インターフェロン
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
IFNβモチダ注射用100万単位
組成
- 本剤は1バイアル中に下記成分を含む。別に溶解液として日本薬局方「注射用水」1管を添付している。(組成の表参照)
禁忌
- 自己免疫性肝炎の患者[本疾患が増悪することがある(自己免疫現象によるものと考えられる)。]
- 小柴胡湯を投与中の患者(「相互作用」の項参照)
- 本剤及びウシ由来物質に対し、過敏症の既往歴のある患者
- ワクチン等生物学的製剤に対し、過敏症の既往歴のある患者
効能または効果
- 皮膚悪性黒色腫
- 添付溶解液の適量に溶解し、通常成人は病巣あたり1日1回40万〜80万国際単位を腫瘍内又はその周辺部に投与する。1日総投与量は100万〜300万国際単位とする。
なお、腫瘍の大きさ、状態及び年齢、症状により適宜増減する。
- 膠芽腫、髄芽腫、星細胞腫
局所投与
- 添付溶解液の適量に溶解し、通常成人は1日100万〜600万国際単位を髄腔内(腫瘍内を含む)に投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
点滴静注
- 生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液等に溶解し、通常成人は1日100万〜600万国際単位を点滴静注する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
- HBe抗原陽性でかつDNAポリメラーゼ陽性のB型慢性活動性肝炎のウイルス血症の改善
- 生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液等に溶解し、通常成人は1回300万国際単位を初日1回、以後6日間1日1〜2回、2週目より1日1回静脈内投与又は点滴静注する。
- C型慢性肝炎におけるウイルス血症の改善
- 使用にあたっては、HCV RNAが陽性であることを確認した上で行う。生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液等に溶解し、通常成人は1回300万〜600万国際単位を1日1回連日静脈内投与又は点滴静注する。
- 亜急性硬化性全脳炎患者におけるイノシン プラノベクスとの併用による臨床症状の進展抑制
- 添付溶解液の適量に溶解し、通常1日1回300万国際単位を週1〜3回髄腔内(脳室内を含む)に投与する。なお、年齢、症状により適宜減量する。
- 本剤の使用にあたっては、皮膚悪性黒色腫で1カ月間、膠芽腫、髄芽腫、星細胞腫で2カ月間、HBe抗原陽性でかつDNAポリメラーゼ陽性のB型慢性活動性肝炎のウイルス血症の改善で4週間、C型慢性肝炎におけるウイルス血症の改善で33,600万国際単位、亜急性硬化性全脳炎患者におけるイノシン プラノベクスとの併用による臨床症状の進展抑制で6ヵ月間の投与を目安とし、その後の継続投与については、臨床効果及び副作用の程度を考慮し、慎重に行うこと。なお、効果が認められない場合には投与を中止すること。
慎重投与
- 間歇投与又は投与を一時中止し、再投与する場合[ショック等の過敏症があらわれることがある。]
- 薬物過敏症の既往歴のある患者
- アレルギー素因のある患者
- 重篤な肝障害又は腎障害のある患者[これらの症状が増悪することがある。]
- 高血圧症を有する患者[脳出血の発現が高血圧症を合併していた症例に多かったとの報告がある。]
- 高度の白血球減少又は血小板減少のある患者[これらの症状が増悪することがある。]
- 中枢・精神神経障害又はその既往歴のある患者[中枢・精神神経系障害が増悪することがある。]
- 心疾患又はその既往歴のある患者[心疾患が増悪することがある。]
- 自己免疫疾患の患者又はその素因のある患者[自己免疫疾患の増悪又は発症等があらわれることがある。]
- 糖尿病又はその既往歴、家族歴のある患者、耐糖能障害のある患者[糖尿病が増悪又は発症しやすい。]
- 喘息又はその既往歴のある患者[喘息が増悪又は再発することがある。]
- 間質性肺炎の既往歴のある患者[間質性肺炎が増悪又は再発することがある(「重要な基本的注意」の項、「重大な副作用」の項参照)。]
重大な副作用
間質性肺炎(0.1%未満)
- 発熱、咳嗽、呼吸困難等の呼吸器症状があらわれた場合には、速やかに胸部X線等の検査を実施し、本剤の投与を中止するとともに副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。また、咳嗽、呼吸困難等があらわれた場合には直ちに連絡するよう患者に対し注意を与えること。なお、類薬(インターフェロン-α製剤)と小柴胡湯との併用で間質性肺炎があらわれたとの報告があるため、小柴胡湯と併用しないこと。
重篤なうつ状態(0.1%未満)、自殺企図(頻度不明)、躁状態(頻度不明)、攻撃的行動(頻度不明)
- 観察を十分に行い、不眠、不安、焦躁、興奮、攻撃性、易刺激性等があらわれた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。(「重要な基本的注意」の項参照)
自己免疫現象
- 自己免疫現象によると思われる症状・徴候[甲状腺機能異常(0.1〜5%未満)、溶血性貧血(頻度不明)、インスリン依存型糖尿病(IDDM)の増悪又は発症(頻度不明)等]があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。なお、類薬(インターフェロン-α製剤)で、自己免疫現象によると思われる肝炎、潰瘍性大腸炎の悪化、関節リウマチの悪化があらわれたとの報告がある。
糖尿病[インスリン依存型(IDDM)及びインスリン非依存型(NIDDM)](0.1〜5%未満)
- 糖尿病が増悪又は発症することがあり、昏睡に至ることがあるので、定期的に検査(血糖値、尿糖等)を行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
汎血球減少(0.1〜5%未満)、白血球減少(2,000/mm3未満)(0.1〜5%未満)、顆粒球減少(1,000/mm3未満)(0.1%未満)、血小板減少(50,000/mm3未満)(0.1〜5%未満)
- 定期的に臨床検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には減量又は休薬するなど適切な処置を行うこと。
ショック(頻度不明)
- 観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明)
- 観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
重篤な肝障害(0.1〜5%未満)
- 定期的に肝機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。黄疸や著しいトランスアミナーゼの上昇を伴う肝障害があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
ネフローゼ症候群(頻度不明)
- 定期的に尿検査(尿蛋白)を行い、血清総蛋白低下、血清アルブミン低下を伴う重篤な蛋白尿が認められた場合には減量又は休薬するなど適切な処置を行うこと。
急性腎不全(頻度不明)
- 定期的に腎機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
溶血性尿毒症症候群(HUS)(頻度不明)
- 血小板減少、溶血性貧血、腎不全を主徴とする溶血性尿毒症症候群があらわれることがあるので、定期的に血液検査(血小板、赤血球等)及び腎機能検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
重篤な出血(頻度不明)
- 脳出血、消化管出血、球後出血等があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
敗血症(頻度不明)
- 易感染性となり、敗血症があらわれることがあるので、患者の全身状態を十分に観察し、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
脳梗塞(頻度不明)
- 観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
心不全(頻度不明)、狭心症(頻度不明)、心筋梗塞(頻度不明)
- 異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
認知症様症状(特に高齢者)(頻度不明)、麻痺(頻度不明)
- 異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
痙攣(全身発作、部分発作)(頻度不明)
- 意識障害を伴うことがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
網膜症(頻度不明)
- 網膜出血や糖尿病網膜症の増悪に注意し、定期的に眼底検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。また、視力低下、視野中の暗点が出現した場合には速やかに医師の診察を受けるよう患者を指導すること。
筋緊張亢進(亜急性硬化性全脳炎患者に対して使用した場合)(0.1〜5%未満)
- 観察を十分に行い、異常が認められた場合には減量又は休薬するなど適切な処置を行うこと。
薬効薬理
====67株のヒト由来細胞株中、悪性黒色腫、神経膠芽腫等の51株に対して細胞増殖抑制作用が認められ、また、悪性黒色腫等の細胞株に対して細胞障害作用が認められた(in vitro)13)。一方、ヌードマウス移植ヒト悪性黒色腫由来細胞株及びヒト神経膠芽腫由来細胞株に対し、1×105I.U.〜6×105I.U./mouseを腫瘍内あるいは静脈内投与したところ、対照群に比し有意に腫瘍の増殖を抑制した14)。
- 作用機序(in vitro)15)====
- 悪性黒色腫由来細胞(SK-MEL-28)に対し、細胞内DNA、RNA及び蛋白質の合成抑制が認められた。また、ヒト末梢リンパ球画分(PBL)をインターフェロン-β処理することにより、濃度依存的にNK細胞活性及びADCC活性の増強が認められた。
- <item charfmt = "bold">抗ウイルス作用
====In vitroにおいて、MRC-5細胞(ヒト胎児由来正常二倍体線維芽細胞)を用いて、DNAウイルス4種、RNAウイルス9種の合計13種に対する抗ウイルス作用スペクトラムを調べたところ、いずれのウイルスに対しても抗ウイルス作用を示した16)。
作用機序(in vitro)17)
- 細胞膜上のIFNレセプターを介し、2´-5´オリゴアデニル酸合成酵素、プロテインキナーゼ、2´-ホスホジエステラーゼの3種類の酵素が誘導され、ウイルスの蛋白合成が抑制されると考えられる。
- SSPEウイルス感染HEL細胞を脳内に接種したハムスターに対しインターフェロン-βを1×106I.U.及びイノシン プラノベクスを10mg/体重100g併用投与したところ、対照群に比しSSPE発症が抑制された18)。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
インターフェロン ベータ(Interferon Beta)
分子式
- C908H1406N246O252S7(ポリペプチド部分)
分子量
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- interferon interferons IFN
- 商
- オーアイエフ、IFNβモチダ、アドバフェロン、アボネックス、イムノマックス-γ、イントロンA、スミフェロン、フエロン、ベタフェロン、ペガシス、ペグイントロン
概念
- サイトカインの一種で抗ウイルス作用、免疫修飾作用、抗増殖活性を有する。(GOO.1261)
種類
- ウイルスに感染して誘導され、強い抗ウイルス作用を有する
- 非ウイルス誘導性
表(SMB.426)
各インターフェロンについて
- GOO.1261
- ウイルス感染に対する非特異的な初期防御に関わる
- 意義:ウイルス感染に対する非特異的な初期防御に関わる
- 産生細胞:ほとんど全ての細胞
- 産生のトリガー:二本鎖RNA、ある種のサイトカイン(IL-1, IL-2, TNF)
- 作用:抗ウイルス作用、抗増殖作用:(1) リンパ球、NK細胞、およびマクロファージの細胞障害作用の亢進、(2) MHC class Iの発現の亢進作用 ← 抗ウイルス活性
- 意義:マクロファージの活性化
- 産生細胞:T細胞、NK細胞、マクロファージのみ!
- 産生のトリガー:抗原刺激、mitogen、特定のサイトカイン
- 作用:抗ウイルス作用は弱い。強力な免疫調整作用:(1) マクロファージの強力な活性化、(2) MHC class IIの発現の亢進、(3) 局所炎症反応の仲介(madiation)
インターフェロンの抗ウイルス作用
- インターフェロンをシグナルとして受け取った細胞は以下の物質を産生して抗ウイルス作用を発揮する。
適応
副作用