ミルク・アルカリ症候群
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/02/11 18:28:02」(JST)
[Wiki ja表示]
|
ウィキペディアは医学的助言を提供しません。免責事項もお読みください。 |
高カルシウム血症 |
分類及び外部参照情報 |
カルシウム
|
ICD-10 |
E83.5 |
ICD-9 |
275.42 |
DiseasesDB |
6196 |
MedlinePlus |
000365 |
eMedicine |
med/1068 emerg/260 ped/1062 |
MeSH |
D006934 |
プロジェクト:病気/Portal:医学と医療 |
テンプレートを表示 |
高カルシウム血症(こうかるしうむけっしょう、英:hypercalcaemia, hypercalcemia)とは血液中のカルシウム濃度が正常の範囲を逸脱し、異常に高値を示す状態。骨や腎臓からのカルシウム再吸収の亢進、消化管からのカルシウム吸収の亢進により生じる。成犬では血清カルシウム濃度が12mg/dl以上で高カルシウム血症と診断され、14mg/dlまでは臨床症状を示さないが、それ以上で多飲多尿、元気消失、嘔吐、便秘、衰弱などを示す。
目次
- 1 人体におけるカルシウムの調節
- 2 一般病棟でのスクリーニング
- 3 腎性尿崩症の原因としての高カルシウム血症
- 4 関連項目
- 5 参考文献
|
人体におけるカルシウムの調節
血清のCa濃度は8.4~10.2mg/dl程度の範囲に保たれている。正常値を10mg/dlとすると、そのうち4mg/dlはアルブミンと結合しており、1mg/dlはリンなど他のイオンと結合しており、5mg/dlがカルシウムイオンとして存在する。即ち、低アルブミン血症では見かけ上カルシウム濃度が低値になるため、補正した値をだす。補正Ca濃度=Ca濃度(mg/dl)+(4-Alb g/dl)である。我々は合計したCa濃度を測定しているが、生体内で活性があるのは通常は5mg/dlのカルシウムイオンのみであり、これらに調節機構が存在する。副甲状腺ホルモンとビタミンDはどちらかが不足しても低カルシウム血症に陥るため、必須のカルシウム上昇ホルモンである。カルシトニンは甲状腺で作られるカルシウム下降ホルモンである。
一般病棟でのスクリーニング
だが、一般病院では血中カルシウム濃度をルーチンで測定することをしていないところもある。そのため心電図検査をおこなってQT時間の短縮によって高カルシウム血症を発見することがある。さらに稀になるが、低リン血症も溶血性貧血、横紋筋融解症、白血球機能異常を招き、死に至る場合がある。高カルシウム血症、低リン血症をスクリーニングできるように、たまにはCa、IPの測定をすることが望ましいと考えられる。特に、骨粗鬆症の治療のためなどでCa剤を投与している場合は尿中のCa、Crも測定することが望ましい。
腎性尿崩症の原因としての高カルシウム血症
高カルシウム血症は悪性腫瘍に合併したり、副甲状腺機能亢進症に合併したりする。症状としては悪心、嘔吐、中枢神経障害などが知られているが、これらの症状からは本疾患を疑うことはほとんどない。ただ、血液検査で計ってみないとわからないことが多い。特に気をつけることは高カルシウム血症は低カリウム血症と同様に腎性尿崩症の原因となることである。これは集合管におけるADH感受性が低下するためと考えられており、全身状態が悪いがん患者などでは、多尿によって容易に腎前性腎不全となり死にいたる。腎不全の原因がカルシウムを測定しなければ不明となっていまう恐ろしい病気である。糖尿病性昏睡では治療中カリウムの補正が足りないと容易に低カリウム血症となり、もともとの病態が脱水であるにも関わらず、腎性尿崩症となり脱水が助長され死にいたることもある。悪性腫瘍の高カルシウム血症と糖尿病の低カリウム血症は腎性尿崩症によって患者を死にいたらすことがある非常に危険な電解質代謝異常である。
関連項目
- 低カルシウム血症
- 副甲状腺
- ビタミンD
- 腫瘍随伴性高カルシウム血症
参考文献
- 獣医学大辞典編集委員会編集 『明解獣医学辞典』 チクサン出版 1991年 ISBN 4-88500-610-4
- 日本獣医内科学アカデミー編 『獣医内科学(小動物編)』 文永堂出版 2005年 ISBN 4-8300-3200-6
- 水・電解質と酸塩基平衡 ISBN 978-4-524-22422-7
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Japanese Journal
- 「日本人の食事摂取基準(2005年版)」におけるカルシウム上限量策定とその根拠 (特集 栄養と骨粗鬆症)
- P-53 甲状腺・副甲状腺摘出患者に出現したミルクーアルカリ症候群の1例
Related Links
- 成分, 人間の乳, ホルスタイン牛乳, ジャージー牛乳, ヒツジの乳, 山羊の乳. タンパク質, 1.76, 3.32, 3.92, 3.83, 5.53. 脂質, 4.03, 3.40, 5.37, 3.98, 6.31. 乳糖, 6.25, 487, 4.93, 4.40, 4.58. 灰分, 0.25, 0.68, 0.71, 0.83, 0.91 ...
- このようなことが原因の疾患は、ミルクアルカリ症候群と呼ばれます。ビタミンDの過量 摂取も、消化管からのカルシウム吸収を大幅に増加させてしまうため、血液中の カルシウム濃度に影響を及ぼします。 高カルシウム血症は、しばしば癌(がん)患者に 生じます。
Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- metabolic alkalosis
- 関
- アルカローシス、酸塩基平衡異常
酸塩基平衡異常とその代償 SP.660
原因
- 低カリウム性代謝性アルカローシス:H+とCl-の喪失:嘔吐、利尿薬など
-
- 細胞内からH+が供給され、K+が細胞内に移動しカリウムが低下する。H+の減少は遠位尿細管におけるHCO3-の排泄を抑制し代謝性アシドーシスが完成する。
- 塩素欠乏は腎臓におけるHCO3-再吸収を刺激(ICU.489)
- アニオンギャップ(AG=[Na+] - [HCO3-] - [Cl-])を保つようにHCO3-が増加したと考えればよいのか。
原因による分類
- ICU.493
- 1. 胃酸の喪失 → H+, Cl-の喪失
- 2. 利尿薬 → 多くの利尿剤でCl-を喪失(see. 利尿薬)
- 3. 循環血液量不足
- 4. 高二酸化炭素症に対する腎性の代償:CO2↑ → 腎で代償的にHCO3-排泄↓ → (おそらく)HCO3-の代替としてCl-が排泄
- 1. ミネラルコルチコイド過剰:尿細管でNa+再吸収、K+排泄亢進。体内では代償的に細胞外へのK+放出、細胞内へのH+取り込みが起こる → 代謝性アルカローシス
- 2. カリウム欠乏
- YN.D-155
- 腎からのH+喪失、重炭酸再吸収の亢進:糖質コルチコイド・鉱質コルチコイド投与、アルドステロン症、クッシング症候群、腎血管性高血圧、バーター症候群、ギテルマン症候群
- 細胞内へのH+移動:
- 消化管からのH+喪失:嘔吐、胃管による消化液吸引、慢性下痢、先天性塩類漏出症
- NaCl喪失に伴う細胞外液の喪失
- その他
- 水・電解質と酸塩基平衡 改訂第2版 p.163
-
- 胃液への排出(嘔吐、胃液吸引)
- 鉱質コルチコイド過剰
- 利尿薬
- 多量のカルベニシリンなどのペニシリン誘導体等よ
- 高カルシウム血症
- 低カリウム血症
- 大量の輸液(大量のクエン酸摂取による)
- NaHCO3の投与
- ミルク・アルカリ症候群
- III. contraction alkalosis
- 出典不明
- 腎でのH+再吸収低下(硫酸イオン、高カルシウム血症、副甲状腺機能低下症、ペニシリン)
症例
- 16歳女性、神経過食症であり、自己誘発性嘔吐を制御できなかった。この女性で予想されるK, HCO3-の状態は?
国試
[★]
- 英
- syndrome, symptom-complex
- 同
- 症状群
- 関
- [[]]
- 成因や病理学的所見からではなく、複数の症候の組み合わせによって診断される診断名あるいは疾患。
内分泌
先天的代謝異常
高プロラクチン血症
- 分娩後の視床下部障害によるプロラクチン分泌抑制因子の分泌抑制のため、高プロラクチン血症を呈する。
- 分娩に関係なくプロラクチン分泌抑制因子の分泌抑制をきたし、高プロラクチン血症を呈する。
性腺機能低下
- 嗅覚の低下・脱出、低ゴナドトロピン性性腺機能低下症
- 肥満、網膜色素変性症、知能低下、低ゴナドトロピン性性器発育不全、多指症、低身長
性早熟
- 思春期早発症、多発性線維性骨異形成症、皮膚色素沈着
- 女性型の肥満、性器の発育障害の2主徴を示し、視床下部に器質的障害をもつ疾患群。
脳神経外科・神経内科
[★]
- 英
- group
- 関
- グループ、集団、分類、群れ、基、グループ化
[★]
- 英
- alkali、alkaline
- 関
- アルカリ性、アルカリ属
[★]
- 英
- symptom and sign
- 関
- 症状, 徴候 兆候
[★]
- 英
- milk
- 関
- 乳、乳汁