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冠動脈大動脈バイパス移植術 | 経皮的冠動脈形成術 | 植え込み型除細動器 | バチスタ手術 | 人工心臓 | 心臓ペースメーカー
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内科的治療
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心臓作動薬
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抗不整脈薬
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Ia群: プロカインアミド, キニジン
Ib群: リドカイン, フェニトイン
Ic群: フレカイニド, プロパフェノン
II群: 交感神経β受容体遮断薬(プロプラノロールなど)
III群: アミオダロン, ソタロール
IV群: カルシウム拮抗剤(ベラパミル, ジルチアゼムなど)
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心不全治療薬
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利尿薬 | 血管拡張薬 | 強心配糖体 | 強心剤
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狭心症治療薬
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交感神経β受容体遮断薬 | 硝酸薬
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血管作動薬
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高血圧治療薬
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利尿薬 | 交感神経β受容体遮断薬 | レニン-アンジオテンシン系 (ACE阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、レニン阻害薬) | カルシウム拮抗剤 | アドレナリン作動薬 | 脂質降下薬
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循環器系の正常構造・生理 |
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Japanese Journal
- 初回査定時に高血圧情報が入り再検査となった契約の血圧再検査結果と心電図検査結果の検討(第一報)
- 吉丸 昌秀,磯部 実
- 日本保険医学会誌 109(1), 7-18, 2011-03-17
- … 心電図所見の詳細は正常心電図所見群が最も多く,異常所見群ではT異常A,完全右脚ブロックが多く,特にT異常Aは高齢女性に多く,特徴的と思われた。 …
- NAID 110008513631
- 多彩な機能的伝導ブロックを認めた非通常型房室結節リエントリー性頻拍の1例
- 澤崎 浩平,齋藤 誠,武藤 真広
- 心電図 31(3), 242-248, 2011
- … 診.頻拍時の心電図は,II,III,aVFで陰性の逆行性P波を認めるLong RP’頻拍であった.今回アブレーション目的に入院.電極カテーテル挿入時のカテ刺激にて容易に頻拍が誘発され,narrow QRS頻拍,1 : 1 完全右脚ブロック(CRBBB : complete right bundle branch block)頻拍,2 : 1 narrow QRS頻拍を伴っていた.すべての頻拍中の心房波の最早期興奮部位はCS ostiumであった.2 : 1 narrow QRS頻拍では,His束上ブロックを認め,下位共通路の存在 …
- NAID 130001164276
Related Links
- 完全右脚ブロック(かんぜんうきゃくぶろっく、英Complete Right Bundle Branch Block : CRBBB)は、心臓のプルキンエ線維の右脚を伝わる刺激が ... 本症はプルキンエ線維 右脚を伝わる刺激が完全に途切れているので、右心室は心筋伝導によって収縮する。
Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
- 78歳の男性。全身倦怠感とめまいとを主訴に来院した。65歳時から高血圧症と糖尿病で、5年前から発作性心房細動で内服治療中である。2か月前から時々目の前が暗くなることがあった。1週前から全身倦怠感とめまいとが出現したため受診した。身長 164cm、体重 58kg。脈拍 32/分、整。血圧 138/80mmHg。呼吸数 20/分。心尖拍動を鎖骨中線から2cm外側に触知する。I音の強さは一定しない。下腿に著明な浮腫を認める。4か月前と本日の心電図(別冊No. 13A、B)を別に示す。
- 全身倦怠感とめまいの原因として正しいのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109A031]←[国試_109]→[109A033]
[★]
- 13歳の男子。脈の不整を指摘され来院した。自覚症状はない。成長・発達に異常はない。体温36.5℃。脈拍60/分、不整。心雑音は聴取しない。呼吸音は正常である。腹部に異常を認めない。心電図を以下に示す。診断はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [099A018]←[国試_099]→[099A020]
[★]
- 78歳の男性。動悸発作を主訴に来院した。発作は2か月前から週3,4回の頻度で起こり,強い動悸が誘因なく突然始まり10分から2時間ほど持続する。めまいと失神とはない。来院時,脈拍は 100/分,不整。 考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [102E046]←[国試_102]→[102E048]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [105H008]←[国試_105]→[105H010]
[★]
- 英
- right bundle branch block right bundle-branch block RBBB
- 関
- 左脚ブロック、束枝ブロック、脚ブロック
脚ブロックと心音、電気軸との関係
心電図
- V1でrSR' :R'は右室の興奮を表し幅広く高い波。
[★]
- 同
- CRBBB, 完全右脚ブロック
redirect 完全右脚ブロック
[★]
- 同
- complete right bundle branch block, 完全右脚ブロック
[★]
- 英
- incomplete right bundle branch block
- 関
- 脚ブロック、右脚ブロック
[★]
- 英
-
- 関
- 完了、終了、十分、積分、全体的、徹底的、不可欠、全く、完成、複合的、満ちた
[★]
- 英
- leg、lower extremity、peduncle、pedunculus、pedunculi
- 関
- 下肢
[★]
- 英
- block, Bloch
- 関
- 塊、遮断、阻止、封鎖