- 英
- cohort study
- 関
- 研究デザイン、コホート内症例対照研究
定義
- 対照集団を要因の有無別に分けて、疾病罹患の傾向を比較する
- ある時点で研究対象を決めて、その人たちを追跡調査するスタイルの研究
種類
- 前向きコホート研究 (Prospective Cohort Study)
- 後ろ向きコホート研究 (Retrospective Cohort Study)
特徴
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名称
|
患者対照研究
|
コホート研究
|
時間軸
|
後向き研究
|
前向き研究
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調査の方法
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既往調査、病歴調査
|
追跡調査
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対象
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曝露情報の 信頼性
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患者の過去の記録やカルテに頼るため 信頼性は低い
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現時点での曝露状況が判明しているので信頼性は高い
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対象
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偏り バイアス
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抽出の段階で、既に患者、対照群とも に偏りが発生している場合が多い
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母集団から、要因の有無別に対照群が 抽出されるため、偏りは小さい
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対象
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まれな要因
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評価不能
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評価可能
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調査
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観察期間
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なし
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長期
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調査
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費用 労力
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患者と対照のみを観察するので、費用・労力が少ない
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大きな集団を長期に追跡しなければな らないので、費用・労力が多い
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疾患
|
対照疾患
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単一
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複数
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疾患
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診断の正確性
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正確性が高い
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正確性が低い →診断基準が必要
|
疾患
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まれな疾患
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可能
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困難
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解析
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罹患率
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計算不可
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算出可能
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解析
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相対危険度
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近似値の算出
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算出可能
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解析
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寄与危険度
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計算不可
|
算出可能
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その他の特徴
- 人口の移動の激しい地域で追跡調査は困難
- 前もって発生頻度を予測して対照群の人口サイズを決定する必要がある
- 診断基準の設定が必要な場合もある →長期の観察では診断方法や疾病概念が変化することがあるため
- 因果関係について、患者対照研究よりも、より多くの情報が得られる
- 患者対照研究に比べ、選択バイアスが生じにくい。
- 患者対照研究に比べ、交絡因子の調整が容易。
参考
- http://phi.med.gunma-u.ac.jp/epidemiology/epi03.html
- http://phi.med.gunma-u.ac.jp/epi-spc/term4.pdf
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2012/12/05 05:20:14」(JST)
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コホート研究(こほーとけんきゅう、cohort study)とは分析疫学における手法の1つであり、特定の要因に曝露した集団と曝露していない集団を一定期間追跡し、研究対象となる疾病の発生率を比較することで、要因と疾病発生の関連を調べる観察的研究である。要因対照研究(factor-control study)とも呼ばれる。
ある基盤(地域、職業など)を元に行なう研究では実験的な介入は行なわない。主に一回の調査を行なう「横断研究」と、二回以上にわたり調査を行なう「縦断研究」があり、後者の中で特に最初の調査の対象者集団をコホートと呼ぶ。コホート研究はこの集団を前向きに追跡しているので、曝露から疾病発生までの過程を時間を追って観察することができる。したがって、疾病の自然史を調べることができる、観察の時間的な順序や論理の流れが実験に近い、複数の疾病についての調査が可能である(特定の曝露の広範な健康影響を調べることができる)、という利点がある一方で、対象としている疾病の発生が稀である場合には、大規模なコホートを長期間追跡する必要があり、時間とコストがかかるという欠点がある(→下記の「利点と欠点」の項目を参照のこと)。
薬剤疫学・産業疫学などで、過去の曝露状況が記録として残っている場合には(診療記録、職業コホートなど)、過去にさかのぼって、コホート研究の情報を得ることができる。時間的な順序は逆転するが、この情報を使って、通常のコホート研究と同じように曝露状況と疾病の発生の関連を調べる研究方法を後ろ向きコホート研究(historical cohort study)という。
観察の対象となる集団は必ずしも人間ではなく、例えばある物質を与えたマウスと与えないマウスの間で癌の発生率を調べるような研究もコホート研究と呼ばれる。
目次
- 1 代表的なコホート研究
- 1.1 原爆被爆者における健康影響調査
- 1.2 喫煙や食習慣などの生活習慣とがん死亡などの関連を検討するための大規模計画調査(いわゆる「久山町研究」)
- 1.3 国立がんセンター多目的コホート調査・文部科学省コホート調査
- 1.4 フラミンガム研究
- 2 利点と欠点
- 3 関連項目
- 4 参考文献
|
代表的なコホート研究
以下に代表的なコホート研究をあげる.
原爆被爆者における健康影響調査
原爆被爆者寿命調査、成人健康調査など[1] 。
喫煙や食習慣などの生活習慣とがん死亡などの関連を検討するための大規模計画調査(いわゆる「久山町研究」)
通常は「久山町研究」とよばれる。福岡市に隣接した糟屋郡久山町(人口約8,400人)の住民を対象に脳卒中、心血管疾患などの疫学調査を九州大学が1961年から実施しているもの.世界的に高く評価された精度の高い研究である. 追跡率は99%以上であり,全町民の詳細で長期間な研究は,世界でも例を見ないコホート研究である.
国立がんセンター多目的コホート調査・文部科学省コホート調査
- 放射線作業者のがん死亡追跡調査
- 低周波電磁界と小児がんリスクの関連に関する調査
- 高周波電磁界と脳腫瘍の関連に関する国際調査
低レベルの職業・環境曝露に伴うリスク評価の一環として国の援助の基に研究[2]
フラミンガム研究
米国NHIが米国北部のマサシューセッツ州フラミンガム町(住民28000人)で行っているコホート研究.1961年から開始している.[3]
利点と欠点
コホート研究はしばしば症例対照研究と対比される。コホート研究はこれから起きる未来の事象を追跡し解析するのに対し、症例対照研究は全て起こってしまった過去のことを解析するものである。症例対照研究と比較した場合のコホート研究の利点と欠点を以下に記す。
利点
- 危険因子の寄与危険度がわかる
- 事象の発生順序がわかる
- 複数の結果因子が同時に調べられる
- 予測因子の測定バイアスが少ない(間違った結論を導きにくい)
欠点
- 稀な疾患に不向き
- 研究の時間と費用がかかる(そのため頻繁には行えない)
- 多数の脱落がないように追跡しなければならない
関連項目
参考文献
- ^ 第19期日本学術会議 予防医学研究連絡委員会報告 衛生学・公衆衛生学の将来展望 「がんの予防」秋葉 澄伯(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科)
- ^ 第19期日本学術会議 予防医学研究連絡委員会報告 衛生学・公衆衛生学の将来展望 「がんの予防」秋葉 澄伯(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科)
- ^ 嶋 康晃 世界の心臓を救った町―フラミンガム研究の55年 ライフサイエンス出版 2011
青山英康 監修「今日の疫学」第2版、真興社、2005年、ISBN 4-260-10637-6
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 肥満の疫学 (特集 肥満症に関する最新知識と今後の展望)
- 成人の変形性関節症の頻度 (特集 成人の関節痛の臨床)
- ちょっとした疑問 大規模コホート研究による甲状腺癌のリスク要因に関するエビデンス : 海藻摂取と甲状腺癌罹患の関連について
- 斎藤 トシ子,小林 量作,押木 利英子,中村 和利,Saito Toshiko,Kobayashi Ryosaku,Oshiki Rieko,Nakamura Kazutoshi
- 新潟医療福祉学会誌 12(1), 58-58, 2012-10
- NAID 120004878308
Related Links
- コホート研究(こほーとけんきゅう、cohort study)とは分析疫学における手法の1つであり 、特定の要因に曝露した集団と曝露していない集団を一定期間追跡し、研究対象となる 疾病の発生率を比較することで、要因と疾病発生の関連を調べる観察的研究である。
- コホート研究とケースコントロール(症例対象研究) 臨床試験の代表的なものには コホート研究やケースコントロールがある。 ... また、臨床試験は「前向きか後ろ向きか」 でも分けることができ、コホート研究は前向きの研究でケースコントロールは後ろ向き 研究に ...
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★リンクテーブル★
[★]
- 40~59歳の男性30,000人を対象に、肺癌死亡について10年間観察した。結果を表に示す。
- a. 研究手法はコホート研究である。
- b. この研究は喫煙と肺癌の因果関係を証明している。
- c. 喫煙本数と肺癌死亡率の間に量・反応関係がある。
- d. この結果から喫煙による肺癌死亡の寄与危険度が計算できる。
- e. 1~19本の喫煙の非喫煙に対する肺癌死亡の相対危険度は5.5である。
[正答]
※国試ナビ4※ [100G015]←[国試_100]→[100G017]
[★]
- a. 有病率はP/(P+Q)である。
- b. 相対危険度は(R/(R+S))/(P/(P+Q))である。
- c. 寄与危険度は(P/(P+Q))-(R/(R+S))である。
- d. オッズ比はPQ/RSである。
- e. 有意差検定はt検定で行う。
[正答]
※国試ナビ4※ [096G018]←[国試_096]→[096G020]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [099D022]←[国試_099]→[099D024]
[★]
- a. 疾患の判定が困難である。
- b. 相対危険度を直接計算できない。
- c. 要因の情報を記憶に頼ることが多い。
- d. まれな疾患を対象とすることが多い。
- e. 疾患を有しない群の同定が困難である。
[正答]
※国試ナビ4※ [101B014]←[国試_101]→[101B016]
[★]
- ある職場で飲酒習慣の有る集団について、健康診断の結果を基に10年間の追跡調査を行い生活習慣と肥満との関係を調べた。
- この疫学研究はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [102B015]←[国試_102]→[102B017]
[★]
- 患者対照研究(case control study)について正しいのはどれか。
- a. 結果が出るまでの観察期間は長期にわたる。
- b. コホート研究に比較して費用がかかる。
- c. オッズ比を計算する。
- d. 罹患率の低い疾患の解析に適する。
- e. 前向き研究である。
[正答]
※国試ナビ4※ [096G019]←[国試_096]→[096G021]
[★]
- a 調査期間が短い。
- b 研究に費用がかからない。
- c 疾患発生の有無を追跡する。
- d 寄与危険度が計算できない。
- e まれな疾患の研究に適する。
[正答]
※国試ナビ4※ [107G005]←[国試_107]→[107G007]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [107C011]←[国試_107]→[107C013]
[★]
- 研究を行う本人が患者や対象者の集団に働きかけて直接データを収集しないのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109C008]←[国試_109]→[109C010]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [111F004]←[国試_111]→[111F006]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [105F001]←[国試_105]→[105F003]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [104G006]←[国試_104]→[104G008]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [112B009]←[国試_112]→[112B011]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [108H006]←[国試_108]→[108H008]
[★]
- 英
- case-control study
- 同
- ケース・コントロール研究
- 同
- 患者対照研究
- 関
- 症例対照法、アトリビュータブル・リスク、コホート研究、分析疫学、マッチング
特徴
|
名称
|
患者対照研究
|
コホート研究
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時間軸
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後向き研究
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前向き研究
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調査の方法
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既往調査、病歴調査
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追跡調査
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対象
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曝露情報の 信頼性
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患者の過去の記録やカルテに頼るため 信頼性は低い
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現時点での曝露状況が判明しているので信頼性は高い
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対象
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偏り バイアス
|
抽出の段階で、既に患者、対照群とも に偏りが発生している場合が多い
|
母集団から、要因の有無別に対照群が 抽出されるため、偏りは小さい
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対象
|
まれな要因
|
評価不能
|
評価可能
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調査
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観察期間
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なし
|
長期
|
調査
|
費用 労力
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患者と対照のみを観察するので、費用・労力が少ない
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大きな集団を長期に追跡しなければな らないので、費用・労力が多い
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疾患
|
対照疾患
|
単一
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複数
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疾患
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診断の正確性
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正確性が高い
|
正確性が低い →診断基準が必要
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疾患
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まれな疾患
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可能
|
困難
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解析
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罹患率
|
計算不可
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算出可能
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解析
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相対危険度
|
近似値の算出
|
算出可能
|
解析
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寄与危険度
|
計算不可
|
算出可能
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その他の特徴
- 対照群は母集団を代表しているわけではない →対照は必ずしも健常者でなくともよい(同じ病院の他の疾病の患者が選ばれることが多い)
- 交絡因子を考慮した調査対象の選択が必要である.
- 統計学的検定にはカイ二乗検定などが用いられる
参考
- はじめてケースコントロールシート2.5 Beginners’ Training Sheet for Case-control study
- http://spell.umin.jp/BTS_CCS2.5.pdf
[★]
- 英
- relative risk
- 同
- 相対リスク、相対危険
- 関
- コホート研究、オッズ比
- コホート研究で取られる手法
- ある因子が、疾病発生とどの程度関連しているかを評価する。すなわち、暴露群と被暴露群の比較に主眼がおかれている。
- R = A / (A + B) / ( C / (C + D) )
- 疾患が稀な場合、 A + B ≒ B, C + D ≒ D となり
- R ≒ AD / BC
- →疾患が稀な時の近似的相対危険度はオッズ比に等しくなる
|
疾病あり
|
疾病なし
|
計
|
暴露あり
|
A
|
B
|
A+B
|
暴露なし
|
C
|
D
|
C+D
|
計
|
A+C
|
B+D
|
T
|
参考
- http://www.med.nihon-u.ac.jp/department/public_health/ebm/ce105.html
- http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9B%B8%E5%AF%BE%E5%8D%B1%E9%99%BA%E5%BA%A6
uptodate
- In the systematic review of this trial, significantly more patients experienced clinical improvement at three months with surgery than with splinting (71 versus 51.6 percent) with a relative risk (RR) for clinical improvement favoring surgery of 1.38 (95% CI 1.08-1.75).(手術群とスプリント群で比較すると手術群の「臨床的な改善」のRRは1.38。(手根管症候群))
[★]
- 英
- research design
-
郵政試験 標準値呂よりも優れたけっかがしめすことができているかどうか
非劣勢試験 安全性、コスト、父料期間など別の点で優れた治療に置き換えられるか
[★]
- 英
- prospective study
- 関
- 前向き試験、コホート研究、研究デザイン
- 前向き研究 = コホート研究 ではない。
- とはいえ、多くの場合前向きコホート研究が行われ、あらかじめコホートを定義し、コホート内の暴露群、非暴露群である疾患の発生をフォローしていくことになる。
参考
- http://www.chikennavi.net/word/prospective-cohort-study.htm
[★]
- 英
- nested case-control study
- 関
- 症例対照法、コホート研究
[★]
- 英
- retrospective cohort study
[★]
- 英
-
- 関
- 調べる、治験、調査、働く、検討、仕事、研究開発、作業、リサーチ、実験研究、研究技術、研究活動、研究優先順位、概要報告
[★]
- 英
- cohort
- 関
- 同齢集団