- 7か月の乳児。嘔吐と白色下痢とを主訴に来院した。昨夕、38.7℃の発熱かあり、嘔吐7回と白色水様下痢12回とがみられた。今朝から元気がなく、うとうとするようになった。意識は傾眠状である。体重7,500g。体温38.6℃。脈拍130/分、整、微弱。四肢に冷感がある。皮膚は乾燥し、緊張度は中等度に低下している。1週前の体重は8,350gであった。
- 脱水の重症度判定に最も重要な指標はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [096F019]←[国試_096]→[096F021]
★リンクテーブル★
[★]
- 54歳の男性。7か月前からの後頭部を中心にした頭重感のため来院した。来院前に職場の診療所を受診し鎮痛薬を処方されたが、症状はさほど改善せず、出勤がおっくうな日もある。食欲がなく、熟睡した感じがないと訴えている。意識は清明。体温36.8℃。脈拍62/分、整。血圧108/72 mmHg。項部硬直はない。眼底に異常所見はない。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [096F020]←[国試_096]→[096F022]
[★]
- 24歳の男性。下腹部痛と下痢とを主訴に来院した。2年前から下痢便の排出で軽快する下腹部痛が繰り返し生じ、近医で治療を受けていた。3か月前から転勤に伴い更に症状が悪化したため、他院で注腸造影と下部消化管内視鏡検査とを受け器質的異常はないと言われた。この病態の診断に最も有用なのはどれか。
- a. 患者背景の聴取
- b. 便の細菌培養
- c. 血清電解質検査
- d. 腫瘍マーカー測定
- e. 腹部単純CT
[正答]
※国試ナビ4※ [096F018]←[国試_096]→[096F020]
[★]
- 英
- dehydration, anhydration
- 同
- (国試)脱水
- 関
病態
- (病態によって体液の浸透圧と量に変化が生じる)→循環血液量の低下
身体所見
- 体重減少、血圧・脈拍の変化、起立性低血圧、皮膚乾燥感と緊張度の低下、口腔粘膜の乾燥、静脈虚脱。
検査所見
- 血液:中心静脈圧↓、Ht・BUN・UA↑、血液浸透圧↑
- 脱水状態では近位尿細管でNa・水と共に尿素の再吸収が亢進するため(NEL.313)
- 尿:尿比重1.020↑、尿の浸透圧↑、尿中Na排泄↓(10 mEq/l以下)
- ホルモン:ADHの上昇
- 神経系:RA系と交感神経の亢進。
脱水の分類
- 高張性脱水:喪失が Na < 水 → 血清浸透圧↑
- →細胞内から細胞外に水が移動→循環血液量わずか↓。細胞内液は著名↓
- 血清浸透圧は不変→水の移動は起こらない。
- 低張性脱水:喪失が Na > 水 → 血清浸透圧↓
- →細胞外から細胞内に水が移動→循環血液量著名↓減。細胞内液↑
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低張性脱水
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等張性脱水
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高張性脱水
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細胞外液浸透圧
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↓↓
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|
↑↑
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病態
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Na喪失
|
|
水喪失
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水の動き
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細胞外→細胞内
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|
細胞内→細胞外
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血管内のvolume
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減少する
|
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比較的保たれる
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疾患
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熱傷、 利尿薬、 アジソン病
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発熱、 発汗過多、 下痢、 急性腎不全回復期
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皮膚ツルゴール
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↓↓
|
↓
|
↓
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脈拍
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↑↑
|
↑
|
↑
|
ショック
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++
|
+
|
±
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ヘマトクリット
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↑
|
↑
|
↑
|
尿量
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→↓
|
→↓
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↓↓↓ 一次的な血漿浸透圧低下 のためにADHが分泌され 尿濃縮を来す
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意識障害
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+(傾眠→昏睡)
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様々
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+(興奮→昏睡)
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口渇感
|
±
|
-
|
++
|
粘膜乾燥
|
+
|
++
|
++
|
深部腱反射
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↓↓
|
様々
|
↑↑
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嘔気・嘔吐
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+(脳浮腫)
|
-
|
±
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頭痛
|
+(脳浮腫)
|
-
|
-
|
体温
|
↓(循環不全)
|
↓(循環不全)
|
↑(筋痙攣、 熱中枢異常)
|
体重あたりの必要水分量
- 乳児:150 ml/kg/day
- 小児:100 ml/kg/day
- 学童: 80 ml/kg/day
- 成人: 50 ml/kg/day
乳児の脱水
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軽症
|
中等症
|
重症
|
脱水徴候
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体準減少
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3-5%
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6-9%
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10%以上
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皮膚ツルゴール低下
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-
|
+
|
++
|
更新粘膜乾燥
|
±
|
+
|
++
|
大泉門陥凹
|
-
|
+
|
++
|
眼球陥凹
|
-
|
+
|
++
|
尿量
|
やや乏尿
|
乏尿
|
著明乏尿
|
末梢循環不全
|
皮膚色
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やや蒼白
|
蒼白
|
チアノーゼ
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脈拍減弱
|
-
|
+
|
++
|
血圧低下
|
-
|
±
|
+
|
中枢神経症状
|
意識障害
|
-
|
+
|
++
|
痙攣
|
-
|
±
|
+
|
- 体温 :脱水が重症になるにつれて四肢の体温が低下 → 循環血液量減少 → 交感神経緊張 → 末梢血管収縮
- 呼吸数:軽度~中程度の脱水では変化しない。高度の脱水では代謝性アシドーシス → 代償的な頻呼吸
乳児・年長児の脱水症状
- SPE.195改変
等級
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体重減少
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皮膚
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粘膜
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循環
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尿量
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口渇感
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啼泣時の涙
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大泉門
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症状のまとめ
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乳児
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年長児
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緊張度
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色調
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末梢体温
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脈拍
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血圧
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軽度
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<5%
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<3%
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良好
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青白い
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少しひんやり
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乾燥
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正常
|
正常
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軽度低下
|
軽度
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出る
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平坦
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濃縮尿
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中等度
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<10%
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<6%
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|
|
|
|
|
|
|
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速脈を触れる
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正常か低下
|
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|
|
|
|
|
|
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末梢循環不全
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重度
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<15%
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<9%
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かなり低下
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斑点状
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冷たい
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カラカラに乾燥
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速脈、わずかに触れる
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低下
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無尿
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強度
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出ない
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明らかに陥没
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血圧低下・ショック・意識障害
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脱水の種類と症候・検査値
- QB.O-50
- 高張性脱水:Na ≧150 mEq/L
- 等張性脱水:Na 130~150 mEq/L
- 低張性脱水:Na ≦130 mEq/L
国試