高張性脱水症
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Japanese Journal
- 中枢性尿崩症 (特集 小児の輸液ベーシックガイド)
- 臨床研究・症例報告 高張性脱水を呈した熱中症の1学童例--臓器障害の重要性とその予知因子を中心に
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- 種類, 高張性脱水症 (hypertonic dehydration), 低張性脱水症 ...
- 等張性脱水: 等張液の喪失による脱水。口渇感のため水分を摂取するのが普通のため 、低張性脱水に変化しやすい。 ネフローゼなど。 高張性脱水: 発汗の亢進、水分摂取の 極端な低下などにより、専ら水分が不足した状態である。自分で水分摂取のできない ...
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- 次の文を読み、63~65の問いに答えよ。
- 86歳の女性。発熱を主訴に来院した。
- 現病歴:2日前に長男が患者に連絡した際「風邪をひいている」との訴えがあった。本日長男が連絡した際に電話がつながらなかったため長男が訪問したところ、発熱があり食事も摂れず布団の中でぐったりしていた。長男に付き添われて来院した。
- 既往歴:70歳から2型糖尿病で内服加療中。82歳時に脳梗塞を発症、後遺症による左下肢不全麻痺がある。
- 生活歴:1人暮らしをしており、近所に住む息子が週2~3回訪問していた。
- 家族歴:妹が脂質異常症。
- 現症:意識レベルはGCS 14(E4V4M6)。身長 150cm、体重 38kg。体温 38.2℃。脈拍 100/分、整。血圧 120/72mmHg。呼吸数 20/分。SpO2 99%(room air)。心音と呼吸音とに異常を認めない。腋窩は乾燥している。体表に外傷は認めなかったが、左大転子部に発赤を認める。
- 検査所見:尿所見:蛋白(-)、糖2+、潜血(-)。血液所見:赤血球 490万、Hb 16.0g/dL、Ht 47%、白血球 9,000(好中球 60%、リンパ球 40%)、血小板 36万。血液生化学所見:尿素窒素 56mg/dL、クレアチニン 1.2mg/dL、随時血糖 360mg/dL、HbA1c 8.0%(基準 4.6~6.2)、Na 130mEq/L、K 4.0mEq/L、Cl 91mEq/L。CRP 0.3mg/dL。頭部CTで陳旧性脳梗塞を認める。
- この患者について正しいのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [114F062]←[国試_114]→[114F064]
[★]
- 英
- dehydration, anhydration
- 同
- (国試)脱水
- 関
病態
- (病態によって体液の浸透圧と量に変化が生じる)→循環血液量の低下
身体所見
- 体重減少、血圧・脈拍の変化、起立性低血圧、皮膚乾燥感と緊張度の低下、口腔粘膜の乾燥、静脈虚脱。
検査所見
- 血液:中心静脈圧↓、Ht・BUN・UA↑、血液浸透圧↑
- 脱水状態では近位尿細管でNa・水と共に尿素の再吸収が亢進するため(NEL.313)
- 尿:尿比重1.020↑、尿の浸透圧↑、尿中Na排泄↓(10 mEq/l以下)
- ホルモン:ADHの上昇
- 神経系:RA系と交感神経の亢進。
脱水の分類
- 高張性脱水:喪失が Na < 水 → 血清浸透圧↑
- →細胞内から細胞外に水が移動→循環血液量わずか↓。細胞内液は著名↓
- 血清浸透圧は不変→水の移動は起こらない。
- 低張性脱水:喪失が Na > 水 → 血清浸透圧↓
- →細胞外から細胞内に水が移動→循環血液量著名↓減。細胞内液↑
|
低張性脱水
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等張性脱水
|
高張性脱水
|
細胞外液浸透圧
|
↓↓
|
|
↑↑
|
病態
|
Na喪失
|
|
水喪失
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水の動き
|
細胞外→細胞内
|
|
細胞内→細胞外
|
血管内のvolume
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減少する
|
|
比較的保たれる
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疾患
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熱傷、 利尿薬、 アジソン病
|
|
発熱、 発汗過多、 下痢、 急性腎不全回復期
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皮膚ツルゴール
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↓↓
|
↓
|
↓
|
脈拍
|
↑↑
|
↑
|
↑
|
ショック
|
++
|
+
|
±
|
ヘマトクリット
|
↑
|
↑
|
↑
|
尿量
|
→↓
|
→↓
|
↓↓↓ 一次的な血漿浸透圧低下 のためにADHが分泌され 尿濃縮を来す
|
意識障害
|
+(傾眠→昏睡)
|
様々
|
+(興奮→昏睡)
|
口渇感
|
±
|
-
|
++
|
粘膜乾燥
|
+
|
++
|
++
|
深部腱反射
|
↓↓
|
様々
|
↑↑
|
嘔気・嘔吐
|
+(脳浮腫)
|
-
|
±
|
頭痛
|
+(脳浮腫)
|
-
|
-
|
体温
|
↓(循環不全)
|
↓(循環不全)
|
↑(筋痙攣、 熱中枢異常)
|
体重あたりの必要水分量
- 乳児:150 ml/kg/day
- 小児:100 ml/kg/day
- 学童: 80 ml/kg/day
- 成人: 50 ml/kg/day
乳児の脱水
|
軽症
|
中等症
|
重症
|
脱水徴候
|
体準減少
|
3-5%
|
6-9%
|
10%以上
|
皮膚ツルゴール低下
|
-
|
+
|
++
|
更新粘膜乾燥
|
±
|
+
|
++
|
大泉門陥凹
|
-
|
+
|
++
|
眼球陥凹
|
-
|
+
|
++
|
尿量
|
やや乏尿
|
乏尿
|
著明乏尿
|
末梢循環不全
|
皮膚色
|
やや蒼白
|
蒼白
|
チアノーゼ
|
脈拍減弱
|
-
|
+
|
++
|
血圧低下
|
-
|
±
|
+
|
中枢神経症状
|
意識障害
|
-
|
+
|
++
|
痙攣
|
-
|
±
|
+
|
- 体温 :脱水が重症になるにつれて四肢の体温が低下 → 循環血液量減少 → 交感神経緊張 → 末梢血管収縮
- 呼吸数:軽度~中程度の脱水では変化しない。高度の脱水では代謝性アシドーシス → 代償的な頻呼吸
乳児・年長児の脱水症状
- SPE.195改変
等級
|
体重減少
|
皮膚
|
粘膜
|
循環
|
|
尿量
|
口渇感
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啼泣時の涙
|
大泉門
|
症状のまとめ
|
乳児
|
年長児
|
緊張度
|
色調
|
末梢体温
|
脈拍
|
血圧
|
軽度
|
<5%
|
<3%
|
良好
|
青白い
|
少しひんやり
|
乾燥
|
正常
|
正常
|
軽度低下
|
軽度
|
出る
|
平坦
|
濃縮尿
|
中等度
|
<10%
|
<6%
|
|
|
|
|
|
|
|
|
速脈を触れる
|
正常か低下
|
|
|
|
|
|
|
|
|
末梢循環不全
|
重度
|
<15%
|
<9%
|
かなり低下
|
斑点状
|
冷たい
|
カラカラに乾燥
|
速脈、わずかに触れる
|
低下
|
無尿
|
強度
|
出ない
|
明らかに陥没
|
血圧低下・ショック・意識障害
|
脱水の種類と症候・検査値
- QB.O-50
- 高張性脱水:Na ≧150 mEq/L
- 等張性脱水:Na 130~150 mEq/L
- 低張性脱水:Na ≦130 mEq/L
国試
[★]
- 英
- hypertonic dehydration, hyperosmotic dehydration
- 同
- 高張性脱水
- 関
- 脱水症、純水分欠乏性脱水症
[show details]
[★]
- 英
- hypertonicity、hypertonic
- 関
- 高浸透圧性、高張性、高塩濃度、過緊張性、等張
[★]
- 英
- hypertonic
- 関
- 高浸透圧性、高張、高塩濃度