ヒトパピローマウイルスワクチン
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「ヒトパピローマウイルスワクチン」も参照
ガーダシル(Gardasil)は、メルク・アンド・カンパニー(Merck & Co.)が製造し、国内ではその日本法人であるMSD株式会社 (MSD K.K.) が販売を手がけている、ヒトパピローマウイルス(HPV)予防ワクチンである。子宮頸癌の主な原因であるHPV16型、HPV18型の感染および、尖圭コンジローマの90%の原因であるHPV6型、HPV11型の持続感染を予防する。
HPVワクチンには他にサーバリックスがある。ガーダシルはGardisilまたはSilgardの製品名で世界120カ国で使用されており、世界シェアは約80%である[1]。日本では、これまでの接種数全体の約20%[2]である。
ガーダシル・サーバリックスともに、接種後の複合性局所疼痛症候群(CRPS)を疑われる痛みの症状が問題視され、2013年6月14日、厚生労働省は両HPVワクチンの、積極的な接種勧奨を一時差し控える[3]よう、自治体向けに勧告した。 希望者には従来どおりの接種が可能で、定期接種の対象者は無料(公費負担)である。
目次
- 1 成分
- 2 効果
- 3 使用法
- 4 副反応
- 5 脚注
成分
0.5ml中
- ヒトパピローマウイルス 6型L1蛋白質ウイルス様粒子:20μg
- ヒトパピローマウイルス11型L1蛋白質ウイルス様粒子:40μg
- ヒトパピローマウイルス16型L1蛋白質ウイルス様粒子:40μg
- ヒトパピローマウイルス18型L1蛋白質ウイルス様粒子:20μg
L1蛋白質ウイルス様粒子(VLP:Virus-Like Particle(英語版))はDNAを持っていないためウイルス感染性はない。 これらVLPをアジュバントであるアルミニウムヒドロキシホスフェイト硫酸塩に吸着させている。初期製品では経時的な抗原性の低下が認められたことから、安定性向上のため。L-塩酸ヒスチジンや、ポリソルベート80、塩化ナトリウムが添加された[4]。
効果
上記のVLPがウイルスに先駆けて体内に入ることにより、ヒトパピローマウイルス(HPV)6型、11型、16型および18型の感染を予防し、6型、11型に起因する尖圭コンジローマおよび外陰上皮内腫瘍1(VIN1)、外陰上皮内腫瘍2(VIN2)、外陰上皮内腫瘍3(VIN3)、膣上皮内腫瘍1(VaIN1)、膣上皮内腫瘍2(VaIN2)、膣上皮内腫瘍3(VaIN3)、16型、18型に起因する子宮頸癌(扁平上皮細胞癌、腺癌)およびその前駆病変(子宮頚部上皮内腫瘍1(CIN1)、子宮頚部上皮内腫瘍2(CIN2)、子宮頚部上皮内腫瘍3(CIN3)、子宮頚部上皮内腺癌(AIS))を予防する[4]。
使用法
9歳以上の女性に、1回0.5mLを合計3回、筋肉内 (上腕三角筋または大腿四頭筋) に注射する。2回目は初回接種の2カ月後、3回目は6カ月後に同様の用法で接種する。 日本では男性に適応がない。 定期接種の期間内では、接種料金は公費負担(無料)で、国の予防接種健康被害救済制度の対象となる。標準開始年齢は中学1年生の女子とされている。小学6年生から高校1年生の間に3回の接種を済ませる。
副反応
厚生労働省の副反応報告書集計(2013年3月31日まで)によると、ワクチンと無関係あるいは因果関係が不明な有害事象を含めて、接種168万8761回に対し、263(接種100万回あたり155.7)、うち入院以上の重篤なものは56(33.2)[2]とされている。 ほぼ同時期の米国の統計では、ワクチン接種数約2300万で、接種10万回あたりの副反応は53.9、重篤なものは3.3[5]であった。 接種100万回あたりの副反応(有害事象を含む)出現率はガーダシルがサーバリックスよりも低い傾向がある[6]。
脚注
- ^ 化学工業日報 2012年03月09日
- ^ a b 平成25年度第2回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会資料
- ^ 子宮頸がん予防ワクチン接種の「積極的な接種勧奨の差し控え」についてのQ&A 厚生労働省
- ^ a b ガーダシル審査結果報告書 (PDF) 厚生労働省医薬食品局審査管理課
- ^ 平成25年度第1回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会資料「9-3」子宮頸がん予防ワクチンのリスクについて (PDF)
- ^ 平成25年度第2回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会資料「2-5」 各ワクチンの副反応報告件数 (PDF)
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
ガーダシル水性懸濁筋注シリンジ
組成
製法の概要
- 本剤は、高度に精製した4価の組換えヒトパピローマウイルス(HPV)6、11、16及び18型L1たん白質ウイルス様粒子(VLP)からなる無菌の懸濁液である。L1たん白質は遺伝子組換え技術から得られた酵母(Saccharomyces cerevisiae CANADE 3C-5、菌株1895)を培養して製造され、自己集合によりVLPを構築する。各型のVLPは精製後、アルミニウムを含有するアジュバント(アルミニウムヒドロキシホスフェイト硫酸塩)に吸着させ、緩衝液と混合、製剤化して本剤とする。また本剤は製造工程で、ウシの乳由来成分(D-ガラクトース及びカザミノ酸)を使用している。
組成
- 本剤は、0.5mL中に下記の成分・分量を含有する。
有効成分
- ヒトパピローマウイルス6型L1たん白質ウイルス様粒子 20μg
ヒトパピローマウイルス11型L1たん白質ウイルス様粒子 40μg
ヒトパピローマウイルス16型L1たん白質ウイルス様粒子 40μg
ヒトパピローマウイルス18型L1たん白質ウイルス様粒子 20μg
添加物
- アルミニウムヒドロキシホスフェイト硫酸塩(アルミニウムとして) 225μg
塩化ナトリウム(安定剤) 9.56mg
L-ヒスチジン塩酸塩水和物(緩衝剤) 1.05mg
ポリソルベート80(安定剤) 50μg
ホウ砂(緩衝剤) 35μg
禁忌
(予防接種を受けることが適当でない者)
- 被接種者が次のいずれかに該当すると認められる場合には、接種を行ってはならない。
- 明らかな発熱を呈している者
- 重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな者
- 本剤の成分に対して過敏症を呈したことがある者
- 上記に掲げる者のほか、予防接種を行うことが不適当な状態にある者
効能または効果
ヒトパピローマウイルス6、11、16及び18型の感染に起因する以下の疾患の予防
- ・子宮頸癌(扁平上皮細胞癌及び腺癌)及びその前駆病変(子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)1、2及び3並びに上皮内腺癌(AIS))
- ・外陰上皮内腫瘍(VIN)1、2及び3並びに腟上皮内腫瘍(VaIN)1、2及び3
- ・尖圭コンジローマ
- HPV6、11、16及び18型以外のHPV感染に起因する子宮頸癌又はその前駆病変等の予防効果は確認されていない。
- 接種時に感染が成立しているHPVの排除及び既に生じているHPV関連の病変の進行予防効果は期待できない。
- 本剤の接種は定期的な子宮頸癌検診の代わりとなるものではない。本剤接種に加え、子宮頸癌検診の受診やHPVへの曝露、性感染症に対し注意することが重要である。
- 本剤の予防効果の持続期間は確立していない。
- 9歳以上の女性に、1回0.5mLを合計3回、筋肉内に注射する。通常、2回目は初回接種の2ヵ月後、3回目は6ヵ月後に同様の用法で接種する。
接種間隔
- 1年以内に3回の接種を終了することが望ましい。なお、本剤の2回目及び3回目の接種が初回接種の2ヵ月後及び6ヵ月後にできない場合、2回目接種は初回接種から少なくとも1ヵ月以上、3回目接種は2回目接種から少なくとも3ヵ月以上間隔を置いて実施すること。
他のワクチン製剤との接種間隔
- 生ワクチンの接種を受けた者は、通常、27日以上、また他の不活化ワクチンの接種を受けた者は、通常、6日以上間隔を置いて本剤を接種すること。ただし、医師が必要と認めた場合には、同時に接種することができる(なお、本剤を他のワクチンと混合して接種してはならない)。
慎重投与
(接種の判断を行うに際し、注意を要する者)
- 被接種者が次のいずれかに該当すると認められる場合は、健康状態及び体質を勘案し、診察及び接種適否の判定を慎重に行い、予防接種の必要性、副反応及び有用性について十分な説明を行い、同意を確実に得た上で、注意して接種すること。
- 血小板減少症や凝固障害を有する者〔本剤接種後に出血があらわれるおそれがある。〕
- 心臓血管系疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、血液疾患、発育障害等の基礎疾患を有する者
- 予防接種で接種後2日以内に発熱のみられた者及び全身性発疹等のアレルギーを疑う症状を呈したことがある者
- 過去に痙攣の既往のある者
- 過去に免疫不全の診断がなされている者及び近親者に先天性免疫不全症の者がいる者〔免疫抑制療法、遺伝的欠損、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染あるいは他の要因のいずれかによる免疫応答障害を有する被接種者は、能動免疫に対する抗体産生反応が低下することがある(「相互作用」の項参照)。また、HIV感染患者に対する本剤の安全性、免疫原性及び有効性は十分に評価されていない。〕
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人〔「妊婦、産婦、授乳婦等への接種」の項参照〕
重大な副作用
- 次のような副反応があらわれることがあるので、接種後は観察を十分に行い、異常が認められた場合は、適切な処置を行うこと。
- 過敏症反応(アナフィラキシー反応(頻度不明)、アナフィラキシー様反応(頻度不明)、気管支痙攣(頻度不明)、蕁麻疹(頻度不明)等)
- ギラン・バレー症候群(頻度不明)
- 血小板減少性紫斑病(頻度不明)
- 急性散在性脳脊髄炎(頻度不明)
薬効薬理
- 本剤はヒトパピローマウイルスのL1たん白質からなるウイルス様粒子(VLP)を含有する。このVLPは野生型ウイルス粒子に類似したたん白質であるが、ウイルス由来のDNAを含まないため、細胞への感染能及び増殖能はない。このたん白質はHPVに関連した疾病の原因にはならない。HPVはヒトにのみ感染するが、ヒト以外の動物のパピローマウイルスを用いた試験により、VLPワクチンは液性免疫を惹起することにより、その効果を発揮すると考えられる。
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- polysorbate 80
- ラ
- polysorbas 80
- 商
- M.V.I.-12、アドステロール-I131、アトルバスタチン、イノマール、イムネース、イモバックスポリオ、イルガス、インジウム(111In)オキシン、インデラニック、インフルエンザHAワクチン、ウビロン、ウルサミック、エイムゲン 、エキセメスタン、エクセラーゼ配合、エレンタールP乳幼児用配合、エレンタール配合、エンセバック、ガーダシル、キューカル、キョーリンAP2配合、クラリスロマイシン、グラン、ケフレックス、ケルナック、ゴクミシン、コバテンシン、シンレスタール、スピロノラクトン、セファクロル、ダイメジン・マルチ、タムスロシン塩酸塩、タンチパン配合、ネオM.V.I.-9、ネオラミン・マルチV、ビタジェクト、フッコラート、フルカリック1号、ベザリップ、ヘパンED配合、マインベース、ヤンヤン温パップ 、ヤンヤン冷パップ 、ライドラース、ランソプラゾール、レバミピド、ロタテック、塩酸タムスロシン
- 関
- ポリソルベート
[★]
- 英
- human papillomavirus vaccine
- 同
- HPVワクチン
- 商
- ガーダシル、サーバリックス
- 関
- パピローマウイルスワクチン、子宮頚癌、尖圭コンジローム、ヒトパピローマウイルス
概念
- ヒトパピローマウイルス(HPV) 6/11/16/18型に対する免疫を付与するワクチン。
使用方法
- 添付文書(ガーダシル水性懸濁筋注)より引用
9歳以上の女性に、1回0.5mLを合計3回、筋肉内に注射する。通常、2回目は初回接種の2ヵ月後、3回目は6ヵ月後に同様の用法で接種する
参考
- 1. ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンに関するファクトシート(平成22年7月7日版)
- http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000bx23-att/2r9852000000byb3.pdf
[★]
商品
[★]
- 英
- borax
- 同
- ホウ酸ナトリウム sodium borate
- 商
- ガーダシル、ホエスミン
- 関
- ホウ酸