- 英
- Campylobacter infection
- 同
- Campylobacter感染症、カンピロバクター感染、カンピロバクター症 campylobacteriosis
- 関
- カンピロバクター属、カンピロバクター腸炎
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/11/15 06:21:59」(JST)
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カンピロバクター症(カンピロバクターしょう、英:campylobacteriosis)とは、カンピロバクター属菌の感染を原因とするヒトおよび家畜の感染症。平成18年度の統計では、食中毒としては、ノロウイルスの次に患者数が多かった。[1]カンピロバクター属菌はグラム陰性、らせん状桿菌。水源となる河川などの汚染により発展途上国ではありふれた病気。ヒトの死亡例の報告はない。キャンピロバクター症とも呼ばれる。
目次
- 1 原因
- 2 症状
- 3 診断
- 4 治療
- 5 食品衛生の観点から
- 6 関連項目
- 7 参考文献
- 8 脚注
- 9 外部リンク
原因[編集]
- ヒトでは1982年に食中毒菌として指定されたCampylobacter jejuni とCampylobacter coli の感染によるものが大部分を占め、汚染された食品や水、保菌動物との接触により感染が成立する。C. jejuni と C.coli はコレラ毒素に類似したエンテロトキシンを生産し、エンテロトキシンにより食中毒症状を発症する。具体的には、保菌動物や鳥類などのふんにより汚染源となった食品の摂取。肉(特に鶏肉)の生食や加熱不十分、飲料水、サラダ、未殺菌の牛乳など。イヌ、ネコなどのペットも保菌していることがある。2006年EU/EFSA の報告によれば、鶏肉の80%が汚染されている。汚染されても、臭いや味に変化はない[2] 。また、潜伏期間が2~5日と比較的長いことから、原因となった食品が残されていないことが多く、原因が特定されない場合も多い。食中毒事例からの検出は、C. jejuni と C.coliが90%程度とされているが、現在の検出方法は C. jejuni と C.coli 以外の検出に適していない事が原因である[3]。
- ウシでの原因菌はCampylobacter fetus であり、主に交尾感染により伝播する。
- 京都市保健福祉局などの調査によれば、ウシの胆汁からCampylobacter jejuni が 150 検体中 42 検体(28%)から検出、全国調査では胆汁から 35%、肝臓から 12% の検出が報告されており、と殺の際に胆嚢を破らない注意が必要で、牛レバー生食による感染の危険性を示している。[4]
症状[編集]
- ヒト
- 発熱(38℃以下)・下痢(ときに粘血便)・腹痛が主であり、嘔吐を伴うこともある。腹痛は下痢よりも長期間継続。100個程度の菌でも発症。[5]たとえば、生の鶏肉からの一滴のしずくでも発症する。[6]
- サルモネラ症のような症状だが、サルモネラ症よりも軽いことが多い。
- 潜伏期間は約2~7日で、2~5日で回復する。
- まれに、0.1%くらいの頻度で、腸炎が完治してから10日後くらいにギランバレー症候群を併発することがある。従って、腸炎症状が治った後の患者も注意を払う必要がある。
- ウシ
- 初感染の場合は雌に一時的な不妊症や妊娠中期(胎齢4~7ヶ月)における流産を引き起こすが、雄では不顕性感染を示す。流産胎子は皮下組織の膠様浸潤、胸水や腹水の増量、肝臓の混濁腫脹、肺の水腫、臓器表面の線維素付着などを示す。
診断[編集]
ヒトでは糞便、ウシでは流産胎子の胃、盲腸内容物を材料として本菌の分離を行う。分離にはSkirrow培地やCCDA培地などの選択培地を使用する。ポリメラーゼ連鎖反応 (PCR) による検出、同定も可能である。糞便中には非病原性のものも含め細菌が無数にいるが、症状から細菌性腸炎を疑った場合、便中に白血球がいること、カモメが翼をひろげたような形状のグラム陰性桿菌 (gull-wing shaped GNR)[7] の二点が確認できれば、臨床的にはほぼカンピロバクター感染症と診断してよい。
治療[編集]
患者の多くは自然治癒し重篤な症状に至ることは少なく特別な治療を必要としない。一方、敗血症や重篤な症状を呈した場合、対症療法と共に適切な投薬治療が必要となる。薬剤としては、マクロライド系が第一選択薬剤として推奨されている。しかし、自然耐性を示すセフェム系薬剤では治療効果は望めない。また、ニューキノロン系薬剤に対する耐性菌が1994年頃から増加し、世界的な問題となっている[8]。
- ヒト
- マクロライド系抗生物質(エリスロマイシンやクラリスロマイシン)、ホスミシン、ゲンタマイシンの投与。
- 牛
- 雌では子宮洗浄を行う。雄では治療効果が乏しいため淘汰する。
食品衛生の観点から[編集]
60℃、1分程度の加熱でほぼ不活性化されることから、十分な加熱調理と肉類に触れた器具や手指の洗浄、生食する野菜と肉類の接触防止といった二次汚染の防止処置を行えば簡単に防ぐことが出来るが、飲食店や学校の調理実習等での食中毒事例が多く発生している。冷凍や「湯引き」などの方法では不活性化出来ない。厚生労働省は食鳥処理業者に対し2006年3月に、「一般的な食鳥処理場に於ける衛生管理総括表」を作成し指導を行った。また、若齢者、高齢者、低免疫状態の人は生肉や牛レバーの生等を食べないよう指導している。
関連項目[編集]
参考文献[編集]
- 山内亮監修 『最新家畜臨床繁殖学』 朝倉書店 1998年 ISBN 4254460201
- 高島郁夫、熊谷進編 『獣医公衆衛生学第3版』 文永堂出版 2004年 ISBN 4830031980
脚注[編集]
- ^ 食品安全委員会
- ^ 微生物(第18回)・ウイルス(第11回)合同専門調査会資料 資料2-1 リスクプロファイルのまとめ 食品安全委員会
- ^ 話題の感染症 カンピロバクター感染症 (PDF) モダンメディア 2005年3月号(第51巻3号)
- ^ 京都市と畜場における牛の胆汁及び肝臓のカンピロバクター汚染実態調査 京都市保健福祉局
- ^ カンピロバクター食中毒愛知県衛生研究所
- ^ カンピロバクター感染症について 横浜市衛生研究所 感染症・疫学情報課
- ^ メリーランド大学の病原微生物学テキスト
- ^ カンピロバクター感染症 国立感染症研究所 感染症の話 2001年第6週
外部リンク[編集]
- 知って防ごう カンピロバクター食中毒東京都福祉保健局
- カンピロバクター食中毒予防について(Q&A)厚生労働省
- カンピロバクター食中毒 愛知衛生研究所
- 市販鶏ひき肉中の rcobacter,Campylobacter,Salmonella 汚染状況 日本家政学会誌 Vol.62 (2011) No.11 p.721-725
家畜伝染病 |
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言葉 |
家畜/家禽 - 牧畜/酪農/養豚/養鶏/養蜂 - 畜産/畜産業
病原体 - 感染 - 感染経路 - 伝染病/感染症 - 海外悪性伝染病 - 人獣共通感染症 - 公衆衛生 - アウトブレイク/パンデミック - ワクチン - 屠殺 - 殺処分 - 検疫
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組織・施設等 |
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協定・法律等 |
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国際獣疫事務局 リスト疾病 |
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複数種 |
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ウシ |
アナプラズマ病 - バベシア症 - 牛疫 - 牛海綿状脳症 - 結核 - 牛ウイルス性下痢 - 牛肺疫 - 牛白血病 - 出血性敗血症 - 牛伝染性鼻気管炎 - 皮膚病 - 悪性カタル熱 - タイレリア症 - トリコモナス病 - ナガナ病
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ヒツジ、ヤギ |
山羊関節炎・脳脊髄炎 - 伝染性無乳症 - 山羊伝染性胸膜肺炎 - 流行性羊流産 - 羊慢性進行性肺炎 - ナイロビ羊病 - 緬羊ブルセラオビス - 小反芻獣疫 - サルモネラ症 - スクレイピー - 羊痘/山羊痘
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ウマ |
アフリカ馬疫 - 馬伝染性子宮炎 - 媾疫 - 東部馬脳炎 - 西部馬脳炎 - 馬伝染性貧血 - 馬インフルエンザ - 馬ピロプラズマ病 - 馬鼻肺炎 - 馬ウイルス性動脈炎 - 鼻疽 - スーラ病 - ベネズエラ馬脳脊髄炎
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ブタ |
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ウサギ |
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ハチ |
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甲殻類 |
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家畜伝染病予防法上の監視伝染病 |
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Japanese Journal
- サルモネラ感染症,カンピロバクター感染症 (小児の治療指針) -- (感染症)
- 三澤 尚明
- 鶏病研究会報 44(2), 59-66, 2008-08-25
- カンピロバクター属菌が人に対する病原細菌として認識されたのは、約30年前のことであり、新興感染症の一つに含まれる。本属菌の多くは動物の腸管内に広く分布しており、本症の伝播経路は食品を媒介する間接伝播と保菌動物の糞便による直接伝播がある。したがってカンピロバクター感染症は食中毒の原因菌としてだけでなく人獣共通感染症として公衆衛生上重要なテーマの一つになっている。中でもCampylobacter je …
- NAID 10022568039
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- カンピロバクター属菌は2004年現在、17菌種6亜種3生物型から構成されている。ヒトの カンピロバクター感染症は胃腸炎症状を主たる臨床像とし,その原因菌の95~99 % は Campylobacter jejuni subsp. jejun(i 以下C. jejuni )で、C. coli は数%に止まる。
- カンピロバクター属菌は2004年現在、17菌種6亜種3生物型から構成されている。ヒトの カンピロバクター感染症は胃腸炎症状を主たる臨床像とし,その原因菌の95〜99 % は Campylobacter jejuni subsp. jejun(i 以下C. jejuni )で、C. coli は数%に止まる。
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[★]
- 28歳の女性。食後の腹部膨満感を主訴に来院した。1か月前から2週間にわたり、南アジアを旅行した。帰国3日前から、1日2、3回の軟便と食後の腹部膨満感とが出現し、帰国後も10日以上持続したため受診した。体温36.4℃。脈拍88/分、整。血圧120/70mmHg。腹部に圧痛を認めない。腸雑音は軽度亢進している。血液所見:赤血球 390万、Hb 11.2g/dl、 Ht 34%、白血球 6,500、血小板 32万。血液生化学所見:尿素窒素 20mg/dl、クレアチニン 0.4mg/dl、AST 31IU/l、ALT 40IU/l、LD 203IU/l(基準176-353)。ALP 344IU/l(基準115-359)、Na 140mEq/l、K 4.0mEq/l、Cl 101mEq/L。CRP 0.4mg/dl。便の顕微鏡写真(別冊No.9)を別に示す。
- 診断はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [105A036]←[国試_105]→[105A038]
[★]
- 英
- proton pump inhibitor PPI
- 同
- プロトン-カリウムATPアーゼ阻害薬 proton-potassium ATPase inhibitor、H+ポンプ阻害薬
- 胃潰瘍の治癒率を向上する (⇔H2受容体拮抗薬)
プロトンポンプ阻害薬
-
-
相互作用
プロトンポンプ
H+/K+ ATPase ・・・これはNa+/K+ ATPaseと60%相同性を持つ
2,4のαサブユニットと同数のβサブユニットを含む。
αサブユニット10回膜貫通, 120-150kDa, glycoprotein
αは管腔側、原形質膜まで。細胞内輸送に必要。
βサブユニットは管腔側に突き出ており、反対側は膜内に埋もれている。
休止期には小胞体内内腔へのH+,K+,Cl-の移動、分泌期には小胞は管腔の細胞膜と癒合してK+, Cl-を管腔側に排出する一方でH+を排出でしてK+を取り込む。
PPIは弱塩基性
PPIはH+と反応してPPIaとなりS-S-活性体となり、H+,K+-ATPaseのSH基と結合して不可逆的に阻害する。
比較
PPI:胃潰瘍の治癒率↑
H2R阻害薬:十二指腸潰瘍の治癒率↑
PPI問題
胃潰瘍8
十二指腸6
逆流性食道炎8
副作用
血中ガストリン↑→ECL cell↑→リバウンドが激しい
week end therapy: 週末3日だけ投与後休薬
ピレンゼピン(Mi R blocker), PG(プロスタグランジン) → ガストリン↑を軽減
ラベプラゾール:ガストリン濃度を上げず酸分泌↓
→リバウンドが少ない。
PPI抵抗性潰瘍:PPIによる酸分泌抑制不十分
①個人差によるPPIの用量不足
②胃内でのPPIの不活性化→
胃内容の排泄遅延。PPIが不活化、アルカリに晒される。
副作用
- http://www.uptodate.com/contents/overview-and-comparison-of-the-proton-pump-inhibitors-for-the-treatment-of-acid-related-disorders?source=search_result&search=%EF%BC%B0%EF%BC%B0%EF%BC%A9&selectedTitle=1~150#H59974871
[★]
- 日
- カンピロバクター・ジェジュニ
- ラ
- Campylobacter jejuni, C. jejuni
- 関
- カンピロバクター属、細菌
細菌学的特徴
感染症
後遺症
[★]
カンピロバクター感染症、カンピロバクター感染
[★]
- 英
- enteric infection
- 関
- カンピロバクター感染症
[★]
カンピロバクター感染症
[★]
- 英
- infectious disease
- 関
- 感染、定着、感染症法
- 病原体から引き起こされる疾患
- 感染が成立して、宿主に病気が発症した状態
- →宿主が病原体を追い出そうとしている状態
地域別の感染症
参考になるリンク
- http://www.forth.go.jp/tourist/worldinfo/index.html
- Centers for Disease Control and Prevention
- http://www.cdc.gov/
[★]
- 英
- infection
- 関
- 定着、感染症、不顕性感染、顕性感染。サブクリニカル感染
- 細菌が宿主の体表面、体内や組織内に付着して増殖し、定着している状態。
- 感染の成立には微生物(定着能、増殖能、細胞内進入能、毒素産生能などを総合した病原性)と宿主(排除能、殺菌能などの生体防御機構)の力関係が崩れたときに生じる
[★]
- 関
- ST合剤
スルファメトキサゾールとトリメトプリムの合剤
- http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/6290100D1088_1_01/6290100D1088_1_01?view=body
- ニューモシスチス肺炎予防のためのスルファメトキサゾール・トリメトプリム投与量の検討
- http://www.jrs.or.jp/quicklink/journal/nopass_pdf/ajrs/006020053j.pdf
[★]
- 英
- sis, pathy
[★]
- 英
- donkey
- 関
- ウマ、シマウマ、ウマ科、ラバ