- 英
- chromaffin cell、pheochromocyte
- 関
- クロム親和細胞、クロマフィン細胞、セロトニン、enterochromaffin cells
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/07/23 17:51:39」(JST)
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クロム親和性細胞(クロムしんわせいさいぼう、英: Chromaffin Cells)は、内分泌細胞の一種であり、細胞内に分泌小胞であるクロム親和性顆粒(クロマフィン顆粒、英:Chromaffin Granule)を含み、副腎髄質に存在する。組織切片が重クロム酸カリウム(二クロム酸カリウム、K2Cr2O7)により褐色調に染色される。顆粒内にはカテコールアミンやエンケファリンなどの物質が貯蔵される。クロム親和性細胞は副腎髄質の他に膀胱や前立腺等の組織にも存在する。
一方、胃腸においても同様の染色像を示す細胞群が見られ、これらはそれぞれ腸クロム親和性細胞(英: Enterochromaffin Cells、EC細胞)及び腸クロム親和性細胞様細胞(英: Enterochromaffin-like Cells、ECL細胞)と呼ばれる。EC細胞は胃腸におけるオータコイドであるセロトニンの産生に関与している。またECL細胞は顆粒内にセロトニンは含有せずヒスタミンを貯蔵し、胃酸の分泌に関与している。
目次
- 1 機能
- 2 クロム親和性細胞腫
- 3 関連項目
- 4 出典
- 5 参考文献
機能
副腎髄質
副腎髄質のクロム親和性細胞は軸索を失い分泌細胞となった交感神経の節後神経細胞である。交感神経の節前線維の支配を受け、顆粒内に含有する神経伝達物質アドレナリン(エピネフリン)を放出する。副腎皮質によって産生されるグルココルチコイドによって神経細胞内におけるアドレナリンの生合成は抑制される。
胃
胃のECL細胞は胃粘膜表面積の1~3%を占める[1]。アセチルコリン及び胃幽門部上皮に存在するG細胞により分泌されたガストリンの刺激によりヒスタミンを分泌する。ヒスタミンは胃酸分泌において最も重要な因子であると考えられており[2]、ECL細胞の細胞質に存在するヒスチジン脱炭酸酵素(英:Histidine Decarboxylase、HDC)によって産生される。ヒスタミンの分泌小胞への蓄積は2型小胞モノアミン輸送体(英:Vesicular Monoamine Transporter Subtype 2、VMAT2)を介したH+-ヒスタミンの対向輸送により行われ、その駆動力となるのがV型ATPアーゼによって作られるH+濃度勾配である。ヒスタミンが壁細胞上の2型ヒスタミン受容体(H2受容体)に結合することにより、胃酸の分泌を引き起こされる。
腸
腸の細胞はセロトニンの産生源のひとつであるとされており、生体内のセロトニン総産生量のうち90%を占める。過敏性腸症候群の患者においてはセロトニンの産生等の機構に異常が見られることが明らかになっている。
クロム親和性細胞腫
クロム親和性細胞に悪性腫瘍が発生するとアドレナリン及びノルアドレナリンなどのカテコールアミン産生能を持つ褐色細胞腫と呼ばれるものになる。褐色細胞腫の形成によりカテコールアミン産生量が増大し、二次的に高血圧が引き起こされる。
関連項目
- 神経堤 発生の途中で現れる組織、これからクロム親和性細胞が分化する。
出典
- 田中 千賀子、加藤 隆一 編集 『NEW薬理学 第4版』 南江堂 2002年 ISBN 9784524220830
- 今堀 和友、山川 民夫 編集 『生化学辞典 第4版』 東京化学同人 2007年 ISBN 9784807906703
- 藤田 恒夫 著 『入門人体解剖学 改訂第4版』 南江堂 1999年 ISBN 9784524215577
参考文献
- ^ Prinz C, Zanner R, Gerhard M, Mahr S and Neumayer N (1999) "The mechanism of histamine secretion from gastric enterochromaffin-like cells." Am. J. Physiol. Cell. Physiol.,277,845-855. PMID 10905856
- ^ Hersey SJ, and Sachs G(1995)"Gastric acid secretion." Physiol. Rev.75,155-189. PMID 7831396
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Japanese Journal
- Neuroinflammation (神経炎症)-諸疾患病態への関与
- 柴田 亮行,猪瀬 悠理,尾身 葉子,小林 智範,遠井 素乃,川口 素子,小林 槇雄
- 東京女子医科大学雑誌 81(E1), E14-E24, 2011-03-31
- … ペナンブラにおけるニューロンとグリアの炎症活動を如何に制御できるかが、梗塞巣の縮小を目的とする治療の鍵となるであろう.炎症性腸疾患では、病巣に巻き込まれた末梢神経終末、腸管クロム親和性細胞および免疫担当細胞の間で交わされる情報交換が二次的な炎症を惹き起こし、攣縮性腹痛、反射性嘔吐下痢および裏急後重のような臨床症状をもたらす.従って、neuroinflammationへの理解を深めることは、 …
- NAID 110008439095
- 馬クロモグラニンA遺伝子のクローニングおよび内分泌腺と外分泌腺における発現
- 佐藤 文夫,長谷川 晃久,片山 芳也,岩永 敏彦,矢内原 昇,菅野 富夫,石田 信繁
- The journal of veterinary medical science 62(9), 953-959, S・v, 2000-09-25
- … クロモグラニンA(CGA)は副腎髄質クロム親和性細胞, 神経およびパラニューロン組織の細胞においてカテコラミン類やその他の分泌物質と共に存在し, 共に放出されることが知られている酸性タンパク質の1つである.最近, CGAはストレスマーカーの1つとして臨床応用が期待されているが, その生理活性機能に関しては, まだよく解っていない.今回我々は, 馬CGA遺伝子のcDNA塩基配列をRT-PCRおよびRACE法を用いて決定した.全長1,828 …
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★リンクテーブル★
[★]
- 英
- dopamine DA DOA 3,4-dihydroxyphenethylamine
- 同
- ドーパミン
- 化
- 塩酸ドパミン, dopamine hydrochloride, ドパミン塩酸塩
- 商
- イノバン、イブタント、カコージンD、カコージン、カタボン、ガバンス、クリトパン、ツルドパミ、ドパラルミン、ドミニン、トロンジン、プレドパ、マートバーン、ヤエリスタ
- 関
- ドパミン受容体、カテコラミン。強心剤
概念
生合成
視床下部-下垂体系
- 視床下部弓状核や脳室周辺の隆起漏斗系ドパミンニューロンで産生される。
- 下垂体のD2受容体を介してホルモン分泌の調節を受けている。 → e.g. プロラクチン放出抑制ホルモン(PIF)
- 低用量での血管拡張はこの受容体を介して起こる (GOO.249)
- 中枢神経系に存在
神経伝達物質の薬理 (GOO.324)
薬理学
- D1受容体に作用して血管拡張→腎血流量↑→GFP↑→Na排出↑→利尿
- β1受容体に作用→心拍出量↑・心収縮力↑(頻脈はない)・収縮期圧↑・拡張期圧不変
- アドレナリン低用量投与と同じ?
- α1受容体に作用→血管平滑筋収縮(→収縮期圧↑、拡張期圧↑???)
- アドレナリン高用量投与と同じ?
ran]]
(PT.218)
- 中脳に細胞体を持つものが多く、黒質から線条体に至る黒質線条体系と黒質や腹側被蓋野から報酬系の神経核、辺縁系、前頭葉に至る中脳皮質系がある。視床下部やその周辺にもドーパミン作動性線維の細胞体とその終末があり、隆起漏斗系、隆起下垂体系、不確帯視床下部系、脳室周囲系を形成する。黒質線条体系の変性はパーキンソン病をもたらす。ドーパミン誘導体には幻覚剤となるものがある。ドーパミンの分泌増大や脳のD2受容体の増加は精神分裂病(統合失調症)の発病に関与している可能性がある。モルヒネはドーパミンの分泌を促進する。コカインは輸送体によるドーパミンの取り込みを阻害し作用の持続時間を延長する。一部の覚醒剤中毒はドーパミン輸送体の抑制による。
ホルモンの調節
- プロラクチンは視床下部でドパミンの産生を促進 ← プロラクチン抑制因子として作用
- ドパミンは視床下部でGnRHの分泌を抑制 → 卵巣機能の抑制
- ドパミンは下垂体前葉?でD受容体に作用してプロラクチンを抑制 ← 抗精神病薬(D2受容体をブロックする)を使うと高プロラクチン血症となる。
循環不全治療薬として
- イノバン
- 下記のような急性循環不全(心原性ショック、出血性ショック)
- (1) 無尿、乏尿や利尿剤で利尿が得られない状態 ← 低濃度で用いれば、腎血流を増加させ尿量の増加が期待できる → ドパミン#薬理学
- (2) 脈拍数の増加した状態 ← 高濃度でなければ、頻脈を起こさず心拍出量を増やす。 → ドパミン#薬理学
- (3) 他の強心・昇圧剤により副作用が認められたり、好ましい反応が得られない状態
[★]
- 英
- adrenarine
- 同
- (国試)エピネフリン epinephrine、エピレナミン epirenamine、スプラレニン suprarenin
- 化
- 酒石酸水素エピネフリン
- 商
- Adrenalin, EpiPen、ボスミン、エピペン
- 関
- カテコールアミン、ノルアドレナリン、アドレナリン受容体
SPC. 61,68,86,142
GOO. 244
作用機序
薬理作用
血管作用
- 小動脈、前毛細血管括約筋?収縮
- アドレナリン反転 epinephreine reversal
- アドレナリン投与下にα受容体阻害薬を投与すると末梢血管抵抗が低下し血圧が低下する現象。α受容体を介した末梢血管収縮が抑制され、β2受容体を介した末梢血管平滑筋が弛緩することによる。
動態
適応
効能又は効果
(エピネフリン注0.1%シリンジ「テルモ」添付文書)
- 気管支喘息,百日咳
- 各種疾患もしくは状態に伴う急性低血圧またはショック時の補助治療
- 心停止の補助治療
用量
- ACLS:静注1mg ← プレフィルのシリンジは大抵1mg/1mlで調製されている。
- PALS:静注・骨髄 0.01mg/kg 気管内投与 0.1mg/kg
- アナフィラキシーショック:皮下注~筋注で0.3mg
注意
- 本剤は心筋酸素需要を増加させるため、心原性ショックや出血性・外傷性ショック時の使用は避けること(エピネフリン注0.1%シリンジ「テルモ」添付文書)
禁忌
副作用
[★]
- 英
- adrenal medulla (Z)
- 関
- 副腎、副腎皮質
- クロム親和性細胞がカテコールアミンを合成
- クロム親和性細胞の顆粒中にはAD:NA=4:1で貯蔵されている(SPC.140)
- 交感神経節が内分泌器官に分化した組織 (SP.899)
- 胸髄(T5-T9)から出る交感神経節前ニューロン(大内臓神経の線維)の支配を受ける (SP.899)
- 英
- adrenal medulla
[★]
- 英
- chromaffin cell
- 関
- クロム親和細胞、クロム親和性細胞
[★]
- 関
- chromaffin cell
[★]
- 英
- enterochromaffin cell
- 同
- 消化管内分泌細胞、腸クローム親和性細胞、腸クロム親和細胞
- 関
- クローム親和性細胞、セロトニン
- 生体内の全セロトニン量の90%は消化管粘膜の腸クロム親和性細胞で生合成されている。
- 消化管の生理機能と関連
[★]
- 英
- enterochromaffin-like cell, ECL cell,enterochromaffin-like cells, ECL cells
- 同
- ECL細胞
- 胃の壁細胞に近接して存在し、ヒスタミンを分泌する。これにより壁細胞からの胃酸分泌を促す。
[★]
- 英
- enterochromaffin-like、enterochromaffinlike、ECL
[★]
- 英
- affinity
- 関
- アフィニティー、結合性、親和力、アフィニティ、(ウイルスの)向性
[★]
- 英
- germ cell
- 関
- 生殖系列、生殖細胞、配偶子、胚細胞、生殖系列細胞
[★]
- 英
- chromium、chrome、Cr
- 関
- クロム中毒
[★]
- 英
- cell
- ラ
- cellula
- 関