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MERSコロナウイルス
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分類
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レルム
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リボウィリア Riboviria
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界
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オルトルナウイルス界 Orthornavirae
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門
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ピスウイルス門 Pisuviricota
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綱
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ピソニウイルス鋼 Pisoniviricetes
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目
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ニドウイルス目 Nidovirales
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亜目
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コルニドウイルス亜目 Cornidovirineae
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科
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コロナウイルス科 Coronaviridae
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亜科
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オルトコロナウイルス亜科 Orthocoronavirinae
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属
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ベータコロナウイルス属 Betacoronavirus
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亜属
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メルベコウイルス亜属 Merbecovirus
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種
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MERS関連コロナウイルス Middle East respiratory syndrome-related coronavirus
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株
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MERSコロナウイルス Middle East respiratory syndrome coronavirus
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MERSコロナウイルス(マーズコロナウイルス、英: Middle East respiratory syndrome coronavirus, MERS-CoV)は、中東呼吸器症候群 (Middle East respiratory syndrome = MERS) の病原体のコロナウイルス(ベータ型)。通称 MERSウイルス。イギリスロンドンで2012年9月に初めて確認された[1]。
ヒトコブラクダが保有宿主(感染源動物)であるとされ、ラクダとの接触や、ラクダの未加熱肉や未殺菌乳の摂取が感染リスクになる[2]。感染地域は中東地域をはじめ、2015年5月に韓国(感染者数186名, 死者数36名)・中国に拡大し、2019年11月までに確定患者は2494人、死者858人にのぼっている[2]。直近でも、2019年12月1日から2020年1月31日までの2ヶ月間で、サウジアラビアでは19人が感染し8人が死亡、このほかカタールでも発生するなど、収束の見通しは全く立っていない[3]。
概要
2015年6月現在、中東地域及び韓国で感染拡大中の新型コロナウイルスである。肺炎(異型であるので診断に注意が必要)を主症状としており、死亡率が40-50%前後と非常に高い。
2019年9月現在、感染者は2468例であり、死亡者は851例に上っている[4]。
感染国は、サウジアラビア、韓国、UAE、ヨルダン、カタール、オマーン、イラン、クウェート、イエメン、レバノン。旅行者による一時的な感染国は、アメリカ、イギリス、フランス、イタリア、オランダ、ギリシャ、チュニジア、エジプト、アルジェリア、マレーシア、フィリピン、スペイン、トルコ、オーストリア(他に感染後にドイツに移送された感染者が2人)。感染地域は広がりつつあるが、持続的なヒト・ヒト感染の証拠はなく、ヒト・ヒト感染は一過性に過ぎないと見られている[5]。
多くの患者で通常の肺炎が見られない[6]。また(肺に近い)下気道に感染しやすいところ(受容体)があり、症状が少ないまま突然肺炎になりやすい[7][8]。
MERS-CoVのウイルス受容体はDPP-4(dipeptidyl pepti- dase 4)である[9]。
分類
2002年から2003年にかけて東方アジアで流行したSARSコロナウイルス (Severe acute respiratory syndrome coronavirus; SARS-CoV) とは異なる種類である[5]。ただし、MERSコロナウイルスは、SARSコロナウイルスと近縁のβコロナウイルス2cグループに属す[9]。
MERS-CoVはベータコロナウイルスの 2C グループに属するタケコウモリコロナのウイルス(Bat-CoV HKU4)やアブラコ ウモリのウイルス(Bat-CoV HKU5)と近縁である[10]。
自然宿主
自然宿主が動物であり(人獣共通感染症)、本ウイルスは遺伝子解析からヒトコブラクダであることはほぼ間違いない[11][9]。
発見当初の遺伝子解析では、コウモリコロナウイルスHKU4およびHKU5と相同性が高く、ウイルスRNAポリメラーゼ領域におけるアミノ酸配列の相同性は90~92%だった[9]。一方、スパイク(S)蛋白質の相同性は64~67%にとどまり、コウモリからヒトが感染しているという直接の証拠もなかった[9]。その後、宿主がヒトコブラクダであることが判明した。さらにスーダンやソマリアなどの東アフリカでは1983年に遡ってヒトコブラクダのMERS-CoV感染が明らかとなった[9]。
歴史
- 2012年7月、エラスムス大学医療センターで新型コロナウイルスが分離された[10]。エラスムス大学医療センターにちなんで、当初はHCoV-EMC(Human coronavirus- Erasmus Medical Center,ヒトコロナウイルス-エラスムス大学医療センター)と呼ばれていた[10][12]。
- 2012年9月にロンドンでも新型コロナウイルスが報告された(感染者の入院は6月13日、死亡は6月24日。サウジアラビアのジェッダ)[10][13]。
- 2013年5月、国際ウイルス分類委員会が[14]、病原体名を「Middle East respiratory syndrome coronavirus (MERS-CoV)」と命名[15]、WHOの決定を受けて[16]、厚生労働省はウイルスの名称をMERS(マーズ)コロナウイルスと名付け、感染症名を中東呼吸器症候群 (MERS) と決定した[17]。
- 2013年5月下旬、WHOのチャン事務局長は、年次総会の締めくくりとなるスピーチで「現在私にとって最大の懸念は新型コロナウイルスである。一つの国だけで対処できるものではなく、全世界への脅威の一つである。」[18]とした。治療方法、感染方法(つまり感染防止方法も)、宿主が全く分かっていないからである。2013年7月17日WHO緊急委員会は評価会合を開き、「感染拡大が懸念される状況ではないが、十分な警戒が必要である」との暫定的な評価をまとめた[19]。
- 2013年7月にラマダン、2013年10月にハッジ(大規模なメッカ巡礼)があり、感染拡大が憂慮されていたが、特に異変はなかった[20]。
- 2015年、韓国で、密接接触者の定義を狭くしたためにMERSの初期対応に失敗し、感染が広まった[21]。
消毒
消毒用エタノール、イソプロパノール、次亜塩素酸ナトリウムが推奨されている[22]。
予防
石鹸による手洗い、マスクの装着、ドアノブやスイッチやハンドルなどの人の触る所の消毒などが予防となる。洗っていない手で、目や鼻や口などの粘膜に触らないようにする必要がある[23]。
また、病人との接触は控えた方が良い[23]。航空機などではサーモグラフィーによる体表温度スクリーニングが行われているが、韓国でのMERSの例では、MERS初期の発熱で38度以上の体温となることはそれほど多くなく、37.5度以上の体温上昇すらも起こらない場合のあることが確認されており[24]、限界がある。家庭内でも密接接触による感染が起こりうるため、マスクをして2m以上距離を保つことが望ましい[25]。
また、病人の排泄物からの感染に気をつける必要がある。フランスのMERS院内感染の例でも、排泄物等を経由した感染の可能性が報告されている[26]。
感染者一人当たりの再生産数(感染させた人数)の平均を一人未満にしなければ流行は収束しないため、感染者に対する接触者追跡調査(コンタクトトレーシング)及び接触者の隔離が行われている。感染者に接触した可能性があり、MERS類似の症状が出た場合には、最寄りの保健所に電話相談する必要がある。なお、症状が無くともMERSに感染しているというケースも現れている[27]。
2015年6月、京都府立大学大学院教授の塚本康浩らのグループが、MERSコロナウイルスに強く結合する抗体をダチョウの卵を使って大量精製することに成功[28]。共同で研究を進めているアメリカ陸軍感染症医学研究所が検証を進め2015年6月の段階で韓国、米国に配布、スプレー剤として大量生産を開始した[28]。抗体によって覆われたウイルスは人の細胞に侵入できなくなり、感染予防に大きな効果があり、抗体を使ったスプレー剤はマスクやドアノブ、手などに噴射すれば感染予防になると考えられている[28]。
診断
診断には下気道の検体を使うことが強く推奨されているほか、鼻咽頭と中咽頭の検体も使われており[29]、その検体を使ってPCR検査が行われる。国立感染研究所ではLAMP法も導入された[30]。
米国CDCでは、血清を使ったウイルス抗体検査(ELISA法、IFA法、中和抗体測定法)も同時に行われている[31]。
治療
治療法は確立していないため、対症療法となる。肺炎に対する抗炎症薬、下痢による脱水に対する補水、急性呼吸窮迫症候群 (ARDS) に対する人工呼吸、敗血症性ショックに対する輸液及び昇圧剤などが中心となる。また、二次感染の防止のために、抗生物質の投与が行われている[5]。
致死率の高さにサイトカインストーム(高サイトカイン血症)の関与が疑われている[32][33]。
動物実験において、リバビリン(抗ウイルス薬の一つ)とインターフェロンα2b(サイトカインの一種)の組み合わせが肺炎の発症を抑制するという報告がある[34]。しかし、既に急性呼吸窮迫症候群となっていたエジプトでの5人の重症患者では、これらの組み合わせの投与での治療に失敗している[35]。また、HIV薬のロピナビルや回復期患者の血漿、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体に効果がある可能性がある[36]。WHOでは、2013年にMERS治療の選択肢としての回復期血漿や高い中和抗体の使用を議論するための招集を行ったものの、未だに臨床試験に基づくエビデンスは出ていない[37]。WHO の Blood Regulators Network は、MERS治療のための血清・血漿の収集・使用の方針書を公開している[38]。
セリンプロテアーゼ阻害剤の「カモスタット」が、培養細胞レベルで、コロナウイルスの活性化に使われるTMPRSS2を阻害し、MERSコロナウイルスの細胞内への侵入を防ぐことが見つかっている[39]。また東京大学医科学研究所の研究によれば培養細胞レベルでカモスタットよりも「ナファモスタット」の方が阻害効果は高かった[40][41]。
なお、日本に備蓄されている抗RNAウイルス薬のファビピラビル(商品名アビガン)は、ウイルス性肺炎の主要原因の一部であるインフルエンザウイルスやRSウイルスには対しては効果がある[42][43]ものの、MERSコロナウイルスに対しては情報が無いため効果は不明である[44]。
流行事例
2012年-現在 中東
2012年9月、60歳のサウジアラビア男性患者が急性肺炎および腎不全により死亡した。オランダのエラスムス医学センターが遺伝子解析を行い、新型コロナウイルスと確定した[45]。
同年9月、サウジアラビアに滞在していた49歳のカタール人男性患者からもコロナウイルス遺伝子が検出された[46][47]。
「en:2012 Middle East respiratory syndrome coronavirus outbreak」も参照
2013年 イギリス
大規模感染の恐れについて、世界保健機関も注意を呼びかけている[48]。
2015年 韓国
東アジアにおけるMERSの流行(2015年)日付 |
2015年5月 - |
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場所 |
韓国、中国 |
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死傷者 |
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報告された 感染者数 / 死者数 / 退院者数 (2015年7月28日現在) 合計: 186 / 36 / 95 |
韓国 – 185 / 36 / 94 中国 – 1 / 0 / 1 |
報告された 二次 / 三次 / 四次 / 経路不明感染者数 (括弧内は再生産数、 2015年6月25日現在) 30 (30) / 124 (4.13) / 21 (0.17) / 5[49] |
2015年5月4日、バーレーンに半月間滞在した68歳の韓国人男性が、MERSに感染とは知らずに大韓民国に帰国し、11日に発症、複数の病院(忠清南道牙山市屯浦面のソウル医院、京畿道平沢市の平沢聖母病院、ソウル特別市江東区千戸洞の365ヨルリン医院)で受診を行い[50][51]、20日にMERSと確定し、韓国は中央防疫対策本部を設置した[52]。他の病院では小規模な感染であったが、平沢聖母病院では大きな感染が起こり[51]、韓国内で感染が広がった。
最初の感染者が入院した平沢聖母病院8階8104号室は、一つの病室を二つに分割したために排気口が存在しなかった[53]。当初、韓国防疫当局は密接接触者(2m以内)のみを監視対象としていたが、8階の滞在者に感染が広がってしまった[53]。原因は不明だが、エアコンによるエアロゾル形態のウイルスの拡散が疑われている[53][54]。
5月26日、上記感染者に接触し、隔離対象であるはずの家族が、アシアナ航空723便(OZ723、機材はHL7789[55]、乗員乗客166名[56])で香港へと飛んだ。香港国際空港到着時に発熱があり咳をしていたため、検疫官が「MERS患者と接触したか、MERS患者がいる病院に訪問したかどうか」などを尋ねたが、すべてを否定した[57]。空港からバスで沙頭角(中国語版)を経由して広東省深圳市と恵州市へと移動した[58][59][60]。その後恵州市で隔離され、中国国内でも航空機やバスの同乗者を含めた接触者追跡調査(コンタクトトレーシング)及び隔離が始まっている[58][59][60]。29日、感染が確認された。なお、感染者を載せたアシアナ航空機は、28日まで消毒しないままフライトを行っており、27日には名古屋の中部国際空港、中国の大連・長沙でも発着している[61][62]。
6月2日の報道では、韓国で25人が感染していて(死者2人を含む)、これは中東地域以外での最大感染者数であり、3次感染者も出始めている[63]。韓国では臨時休業を行う学校が増え、6月4日には1000校を越えた[64]。感染者との接触の可能性がある人の自宅隔離が行われているが、自宅隔離を無視してゴルフ場へ出かける人も現れており、韓国人の市民意識の低さが問題となっている[65]。
6月5日、韓国保健福祉部長官は、不安解消のために大きな感染の起きた平沢聖母病院の名前を公開し、病院訪問者に対し相談窓口を設けた[66]。同日、全羅北道淳昌郡の村で、自宅隔離を守らずに平沢市から帰ってきて多くの村民と接した感染疑い患者がMERS陽性と確認され、その村全体が危険地域に指定され、出入りが禁じられ隔離されることとなった[67]。なお、この患者と接触したとされ、淳昌郡で自宅隔離を要求された医師夫婦は、6月6日韓国からフィリピンへ出国し、翌7日に帰国した。2人は保健当局から隔離の通知を受けたことさえなくて、メディアで初めて患者と接触したことを知ったと主張した[68]。
6月6日、京畿道富川市は、京畿道保健環境研究院の予備検査で非隔離対象者にMERS陽性反応が出たと発表し、韓国国立保健環境研究院で疫学調査を行った[69]。
台湾では、ソウルを感染症警戒地域に指定し、住民に対し、現地医療機関への出入りの自粛を求めている[70]。ベトナムでは、住民に対し、感染地域への旅行の自粛を求めている[71]。ロシア[72]、UAE[73]、香港、マカオ[74]も渡航自粛を勧告した。
6月14日、釜山広域市で初めての死者が出た[75]。同日、隔離対象者の1人が12日に隔離室の扉を破壊し、病院から逃げ出したことも明らかにした。この対象者はのち、MERS陽性と認定された[76]。また、この患者は潜伏期間内の6月5日から6月8日までに家族・友人9人とともに済州島の西帰浦で旅行したことも判明したため、現地のホテル・観光地の職員や患者が利用した航空会社の社員に対して隔離措置を取らざるを得ない[77]
6月15日、韓国政府は日本人を含む外国人が隔離対象者に含まれていることを発表した[78]。
6月20日、大邱において、MERS患者が発症後の6月13日に利用した公衆浴場の利用者の追跡調査(コンタクトトレーシング)が進んでいるが、6月20日時点で、監視カメラで確認された266人のうち103人の身元が判明していない[79]。
6月22日、隔離解除後に発症する患者が現れるので、潜伏期間の設定に疑問を呈する意見も出てきた[80]。また、当日から韓国に入国した外国人は自動的に韓国政府の支援を得る「外来観光客対象MERS補償保険」の適用を受けることになった。その内容とは「韓国に入国した外国人が20日以内にMERS陽性反応が出れば500万ウォン(約55万円)の治療補償金、感染が確定してから20日以内に死亡すれば最大1億ウォン(約1100万円)の補償金を受け取れる」というものである[81]。
10月12日、韓国保健福祉省は感染後に陰性と判定された男性1人が再発したと公表した。[要出典]
韓国では、MERSの流行に便乗して、消毒作用の無い偽造消毒薬の流通が起きており(偽造ラベルの印刷を依頼された印刷所が警察に通報して発覚)、韓国警察がECサイトで販売された偽造消毒薬の回収を行っている[82][83]。
なお韓国政府は、MERS患者の周辺にいた感染可能性のある人物の追跡を諦め、「自己申告」に頼ることを決定。これにより見かけ上、隔離対象者は減ったが、感染の経路や実際の感染者数が不明確となっている[84]。
「自由貿易#自由貿易の問題」も参照
「2015年韓国におけるMERSの流行」および「ko:2015년 대한민국 중동호흡기증후군 유행」も参照
受け入れ病院
MERSは日本では2015年より二類感染症となっている[85]ため、特定感染症指定医療機関、第一種感染症指定医療機関及び第二種感染症指定医療機関でのみ受け入れ可能となっている。厚生労働省は、二次感染を抑えるために、原則としてMERS患者の陰圧室への入院を求めている[86]。
韓国では、MERS患者を伝染病隔離指定病院で受け入れたが、それは全部で17ヶ所105床しか存在しなかった[87]。2015年当時の韓国では、陰圧室のない医療機関もMERS疑い患者の診療病院に指定された[88]。また、当時の韓国ではレベルDの防護服を使用していたが、着脱のルールが守られておらず、防護服を着た看護師にも感染が起こった[89]。防護服の数も足りていなかった[89]。
脚注
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- ^ Subject: PRO/AH> MERS-CoV - Eastern Mediterranean (21): receptor identification ProMED 2013-06-05 12:58:40, Archive Number: 20130605.1756082, Posted by Bart Haagmans, Erasmus Medical Center
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- ^ “韓国、MERS初の死者男女2人 感染者計25人に”. 47NEWS. 共同通信. (2015年6月2日). http://www.47news.jp/CN/201506/CN2015060201001027.html 2015年6月2日閲覧。
- ^ 메르스 방역, 서울이 뚫렸다… 감염 확진 서울 의사, 시민 1500여명과 접촉 京郷新聞 2015年6月5日
- ^ 【社説】隔離を拒否してゴルフ場行く市民ではMERS勝てない=韓国 中央日報 2015年6月4日
- ^ [속보] 문형표 “메르스 집중 발생 평택성모병원 방문자 연락달라” 東亜ドットコム 2015年6月5日
- ^ 평택 자가격리 70대女, 순창으로 무단 이동해 160명 접촉한 뒤 메르스 검사서 '양성' 朝鮮日報 2015年6月5日
- ^ 격리대상인 순창 확진환자 진료 의사들, 해외 여행 논란…"통보 못받았다" 朝鮮日報 2015年6月8日
- ^ 부천 메르스 양성반응 남성, '병원 밖 감염' 의심 ハンギョレ 2015年6月6日
- ^ 台湾発の訪韓ツアー、キャンセル相次ぐ=MERS感染拡大で 中央社フォーカス台湾 2015年6月3日
- ^ MERSがベトナムに波及しないよう ベトナムの声放送局 2015年6月2日
- ^ ロシア 韓国への渡航自粛呼びかけ NHKニュースWeb 2015年6月9日
- ^ UAE、国民に韓国旅行の自粛を韓国 産経ニュース 2015年6月9日
- ^ 香港・マカオ両政府「韓国への渡航自粛を」=警戒レベル相次ぎ引き上げ
- ^ (朝鮮語)“부산 메르스 환자 14일 숨져”. 朝鮮日報. (2015年6月14日). http://news.chosun.com/site/data/html_dir/2015/06/14/2015061401025.html 2015年6月27日閲覧。
- ^ “141번 환자, 강남세브란스 격리 중 탈출 소동”. 中央日報. (2015年6月15日). http://joongang.joins.com/article/153/18024153.html?cloc=joongang%7Cext%7Cgooglenews 2015年6月27日閲覧。
- ^ “메르스 확진환자 제주도 관광다닌 것으로 확인돼”. 朝鮮日報. (2015年6月18日). http://news.chosun.com/site/data/html_dir/2015/06/18/2015061800959.html 2015年6月27日閲覧。
- ^ MERS 隔離した人たちの中に日本人も NHKニュース 2015年6月15日
- ^ 대구 메르스 환자와 같은 목욕탕 이용 103명 추적 난항 デイリー韓国 2015年6月20日
- ^ (朝鮮語)“‘14일 격리’ 해제된 뒤 첫 확진 환자 발생”. ハンギョレ. (2015年6月22日). http://www.hani.co.kr/arti/society/health/697027.html?_fr=mt0 2015年6月27日閲覧。
- ^ “外国人観光客を対象に「MERS保険」…最高約1千万円補償”. ハンギョレ. (2015年6月22日). http://japan.hani.co.kr/arti/politics/21097.html 2015年6月27日閲覧。
- ^ 뉴스쇼 판 - 메르스 업고 '짝퉁' 살균 소독제까지…유통 일당 적발 中央日報 2015年6月25日
- ^ 메르스 이용 '가짜 살균소독제' 제조·유통 적발 KBS NEWS 2015年6月25日
- ^ “感染危険の追跡に限界 なんと対象5万人! サムスン病院訪問者に届け出要請”. 産経ニュース. (2015年6月19日). http://www.sankei.com/world/news/150619/wor1506190019-n1.html 2015年7月2日閲覧。
- ^ 中東呼吸器症候群(MERS)に関するQ&A 厚生労働省
- ^ 中東呼吸器症候群(MERS)の国内発生時の対応について 厚生労働省 2015年6月11日
- ^ 【時視各角】我々が「MERS」を逃した理由=韓国(2) 中央日報 2015年6月3日
- ^ 음압 병상 없는데 '거점 병원' 하라니…당혹 SBSニュース 2015年6月11日
- ^ a b '보호복 입었는데' 간호사 메르스 감염 - '보호복 입고도 감염' 이유 있었다 ソウル新聞 2015年6月16日
文献・資料
日本
- 中東呼吸器症候群(MERS)について 厚生労働省
- 中東呼吸器症候群(MERS)に関するQ&A
- 中東呼吸器症候群(MERS)及び鳥インフルエンザA(H7N9)の二類感染症への追加後の対応について 2015年1月21日
- 韓国における中東呼吸器症候群(MERS)の発生について 2015年6月1日
- 韓国における中東呼吸器症候群(MERS)への対応について 2015年6月4日
- 中東呼吸器症候群(MERS)の国内発生時の対応について 2015年6月11日
- 海外安全ホームページ - 韓国及び中国:MERSコロナウイルスによる感染症の発生 外務省 2015年6月2日
WHO(邦訳含む)
- 新型コロナウイルス(nCoV)感染の可能性の高い又は確定した場合のための医療中の感染予防及び管理 2013年5月6日
- 中東呼吸器症候群(MERS)感染症に関する暫定的サーベイランスの推奨 (更新2) WHO著/厚生労働省検疫所訳 2013年6月27日
- Summary and risk assessment of current situation in Republic of Korea and China(英語)2015年6月3日
- WHO Blood Regulators Network (BRN) - 中東呼吸器症候群コロナウイルスの奏効における一要素としての回復期血清または血漿を収集及び使用する場合の方針書(英語) 2014年
韓国
- 中東呼吸器症候群患者の接触者に対する自宅隔離生活守則案内 (PDF) (朝鮮語)韓国疾病予防対策センター 2015年5月27日
- 「MERS地域拡散遮断」自宅隔離、正しく行われるか(朝鮮語、Google翻訳)毎日経済 2015年6月3日
- ぜひ知っておいてください: MERS感染の疑いがある場合このように(朝鮮語、Google翻訳)毎日経済 2015年6月3日
- Mers Map(朝鮮語)
- 保健医療労組MERS状況板(朝鮮語)保健医療労組
米国
- Middle East Respiratory Syndrome (MERS)(英語)CDC
- 医療従事者のための情報(英語)
- MERSコロナウイルスを伴う入院患者のための暫定感染防止及制御提言(英語)
- Middle East Respiratory Syndrome (MERS) Patient Under Investigation (PUI) Short Form(英語)
- Epidemiological Alert - Middle East respiratory syndrome coronavirus (MERS-CoV)(英語) Pan American Health Organization/WHO 2015年6月5日
欧州
- MERS-CoV Factsheet(英語)欧州疾病予防対策センター
- Treatment of MERS-CoV: Information for Clinicians - Clinical decision-making support for treatment of MERS-CoV patients v2.0(英語)英国公衆衛生庁/ISARIC 2014年7月14日
その他
- Advances in antivirals for non-influenza respiratory virus infections Influenza and Other Respiratory Viruses
関連項目
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