- 関
- ヘンドラウイルス
- パラミクソウイルス科ニパウイルス属に属するヘンドラウイルスによる感染症である。
- 1994年9月オーストラリアのクイーンズランド州で馬が急性重症呼吸器疾患で死亡し、馬と接触した人も死亡した。
- この死亡した馬の肺から分離されたウイルスがヘンドラウイルスである。
- 自然宿主はプテロプス種フルーツコウモリと言われている。
- 主に馬に感染し、犬にも感染することが知られており、人へはおもに馬からの感染による。
- 人人感染は報告されていない。
- 発熱や筋肉痛などのインフルエンザ様症状から、重篤な肺炎、さらには脳炎による意識障害、痙攣などがありうる。
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2020/08/23 04:26:03」(JST)
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ヘンドラウイルス感染症とはウイルスによるヒト、ウマの新興感染症。日本では家畜伝染病予防法における届出伝染病に馬モルビリウイルス肺炎の名称で指定されている。人獣共通感染症の一つ。日本での発生はこれまで報告されていない。
原因
パラミクソウイルス科ヘニパウイルス属のヘンドラウイルス(Hendra virus; HeV)の感染を原因とする。ヘニパウイルス属にはヘンドラウイルスの他にニパウイルス、シーダウイルスが属している。ヘンドラウイルスはBSL4の病原体である。
疫学
1994年オーストラリアブリスベン郊外の競走馬の厩舎で初めて発生。現在までヒトの発症数は3例6人であり、厩舎が存在した場所(ヘンドラ村)の名前がそのまま症名となった。現在までに、オーストラリア以外での発生は確認されていない。自然宿主はPreropus属のオオコウモリ(野生個体の羊水からのウイルス分離が報告されている)。ヒトには感染馬との直接接触により感染する。ウマへの感染経路は不明。発症時期がオオコウモリの繁殖期であり、出産時の体液の飛沫が牧草に掛かり感染したのではないかという説があるが、感染者数が少ないため明確な根拠ではない。そもそもオオコウモリは、森林地帯に住み果実を主食とする動物であるため、草地で暮らすウマと濃厚な接触をする機会は少なく、ヒトへ感染するケースはさらに少ないのである。
症状
- ヒト
- インフルエンザ様呼吸器症状、出血性肺炎および髄膜炎。髄膜炎に関しては、回復した患者が半年後に再発し、急性進行性脳炎で死亡した例が1例あるが、因果関係は不明。
- ウマ
- 出血性肺炎、急性の呼吸困難と突発性の神経症状を示し、致死率は約75%と高い。
診断
ベロ細胞を用いてのウイルス分離、PCR法、IFAによる抗原検出、ELISA法。感染培養細胞には特徴的な合胞体が形成される。
治療
特異的な治療法はない。
予防
オーストラリアでは馬用ワクチンの接種が推奨されている。
出典
- ヘンドラウイルス感染症 厚生労働省
- ヘンドラウイルス感染症 国立研究開発法人農研機構
関連項目
参考文献
- 清水悠紀臣ほか 『動物の感染症』 近代出版 2002年 189頁 ISBN 4874020747
外部リンク
- 前田健, 水谷哲也, 田口文広、「コウモリ由来のウイルスとその感染症」 『獣医疫学雑誌』2011年 15巻 2号 p.88-93, doi:10.2743/jve.15.88
家畜伝染病 |
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言葉 |
家畜/家禽 - 牧畜/酪農/養豚/養鶏/養蜂 - 畜産/畜産業 病原体 - 感染 - 感染経路 - 伝染病/感染症 - 海外悪性伝染病 - 人獣共通感染症 - 公衆衛生 - アウトブレイク/パンデミック - ワクチン - 屠殺 - 殺処分 - 検疫
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組織・施設等 |
国際獣疫事務局 (OIE) - 国際連合食糧農業機関 (FAO) - 国立研究開発法人/農研機構(農業・食品産業技術総合研究機構) - 検疫所/家畜防疫官 - 家畜保健衛生所/家畜防疫員/獣医師 - 日本家畜商協会/家畜商 - 屠畜場/化製場 - 保健所 - 農業共済組合/農業災害補償制度
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協定・法律等 |
SPS協定(世界貿易機関) - OIEコード(国際獣疫事務局) - 家畜伝染病予防法(農水省) - 狂犬病予防法(厚労省) - 口蹄疫対策特別措置法 - Category:畜産関連法規
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国際獣疫事務局 リスト疾病 |
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複数種 |
炭疽症 - オーエスキー病 - ブルータング - ブルセラ症 - クリミア・コンゴ出血熱 - エキノコックス症 - 口蹄疫 - 心水病 - 日本脳炎 - レプトスピラ症 - 新世界ラセンウジバエ - 旧世界ラセンウジバエ - ヨーネ病 - Q熱 - 狂犬病 - リフトバレー熱 - 牛疫 - 旋毛虫症 - 野兎病 - 水胞性口炎 - 西ナイル熱
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ウシ |
アナプラズマ病 - バベシア症 - 牛疫 - 牛海綿状脳症 - 結核 - 牛ウイルス性下痢 - 牛肺疫 - 牛白血病 - 出血性敗血症 - 牛伝染性鼻気管炎 - 皮膚病 - 悪性カタル熱 - タイレリア症 - トリコモナス病 - ナガナ病
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ヒツジ、ヤギ |
山羊関節炎・脳脊髄炎 - 伝染性無乳症 - 山羊伝染性胸膜肺炎 - 流行性羊流産 - 羊慢性進行性肺炎 - ナイロビ羊病 - 緬羊ブルセラオビス - 小反芻獣疫 - サルモネラ症 - スクレイピー - 羊痘/山羊痘
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ウマ |
アフリカ馬疫 - 馬伝染性子宮炎 - 媾疫 - 東部馬脳炎 - 西部馬脳炎 - 馬伝染性貧血 - 馬インフルエンザ - 馬ピロプラズマ病 - 馬鼻肺炎 - 馬ウイルス性動脈炎 - 鼻疽 - スーラ病 - ベネズエラ馬脳脊髄炎
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ブタ |
アフリカ豚熱 - 豚熱 - ニパウイルス感染症 - エキノコックス症 - 豚繁殖・呼吸障害症候群 - 豚水胞病 - 伝染性胃腸炎
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トリ |
クラミジア - 鶏伝染性気管支炎 - 鶏伝染性喉頭気管炎 - 鶏マイコプラズマ病 - あひる肝炎 - 家禽コレラ - 家禽チフス - 鳥インフルエンザ - 伝染性ファブリキウス囊病 - マレック病 - ニューカッスル病 - ひな白痢 - 七面鳥鼻気管炎
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ウサギ | |
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ハチ |
アカリンダニ症 - アメリカ腐蛆病 - ヨーロッパ腐蛆病 - スモール・ハイブ・ビートル症 - ミツバチトゲダニ症 - バロア病
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魚類 |
伝染性造血器壊死症 - 伝染性造血器壊死症 - コイ春ウイルス病 - ウイルス性出血性敗血症 - 伝染性膵臓壊死症 - 伝染性サケ貧血 - 流行性潰瘍症候群 - 細菌性腎臓病 - ギロダクチルス症 - マダイイリドウイルス病
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軟体動物 |
Bonamia ostreae感染症 - Bonamia exitiosus感染症 - Marteilia refringens感染症 - Mikrocytos roughleyi感染症 - Perkinsus marinus感染症 - Perkinsus olseni感染症 - Xenohaliotis californiensis感染症
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甲殻類 |
タウラ症候群 - 白点病 - イエローヘッド病 - バキュロウイルス・ペナエイによる感染症 - モノドン型バキュロウイルスによる感染症 - 伝染性皮下造血器壊死症 - ザリガニ病
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その他 | |
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家畜伝染病予防法上の監視伝染病 |
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法定伝染病 |
牛疫 - 牛肺疫 - 口蹄疫 - 日本脳炎 - 狂犬病 - 水胞性口炎 - リフトバレー熱 - 炭疽症 - 出血性敗血症 - ブルセラ症 - 結核病 - ヨーネ病 - ピロプラズマ症 - アナプラズマ病 - 牛海綿状脳症 - 鼻疽 - 馬伝染性貧血 - アフリカ馬疫 - 豚コレラ - アフリカ豚コレラ - 豚水胞病 - 家きんコレラ - 高病原性鳥インフルエンザ - ニューカッスル病 - 家きんサルモネラ感染症 - 腐蛆病
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届出伝染病 |
ブルータング - アカバネ病 - 悪性カタル熱 - チュウザン病 - ランピースキン病 - 牛ウイルス性下痢・粘膜病 - 牛伝染性鼻気管炎 - 牛白血病 - アイノウイルス感染症 - イバラキ病 - 牛丘疹性口炎 - 牛流行熱 - 類鼻疽 - 破傷風 - 気腫疽 - レプトスピラ症 - サルモネラ症 - 牛カンピロバクター症 - トリパノソーマ病 - トリコモナス病 - ネオスポラ症 - 牛バエ幼虫症 - ニパウイルス感染症 - 馬インフルエンザ - 馬ウイルス性動脈炎 - 馬鼻肺炎 - 馬モルビリウイルス肺炎 - 馬痘 - 野兎病 - 馬伝染性子宮炎 - 馬パラチフス - 仮性皮疽 - 小反芻獣疫 - 伝染性膿疱性皮膚炎 - ナイロビ羊病 - 羊痘 - マエディ・ビスナ - 伝染性無乳症 - 流行性羊流産 - トキソプラズマ病 - 疥癬 - 山羊痘 - 山羊関節炎・脳脊髄炎 - 山羊伝染性胸膜肺炎 - オーエスキー病 - 伝染性胃腸炎 - 豚エンテロウイルス性脳脊髄炎 - 豚繁殖・呼吸障害症候群 - 豚水疱疹 - 豚流行性下痢 - 萎縮性鼻炎 - 豚丹毒 - 豚赤痢 - 鳥インフルエンザ - 鶏痘 - マレック病 - 伝染性気管支炎 - 伝染性喉頭気管炎 - 伝染性ファブリキウス嚢病 - 鶏白血病 - 鶏結核病 - 鶏マイコプラズマ病 - ロイコチトゾーン病 - あひる肝炎 - あひるウイルス性腸炎 - 兎ウイルス性出血病 - 兎粘液腫 - バロア病 - チョーク病 - アカリンダニ症 - ノゼマ病
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UpToDate Contents
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- 1. ニパウイルスおよびヘンドラウイルス性脳炎nipah and hendra viral encephalitis [show details]
…infection, most likely due to Nipah or a Nipah-like virus, occurred in the Philippines in 2014 . Hendra virus infections affecting horses and humans have occurred in Australia since 1994 . Nipah virus was initially …
- 2. オーストラリア、ニュージーランド、南西太平洋(オセアニア)への旅行者における健康被害の可能性potential health hazards in travelers to australia new zealand and the southwestern pacific oceania [show details]
…Eosinophilic meningitis due to A. cantonensis occurs along the Queensland coast . Several cases of Hendra virus infection have been described ; pneumonic and encephalitic forms are associated with high mortality…
- 3. 成人におけるウイルス性脳炎viral encephalitis in adults [show details]
…present in Bangladesh, may be associated with exposure to pigs or bats . Human infection with Hendra virus, which is seen in Australia, results from direct contact with infected horses. Avian influenza…
- 4. 成人におけるパラインフルエンザウイルスparainfluenza viruses in adults [show details]
…includes mumps, measles, respiratory syncytial viruses, human metapneumovirus, and Nipah and Hendra viruses . Parainfluenza virions are pleomorphic, range in diameter from 150 to 200 nanometers, and contain…
Japanese Journal
- 最新の家畜疾病情報(24)馬のヘンドラウイルス感染症(馬モルビリウイルス肺炎) (日本獣医師会雑誌(日獣会誌))
- 山田 学
- 日本獣医師会雑誌 = Journal of the Japan Veterinary Medical Association 70(1), 18-21, 2017-01
- NAID 40021049503
- ニパウイルス感染症・ヘンドラウイルス感染症 (特集 新興・再興感染症 : グローバル化に伴う注目すべき感染症) -- (新興・再興感染症の予防・診断・治療)
- 米田 美佐子
- 日本臨床 = Japanese journal of clinical medicine 74(12), 1973-1978, 2016-12
- NAID 40021011883
- ニパウイルスとヘンドラウイルス感染症 (第1土曜特集 感染症最前線とグローバル・ヘルス) -- (いま注目のウイルス感染症)
Related Links
- ヘンドラウイルス感染症 感染症法に基づく医師及び獣医師の届出について 33 ヘンドラウイルス感染症 (1) 定義 パラミクソウイルス科ニパウイルス属に属するヘンドラウイルスによる感染症である。 (2) 臨床的特徴 自然宿主はオオ ...
- ヘンドラウイルス感染症 輸入馬検疫、侵入防ぐ 牛 鹿 馬 めん羊・山羊 豚 鶏 その他・家きん 蜜蜂 その他・家畜 届出 伝染病 馬 特徴 ヘンドラウイルス感染症は、重い肺炎や神経症状を示す馬の致死性疾患で、馬モルビリウイルス肺炎 ...
- ヘンドラウイルス感染症 ベネズエラウマ脳炎 ポリオ – Acute poliomyelitis リッサウイルス感染症 – Lyssavirus infection レプトスピラ症 ロッキー山紅斑熱 – Rocky mountain spotted fever 回帰熱 – Relapsing fever 日本紅斑熱 日本脳炎 ...
★リンクテーブル★
[★]
- 同
- 4類感染症
- 関
- 感染症法
- 動物又はその死体、飲食物、衣類、寝具その他の物件を介して人に感染し、国民の健康に影響を与えるおそれのある感染症(現在30疾患)
- 動物の輸入禁止、輸入検疫
- 一類から四類感染症
- 対象感染症に該当する患者等を診断した医師は、直ちに届け出ることになっています(現在44疾患)。
- E型肝炎,ウエストナイル熱(ウエストナイル脳炎を含む),A型肝炎,エキノコックス症,黄熱,オムスク出血熱,オウム病,回帰熱,キャサヌル森林病,Q熱,狂犬病,コクシジオイデス症,サル痘,腎症候性出血熱,西部ウマ脳炎,ダニ媒介脳炎,炭疽,つつが虫病,デング熱,東部ウマ脳炎,鳥インフルエンザ,ニパウイルス感染症,日本紅斑熱,日本脳炎,ハンタウイルス肺症候群,Bウイルス病,鼻疽,ブルセラ症,ベネズエラウマ脳炎,ヘンドラウイルス感染症,発しんチフス,ボツリヌス症,マラリア,野兎病,ライム病,リッサウイルス感染症,リストバレー熱,類鼻疽,レジオネラ症,レプトスピラ症,ロッキー山紅斑熱
[★]
- 英
- virus
- 同
- ウイルス粒子 virus particle、ビリオン virion
- 関
- 微生物学、抗ウイルス薬、国試に出がちなウイルス
感染経路による分類 SMB.374
学名
目(order, -virales), 科(family, -viridae), 亜科(subfamily, -virinae), 属(genus, -virus), 種(species)
増殖過程
- 吸着 absorption
- 侵入 penetration
- 脱殻 uncoating
- ゲノムの複製 replication、遺伝子発現 transcription
- ウイルス粒子の組み立て assembly
- 放出 release
感染の分類
持続時間
ゲノム
- 一本鎖RNA(-)をゲノムとするウイルスはウイルス粒子内にRNA依存性RNA合成酵素を有する。
[★]
- 英
- infectious disease
- 関
- 感染、定着、感染症法
- 病原体から引き起こされる疾患
- 感染が成立して、宿主に病気が発症した状態
- →宿主が病原体を追い出そうとしている状態
地域別の感染症
参考になるリンク
- http://www.forth.go.jp/tourist/worldinfo/index.html
- Centers for Disease Control and Prevention
- http://www.cdc.gov/
[★]
- 英
- infection
- 関
- 定着、感染症、不顕性感染、顕性感染。サブクリニカル感染
- 細菌が宿主の体表面、体内や組織内に付着して増殖し、定着している状態。
- 感染の成立には微生物(定着能、増殖能、細胞内進入能、毒素産生能などを総合した病原性)と宿主(排除能、殺菌能などの生体防御機構)の力関係が崩れたときに生じる
[★]
- 英
- hendra virus
- 英
- Hendravirus?
- 関
- ニパーウイルス、ヘンドラウイルス感染症
[★]
- 英
- sis, pathy