エトポシド
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/12/14 15:48:16」(JST)
[Wiki ja表示]
エトポシド
|
IUPAC命名法による物質名 |
(-)-(5R,5aR,8aR,9S)-9-[ [4,6-O-(R)-エチリデン-β-D-グルコピラノシル]オキシ]-5,8,8a,9-テトラヒドロ-5-(4-ヒドロキシ-3,5-ジメトキシフェニル)フロ[3,4:6,7]ナフト[2,3-d]-1,3-ジオキソール-6(5aH)-オン
|
臨床データ |
胎児危険度分類 |
|
法的規制 |
|
投与方法 |
点滴静注、経口投与 |
薬物動態データ |
生物学的利用能 |
48.4% |
血漿タンパク結合 |
90.1%(1時間) |
代謝 |
肝臓(フェノール性グルクロン酸抱合) |
半減期 |
経口:6時間、静注:6-12時間(小児:3時間) |
排泄 |
尿・胆汁・糞中 |
識別 |
CAS番号 |
33419-42-0 |
ATCコード |
L01CB01 |
PubChem |
CID: 36462 |
KEGG |
D00125 |
化学的データ |
化学式 |
C29H32O13 |
分子量 |
588.557 |
エトポシド(Etoposide)とは、メギ科の植物Podophyllum peltatumあるいはP.emodiの根茎から抽出した結晶性成分であるポドフィロトキシンを原料とし、1966年に合成された抗悪性腫瘍剤(抗がん剤)。商品名は、ラステット(販売:日本化薬)、ベプシド(販売:ブリストル・マイヤーズ)。VP-16という略号で表されることもある。
目次
- 1 作用機序
- 2 効能・効果
- 3 副作用
- 4 関連項目
- 5 外部リンク
- 6 参考資料
作用機序
エトポシドはDNAを切断した後、トポイソメラーゼIIと複合体を形成し、DNAの再結合を阻害する。この結果、DNAの複製阻害を引き起こす。また、細胞周期をG2/M期で停止させる作用がある。本剤は、このG2/M期とS期でよく作用する。
効能・効果
- 肺小細胞癌、悪性リンパ腫、急性白血病、睾丸腫瘍、膀胱癌、絨毛性疾患、胚細胞腫瘍(精巣腫瘍、卵巣腫瘍、性腺外腫瘍)
- 以下の悪性腫瘍に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法
- 小児悪性固形腫瘍(ユーイング肉腫ファミリー腫瘍、横紋筋肉腫、神経芽腫、網膜芽腫、肝芽腫その他肝原発悪性腫瘍、腎芽腫その他腎原発悪性腫瘍等)
副作用
骨髄抑制、ショック、間質性肺炎、AST (GOT) 上昇、ALT (GPT) 上昇、悪心・嘔吐、食欲不振、脱毛、倦怠感、発熱など。
関連項目
外部リンク
- ブリストル・マイヤーズ株式会社
- 日本化薬株式会社
- エトポシド注の安定性(2008/01/04)-医薬品情報21
参考資料
- 『ベプシド®注/S25,S50』医薬品インタビューフォーム・新様式第1版(ブリストル・マイヤーズ)
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Japanese Journal
Related Pictures
Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
ベプシドカプセル50mg
組成
- ベプシドカプセル50mgは1カプセル中,エトポシド50mgを含有する。
添加剤としてマクロゴール,ポビドン,ヒドロキシプロピルセルロース及び無水クエン酸,カプセル本体にゼラチン,ラウリル硫酸ナトリウム及びポリソルベート80を含有する。
禁忌
- 重篤な骨髄抑制のある患者[骨髄抑制は用量規制因子であり,感染症又は出血を伴い,重篤化する可能性がある。]
- 本剤に対する重篤な過敏症の既往歴のある患者
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「妊婦,産婦,授乳婦等への投与」の項参照)
効能または効果
**肺小細胞癌,悪性リンパ腫,子宮頸癌,がん化学療法後に増悪した卵巣癌
- **卵巣癌に対して本剤の投与を行う場合には,白金製剤を含む化学療法施行後の症例を対象とし,白金製剤に対する感受性を考慮して本剤以外の治療法を慎重に検討した上で,本剤の投与を開始すること。
肺小細胞癌
- エトポシドとして,通常成人1日175〜200mgを5日間連続経口投与し,3週間休薬する。これを1クールとし,投与を繰り返す。
なお,投与量は疾患,症状により適宜増減する。
悪性リンパ腫
A法
- エトポシドとして,通常成人1日175〜200mgを5日間連続経口投与し,3週間休薬する。これを1クールとし,投与を繰り返す。
なお,投与量は疾患,症状により適宜増減する。
B法
- エトポシドとして,通常成人1日50mgを21日間連続経口投与し,1〜2週間休薬する。これを1クールとし,投与を繰り返す。
なお,投与量は疾患,症状により適宜増減する。
子宮頸癌
- エトポシドとして,通常成人1日50mgを21日間連続経口投与し,1〜2週間休薬する。これを1クールとし,投与を繰り返す。
なお,投与量は疾患,症状により適宜減量する。
**がん化学療法後に増悪した卵巣癌
- エトポシドとして,通常成人1日50mg/m2を21日間連続経口投与し,1週間休薬する。これを1クールとし,投与を繰り返す。
なお,患者の状態により適宜減量する。
慎重投与
- 骨髄抑制のある患者[骨髄抑制を増悪させることがある。]
- 肝障害のある患者[代謝機能等が低下しているので,副作用が強くあらわれることがある。]
- 腎障害のある患者[腎機能が低下しているので,副作用が強くあらわれることがある。]
- 感染症を合併している患者[骨髄抑制により,感染症を増悪させることがある。]
- 水痘患者[致命的全身症状があらわれるおそれがある。]
- 高齢者(「高齢者への投与」の項参照)
- 小児(「小児等への投与」の項参照)
- 長期間使用している患者[骨髄抑制等が強くあらわれ,遷延性に推移することがある。]
重大な副作用
汎血球減少(0.2%)等の骨髄抑制
- 汎血球減少,白血球減少,好中球減少,血小板減少,出血,貧血等があらわれることがあるので,頻回に血液検査を行うなど観察を十分に行い,異常が認められた場合には減量,休薬,中止等の適切な処置を行うこと。
間質性肺炎(0.2%)
- 発熱,咳嗽,呼吸困難,胸部X線異常,好酸球増多等を伴う間質性肺炎があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
薬効薬理
抗腫瘍作用21)〜23)
- マウス可移植性ルイス肺癌に対して抗腫瘍作用が認められた。
ヌードマウスの可移植性ヒト悪性リンパ腫(Case2及びCase6),ヒト肺癌(LX-1,Lu-134,N231,Lu-24,Lu-61),ヌードマウス皮下移植ヒト子宮頸癌(HeLa S3,TCO-1)及びヌードマウス子宮移植ヒト子宮頸癌(HeLa S3)に対して増殖抑制効果を示した。
作用機序24)〜27)
- 細胞周期のS期後半からG2期にある細胞に対して殺細胞作用を示し,その機序は,DNAに対する直接作用ではなく,DNA構造変換を行う酵素トポイソメラーゼIIの活性を阻害するなどが考えられる。また,この殺細胞作用は作用濃度と作用時間の双方に依存して増強する。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
化学名
- (5R,5aR,8aR,9S)-9-{[4,6-O-(1R)-Ethylidene-β-D-glucopyranosyl]oxy}-5-(4-hydroxy-3,5-dimethoxyphenyl)-5,8,8a,9-tetrahydrofuro[3',4':6,7]naphtho[2,3-d][1,3]dioxol-6(5aH)-one
分子式
分子量
性状
- エトポシドは,白色の結晶又は結晶性の粉末である。メタノールにやや溶けにくく,エタノール(99.5)に溶けにくく,水に極めて溶けにくい。
融点
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- bone marrow transplantation BMT
- 関
- 造血幹細胞移植、拒絶反応
メモ
[★]
- 英
- etoposide
- 同
- VP-16, VePesid
- 商
- ベプシド、ラステット
- 関
- 抗悪性腫瘍薬、トポイソメラーゼII阻害剤
- S期とG2期に特異的に作用
- トポイソメラーゼIIによるDNA鎖切断を阻害し、DNA合成を阻害
添付文書
- http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/4240403A2050_1_03/4240403A2050_1_03?view=body
参考
- http://www.genome.jp/dbget-bin/www_bget?dr_ja:D00125
[★]
商品