- 英
- culture-bound syndrome
- 関
- 社会精神医学
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2020/04/01 20:21:55」(JST)
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文化依存症候群(ぶんかいそんしょうこうぐん、文化結合症候群とも言う Culture-bound syndrome)は、ある地域、民族、文化環境において発生しやすい精神障害の事を指す。例えば、対人恐怖症や腎虚などのさほど特別だと一般に考えられていない障害も、この文化結合症候群である。
歴史
「文化結合症候群」の言葉を最初に用いたのは、香港の精神科医・Pow Meng Yapである[1]。1967年のことであった。culture-bound reactive syndrome、culture-bound syndrome (CBS) という言葉を用いている。
しかし、以前のエミール・クレペリン, Yap, Kievを経て今日に至る概念である。西方世界 (Western World) からみた、クレペリンらの珍奇な精神障害のラタの発見から始まった。
19世紀末、代表的な文化依存症候群として、ラタ(latah)、アモック(amok)といった特異な精神障害が西欧諸国に紹介され、マレーシアで起きる特異な精神病であるアモックの研究から、特定の文化環境下において発生しうる特殊な精神障害の存在が指摘され始めていた。西欧世界の医学者、人類学者によってエキゾチックな病態が幾つも発見されることになった。
アメリカ精神医学会の『精神障害の診断と統計マニュアル』第4版(DSM-IV)においては、Culture-bound syndromeの項目をもうけて、これらの症例を載せている。アメリカは多民族国家であると同時に異なる宗教・風習を保ちながら生活している人々も多いため、それぞれの民族・文化に起こりやすい症例に対して、誤った認識や診断を生じさせないようにこのような研究や分類が行われている。
今日、西洋側の精神医学の障害の概念が、たとえば、摂食障害は、国際的に伝染する新しい文化結合症候群として捉えられるようになってきている。イーサン・ ウォッターズの『クレイジー・ライク・アメリカ―心の病はいかに輸出されたか』には、DSMの登場や、製薬会社による病気喧伝によって、特定の障害が文化圏を横断して増えている現象について描かれている。
文化圏間による問題
また、ある文化圏の精神障害カテゴリー (the category of disease) を、そのほかの文化圏に当てはめている点で、クラインマンのいうカテゴリー錯誤 (category fallacy) ともいうことができよう。
研究の起源が、そもそも西方世界からみた他国であるため、欧州にもあると思われる文化依存症候群に対する研究は、それ以外の地域に対する研究よりも遅れがちである。
例
文化依存症候群とされている障害には、
- 日本の対人恐怖症 (Taijin kyofusho symptoms)、パリ症候群(syndrome de Paris)
- アイヌのイム
- マレーシア、インドネシアのアモック、アムック(英語版)(Amok) - 強い抑圧から狂乱状態になって逆上し暴力行為に走ること。普段は温和な現地人が豹変してしまうのを驚いた植民地時代のイギリス人が名付けた言葉。男性に多く、武器を手にして外へ飛出し、無差別殺傷を起こす。場合により自殺を企てる。正常に戻ると狂乱時の記憶は失っている。インドネシアではオランダ統治時代に民衆暴動に対しても使われたため、群衆心理による集団狂気を表す言葉としても使われる。
- ジャワ島などのラタ (latah) - 最初に観察された文化結合症候群
- 韓国の火病 (Hwa-Byung)
- オーストラリアの身体醜形障害[2]
- 北米・西欧に多い拒食症(神経性無食欲症、神経性食欲不振症、anorexia nervosa)
- ただし欧米化が進んでいる他の地域(日本など)でも見られる
- 17-19世紀のヨーロッパで流行した拒食症の一種anorexia mirabilis。
- 中国、東南アジアのコロー (koro)
- 南米のスストー (susto)
- 北米のオジブワインディアンのウィンディゴ (windigo)
- アフリカ、ポリネシアなどのヴードゥー死 (voodoo death)
- シベリア、グリーンランドエスキモーのピブロクト (piblokto)
- 西アフリカ、ハイチに多いブフェ・デリラント[3] (bouffée délirante)
- 西アフリカの学生に多い脳神経衰弱症 (brain fag)
- イギリスの選択的摂食障害 (selective eating disorder)
などがある。
ただし、文化依存症候群は、その文化において多発しているというだけであり、他の文化圏では絶対に起こらないとは言えない。日本人でも拒食症に陥る例もあり、西洋人でも対人恐怖症になる場合がある。
出典
- ^ PM Yap, "Classification of the culture-bound reactive syndromes," AustNZ J Psychiatry, 1967
- ^ http://www.25today.com/news/2008/06/post_2382.php
- ^ http://www.serpsy.org/psy_levons_voile/maladies/bouffee_delirante.html
関連著作
- 池田光穂「心と社会」『医療人類学のレッスン』池田・奥野編、Pp.219-241、学陽書房(p.225に池田光穂と倉田誠による文化結合症候群の一覧表がある)
- 祖父江孝男、『文化人類学入門』、中公新書 ISBN 4-12-190560-1 pp.169-193
関連項目
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Japanese Journal
- グローバリゼーションと社会的ひきこもり : ひきこもりは現代社会結合症候群か? (特集 グリーバリゼーションと臨床精神医学)
- 加藤 隆弘
- 臨床精神医学 = Japanese journal of clinical psychiatry 47(2), 137-145, 2018-02
- NAID 40021460457
- 文化結合症候群への臨床心理学的理解(1)ソンディ・テストを用いて
- 社会的ひきこもりに関する日本,米国,韓国,インドでの国際共同調査の紹介 (特集 ひきこもりの諸相)
Related Links
- 文化結合症候群. CultureBound Syndrome, CBS. 池田光穂. Culture Bound Syndrome,CBS は、Yap, PowMeng(1967)による命名によるものである。. ある固有な精神神経状態の発症が、固有の文化的環境に依存しており(culture-dependent)、その文化や社会以外にみられないものを文化結合症候群と呼ぶ。. A・クラインマンによる自己批判があり、自文化の病気のカテゴリーを、そのようなカテゴリー ...
- 文化依存症候群(ぶんかいそんしょうこうぐん、culture-specific syndrome、文化結合症候群とも言う Culture-bound syndrome)とは、ある地域、民族、文化環境において発生しやすい精神障害の事を指す。
- 定義は「6カ月以上家にこもって人との接触がない」というようなもので、文化結合症候群という、その国や地域の文化によって発生しやすい精神障害の一つとして紹介されていました。
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- Latah
- 関
- マレー民族。マレー民族のラター
[★]
- 英
- imu
- 関
- アイヌ民族のイム
[★]
- 英
- syndrome, symptom-complex
- 同
- 症状群
- 関
- [[]]
- 成因や病理学的所見からではなく、複数の症候の組み合わせによって診断される診断名あるいは疾患。
内分泌
先天的代謝異常
高プロラクチン血症
- 分娩後の視床下部障害によるプロラクチン分泌抑制因子の分泌抑制のため、高プロラクチン血症を呈する。
- 分娩に関係なくプロラクチン分泌抑制因子の分泌抑制をきたし、高プロラクチン血症を呈する。
性腺機能低下
- 嗅覚の低下・脱出、低ゴナドトロピン性性腺機能低下症
- 肥満、網膜色素変性症、知能低下、低ゴナドトロピン性性器発育不全、多指症、低身長
性早熟
- 思春期早発症、多発性線維性骨異形成症、皮膚色素沈着
- 女性型の肥満、性器の発育障害の2主徴を示し、視床下部に器質的障害をもつ疾患群。
脳神経外科・神経内科
[★]
- 英
- binding、bond、linkage、connection、conjugation、conjunction、union、bonding、engagement,
- bind、associate、conjugate、combine、connect、couple、engage、join、dock、ligate、conjoin
- 関
- 会合、関係、関与、関連、協同、共役、組み合わせ、結合性、結紮、結線、従事、接合、接合体、同僚、ドッキング、バインディング、複合物、付随、併用、抱合、抱合体、結びつける、約束、癒合、癒着、連関、連結、連合、連鎖、連接、連絡、団結、組合、参加、接続、一対、合併、組み合わせる、カップル、組合せ、絆
[★]
- 英
- culture
- 関
- 栽培、培養、培養液、培養物、培養組織、養殖
[★]
- 英
- group
- 関
- グループ、集団、分類、群れ、基、グループ化
[★]
- 英
- symptom and sign
- 関
- 症状, 徴候 兆候