MERS | SARS | |
流行期間 | 2012年4月~ | 2002年11月~2003年7月 |
最初の報告 | 中東 | 中国 |
ウイルス自然宿主 | ヒトコブラクダ | 人 |
致死率 | 38% | 9.6% |
潜伏期間 | 5.2日(2~13) | 4.6日(2~14) |
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2020/08/23 04:52:03」(JST)
「MERS」は2012年に初確認された呼吸器系感染症について説明しているこの項目へ転送されています。原因ウイルスについては「MERSコロナウイルス」をご覧ください。 |
中東呼吸器症候群(ちゅうとう こきゅうき しょうこうぐん、英: Middle East respiratory syndrome; MERS〈マーズ〉)は、MERSコロナウイルス (MERS-CoV[1]) により引き起こされるウイルス性の呼吸器疾患。2012年に中東へ渡航歴のある症例から発見された新種のコロナウイルスによる感染症であり、イギリス・ロンドンで発見された[2][3][4]。
日本では2014年7月16日に政令により指定感染症に指定された[5]。2015年1月には二類感染症に指定され、全ての医師に対して、全ての患者の発生について保健所への届出が義務付けられた[6]。
2015年には韓国でのアウトブレイク(後節参照)が発生したことから世界保健機関(WHO)は「緊急の注意を喚起する警告」を発した(緊急事態とはみなさなかった)[7][8]。
2012年9月[9] - 2019年現在流行中[10]。2019年11月までに確定患者は2494人、死者858人にのぼった[11]。
サウジアラビアで発生したと言われ、感染源(コウモリ起源ではあるが、中間宿主の存在が必要である)、感染方法はわかっていなかったが[12]、2014年6月に感染源がヒトコブラクダであると報道された[13]。
2020年現在では、ヒトコブラクダが保有宿主(感染源動物)であるとされ、ラクダとの接触や、ラクダの未加熱肉や未殺菌乳の摂取が感染リスクになると厚生労働省は発表している[11]。
感染すると2日から14日の潜伏期を経たのち、無症状例から急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の重症例まである[11]。病像は、発熱、咳嗽、肺炎、下痢などの消化器症、多臓器不全(特に腎不全)や敗血性ショックを伴う場合もある。高齢者及び糖尿病、腎不全などの基礎疾患を持つ者での重症化傾向がより高い[11]。
MERS-CoVはヒトコブラクダに風邪症状を引き起こすウイルスで、ヒトに感染すると重症肺炎を引き起こすと考えられている[14]。また脳炎、腎炎も発症したと言われる[15][16][17][18]。
イギリス人4人・ドイツ人2人、フランス人2人が中東で感染した例がある[19]。
家族内感染3人(ヒト-ヒト感染の疑い)と、状態良好で入院後2時間で死亡した11歳男児の事例がある。急速な病状の悪化だが、インフルエンザでは適切な投薬がない場合にこのような症例になることがある。
2013年5月14日現在、38人感染確認、20人死亡、死亡率53%[20][21][22]。
2013年5月15日、WHOは、患者が入院したサウジアラビアの病院の2人(看護婦と医療関係者)への「ヒトヒト感染」が初めて確認されたと発表した[23]。合計で関係者21人(死者9人)が医療機関関係者の感染者となる。また、ヒト-ヒト感染は、イギリスで父子感染例がある。この時点で感染者40人、死者20人、死亡率50%になった。これは公式発表ではないが、パンデミック・フェーズ3に相当する。また複数の国家にまたがるのでフェーズ4に相当する可能性があるが、どこの国も旅行制限を出していない。新型インフルエンザの時に、パンデミック・フェーズにより対策を区別したことがあったが、フェーズの定義と実際の被害がかけ離れたために、WHOのチャン事務局長は「穏やかなパンデミック(mild pandemic)」と呼んだ[24][25]。
2013年5月中旬に直接サウジで現地調査をしたWHOのフクダ事務局長補は、複数の国でまとまった感染例(クラスター)があるのでヒト-ヒト感染の可能性が高まっていると述べた。
2013年5月21日、チュニジア政府は、66歳のチュニジア人がMERS-CoVで死亡し、2人の子どもの感染を発表した(父と姉妹一人が、1週間前まで5週間のあいだサウジアラビア(メッカなど)とカタールに旅行していたという)。これで感染者44人、死者22人になる。
2019年においてもサウジアラビアにおいて14人が感染し、そのうち5人が死亡した[10][26]。
WHOによれば2019年11月までに診断確定患者は2494人、死者858人[11]。
この疾病はその後、2015年5月から7月にかけて韓国でアウトブレイクを引き起こし、186人が感染し、そのうち36人が死亡した。
治療方法はおおむね対症療法に限られ、確立した治療法は治験段階以上のものはない。人工呼吸器と補液が治療のほとんどである。ワクチンはない[11]。
予防としては、手洗いなど一般的な衛生対策、流行地でのラクダなどの動物との接触や未殺菌ラクダ乳など加熱不十分な食品を避ける[11]。
世界保健機関は、正式名称の「中東呼吸器症候群(MERS)」の名前を批判している[27]。感染地域は中東に限定されず、韓国なども含まれており、地理的に限定できないことも背景にある。WHOのヒト感染症・ウイルスの『名称決定についてのガイドライン』(2015年)では、「地理的な位置、人名、動物や食品の名前、特定の文化や産業の名前は含まれるべきではない」と定めている[27]。
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