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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/10/20 21:50:09」(JST)
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塩化鉄(III) |
塩化鉄(III) 六水和物 |
一般情報 |
IUPAC名 |
塩化鉄(III) |
別名 |
塩化第二鉄,第二塩化鉄 |
組成式 |
FeCl3 |
式量 |
162.22 g/mol |
形状 |
黒褐色六方晶結晶または粉末(無水物)
黄褐色単斜結晶または粉末(六水和物)
|
CAS登録番号 |
7705-08-0 |
性質 |
密度と相 |
2.804 g/cm3, 固体 |
水への溶解度 |
92g/100 mL ( 20°C) |
アセトンへの溶解度 |
63g/100 mL ( 18°C) |
融点 |
282 °C(無水物) |
沸点 |
351 °C(無水物) |
塩化鉄(III)(えんかてつ(III)、Iron(III) chloride)は、組成式 FeCl3の無機化合物である。かつては塩化第二鉄(えんかだいにてつ、ferric chloride)とも呼ばれた。金属光沢がある。融点は 302 ℃。アルコールやエーテルに可溶である。潮解性がある。水和物は黄褐色(写真)を呈する。水に溶かすと赤褐色の溶液となる。
塩化鉄(II)が酸素や空気により酸化され生成したものは、不均化および加水分解により酸化鉄(III) や水酸化鉄(III)、塩基性塩化鉄(III) の沈殿が発生する。
結晶状態のものは強い酸化力を有する。濃厚な水溶液でも酸化作用を示すので、これは銅箔を腐食するプリント基板のエッチング剤として利用されている。また、美術でのエッチングによる版画の腐食液にも用いられる。
フェノール類に加えると呈色するため、それらの検出に用いられる。ヘキサシアノ鉄(II) 酸カリウムとの反応で濃青色沈殿が生成する。
塩化鉄(III) の2004年度日本国内生産量は 356,472 t、工業消費量は 29,314 tである。
目次
- 1 生成
- 2 反応
- 3 参照資料
- 4 関連項目
- 5 外部リンク
生成
塩化鉄(II)と塩素の反応で生成される。
または、塩化鉄(II)・二酸化硫黄・塩化水素の反応で生成される。
反応
塩化鉄(III)と酸化鉄(III)を約350℃まで加熱するとオキシ塩化鉄になる。
3価の鉄イオンが銅に電子を与えて2価になり、銅は銅イオンになる。塩化鉄(III)は塩化鉄(II)になる。このプロセスをエッチングに利用する。
参照資料
関連項目
外部リンク
- 国際化学物質安全性カード 塩化鉄(Ⅲ)(無水物) - 国立医薬品食品衛生研究所
鉄の化合物 |
二元化合物 |
FeBr2 · FeBr3 · Fe3C · FeCl2 · FeCl3 · FeF2 · FeF3 · FeH2 · FeH3 · FeI2 · FeI3 · FeN · Fe3N · Fe3N2 · Fe(N3)2 · FeO · Fe2O3 · Fe3O4 · FeS · FeS2 · Fe2S3 · Fe3S4 · FeSe · Fe2Se3 · FeSi2
|
三元化合物 |
Fe(C5H5)2 · Fe(ClO3)3 · Fe(ClO4)2 · Fe(ClO4)3 · Fe(CN)2 · Fe(CN)3 · FeCO3 · Fe(CO)5 · FeC2O4 · Fe2(CO3)3 · Fe2(CO)9 · Fe2(C2O4)3 · Fe3(CO)12 · Fe2(CrO4)3 · Fe2(Cr2O7)3 · Fe5(IO6)2 · FeMnO4 · FeMoO4 · Fe(NO3)2 · Fe(NO3)3 · Fe(OH)2 · Fe(OH)3 · FeO(OH) · FePO4 · Fe3(PO4)2 · FeSeO4 · FeSO3 · FeSO4 · Fe2(SO4)3 · H2FeO4 · BaFeO4 · K2FeO4 · Fe(IO3)2 · Fe(IO3)3 · FeWO4
|
四元・五元化合物 |
[Fe(C5H5)2]BF4 · Fe(CH3COO)2 · Fe(CH3COO)3 · Fe(HCOO)2 · Fe(OCN)2 · Fe(SCN)2 · Fe(SCN)3 · H3[Fe(CN)6] · H4[Fe(CN)6] · (NH4)2Fe(SO4)2
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
ミネリック-5注シリンジ
組成
容量
有効成分(1シリンジ中)
- 塩化第二鉄 9.460mg
塩化マンガン 0.1979mg
日本薬局方 硫酸亜鉛水和物 17.25mg
硫酸銅 1.248mg
日本薬局方 ヨウ化カリウム 0.1660mg
添加物(1シリンジ中)
- コンドロイチン硫酸エステルナトリウム 9.774mg
pH調整剤
元素量
元素量(μmol/2mL)
- 鉄(Fe)
35
マンガン(Mn)
1
亜鉛(Zn)
60
銅(Cu)
5
ヨウ素(I)
1
禁忌
- 胆道閉塞のある患者[排泄障害により、マンガンの全血中濃度、及び銅などの微量元素の血漿中濃度を上昇させるおそれがある。]
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
効能または効果
- 経口、経腸管栄養補給が不能又は不十分で高カロリー静脈栄養に頼らざるを得ない場合の亜鉛、鉄、銅、マンガン及びヨウ素の補給。
- 通常、成人には1日2mLを高カロリー静脈栄養輸液に添加し、点滴静注する。なお、年齢、症状に応じて適宜増減する。
- 本剤は、経口・経腸管栄養補給が十分になった場合には、速やかに投与を中止すること(通常、経口・経腸管栄養により微量元素は補給される)。
- 高カロリー輸液用基本液等には微量元素が含まれた製剤があるので、それらの微量元素量に応じて適宜減量すること。
- 黄疸がある場合、又は本剤投与中にマンガンの全血中濃度の上昇が認められた場合には、マンガンが配合されていない微量元素製剤の投与を考慮すること。また、銅などの微量元素の血漿中濃度の上昇が認められた場合には、休薬、減量若しくは中止等を考慮すること。
全血中マンガン濃度の基準値1)
血漿中微量元素濃度の基準値2)
中央値(下限値〜上限値)
- Fe(μg/dL) 103(35〜174)
Zn(μg/dL) 97(70〜124)
Cu(μg/dL) 94(62〜132)
I(μg/dL) 5.7(3.7〜14.0)
(健常成人男女各20名より求めた)
慎重投与
- 肝障害のある患者[微量元素の血漿・全血中濃度が上昇するおそれがある。]
- 腎障害のある患者[微量元素の血漿・全血中濃度が上昇するおそれがある。]
★リンクテーブル★
[★]
- 関
- パッチテスト
一般名
|
分子式
|
性状
|
塩化アルミニウム
|
AlCl3・6H2O
|
本品は白又はうすい黄色の結晶又は結晶性粉末である。
|
塩化コバルト
|
CoCl2・6H2O
|
本品は紫みの赤の結晶で、潮解性がある。
|
塩化第二スズ
|
SnCl4・nH2O
|
本品は白~灰白色の結晶性の固塊で吸湿性が強い。
|
塩化第二鉄
|
FeCl3・6H2O
|
本品は黄色~褐色の結晶塊で、潮解性がある。
|
ヘキサクロロ白金酸
|
H2PtCl6・6H2O
|
本品は赤褐色の結晶又は結晶塊で、潮解性が強い。
|
塩化パラジウム
|
PdCl2
|
本品は暗い褐色の粉末で、吸湿性がある。
|
塩化マンガン
|
MnCl2・4H2O
|
本品は淡紅色の結晶又は結晶性粉末である。
|
三塩化インジウム
|
InCl3・4H2O
|
本品は白色の結晶性の粉末又は結晶性の小塊である。
|
四塩化イリジウム
|
IrCl4
|
本品は黒紫~黒色の結晶である。
|
臭化銀
|
AgBr
|
本品は微黄色~黄色の粉末である。
|
重クロム酸カリウム
|
K2Cr2O7
|
本品は黄みの赤~赤みの黄色の結晶又は結晶性粉末である。
|
硫酸クロム
|
Cr2(SO4)3・8H2O
|
本品は緑色~黒緑色の粉末又は結晶である。
|
硫酸ニッケル
|
NiSO4・6H2O
|
本品は緑色の結晶又は結晶性粉末で、風解する。
|
塩化亜鉛
|
ZnCl2
|
本品は白い結晶性粉末又は塊状で、潮解性がある。
|
テトラクロロ金酸
|
HAuCl4・4H2O
|
本品は黄金色~赤みの黄で潮解性がある結晶又は固塊である。
|
硫酸銅
|
CuSO4・5H2O
|
本品は青色の結晶、塊又は粉末で、においはなく、特異な味がある。
|
塩化第二水銀
|
HgCl2
|
本品は重い無色の結晶又は白色の結晶性の粉末で、においはない。
|
[★]
ヨウ化カリウム、塩化マンガン、塩化第二鉄、硫酸亜鉛水和物、硫酸銅
- 関
- 高カロリー輸液用微量元素製剤
[★]
ヨウ化カリウム、塩化マンガン、塩化第二鉄、硫酸亜鉛水和物、硫酸銅
- 関
- 高カロリー輸液用微量元素製剤
[★]
ヨウ化カリウム、塩化マンガン、塩化第二鉄、硫酸亜鉛水和物、硫酸銅
- 関
- コンドロイチン硫酸
[★]
ヨウ化カリウム、塩化第二鉄、硫酸亜鉛水和物、硫酸銅
- 関
- 高カロリー輸液用微量元素製剤
[★]
- 英
- ferric chloride reaction, ferric chloride(III) reaction
- 関
- フェニルケトン尿症
[★]
- 英
- iron Fe
- 同
- scissors
- 関
- ヘモグロビン、赤血球、血清鉄、iron salts
概念
- ヘモグロビン、ミオグロビン、およびペルオキシダーゼなどの正常な働きのために必須の元素である。ヒトは一日10-15mgの鉄を摂取しており、そのうちわずか1mgが小腸で吸収される。主に十二指腸でFe2+の形で吸収されるので、胃酸、ビタミンC、クエン酸などによりFe3+→Fe2+になっていると吸収の効率が高まる。生体内には4gの鉄が存在しており、その2/3がヘム鉄(2.5g)(ほぼヘモグロビン鉄、一部ミオグロビン鉄)で存在し、残りのほとんど(1g)は貯蔵鉄(網内系の中。フェリチン・ヘモジデリンとして)として組織に貯蔵される。鉄は受動的に1mgが主に消化管から失われ、その他皮膚、尿路からも失われる。
基準値
- →血清鉄
鉄の体内分布(SP.499)
鉄の収支 (SPC.280)
- 糞、汗、脱落皮膚:1mg/day
- 月経中の女性:30mg/月経期間中
- 妊娠中:500mg/満期まで
- 月経中の女性:1.4mg/day
- 妊娠中:5-6mg/day
- 男性:0.5-1.0mg/day
-
- うち0.9mg程度しか吸収されない
鉄の吸収 (詳しくは図:SP.500)
- 十二指腸で良く吸収される。 (吸収部位:十二指腸、空腸上部(LAB.579))
- Fe2+は水溶性、Fe3+は難溶性なので、Fe2+であるほうが吸収されやすい。また、ヘム鉄、アミノ酸鉄などキレート状の鉄は吸収が容易である(SP.499)
- 鉄は摂取量の10%しか吸収されない。腸上皮中ではフェリチンと結合して存在するが、フェリチンが飽和するとそれ以上取り込まない。腸上皮のフェリチンは血清中のトランスフェリンに鉄を渡すが、トランスフェリンが飽和するとそれ以上鉄を渡せなくなる。鉄が飽和した状態の腸上皮はやがて脱落する。これで、必要以上の鉄が吸収されないように厳密に制御されている(←過剰の鉄は生体内でフリーラジカルを産生する反応を触媒するので危険)。ビタミンCは鉄の吸収を促進し、肉に含まれるヘム鉄は食物中の無機鉄より効率よく吸収される。またアルコールやフルクトースは鉄の吸収を促進するが、カルシウムは鉄の吸収を阻害する。(HBC.486)
QB.A-366
- 鉄の吸収には胃酸の分泌、十二指腸からの吸収が必要。胃全摘が施行された場合には、胃酸の分泌減少と、Billroth II法が施行された場合には食物が十二指腸を通過せず鉄の吸収が障害される。
治療薬
臨床関連
[★]
- 英
- secondary、second、secondly
- 関
- 続発性、第二級、第二次、二級、二次、二次的、秒間、二次性、秒、続発
[★]
- 英
- chloride、chloro
- 関
- 塩化物、塩素イオン、クロライド、クロリド、クロロ、クロール
[★]
- 英
- ferric
- 関
- 三価鉄、鉄三価