出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/01/20 10:30:08」(JST)
極型ファロー四徴症(きょくけいふぁろーしちょうしょう)は、ファロー四徴症のうち、肺動脈狭窄が閉鎖に至った疾患で、ファロー四徴症の最重症型。先天性心奇形の一種。
解剖学的な特徴を表現した別名として、肺動脈閉鎖兼心室中隔欠損症とも呼ばれる。
ファロー四徴症は肺動脈へと続く右心室流出路が狭窄した病気であるが、本症はこの狭窄が高度になり肺動脈閉鎖に至った物である。右心房から肺動脈への血流の途絶は動脈管か主要大動脈-肺動脈側副動脈(英Major aortopulmonary collateral artery,以下MAPCA)を経由して送られる。他の心室中隔欠損等は通常のファロー四徴症と同じ。
先天性心疾患の2.6%、ファロー四徴症の16%を占める。逆にMAPCAの90%は極型ファロー四徴症を伴う。
短絡様式としては、78%が動脈管開存で、22%がMAPCA(うち2/3は大動脈からの直接分枝。残りは、気管支動脈・鎖骨下動脈・内胸動脈・肋間動脈などから起始して中心肺動脈と交通する。)で占められる。
動脈管の収縮により、チアノーゼ増加、呼吸困難、哺乳困難、体重増加不良等の症状が起こるほか、MAPCA合併の場合、大量左-右シャントにより、心不全及び呼吸不全を引き起こす。肺血流量が適切に保たれる場合では発育は正常である。
低酸素血症により、運動時のチアノーゼ増加、呼吸困難、動悸等の症状が現れるほか、多血症により頭痛、蛋白尿、関節痛が、右左シャントにより脳膿瘍、感染性心内膜炎が発生する。
全身性チアノ-ゼの他、速脈が見られることもある。
聴診では、I音正常、II音単一が確認されるほか、20%の患者から収縮期クリック音、90%の患者から連続性雑音が確認される。
しばしば右側大動脈(主にMAPCAに合併)、心臓の形は正常or木靴型、右第1弓の突出、細い肺野血管影
食道造影の側面像でMAPCAが食道の後面に圧痕像を作る
洞調律、右軸偏位、右室肥大が確認できる。
心エコーにて、確認できることとして、膜様部の心室中隔欠損、太い[[[大動脈]]が心室中隔に騎乗して起始している事、右室漏斗部の低形成、大動脈弓から起始する動脈管(胸骨上窩からの像)等がある。MAPCA描出は困難である。
70~85%の症例で、大動脈のSpO2が低下している。肺動脈圧・肺動脈楔入圧は通常低いが、MAPCAを持つ症例では10%に肺高血圧が確認される。
心室造影では、膜様部の心室中隔欠損、太い大動脈が心室中隔に騎乗して起始、右室漏斗部の低形成
大動脈造影・選択的造影では、動脈管・中心肺動脈・MAPCA ・肺動脈が造影される。
連続性心雑音とチアノ-ゼで極型ファロー四徴症を疑う。
極型ファロー四徴症と鑑別を付ける必要がある疾患としては、純型肺動脈閉鎖の他、完全大血管転位・両大血管右室起始・単心室・三尖弁閉鎖などに肺動脈閉鎖・動脈管開存を合併したケースや動脈管開存+MAPCAのケースなどがある。
純型肺動脈閉鎖では、新生児期の高度のチアノ-ゼと心電図検査にて左室肥大または左室優勢と成ること、心エコー検査で小右室・VSD・大動脈騎乗が存在しないことが確認できる。
完全大血管転換・両大血管右室起始・単心室・三尖弁閉鎖などに肺動脈閉鎖・動脈管開存を合併したケースは心電図、胸部レントゲン撮影、心エコー図などで総合的に鑑別を行う。
動脈管開存+MAPCAのケースは連続性雑音の最強点で鑑別を行うことが出来る。
これらの非侵襲的検査でおよその診断をしたのち、心臓カテーテル造影検査で確定診断を行うことが出来る。
心不全(心筋が次第に線維化することによる)も進行する。
新生児期のチアノ-ゼ・低酸素血症には、プロスタグランジンE投与、鎖骨下動脈-肺動脈短絡手術を行う。6~7歳頃にRastelli手術 (右室と中心肺動脈を弁つきgraftで接続し、心室中隔欠損を閉鎖)を行う。
比較的太い中心肺動脈に大部分の末梢肺動脈が接続する時(10%)、上の型と同じ手術+MAPCA結紮。 (末梢肺動脈を左右の肺毎に1つにまとめ、この2つを中央で1つに繋ぎ、Rastelli型手術を行う方法もある)
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リンク元 | 「ファロー四徴症兼肺動脈閉鎖」「extreme tetralogy of Fallot」 |
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