ラモトリギン
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ラモトリギン
|
|
IUPAC命名法による物質名 |
6-(2,3-dichlorophenyl)-1,2,4-triazine-3,5-diamine |
臨床データ |
胎児危険度分類 |
C(US) |
法的規制 |
劇薬、処方箋医薬品 |
投与方法 |
経口投与 |
薬物動態的データ |
生物学的利用能 |
98% |
代謝 |
肝臓 |
半減期 |
31-38時間 |
排泄 |
尿中94% 糞便中2% |
識別 |
CAS登録番号 |
84057-84-1 |
ATCコード |
N03AX09 |
PubChem |
3878 CID CID 3878 |
DrugBank |
DB00555 |
KEGG |
D00354 |
化学的データ |
化学式 |
C9H7Cl2N5 |
分子量 |
256.091g/mol |
ラモトリギン(Lamotrigine:商品名:ラミクタール)は、抗てんかん薬。また、双極性障害の気分安定薬(ムードスタビライザー)としても処方される。グラクソ・スミスクラインが開発し、日本では2008年12月より販売されている。薬事法に基づき、劇薬、処方箋医薬品の規制区分にあり、医師等の処方箋が必要である。
2008年、アメリカ食品医薬品局(FDA)は、199の二重盲検試験を分析し、データに用いられた24週間では、抗てんかん薬服用時の自殺念慮や自殺企図が2倍―てんかん用途では3.5倍、精神科では1.5倍―に高まることを警告した(それ以上の期間は単に未調査)[1]。2009年4月23日以降、認可されたすべての抗てんかん薬に警告表示が追加された[2]。日本でも、自殺企図の既往や自殺念慮を有する場合に注意書きがある[3]。
目次
- 1 薬理作用
- 2 効能・効果
- 3 用法・用量
- 4 併用注意
- 5 副作用
- 6 妊婦、授乳婦への投与
- 7 子供への投与
- 8 製剤の種類
- 9 製剤の特徴
- 10 関連項目
- 11 脚注
- 12 参考文献
|
薬理作用[編集]
- 抗痙攣作用
- てんかん動物モデルにおいて抗痙攣作用が示されている。抗痙攣作用は、フェニトインやジアゼパムに比べ高いとされている。
- 作用機序
- Na+チャンネルを抑制することにより、神経膜を安定させ、グルタミン酸などの興奮性神経伝達物質の遊離を抑え、抗痙攣作用を促すと考えられている。
効能・効果[編集]
- 他の抗てんかん薬での効果が認められない、てんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)、強直間代発作、Lennox-Gastaut症候群における全般発作に対する、抗てんかん薬との併用療法。
- 双極性障害の気分安定薬(ムードスタビライザー)再燃・再発の予防として用いる。特にうつ病エピソードに効果があるとされている。予防薬として定期的な服用が必要である。海外では、一時は第一選択薬であったが、2008年の出版バイアスの調査[4]により急性のエピソードやラピッド・サイクルに有効性が見られなかった[5]。急性期に対する有効性や安全性は確立されていない[3]。
用法・用量[編集]
バルプロ酸ナトリウムを含む製剤や、その他抗てんかん薬との併用により、投薬量、漸増量が異なる。医師の指示の下、服薬する。 血中濃度を保つ必要があるため、定期的に服薬する必要がある。
- バルプロ酸ナトリウムを併用する場合
- 通常、一般成人において、最初の2週間は1回25mgを隔日に服用し、次の2週間は1日25mgを1回服用。その後、1~2週間毎に25~50mgを漸増し、維持用量として、1日100~200mgを2回に分けて服用する。
- 単剤療法の場合
- 通常、一般成人において、最初の2週間は1日25mgを1回経口服用、次の2週間は1日50mgを1回または2回に分けて服用し、5週目は1日100mgを1回または2回に分けて服用する。6週目以降は維持用量として1日200mgを1回または、2回に分けて服用する。増量は1週間以上の間隔をあけて最大100mgずつ、1日用量は最大400mgまでとし、1日1回又は2回に分けて服用する。
- 抗てんかん薬、気分安定薬としての服薬量、維持量が異なるため医師の判断の下、服薬すること。
- 急激な増量を行うと重篤な副作用を起こしやすいとされているため、徐々に増量することが好ましい。
※詳細な用法については、おくすり110番:ラミクタール錠参照
併用注意[編集]
併用注意すべき製剤
成分名 |
注意事項 |
バルプロ酸ナトリウム |
消失半減期が約2倍に延長するとの報告がある。 |
グルクロン酸胞合を誘導する薬剤
(フェニトイン・カルバマゼピン・フェノバルビタール・プリミドン・リファンピシン・ロピナビル・リトナビル配合剤) |
血中濃度の低下。 |
アタザナビル/リトナビル |
血中濃度の低下。 |
カルバマゼピン |
めまい、失調、複視、霧視、嘔吐等の副作用が発生。 |
リスペリドン |
傾眠の副作用上昇傾向あり。 |
経口避妊薬(卵胞ホルモン・黄体ホルモン配合剤) |
血中濃度の低下。 |
副作用[編集]
重篤な副作用[編集]
- 皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群)および中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)(0.5%)が現れることがある。
発熱、目充血、顔面の浮腫み、皮膚・粘膜のびらん、水泡、紅斑、咽頭痛、かゆみ、全身倦怠感。
- 過敏症症候群(発疹、発熱、リンパ節症、顔面の浮腫み、血液障害、肝障害など)(頻度不明)
- 再生不良性貧血(頻度不明)
- 汎血球減少(頻度不明)
- 無顆粒球症(頻度不明)
- 肝炎・肝機能障害および黄疸(頻度不明)
- 無菌性髄膜炎
その他副作用[編集]
主な副作用一覧
5%未満 |
1~5%未満 |
発疹、めまい、傾眠、肝機能検査値異常 |
頭痛、不眠、失調、易刺激性、不安・焦燥・興奮、てんかん発作の増加、胃腸障害(吐気、嘔吐、下痢など)、食欲不振、白血球減少、貧血、好中球減少、血小板減少、複視 |
高齢者では、生理機能が低下しているため慎重投与が必要である。
妊婦、授乳婦への投与[編集]
- 妊娠中の投与に関する安全性が認められていない。
- 海外での調査において妊婦の服用により、大奇形発現リスクの増加は認められてはいないが、慎重投与が必要である。
- 授乳中の婦人には、投薬中は授乳を避けること。
子供への投与[編集]
- 低出生体重児、新生児、乳児や2歳未満の幼児への安全性は確立していない。
製剤の種類[編集]
グラクソ・スミスクライン株式会社®より販売されている。
- ラミクタール錠小児用2mg
- ラミクタール錠小児用5mg
- ラミクタール錠25mg
- ラミクタール錠100mg
製剤の特徴[編集]
関連項目[編集]
脚注[編集]
- ^ “Postmarket Drug Safety Information for Patients and Providers > Information for Healthcare Professionals: Suicidal Behavior and Ideation and Antiepileptic Drugs”. U.S. Food and Drug Administration (FDA) (2008年1月31日). 2013年1月15日閲覧。
- ^ “Postmarket Drug Safety Information for Patients and Providers > Suicidal Behavior and Ideation and Antiepileptic Drugs”. U.S. Food and Drug Administration (FDA) (2009年5月5日). 2013年1月15日閲覧。
- ^ a b ラミクタール錠小児用2mg/ ラミクタール錠小児用5mg/ ラミクタール錠25mg/ ラミクタール錠100mg添付文書情報(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)
- ^ Nassir Ghaemi S, Shirzadi AA, Filkowski M (2008). “Publication bias and the pharmaceutical industry: the case of lamotrigine in bipolar disorder”. Medscape J Med 10 (9): 211. PMC 2580079. PMID 19008973. http://www.pubmedcentral.nih.gov/articlerender.fcgi?tool=pmcentrez&artid=2580079.
- ^ 黒木俊秀「抗うつ薬時代の憂うつ」『現代うつ病の臨床』187~211頁。
参考文献[編集]
- グラクソ・スミスクライン株式会社®ラミクタール添付文書
- おくすり110番:ラミクタール錠
気分安定薬 |
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カルバマゼピン ジバルプロエックスナトリウム ガバペンチン ラモトリギン リカルバゼピン リチウム オクスカルバゼピン プレガバリン バルプロ酸ナトリウム チアガビン トピラマート バルプロ酸
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UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 抗てんかん薬 (新薬展望2010) -- (治療における最近の新薬の位置付け〈薬効別〉--新薬の広場)
- 新薬くろ〜ずあっぷ(102)ラミクタール錠小児用2mg・5mg ラミクタール錠25mg・100mg
Related Links
- ラミクタールとは?ラモトリギンの効能,副作用等を説明,ジェネリックや薬価も調べられる(おくすり110番:薬事典版) ... 用法用量は医師・薬剤師の指示を必ずお守りください。 すべての副作用を掲載しているわけではありません。
- このページでは、ラミクタールの製品情報についてご説明しています。「HealthGSK.jp」は医療関係者にGSKの医療用医薬品に関する情報を提供しています。
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
- 抗てんかん剤(錠小児用2mg、錠小児用5mg)
- 抗てんかん剤、双極性障害治療薬(錠25mg、錠100mg)
販売名
ラミクタール錠小児用2mg
組成
成分・含量
添加物
- 沈降炭酸カルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ポビドン、サッカリンナトリウム水和物、香料、ステアリン酸マグネシウム
禁忌
効能または効果
- 他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の下記発作に対する抗てんかん薬との併用療法
- 部分発作(二次性全般化発作を含む)
- 強直間代発作
- Lennox-Gastaut症候群における全般発作
- 双極性障害における気分エピソードの再発・再燃抑制
- 双極性障害の気分エピソードの急性期治療に対する本剤の有効性及び安全性は確立していない。
てんかん患者における抗てんかん薬との併用療法に用いる場合
成人(ラミクタール錠25mg、ラミクタール錠100mg)
・バルプロ酸ナトリウムを併用する場合
- 通常、ラモトリギンとして最初の2週間は1回25mgを隔日に経口投与し、次の2週間は1日25mgを1回経口投与する。その後は、1〜2週間毎に25〜50mgずつ漸増する。維持用量は1日100〜200mgとし、2回に分割して経口投与する。
・バルプロ酸ナトリウムを併用しない場合
本剤のグルクロン酸抱合を誘導する薬剤注1)を併用する場合
- 通常、ラモトリギンとして最初の2週間は1日50mgを1回経口投与し、次の2週間は1日100mgを2回に分割して経口投与する。その後は、1〜2週間毎に最大100mgずつ漸増する。維持用量は1日200〜400mgとし、2回に分割して経口投与する。
1.以外の抗てんかん薬注2)を併用する場合
- バルプロ酸ナトリウムを併用する場合に従う。(表1参照)
小児(ラミクタール錠小児用2mg、ラミクタール錠小児用5mg、ラミクタール錠25mg、ラミクタール錠100mg)
・バルプロ酸ナトリウムを併用する場合
- 通常、ラモトリギンとして最初の2週間は1日0.15mg/kgを1回経口投与し、次の2週間は1日0.3mg/kgを1回経口投与する。その後は、1〜2週間毎に最大0.3mg/kgずつ漸増する。維持用量は、バルプロ酸ナトリウムに加えて本剤のグルクロン酸抱合を誘導する薬剤注1)を併用する場合は1日1〜5mg/kgとし、本剤のグルクロン酸抱合を誘導する薬剤注1)を併用していない場合は1日1〜3mg/kgとし、2回に分割して経口投与する。なお、1日用量は最大200mgまでとする。
・バルプロ酸ナトリウムを併用しない場合
本剤のグルクロン酸抱合を誘導する薬剤注1)を併用する場合
- 通常、ラモトリギンとして最初の2週間は1日0.6mg/kgを2回に分割して経口投与し、次の2週間は1日1.2mg/kgを2回に分割して経口投与する。その後は、1〜2週間毎に最大1.2mg/kgずつ漸増する。維持用量は1日5〜15mg/kgとし、2回に分割して経口投与する。なお、1日用量は最大400mgまでとする。
1.以外の抗てんかん薬注2)を併用する場合
- バルプロ酸ナトリウムを併用する場合に従う。(表2参照)
双極性障害における気分エピソードの再発・再燃抑制に用いる場合(ラミクタール錠25mg、ラミクタール錠100mg)
・単剤療法の場合
- 通常、成人にはラモトリギンとして最初の2週間は1日25mgを1回経口投与、次の2週間は1日50mgを1回又は2回に分割して経口投与し、5週目は1日100mgを1回又は2回に分割して経口投与する。6週目以降は維持用量として1日200mgを1回又は2回に分割して経口投与する。症状に応じて適宜増減するが、増量は1週間以上の間隔をあけて最大100mgずつ、1日用量は最大400mgまでとし、いずれも1日1回又は2回に分割して経口投与する。
・バルプロ酸ナトリウムを併用する場合
- 通常、成人にはラモトリギンとして最初の2週間は1回25mgを隔日に経口投与、次の2週間は1日25mgを1回経口投与し、5週目は1日50mgを1回又は2回に分割して経口投与する。6週目以降は維持用量として1日100mgを1回又は2回に分割して経口投与する。症状に応じて適宜増減するが、増量は1週間以上の間隔をあけて最大50mgずつ、1日用量は最大200mgまでとし、いずれも1日1回又は2回に分割して経口投与する。
・バルプロ酸ナトリウムを併用しない場合注3)
本剤のグルクロン酸抱合を誘導する薬剤注1)を併用する場合
- 通常、成人にはラモトリギンとして最初の2週間は1日50mgを1回経口投与、次の2週間は1日100mgを2回に分割して経口投与し、5週目は1日200mgを2回に分割して経口投与する。6週目は1日300mgを2回に分割して経口投与し、7週目以降は維持用量として1日300〜400mgを2回に分割して経口投与する。症状に応じて適宜増減するが、増量は1週間以上の間隔をあけて最大100mgずつ、1日用量は最大400mgまでとし、いずれも1日2回に分割して経口投与する。
1.以外の薬剤注4)を併用する場合
- 表1:<参考:てんかん患者における抗てんかん薬との併用療法に用いる場合(成人)>
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バルプロ酸ナトリウムを併用する場合 |
バルプロ酸ナトリウムを併用しない場合 |
バルプロ酸ナトリウムを併用しない場合 |
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バルプロ酸ナトリウムを併用する場合 |
(1)本剤のグルクロン酸抱合を誘導する薬剤注1)を併用する場合 |
(2)(1)以外の抗てんかん薬注2)を併用する場合 |
1・2週目 |
12.5mg/日 (25mgを隔日投与) |
50mg/日 (1日1回投与) |
バルプロ酸ナトリウムを併用する場合に従う。 |
3・4週目 |
25mg/日 (1日1回投与) |
100mg/日 (1日2回に分割して投与) |
バルプロ酸ナトリウムを併用する場合に従う。 |
5週目以降 |
1〜2週間毎に25〜50mgずつ漸増する。 |
1〜2週間毎に最大100mgずつ漸増する。 |
バルプロ酸ナトリウムを併用する場合に従う。 |
維持用量 |
100〜200mg/日 (1日2回に分割して投与) |
200〜400mg/日 (1日2回に分割して投与) |
バルプロ酸ナトリウムを併用する場合に従う。 |
- 注1)フェニトイン、カルバマゼピン、フェノバルビタール、プリミドン、その他本剤のグルクロン酸抱合を誘導する薬剤(「相互作用」の項参照)
- 注2)ゾニサミド、ガバペンチン、トピラマート、その他本剤のグルクロン酸抱合に対し影響を及ぼさない又は影響が明らかでない薬剤(「薬物動態」の項参照)
- 表2:<参考:てんかん患者における抗てんかん薬との併用療法に用いる場合(小児)>
|
バルプロ酸ナトリウムを併用する場合 |
バルプロ酸ナトリウムを併用する場合 |
バルプロ酸ナトリウムを併用しない場合 |
バルプロ酸ナトリウムを併用しない場合 |
|
本剤のグルクロン酸抱合を誘導する薬剤注1)を併用する場合 |
本剤のグルクロン酸抱合を誘導する薬剤注1)を併用しない場合 |
(1)本剤のグルクロン酸抱合を誘導する薬剤注1)を併用する場合 |
(2)(1)以外の抗てんかん薬注2)を併用する場合 |
1・2週目 |
0.15mg/kg/日 (1日1回投与) |
0.15mg/kg/日 (1日1回投与) |
0.6mg/kg/日 (1日2回に分割して投与) |
バルプロ酸ナトリウムを併用する場合に従う。 |
3・4週目 |
0.3mg/kg/日 (1日1回投与) |
0.3mg/kg/日 (1日1回投与) |
1.2mg/kg/日 (1日2回に分割して投与) |
バルプロ酸ナトリウムを併用する場合に従う。 |
5週目以降 |
1〜2週間毎に最大0.3mg/kgずつ漸増する。 |
1〜2週間毎に最大0.3mg/kgずつ漸増する。 |
1〜2週間毎に最大1.2mg/kgずつ漸増する。 |
バルプロ酸ナトリウムを併用する場合に従う。 |
維持用量 |
1〜5mg/kg/日 (最大200mg) (1日2回に分割して投与) |
1〜3mg/kg/日 (最大200mg) (1日2回に分割して投与) |
5〜15mg/kg/日 (最大400mg) (1日2回に分割して投与) |
バルプロ酸ナトリウムを併用する場合に従う。 |
- 注1)フェニトイン、カルバマゼピン、フェノバルビタール、プリミドン、その他本剤のグルクロン酸抱合を誘導する薬剤(「相互作用」の項参照)
- 注2)ゾニサミド、ガバペンチン、トピラマート、その他本剤のグルクロン酸抱合に対し影響を及ぼさない又は影響が明らかでない薬剤(「薬物動態」の項参照)
- 表3:<参考:双極性障害における気分エピソードの再発・再燃抑制に用いる場合(成人)>
|
単剤療法の場合 |
バルプロ酸ナトリウムを併用する場合 |
バルプロ酸ナトリウムを併用しない場合注3) |
バルプロ酸ナトリウムを併用しない場合注3) |
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単剤療法の場合 |
バルプロ酸ナトリウムを併用する場合 |
(1)本剤のグルクロン酸抱合を誘導する薬剤注1)を併用する場合 |
(2)(1)以外の薬剤注4)を併用する場合 |
1・2週目 |
25mg/日 (1日1回投与) |
12.5mg/日 (25mgを隔日投与) |
50mg/日 (1日1回投与) |
単剤療法の場合に従う。 |
3・4週目 |
50mg/日 (1日1回又は2回に分割して投与) |
25mg/日 (1日1回投与) |
100mg/日 (1日2回に分割して投与) |
単剤療法の場合に従う。 |
5週目 |
100mg/日 (1日1回又は2回に分割して投与) |
50mg/日 (1日1回又は2回に分割して投与) |
200mg/日 (1日2回に分割して投与) |
単剤療法の場合に従う。 |
6週目以降 |
200mg/日 (最大400mg/日) (1日1回又は2回に分割して投与) (増量は1週間以上の間隔をあけて最大100mgずつ) |
100mg/日 (最大200mg/日) (1日1回又は2回に分割して投与) (増量は1週間以上の間隔をあけて最大50mgずつ) |
6週目300mg/日 7週目以降300〜400mg/日 (最大400mg/日) (1日2回に分割して投与) (増量は1週間以上の間隔をあけて最大100mgずつ) |
単剤療法の場合に従う。 |
- 注1)フェニトイン、カルバマゼピン、フェノバルビタール、プリミドン、その他本剤のグルクロン酸抱合を誘導する薬剤(「相互作用」の項参照)
- 注3)本剤のグルクロン酸抱合に対する影響が明らかでない薬剤を投与されている患者は、バルプロ酸ナトリウムを併用する場合の用法・用量に従うこと。
- 注4)リチウム、オランザピン、その他本剤のグルクロン酸抱合に対し影響を及ぼさない薬剤(「薬物動態」の項参照)
- 本剤をてんかん患者に用いる場合には、他の抗てんかん薬と併用して使用すること。[国内臨床試験において、本剤単独投与での使用経験はない。]
- 発疹等の皮膚障害の発現率は、定められた用法・用量を超えて投与した場合に高いことが示されているので、併用する薬剤の組み合わせに留意して、「用法・用量」を遵守すること。なお、体重換算等により調節した用量に一致する錠剤の組み合わせがない場合には、調節した用量に最も近く、かつ超えない用量になるよう錠剤を組み合わせて投与すること(「警告」、「重要な基本的注意」、「副作用」及び「臨床成績」の項参照)。
- 本剤による発疹等の皮膚症状のために投与を中止した場合には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合以外は再投与しないこと。再投与にあたっては、いかなる理由で投与を中止した患者においても、維持用量より低い用量から漸増すること(2.参照)。なお、投与中止から本剤の消失半減期の5倍の期間(バルプロ酸ナトリウムを併用した時は約350時間、バルプロ酸ナトリウムを併用せず本剤のグルクロン酸抱合を誘導する薬剤を併用した時は約65時間(いずれも外国人のデータ)、バルプロ酸ナトリウムも本剤のグルクロン酸抱合を誘導する薬剤も併用しなかった時は約170時間)を経過している場合は、初回用量から「用法・用量」に従って再開することが推奨される(「相互作用」及び「薬物動態」の項参照)。
- 小児てんかん患者へ投与する場合に、投与初期(1〜2週)に体重換算した1日用量が1〜2mgの範囲内であった場合は2mg錠を隔日に1錠服用する。体重換算した1日用量が1mg未満の場合は本剤を服用してはならない。本剤投与中は、体重変化を観察し、必要に応じ適切に用量の変更を行うこと。なお、2〜6歳の小児の場合は維持用量の上限付近の用量が必要な場合がある。
- 本剤投与中に、本剤のグルクロン酸抱合を阻害あるいは誘導する薬剤を投与開始又は投与中止する場合には、本剤の用量調節を考慮すること。
- 経口避妊薬等の本剤のグルクロン酸抱合に影響を与える薬剤を併用する際には、本剤の用量調節を考慮すること(「相互作用」及び「薬物動態」の項参照)。
- 肝機能障害患者では、肝機能障害の程度に応じて、本剤のクリアランスが低下するため、本剤の投与にあたっては減量を考慮すること(「慎重投与」及び「薬物動態」の項参照)。
慎重投与
- 自殺念慮又は自殺企図の既往のある患者、自殺念慮のある患者[自殺念慮、自殺企図があらわれることがある。]
- 脳の器質的障害又は統合失調症の素因のある患者[精神症状を増悪させることがある。]
- 肝機能障害のある患者[本剤のクリアランスが低下し、消失半減期が延長することがある。](「用法・用量に関連する使用上の注意」及び「薬物動態」の項参照)
- 腎不全患者[腎クリアランスが低下しているために、主代謝物(グルクロン酸抱合体)の血漿中濃度が健康成人よりも高くなることがある。](「薬物動態」の項参照)
- 他の抗てんかん薬に対しアレルギー歴又は発疹発現の既往歴がある患者[重篤ではない発疹の発現頻度が約3倍になる。]
重大な副作用
- 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(0.4%)及び中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)(頻度不明注))があらわれることがあるので、観察を十分に行い、発熱、眼充血、顔面の腫脹、口唇・口腔粘膜や陰部のびらん、皮膚や粘膜の水疱、紅斑、咽頭痛、そう痒、全身けん怠感等の異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと(「警告」、「用法・用量に関連する使用上の注意」、「重要な基本的注意」及び「臨床成績」の項参照)。
- 過敏症症候群(発疹、発熱、リンパ節症、顔面浮腫、血液障害及び肝障害等の種々の全身症状を伴う)(頻度不明注))があらわれることがあるので、過敏症症候群の徴候又は症状が発現し、本剤との関連性が否定されない限りは、本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。なお、過敏症の初期症状は、発疹を伴わないこともあるので、発疹以外の症状(発熱又はリンパ節症等)の発現にも注意が必要である。
- 再生不良性貧血(頻度不明注))、汎血球減少(頻度不明注))、無顆粒球症(頻度不明注))があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 肝炎、肝機能障害及び黄疸(0.1%)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 無菌性髄膜炎(項部硬直、発熱、頭痛、悪心・嘔吐又は意識混濁等の症状を伴う)(頻度不明注))があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。本剤の再投与により、さらに重篤な症状を伴う無菌性髄膜炎が投与後すぐに再発したとの報告がある。
薬効薬理
抗痙攣作用
- 各種てんかん動物モデルにおいて抗痙攣作用を示すことが報告されている。
- マウス及びラットの最大電撃痙攣を抑制する34)。
- 薬物(ペンチレンテトラゾール、4-アミノピリジン及び6,7-dimethoxy-4-ethyl-β-carboline-3-carboxylate(DMCM))によりマウスに誘発される強直性痙攣を抑制する34)〜36)。
- ラット及びイヌの海馬における電気刺激誘発後発射を抑制する37)。
- 扁桃核及び海馬キンドリングラットにおいて、キンドリング発作を抑制し、後発射持続時間を短縮する38),39)。また、扁桃核キンドリングラットにおいてはキンドリングの形成を抑制する39)。
- 各種遺伝的てんかん動物モデル(聴原性発作マウス及びラット、ELマウス、lethargicマウス)のてんかん様発作を抑制する40)〜42)。
- ラットにおける協調性運動障害作用は弱く、治療係数(協調性運動障害を示すED50値/抗痙攣作用のED50値の比)は、フェニトインやジアゼパムよりも高い値を示す41)。
作用機序
- Na+チャネルを頻度依存的かつ電位依存的に抑制することによって神経膜を安定化させ、グルタミン酸等の興奮性神経伝達物質の遊離を抑制することにより抗痙攣作用を示すと考えられている43),44)。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
化学名
- 3,5-Diamino-6-(2,3-dichlorophenyl)-1,2,4-triazine
分子式
分子量
性状
分配係数(logP)
- 0.4(pH1.2、1-オクタノール/水系)
8.0(pH6.0、1-オクタノール/水系)
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- antiepileptic drug
- 関
- 抗てんかん薬
商品
[★]
- 英
- lamotrigine
- 同
- ラモトリジン
- 商
- ラミクタール
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[★]
ラモトリギン。ラミクタール