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脱水 |
|
分類及び外部参照情報 |
ICD-10 |
E86 |
ICD-9 |
276.51 |
DiseasesDB |
3520 |
MedlinePlus |
000982 |
eMedicine |
article/801012 |
MeSH |
D003681 |
脱水(だっすい、英:dehydration)とは、医学において体内の水分の量が不足した状態を言う。
原因
水分喪失量に対して水分摂取量が不足することによって起こる。したがって脱水の原因としては、水分の摂取が不足する状態あるいは水分の喪失が過剰となる状態の二つが考えられる。実際には、水分の摂取が不足すると同時に喪失も亢進することが珍しくない。
- 発熱
- 発熱により全身倦怠感が強くなると、水分の摂取が減少する。その一方で、発汗の亢進や呼吸数の増加などにより不感蒸泄(排尿によって意識されない水分の排泄)が亢進し、程度が強くなれば脱水となる。
- 下痢・嘔吐
- ウイルス性の腸炎や食中毒、コレラなど、急性の消化器疾患の症状としてしばしば同時にみられる。嘔吐により水分の摂取が低下するとともに、下痢により水分の喪失が増加する。下痢・嘔吐のいずれも電解質を喪失する症状(胃液にも電解質が含まれるため)であるため、水分だけでなく電解質も減少する。
- 高温の環境、重作業、激しい運動
- 発汗が亢進するため、十分な水分および電解質の摂取がなければ脱水の原因となる。これらの要因が重なり合って起こる重篤な疾患に熱中症があり、脱水は熱射病の主要な病態のひとつである。
分類
脱水は、血液(細胞外液)の電解質組成によって以下のように分類される。
- 低張性脱水
- 下痢・嘔吐などにより水分の喪失以上に電解質の喪失が著しい状態で、血漿中の電解質濃度および血漿浸透圧の低下を伴う。
- 発汗や下痢嘔吐などの体液喪失に対し水のみを補充し続けることで容易に陥ってしまう。
- 発熱や口渇感を伴いにくく、皮膚・粘膜の乾燥も少ないため、初期には自覚症状が少ないが、進行すると全身倦怠感や眠気がみられ、手足は冷たく脈拍が弱くなる。身体は体液の塩分濃度よりも体液量を保持することを優先するため塩分不足(+++)の所を水分不足だけ(++)となり踏み止まり、発症しやすいのである。主に細胞外液(循環血液量)の減少による症状である。
- 血清ナトリウム濃度140mEq/l以下、血清塩素濃度110mEq/l以下が目安となる。
- 等張性脱水
- 等張液の喪失による脱水。口渇感のため水分を摂取するのが普通のため、低張性脱水に変化しやすい。
- ネフローゼなど。
- 高張性脱水
- 発汗の亢進、水分摂取の極端な低下などにより、もっぱら水分が不足した状態である。自分で水分摂取のできない乳幼児や高齢者に多い。
- 発熱と著しい口渇感を伴い、口腔などの粘膜が乾燥する。意識は保たれるが不隠・興奮の状態となる。手足は冷たくならず、脈拍もしっかりと触れる。
- 血清ナトリウム濃度150mEq/l以上、血清塩素濃度110mEq/l以上が目安となる。
- 糖尿病など。
治療
軽症であり経口摂取が可能な全身状態であれば、電解質を含んだ水分を経口で摂取させる。ただし、スポーツドリンクは、ナトリウム濃度が低いため、特に乳幼児の脱水時にこれを与えると、低ナトリウム血症から水中毒を惹起する危険性があるので、経口補水用の食品(経口補水塩参照)を使用すべきである。味噌汁などは血液とほぼ塩分濃度同一のため、発汗による塩分減少を補うには便利である。夏バテなど電解質不足で起こることも多く、食塩補給にスープ類、カリウムの補給には果物などを利用することでコントロールしやすい。脱水が重度の場合や、全身状態が悪く経口摂取ができない場合、電解質代謝異常が著しく厳密なコントロールが必要な場合には輸液を行う。特に重度の脱水や電解質代謝異常が見られる場合、急激に補正を行うと脳浮腫・心不全・肺水腫や重篤な中枢神経合併症が起こる危険があるため、2~3日をかけて慎重に補正しなければならない。
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Japanese Journal
- ジュニアおよび大学テニス選手のための暑熱と水分補給に関する考察
- Johnson Evan C.,Armstrong Lawrence E.
- Strength & conditioning journal : 日本ストレングス&コンディショニング協会機関誌 19(4), 26-32, 2012-05
- NAID 40019315621
- 乳幼児の身近な疾患のケアに対する保護者の知識に関する調査 -子どもの下痢の予防に対して-
- 横尾 美智代,吉川 未桜,柏原 やすみ,宮城 由美子
- 福岡県立大学看護学部紀要 9(1), 11(11)-17(17), 2011-12-15
- NAID 110009391484
Related Links
- 脱水症状としては、口渇・口唇の乾燥・尿量の減少・頭痛・全身倦怠感・食欲不振・めまい・嘔気・嘔吐などが挙げられるが、脱水症状が現れた場合には、脱水の程度に応じて次のような処置を行う。 軽症の場合: 体重の4%程度までの 脱水 ...
- 脱水症状の原因や予防と治療について。熱中症や便秘下痢やアルコール等との関係や、子供や高齢者の脱水症状について詳しく説明しています。 ... sponsored link 真夏の炎天下の熱い日差しの中、部活動などで激しい運動を続けている時 ...
- 脱水症状の原因・症状・対処法をはじめ予防法や赤ちゃんの脱水症状などについても詳しく解説しています。 ... 【高張性脱水症】 過度の水分不足や発汗が原因で起こる脱水症状です。(単純に水分欠乏の状態です。) 高熱が出ている時、昏睡 ...
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★リンクテーブル★
[★]
- 英
- dehydration
- 関
- 脱水、脱水症、脱水症状
[★]
- 英
- dehydration, anhydration
- 同
- (国試)脱水
- 関
病態
- (病態によって体液の浸透圧と量に変化が生じる)→循環血液量の低下
身体所見
- 体重減少、血圧・脈拍の変化、起立性低血圧、皮膚乾燥感と緊張度の低下、口腔粘膜の乾燥、静脈虚脱。
検査所見
- 血液:中心静脈圧↓、Ht・BUN・UA↑、血液浸透圧↑
- 脱水状態では近位尿細管でNa・水と共に尿素の再吸収が亢進するため(NEL.313)
- 尿:尿比重1.020↑、尿の浸透圧↑、尿中Na排泄↓(10 mEq/l以下)
- ホルモン:ADHの上昇
- 神経系:RA系と交感神経の亢進。
脱水の分類
- 高張性脱水:喪失が Na < 水 → 血清浸透圧↑
- →細胞内から細胞外に水が移動→循環血液量わずか↓。細胞内液は著名↓
- 血清浸透圧は不変→水の移動は起こらない。
- 低張性脱水:喪失が Na > 水 → 血清浸透圧↓
- →細胞外から細胞内に水が移動→循環血液量著名↓減。細胞内液↑
|
低張性脱水
|
等張性脱水
|
高張性脱水
|
細胞外液浸透圧
|
↓↓
|
|
↑↑
|
病態
|
Na喪失
|
|
水喪失
|
水の動き
|
細胞外→細胞内
|
|
細胞内→細胞外
|
血管内のvolume
|
減少する
|
|
比較的保たれる
|
疾患
|
熱傷、 利尿薬、 アジソン病
|
|
発熱、 発汗過多、 下痢、 急性腎不全回復期
|
皮膚ツルゴール
|
↓↓
|
↓
|
↓
|
脈拍
|
↑↑
|
↑
|
↑
|
ショック
|
++
|
+
|
±
|
ヘマトクリット
|
↑
|
↑
|
↑
|
尿量
|
→↓
|
→↓
|
↓↓↓ 一次的な血漿浸透圧低下 のためにADHが分泌され 尿濃縮を来す
|
意識障害
|
+(傾眠→昏睡)
|
様々
|
+(興奮→昏睡)
|
口渇感
|
±
|
-
|
++
|
粘膜乾燥
|
+
|
++
|
++
|
深部腱反射
|
↓↓
|
様々
|
↑↑
|
嘔気・嘔吐
|
+(脳浮腫)
|
-
|
±
|
頭痛
|
+(脳浮腫)
|
-
|
-
|
体温
|
↓(循環不全)
|
↓(循環不全)
|
↑(筋痙攣、 熱中枢異常)
|
体重あたりの必要水分量
- 乳児:150 ml/kg/day
- 小児:100 ml/kg/day
- 学童: 80 ml/kg/day
- 成人: 50 ml/kg/day
乳児の脱水
|
軽症
|
中等症
|
重症
|
脱水徴候
|
体準減少
|
3-5%
|
6-9%
|
10%以上
|
皮膚ツルゴール低下
|
-
|
+
|
++
|
更新粘膜乾燥
|
±
|
+
|
++
|
大泉門陥凹
|
-
|
+
|
++
|
眼球陥凹
|
-
|
+
|
++
|
尿量
|
やや乏尿
|
乏尿
|
著明乏尿
|
末梢循環不全
|
皮膚色
|
やや蒼白
|
蒼白
|
チアノーゼ
|
脈拍減弱
|
-
|
+
|
++
|
血圧低下
|
-
|
±
|
+
|
中枢神経症状
|
意識障害
|
-
|
+
|
++
|
痙攣
|
-
|
±
|
+
|
- 体温 :脱水が重症になるにつれて四肢の体温が低下 → 循環血液量減少 → 交感神経緊張 → 末梢血管収縮
- 呼吸数:軽度~中程度の脱水では変化しない。高度の脱水では代謝性アシドーシス → 代償的な頻呼吸
乳児・年長児の脱水症状
- SPE.195改変
等級
|
体重減少
|
皮膚
|
粘膜
|
循環
|
|
尿量
|
口渇感
|
啼泣時の涙
|
大泉門
|
症状のまとめ
|
乳児
|
年長児
|
緊張度
|
色調
|
末梢体温
|
脈拍
|
血圧
|
軽度
|
<5%
|
<3%
|
良好
|
青白い
|
少しひんやり
|
乾燥
|
正常
|
正常
|
軽度低下
|
軽度
|
出る
|
平坦
|
濃縮尿
|
中等度
|
<10%
|
<6%
|
|
|
|
|
|
|
|
|
速脈を触れる
|
正常か低下
|
|
|
|
|
|
|
|
|
末梢循環不全
|
重度
|
<15%
|
<9%
|
かなり低下
|
斑点状
|
冷たい
|
カラカラに乾燥
|
速脈、わずかに触れる
|
低下
|
無尿
|
強度
|
出ない
|
明らかに陥没
|
血圧低下・ショック・意識障害
|
脱水の種類と症候・検査値
- QB.O-50
- 高張性脱水:Na ≧150 mEq/L
- 等張性脱水:Na 130~150 mEq/L
- 低張性脱水:Na ≦130 mEq/L
国試
[★]
- 英
- symptom, presentation、manifestation、pathology
- 関
- 出現、症候、所見、徴候、提示、発現、病態、病態学、病徴、病理、病理学、現れること、発表、顕在化、プレゼンテーション、顕性化
[★]
- 英
- hydrops、dropsy、hydropic、hydropical
- 関
- 水腫、浮腫